続きました。
考察記録Ⅲ
指揮官様の過去について、現在アクセスできる権限を使って調べ尽くしましたが特出すべき点は何もありませんでした。
アークの一般家庭に生まれ、ごく普通の士官学校から指揮官となった記録しかありません。指揮官様ご自身に聞いても、おおよそ同じ内容であり、中央政府のデータベースを書き換えることでもしない限り、間違いのない情報でした。
中央政府のデータベースの書き換えであれば、どこかで違和感のような経歴になるはずですが、そういう物も無く、私が調べた限りの情報がそのままの真実であると結論付けができます。
しかし、指揮官様が私や第二世代のフェアリーテイルモデルについての知識がある点ですが、百年前の当時とは比べものにならないほど正確な脳スキャン技術を、私に施したのではないかという考えで、考察を進めてきましたが、どうやら私には
私の過去について知られなかったことは幸いでしたが、それでは逆に『どうして当時を知る事が出来たのか』という疑問点が問題になってきます。
第二世代のフェアリーテイルモデルという存在すら、当時を知るニケや関係者は、軍やV.TC.でも上層部やごく一部の者に限られている上に、百年が経ち情報そのものが抹消されている現状、別の方から聞くことも難しいでしょう。
それこそ当時から生きている人間でなければ説明が付きません…もし、魂という概念が存在するなら、当時を生きた人が転生という形で現代に蘇った…という非科学的な要素を考慮する必要が生まれてきます。
次は発想の逆転で、科学にとらわれないアプローチで考察を進めて見ることになりそうです。
◆◆◆
「それで、脚の具合はどうかなカーレン」
「はい!指揮官様から承った専用武装、"アルブレヒト"と"デューラー"は私の体にはよく馴染んでいます」
私に装備された義足一体型武装アルブレヒトとデューラーは左脚と右脚で機能が違いますが、どちらも片膝を付いて射撃姿勢を取るため、まるで神に祈りを捧げるための姿勢とも取れます。
「はは、それは良かった。武装の方も気に入ってくれたようで、わざわざ名前をつけた甲斐があったというもの」
やはりこの武装の名付けは指揮官様が考えた物…ならば私が元V.T.C.出身であることも考慮されている?…確かめる必要がありますね。
「ちょっとした疑問なのですが、指揮官様はどうしてこの武装の名前を"この名前"としてお決めになられたのですか?」
「…意味はあるけど、その意味について関係があるかどうかは君自身で変わってくるかな」
「ふふ、指揮官様の言葉は考えさせられますね」
あくまでもはぐらかしますね…。
◆◆◆
「面白い人…ですか?」
「ああ、このところ彼も私も多忙だったがようやく対談の準備が整ってね。今から会いに行くのだが、場所が地上ということもあって、君とオズ、グリム、ゴーテルのメンバーを護衛としたいのだが、頼めるかな?」
「ええ、構いませんよ」
初期のメンバー全員で、会う人物ですか…指揮官様は何か特別な任務や需要度の高い任務は初期メンバーのネームド量産型を複数人連れて行く傾向にありますが、それが全員となると会う人物が重要な人物…もしや百年前の当時を知っていた人物で、指揮官様はその方から知見を得た可能性が少なからずあります。
ならば私も会うことはリスクもありますが、リターンも得られるはず。
しかし、私の予想とは裏腹に指揮官様のお相手は、ラプチャーとの共存を考えているという、ラプチリオンさんと呼ばれる方で私と心を同じくするものでした。
私もラプチャーと人類の共存を考えた一人の人間、いくつかの話の食い違いこそありましたが、有意義な時間であったと思います。
そんな中、アークに帰還する最中、指揮官様から唐突に話をふられました。
「とても楽しそうに、話していたね
「はい、あのラプチリオンさんは私とは別のベクトルでのアプローチでしたが、ラプチャーを無機物的な動物であるものとして、滅んだ地上を進化の過程で出来上がった一種の自然と捉えた考え方は目を見張るものが___私の記憶があると、いつからわかっていましたか?」
「いつから?面白いことを聞くね、勿論
指揮官様はやはり、私の事を知っていたのですね…。しかし、それならどうして…。
「どうして私を今まで生かしていたのですか?指揮官様は第二世代のフェアリーテイルモデルについて何もかも知っています。一般的に見ても、私は異端者であり、人類が地下で暮らすキッカケになった戦犯とも取れますよ。それなのにどうして…」
平然と私と会話していられるでしょうか…。
「はは、何も私は君をここで始末する気はさらさら無いさ。君と最初に会った時に言っただろう?死ぬことが償いにはならない…生きてこそ償うものがあるとね…神は咎人にも平等に償いのチャンスを与えるものだと思っている…それに物語は、やはりハッピーエンドがいいものさ」
その時、私の中で何かが動いた…。
◆◆◆
考察記録Ⅳ
すごいすごいすごいすごいすごいすごいすごいすごいすごいすごいすごいすごいすごいすごいすごいすごいすごいすごいすごいすごいすごいすごいすごいすごいすごいすごい。
まさかまさかまさかまさかまさかまさかまさかまさかまさかまさかまさかまさか。
ああ…そのまさかとは思いましたが、指揮官様は過去に生きた人間の魂が転生して、そのままの記憶を保持して生まれてきたお方で神の使者でもある…人間の上位者…天使とも取れるお方かもしれません。…もしや、確証こそありませんが、神そのもの…。
過去の記録を調べてた結果、やはり第二世代のフェアリーテイルモデルという名前は存在せず、アナキオールというヘレティックは存在していても、シンデレラという名前は存在せず、アナキオールの見た目は何も残っていない。
エニックや、副司令権限を使えばもう少しレベルの高いアクセス権限が使えるかもしれませんが、それでも残っているのは処分漏れのごく僅か…その現状で、指揮官様の年齢を考え、指揮官様の知識量を考慮するなら、過去に実際に生きている人でなければ説明が付かない。
いえ、そうでなければ説明のしようがないと言わざるを得ません。
しかし、未来予知とも錯覚してしまう情報把握力と、異様なほど低い部隊損耗率のメカニズムについては、まだ立証に時間がかかりそうです。
指揮官様には今後とも探りを入れるとして、最終的には人間___いえ、知的生命体の魂という概念にも触れ、神の領域に届きうる結果をもたらすことに繋がるかもしれません。
私もニケを超え、ヘレティックすら超越する存在になれる可能性が、指揮官様が握っている…私をその神の領域にまで登らせてくれる道のりが、もうすぐそこまで、目の前まで来ています。
ああ、神の溢れんばかりの祝福を。
お疲れ様でした。
ピースメーカー「ラプチャーとの共存(ラプチリオンくんとはベクトルが違う)?ヘレティックになりたい?単純な戦略として欲しいけど、思想が怖いし、人間はそうそう変われるものでもないと分かってるから、存在しないけど更に上位の存在をちらつかせて、とりあえず自分に信仰させるね」
レッドシューズ「神…」
ちなみにこの世界線のレッドシューズはニンフが機能しない設定になります。理由としては、オールドテイルズ中にレッドシューズが回収されてアークに収容された時に、アンチェインドの実験台にされてる可能性があるからですね。脚が一人でに動いたのはラプチャー由来ですし、ヘレティックの可能性が捨てきれなかった中央政府が、アンチェインドの実験体にしたのは納得ができる妄想かと思います。