続きました。ニケのメインストーリーを知ってる前提の話になってしまいますね…。
ウィッチモデル。
アークガーディアン作戦終了直後にて製造が進められたそのニケのモデルは、対ヘレティックそして、対フェアリーテイルモデルとして設計されたが、ヘレティックアナキオールの一例から一体の性能を伸ばすより、量産型を主軸に戦場を構成した方が侵食のリスクが少なくて済む影響から、計画は頓挫され、素体データとコアだけが残った。
しかし設計されたデータとコアが存在していれば、それを管理する誰かがいることになる。
机上の空論になり得る設計データだけならまだしも、ウィッチモデル用のコアを合わせて二つとも揃っているなら、話は変わってくる。つまるところ、誰かが管理して、外部に漏らさないように管理する必要性が生まれてくる。
そんな厄ネタにもなり得てしまう存在があったとして、ソレを管理している人がいたとするなら、それは中央政府の副司令に当たる人物か、アークの全てを管理する管理AIのエニックである。
私はその"どちらにも"ツテがあり、入手するのは簡単だった。
製造という点も、ビル丸々一棟を兵舎として使えている現状、誰にもバレることなく研究室を一つや二つ確保するのは訳がなく、汚職や失態によって有能な研究者や技術者がアークから
オズ、グリムヒルト、ユージーンの三人は量産型に使われるコアと、ウィッチモデル用のコアの二つを搭載したツインコアシステムであり、電力の消費や、過剰な出力の影響でニケとして短命になるところを、通常時は量産型のコアを使い、時間制限を設けた限定稼働時にツインコア状態にすることで、安定した活動を可能とした。
三人とも元々が量産型であったので、いくら外付けの改造を施したと言ってもやはりハイエンドの量産型であり、最大稼働は偽装解除後の五分が限界である。
いや…オズに至ってはウィッチモデルのコアと自身のコアが融合して、全く別のコアになっていたから、五分以上の活動も可能になっていたな。しかし私どころか技術者ですらどうしてこうなるか分かってないのだと…ラピとレッドフードみたいに謎が多いね。
「なんだぁ?発射口がいきなり閉まって…?」
ニヒリスターは背中から伸びる竜の頭のアームから炎を吐き出そうとした瞬間、まるで逆再生のように竜の顎が閉じていた。
「オズ、この状態はどれくらい保つかな?」
「活動限界まで問題なく」
オズの偽装を解除した状態に使う彼女の専用武装"マルチマジック"、ナノマシンを用いた微粒子を脳波コントロールによって操り、付着させた物体に対して上か下に引力を働かせる効果がある。
銃弾や榴弾であろうと効果を発揮し、粒子に触れた瞬間垂直に落下するか垂直に上がる。上か下に働く重力操作のようなものと考えればいい。
ちなみに粒子を付着させる都合上ビームのような兵器に対しては全くの無力となるのが、明確な弱点とも言える。まぁその場合なら銃口を下に向ければ済むことだ。
「テメェ、何かしたな?」
「はは、理解ができない現象のことを人は"魔法"というらしいね」
進化した科学は魔法とそう変わらない。何処かの誰かが言っていた気がするな。
上下から炎の発射口を抑えられてビクともしないだろう。ヘレティックは破壊したところで、全身がナノマシンであるが故に瞬時に修復してしまう。
破壊するより行動を封じること、対ヘレティック戦ならこれに尽きる。
「グリムヒルト、"効き"の方は問題ないかな?」
「神経系に潜り込みました。あと5秒もあれば完了します」
「それは上々。ユージーン、5秒だけでいい、防御を頼む」
「ラジャー!」
グリムヒルトの専用武装"魔女の林檎"、有機物以外に作用する酸性の目に見えないほど小さい液体を対象に対して高速で撃ち込み酸化させ、内側からまるで"毒"が体内を巡るかのように蝕み
見た目からは見分けがつかず、"毒"が神経系の回路に達したならば対象は眠るように行動を停止する。
重要な効果はあくまで酸化であることから、対ヘレティックに対して有効な手段と取れる。破壊やダメージのある攻撃ではなく、いわゆる劣化ということになり、ナノマシンが治そうと動く置換の働きさえも魔女の林檎の毒の効果で誤認させる。
欠点としては毒の効きが、即効ではない点と人間相手には正常な効果が出ないところだろう。
ユージーンの専用武装"タワーオブプリンセス"、周囲に音による振動の壁を形成させ、物理的攻撃は衝撃波によって無効化し、ビームのような攻撃は屈折させ無力化してしまう文字通りの見えない壁であり、慢心ではない無敵の防御能力を誇る。(ソシャゲに出ていたならばナーフ不可避だ)
ユージーン特有の能力によりオズの操るナノマシンを蓄え、参考元のラプンツェルよろしく応急処置程度ではあるが十分すぎる回復力を持ち、偽装解除をせずとも音をエコーロケーションのように使い広範囲による索敵すら可能となる。
欠点としてはユージーン本人以外は周囲の音を聞き取れない程度だろう。実際目の前で口をパクパクを動かしているニヒリスターの声は聞こえてこない。
三人の専用武装はその全てに銃やビームのような直接的な攻撃力はないが、彼女達自身が腕を振るえば、目の前のラプチャーが両断されるほどのマシンスペックを有しており、その身体が一番有効な兵器であるが故に三人とも手持ちの武装は不要であり、むしろデッドウェイトになり得る。
「逃げるなら見逃そう…ニヒリスター」
そういえば、こちらの声は聞こえないか…。
「五秒後、タワーオブプリンセス解除。せっかくの機会だ、我々の側につけるか、交渉してみよう」
◆◆◆
どういうわけか手足が痺れるように身動きが取り辛くなり、本気で力を入れたところで、人間の女程度の力しか発揮できず腕力が下がってる可能性がある。
「このまま我々の側に付くなら、譲歩しよう…ニヒリスター」
「冗談だろ?笑えないジョークは冷めるぜ?」
待て…どうしてコイツは、俺の名前を?
「クイーンを倒す…そうだろう?」
「ッ!?」
コイツ…俺の計画____いや、考えていることを読み取ったのか?
誰にも、あの"トーカティブ"にすら話したことがない俺の計画がバレる要素があるわけがない。
可能性としてはこの手足の痺れと妙な倦怠感から、脳スキャンと同じような思考を読み取れる"何か"を使った以外考えられねぇ。そうでなければ知る要素が何も無くなる。
「さぁ、なんのことかな」
「とぼけるのは時間の無駄だ、私もクイーンを倒したいと思っている。目的そのものは同じなら、クイーンを倒すまでの道のりで共闘する…そう私は提案しよう」
「それに対して俺にどんなメリットがあるんだ?」
「おや?その"メリット"を一番理解してるのは、君だと思っていたのだけどね?」
コイツ…全部わかってるはずなのに、白々しい。
「私に対するメリットは、現在のクイーンの破壊、それ以外の
ちっ、コイツ…クイーンが別に現れる事も分かってやがる…。しかし、脳スキャンは短時間で出来る技術じゃない…。まさか元々…今までの会話は全部、知識として…。
やっぱり俺の勘は正しかった。コイツは危険だ…ただ、この得体の知れない不気味さはおもしれぇ…。
「いいぜ…でもリベンジは"その後"させてもらうぜ」
「はは、
俺はまだ無事な部分の飛行ユニットを起動させ空に飛び上がる。どのみち短時間でケリをつけるつもりだったから場所を選んでなかったが、このまま寒冷地での戦闘は、もっと不利な条件で取引を持ちかけられるところだった。
「しかしあの
◆◆◆
「指揮官、あのまま逃してもよかったのですか?人類の敵、ヘレティックですよ?」
「そうだね、しかし…ニヒリスターにおいては少々事情が異なる。条件付きだが、彼女は我々人類側と共闘できる部分がある。ここで破壊してしまうには惜しいよ…。さて、アークに帰ったら、やはり
やはり、この方はどこまでの知見を…どこまでの
いや…そんな心が見えないミステリアスな指揮官であろうと、惹かれて付いていくと決めた我々も等しく、人類からしたら異端なのかもしれない。
オズとしての私を受け入れ、グリムのような嫌われ者を慈しみ、ゴーテルの様なハグレモノを愛した指揮官なら…。
◆◆◆
お疲れ様でした。
本当にありふれた部隊かなのか!?条件付きとはいえリリス並の出力のニケが三人居て、本当にありふれた部隊なのか!?…はい、ありふれた部隊です。