第一話 先生とは?
「稀代の赤血操術、そしてそれに見合った実力と血……見事だった……」
「天晴だ。鏑林羅衣俺は貴様を生涯……いや、生まれ変わろうが忘れることはないだろう」
「テメェに覚えられる名前なんてねぇよ……」
雨の降り頻る中、2人の男が目を向け合う
そのうちの1人……鏑林羅衣はもうすでに満身創痍であり、これから戦闘を行えるような体ではなかった。
「……ごめんな……みんな」
すでに血まみれの手を裏拍手のように合わせる
そして____
_______『領域展開』
羅衣の意識は、ここで途絶えた
_________
カタン、コトン、と電車の音が響く
「……私のミスでした。」
だんだんと意識が覚醒する
「私の選択、そしてそれによって招かれたこの全ての状況」
(ここは……)
少しずつ状況を把握する
「結局、この結果に辿り着いて初めて、あなたの方が正しかったことを悟るだなんて……」
電車の席には、青とピンクの入り混じった髪の女性が、血を流しながら座っていた
(あの世?)
「……..今更図々しいですが、お願いします」
女性は構わず続けた
「羅衣先生」
「きっと私の話はわすれてしまうでしょうが、それでも構いません」
(……そうか……)
(こんなになってまで…護りたいものがあるんだな……)
「何も思い出せなくても、おそらくあなたは同じ状況で、同じ選択をされるでしょうから………」
(……選択)
「ですから………大事なのは経験ではなく、選択」
「あなたにしか出来ない選択の数々」
「責任を負う者について、話したことがありましたね」
「あの時の私には理解できませんでしたが………今なら理解できます」
(責任と、選択)
「大人としての、責任と義務。そして、その延長線上にあった、あなたの選択」
「それが意味する心延えも」
(あんたが何を言いたいかはわからない)
「………」
「ですから、先生」
(だけど)
「私が信じられる大人である、あなたになら、」
「この捻れて歪んだ先の終着点のとは、また別の結果を………」
「そこへ繋がる選択肢は………きっと見つかるはずです」
(その願いを)
「だから先生、どうか………」
視界が白み始める
(どうか……背負わせてほしい)
____________
「……い」
明るくなってきた意識からは、どこか鋭い声が聞こえる
「………先生、起きてください」
「羅衣先生!!」
「ウワァ!」
結構強い声で起こされた
びっくりした
「………」
そばには黒髪の白い服に身を包んだ女性がいた
多分この人が起こしてくれたのだろう
「何が!?宿儺は!」
「少々待ってくださいと言いましたのに、お疲れだったみたいですね。なかなか起きないほど熟睡されるとは」
「術式は!………ある……」
羅衣はほっと胸を撫で下ろす
「………夢でも見られていたようですね。ちゃんと目を覚まして、集中してください」
なんか普通に怒られた
「もう一度、改めて今の状況をお伝えします」
「あ、はい」
とりあえずこの人の話を聴くことにしよう
「私は「七神 リン」、学園都市「キヴォトス」の連邦生徒会所属の幹部です」
「キヴォトス?」
「追って説明します」
七神さんは続ける
「そしてあなたはおそらく、私たちがここに呼び出した先生……のようですが」
「何で疑問文?」
「私も先生がここに来た経緯を詳しく知らないからです」
七神さんは少し困ったように言う
「混乱されてますよね………分かります」
「マジでここどこ」
「こんな状況になってしまったこと、遺憾に思います。でも今はとりあえず、私についてきてください」
「人の話聞いてぇ……」
そんなこんなで七神さんと俺は席を立つ
「どうしても、先生にやって頂かなくてはいけないことがあります」
「何するんですか?」
「………」
一拍置いて
「学園都市の命運をかけた大事なこと……..と言うことにしておきましょう」
「なるほど大体分かった」
「それ本当にわかってますか?」
とりあえず俺は七神さんについていく
ウィイイイイイン____と機械音を鳴らしなが降っていくエレベーター。
そこからは巨大な都市が見えていた
「すげぇ………」
「『キヴォトス』へようこそ。先生」
「キヴォトスは数千の学園が集まってできている巨大な学園都市です。これから先生が働くところでもあります」
「また働くのか……」
見える街並みは全て学校でできていたことにも驚きだが、これからも働かなきゃいけない事実にも驚いた。
「きっと先生がいらっしゃったところとは色々なことが違いっていて、最初は慣れるのに苦労するかもしれませんが………」
「綺麗だな……」
「……それほど心配しなくても良さそうですね」
羅衣は壮観な街に見惚れいた
「あの連邦生徒会長が、お選びになった方ですからね」
「連邦生徒会長?」
また知らん単語が出てきた
RPGだったらとっくに詰んでる
「………それは後でゆっくり説明することにして」
(チン)
エレベーターが止まったベルがなった
(ざわ……ざわ……)
「カ⚪︎ジ?」
ざわざわとした雰囲気の中から、1人の少女が飛び出してきた
「ちょっと待って!代行!見つけた、待ってたわよ!連邦生徒会長を呼んできて!」
「情報がいつまでも完結しねぇぞおい」
「……隣の方は?」
「主席行政官。お待ちしておりました」
「連邦生徒会長に会いにきました。風紀委員長が、今の状況について納得のいく回答を要求されています」
さらに人が増えた。
ついにショートした羅衣は考えるのをやめ、話を聞くことにした
「あぁ…………面倒な人たちに捕まってしまいましたね」
そして皮肉たっぷりに答える
「こんにちは、各学園からわざわざここまで訪問してくださった生徒会、風紀委員会、その他時間を持て余している皆さん」
「こんな暇そ……コホン、大事な方々がここを訪ねてきた理由は、よくわかっています」
「今暇そうっつったぞこの人」
「今学園都市に起きている混乱の責任を問うために……でしょう?」
「こんにちは」
「え?あ、はいこんにちは」
「長くなりそうなんでお茶でもいかがです?茶菓子もありますよ?」
羅衣はどこからともなく茶菓子とポットなどを取り出す
「いただきます」
「食いつきいいな」
「じゃ、じゃあ私も」
長身の黒髪の女性は速攻で食いついてきて、クリーム色?の人はおずおず出てきた
「そこまでわかってるなら何とかしなさいよ!連邦生徒会なんでしょ!」
「これ菊福のわらび餅なんですよ。これに黒蜜たっぷりかけたらもう……」
「犯罪的ですねこれは」
「甘さがしっかりしてるのにもちもち……」
「数千もの学園自治区が混乱に陥ってるのよ!この前なんか、うちの学園の風力発電所がシャットダウンしたんだから!」
「大丈夫です食べていいんです。お茶を飲めば全て液体です。0カロリーです」
「0カロリー……?」
「そうです。もう一杯いかがです?」
「いただきます」
「お茶おいしい」
そこでクリーム色の人もお茶を一度置き、声を出す
「連邦矯正局で停学中の生徒たちについて、一部が脱出したと言う情報もありました」
「えと……」
「あ、チナツです」
「チナツさんお茶おかわりいります?」
「じゃあお言葉に甘えて…….」
「スケバンのような不良たちが、登校中のうちの生徒たちを襲う頻度も、最近急激に高くなりました。治安の維持が難しくなっています」
グレーの制服の白髪の人が出てきた。
「ふぅ……戦車やヘリコプターなど、出所のわからない武器の不法流通も2000%以上増加しました。これでは正常な学園生活に支障が生じてしまいます。……わらび餅ってまだあったり……」
「あるよ」
どこぞのバーのマスターのように答える
「……」
七神さんが困ってら
「こんな状況で連邦生徒会長は何しているの?どうして何週間も姿を見せないの?今すぐ会わせて!」
「ごちそうさまでした。」
「おいしかったです」
「はいお粗末さまです」
「て言うか!何でさっきからお茶を啜ってるのよ!」
「暇だったもんで」
流石に反応してきた
「……」
「連邦生徒会長は、今、席におりません。正直に言いますと、行方不明になりました」
「……え!?」
「………!!」
「やはりあの噂は……」
「な、何だってぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇェェェ!」
「結論から言うと「サンクトゥムタワー」の最終管理者がいなくなったため、今の連邦生徒会は行政制御権を失った状態です」
「認証を迂回できる方法を探していましたが……先ほどまで、そのような方法は見つかっていませんでした。」
「それでは、今は方法があると言うことですか、主席行政官」
「あの……まだお茶って残って……」
「ありますとも」
「はい」
「この先生こそが、フィクサーになってくれるはずです」
七神さんは俺を指差して言った
「!?」
「!」
「この方が?」
「再放送」
「てか_____」
「俺が?」
「ちょっと待って。そういえばこの先生は一体どなた?どうしてここにいるの?」
「キヴォトスではないところから来た方のようですが………先生だったのですね」
「お菓子とお茶の銘柄も、見たことないようなものでしたからね」
「先生って何?」
若干羅衣が置いてけぼりだ
「はい。こちらの羅衣先生は、これからキヴォトスの先生として働くかたであり、連邦生徒会長が特別に指名した人物です」
「あの……先生って……」
「行方不明になった連邦生徒会長が指名………?ますますこんがらがってきたじゃないの………」
「……まぁいいや。ども!先生?の鏑林羅衣です!」
俺は知っている。
とりあえず挨拶が元気なら好印象だと。
「こ、こんにちは、先生。私はミレニアムサイエンススクールの………」
「い、いや、挨拶なんて今はどうでもよくて………!」
紫がかった青い髪の少女が言う
「あ……名前……」
「そのうるさい方は気にしなくていいです。続けますと……」
「うるさいって言っちゃったよ。オブラートに包むどころか湯煎すらしなかったぞこの人」
「誰がうるさいって!?わ、私は早瀬ユウカ!覚えておいてください!先生!」
「ユウカさんですね!よろしくお願いします!」
軽く挨拶する
「………先生はもともと、連邦生徒会長が立ち上げた、ある部活の担当顧問としてこちらに来ることになりました。」
____連邦捜査部『シャーレ』。
「シャーレ?てか、部活?」
部活……意外と普通なのかも
「単なる部活ではなく、一種の超法的機関。連邦組織のため、キヴォトスに存在するすべての学生たちを、制限なく加入させることすらも可能で、各学園の自治区で、制限なしに戦闘活動を行うことも可能です。」
「なぜこれだけの権限を持つ機関を……連邦生徒会長が作ったかはわかりませんが………」
「???するって〜と?」
ダメだ頭が悪すぎる
「つまり先生はどこでも戦えるってことです。」
「なるほど」
ユウカさんが補足してくれた
「シャーレの部室はここから約30キロ離れた外郭地区にあります。今はほとんど何もない建物ですが、連邦生徒会長の命令で、そこの地下に「とある物」を持ち込んでいます。
「先生をそこにお連れしなければなりません」
「遠いなぁ……」
「ヘリならすぐですよ」
「ヘリ乗れるんすか!?」
わーいやったー
「モモカ、シャーレの部室に直行するヘリが必要なんだけど……」
「ワクテカワクテカ」
七神さんが問いかけた場所にホログラムでモモカと呼ばれた少女が映し出された。
「シャーレの部室?……ああ、外郭地区の?そこ、今大騒ぎだけど?」
「大騒ぎ……?」
「矯正局を脱出した停学中の生徒が騒ぎを起こしたの。そこは今戦場になってるよ」
「戦場て」
「……うん?」
なんかわかんないけどモモカさんとリンさんは話し込んでいる。
なんか巡航戦車とか聞こえた
「まぁでも、もうとっくにめちゃくちゃな場所なんだから、別に大したことな……あっ、先輩、お昼ご飯のデリバリー来たから、また連絡するね!」
ブツリと電話が切れた
「………」
「リンさんのストレスが上がっていることはわかった」
多分結構ガチギレしている。
怒りを堪えるようにプルプル震えている
「……俺しらね」
逃げるんだよォォォォォォ!
「……少々問題が発生しました。」
「でしょうね」
何故かリンさんはさっきの4人をじっと見ていた
「な、何?どうして私たちを見つめてるの?」
「ちょうどここに各学園を代表する、立派で暇そうな方々がいるので、私は心強いです」
もう皮肉じゃなくて直だね
「戦場に行くんすか?」
「一応……」
「危なくないすか?」
「少しくらいの銃激戦なら慣れています」
「行きましょう」
リンさんがカツカツとヒールを鳴らしなが歩いていく
「GOGO!」
「ちょ、ちょっと待って!?ど、どこに行くのよ!?」
みんなもついてくる
________
赴いた場所はまさに戦場。
爆弾が頻りに降ってくる
本当に学園都市か?ここ
俺にはコールオブビューティーにしか見えん
「何じゃこりゃァァァァ!」
普通に銃弾も飛んでくる
「何で私たちが不良と戦わなきゃいけないの!!」
「あれ不良なの!?テロリストの間違いじゃない?!」
「サンクトゥムタワーの制御権を取り戻すためには、あの部室の奪還が必要ですから。」
「あんな奴らと戦わなきゃないの!?」
わけがわからん。
「私も一応生徒会で______「危ない!」
ユウカさんが何かを言おうとした瞬間、
(バババババババッ!)
銃弾が飛んできた。
なぜかは分からないがみんな武装を全くしていない。
あるものといえばそれぞれ持ってる銃くらいだ
「赤鱗躍動!」
俺は呪力を流した血を全身に巡らせ、ユウカさんの前に立つ
「先生!」
ついに俺に銃弾がぶつかり、俺の体には穴が____
開くことはなかった。
何なら銃弾を弾き飛ばした
「は?」
「え?」
___赤鱗躍動
血液を呪力によって自在に操る謂わばドーピング技である。
さらに羅衣は稀代の赤血操術の使い手。
この状態の羅衣は機関銃すら弾き飛ばすだろう
「せ、先生!!」
「大丈夫ですか!?」
「大丈夫大丈夫です。無傷です」
確かに羅衣の体には傷ひとつないが、なぜか顔に変な痣が浮かび上がっている
「先生……それって」
「皆さん、とりあえず伏せて下さい」
ハスミが全員を遮蔽物に誘導する
「先生に銃弾が向かないように気をつける必要がなくなったのは大きなアドバンテージです。」
「それをどう利用するか……」
「本当にどうなってるんですか……」
これにはチナツも困り顔だ
「でも、先生は危ないので戦場に出ないでください」
「何でですか?」
「危ないので」
「ぐうの音も出ない」
それから結構交渉して、どうにか無理をしない程度になら許可してもらった。
「んじゃ!行きますか!」
みんなも俺の指示に従ってくれるみたいだ。
「術式展開」
____赤血操術
長い!長ったらしい!