赤と青が交わる場所   作:カブライニキ

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ホシノは幸せにしてなんぼだろふざけるな(憤怒)


第十四話 壁

 

「あれ、先生?思ったより早かったですね⭐︎」

 

「女性との待ち合わせは10分前行動基本って叩き込まれましたからね」

 

「まぁ、私もなんだかんだじっとしていられなくて......」

「大将は大丈夫でしたか?」

 

 

「体の方は大丈夫だと思います」

 

 

心の傷は、どうやっても治せないからな

 

 

「......そうでしたか、それはよかったです⭐︎」

「この目で無事を確認したい気持ちもありましたが、大勢で押しかけるわけにも行きませんからね。」

 

「賢明な判断です」

 

 

何かのために、自分を抑えるのはとても凄いことだと思う。

 

 

「落ち着いたら、シロコちゃんとホシノ先輩と一緒に伺うことにしましょう。」

 

「......きっと大将も喜びますよ」

 

 

俺たちの間に、少し冷たい風が通り抜ける

 

 

「......ですが、「体の方()と言うことは......」

 

 

「.........心中お察しします、とはいえませんでしたね」

 

 

「セリカちゃんとアヤネちゃんと一緒だったはずなのに、戻ってきたのが先生だけでしたので......何か、理由があるのかな、と思ったのですが......どうやら、悪い予感が当たってしまったみたいですね......」

 

 

きっとノノミさん自身も心中穏やかではないだろう。

 

自分たちの思い出の場所を破壊されただけではなく、大将も怪我を負った。

 

そこに負い目を感じている自分がいてもおかしくはない

 

「......気になりますが、今はその時ではありませんね。また後ほど、みんなで集まった時にでも教えていただけると嬉しいです。」

 

 

「......助かります」

 

「いえいえ」

 

 

ノノミさんの察しの良さと要領の良さには頭が上がらないな

 

 

「......最近寒くなってきましたね」

 

「そうですね......思えば、先生がいらっしゃった時から、急激に色々なことが変わって、季節の変わり目を感じられなくなってるのかもしれません」

 

 

「実際、劇的な変化の時間でしたよね......」

 

「そうですね、たくさんのいいことが、嬉しいことがありました。初めて顧問の先生ができて、ヘルメット団も追い払うことができて......」

 

 

「風紀委員会の時は大変でしたねぇ......」

 

「補給も確保できて、色々な問題を乗り越えることができました。なのに......」

 

 

「また新しい壁が、俺たちの前に立ち塞がっていきますよね......」

 

 

俺も最近は色々考えては見ているが、全くと言っていいほど解決策が見えてこない

 

......前途は多難ってやつかな

 

 

 

「ヘルメット団、便利屋、風紀委員会......それに、カイザーコーポレーション......」

 

 

「次は何が来るんすかね......もう俺怪獣が来ても驚かないっすよ」

 

 

実際最近はアヤネさんも激務で机で寝ている時間が増えている気がする......

 

 

「すみません、暗いお話をしてしまいました。それでも、私たちはアビドスのために進むしかありませんし......先生も、一緒にいてくださいますよね?」

 

 

ノノミさんが心配そうな顔でこちらを見る。

 

 

「そりゃもちろん!どんな障壁も、俺がぶった斬ってやります!」

 

 

表情がパァっと明るくなったのがわかる

 

 

「ありがとうございます!先生にそうおっしゃっていただけると、心強いです」

 

 

 

俺とノノミさんが話していると、自転車の走る音が聞こえてきた

 

 

「お。きたかな」

 

「時間ぴったりですね」

 

 

蒼いロードバイクから、シロコさんが降りてくる

 

「ノノミ、先生。まった?」

 

 

「今きたとこです」

 

「同じくです⭐︎」

 

 

「てか、ホシノさんていつ頃来るんですかね」

 

「ホシノ先輩なら、また学校のどこかでお昼寝の最中かと......」

 

 

ホシノさんも、日課のパトロールの範囲を増やしているのか、毎日眠そうに瞼を擦っているのが印象に残っている。

 

 

日常生活は大丈夫だろうか

 

 

「......そっか」

 

 

「どうかしました?」

 

 

シロコさんがなぜか残念そうな顔を浮かべる

 

 

「ん、なんでもない。......先生、大将の容体は?」

 

 

「体は五体満足。でも、ちょっちストレスたまってるかなって。」

 

 

大将は優しく俺たちを迎えてくれたが、その胸中は複雑だろう。

 

何年も連れ添った店が、一瞬にして壊されてしまったのだから。

 

準備していたとはいえ、嫌なもんは嫌だろう。

 

 

「......そっか。うん、わかった」

 

 

「......すんません。俺がもうちょい警戒しとけばこんなことにはならんかったんですけど......」

 

 

「先生が謝ることじゃない。先生は大将を守ってくれた。逆に私たちが感謝するべき」

 

「そうですよ先生。なんでも自分のせいと思うのは、少し傲慢だと思います」

 

 

「......そうですよね、ありがとうございます。なんかちょっと気分が晴れたような気がします」

 

 

俺は背筋を伸ばし、少し伸びをする。

 

「切り替えていきますか!」

 

 

 

「......じゃあ、私は先に入ってるね」

 

 

シロコさんはそういうと、足早に後者の中に入っていった。

 

 

「......?シロコちゃん、なんだかちょっと.......」

 

「......なんか変」

 

 

「やはり先生もそう思います?」

 

 

「はい。なんか、焦ってる?感じがして......」

 

 

「そうですね......気のせいだといいのですが......」

 

 

「......考えてても仕方ないんで、とりあえず、中に入りますか」

 

 

「は、はい!」

 

 

 

 

 

 

__________

 

 

 

(ドンっ!)

 

(バタン!)

 

 

 

「いたた......痛いじゃーん、どしたのシロコちゃん」

 

 

「......いつまでしらを切るつもり?」

 

 

 

「シロコさん!」

 

「!!?」

 

俺たちがシロコさんを追って校舎内に入ると、シロコさんがホシノさんを殴っていた。

 

嫌な予感がしたので、ノノミさんは下がらせているが、

 

 

 

「せ、先生、今の音は......?」

 

 

「今は入んないでください。」

 

 

俺はそう言って教室の扉を閉める。

 

仮にただの喧嘩だとしても、見せ物ではない

 

 

「うへ〜、何のことを言ってるのか、おじさんにはよくわからないな〜......?」

 

 

「......嘘つかないで」

 

 

とりあえず、2人の好きなようにさせる

 

 

「嘘じゃないって〜......ん?」

 

 

ホシノさんが俺に気づく。

 

「一応聞きますけど、どうかしました?』

 

 

「ん、その......」

 

 

「できる範囲でいいので、何があったか教えて欲しいです。」

 

 

「......ホシノ先輩に、用があるの。」

 

「さすがに殴り合いは許可できませんよ先生は」

 

 

「......」

 

 

「ホシノさんも、さっきから黙ってないで、教えてくれてもいいですよ?」

 

 

「......悪いけど、2人きりにして」

 

 

「それは無理な相談です。」

 

「.......」

 

 

「俺たち対策委員会に、「2人だけの秘密❤︎」みたいなものは先生許しません。」

 

 

「......秘密にしたいことくらいある。」

 

「ええ〜。そんなぁ、俺とは遊びだったんですかそうですか」

 

 

押してダメなら引いてみろ。根性テクニックでどうにか押し戻す

 

 

「......でも、」

 

「でも、じゃないです。先生悪い子にはお仕置きしますよ」

 

 

「う、うーん」

 

ここでようやくシロコさんは険悪な表情をやめてくれた。

 

 

「そうそう。シロコさんは美人さんなんですから、表情に皺を作ってたら、もったいないです。」

 

 

「......急にそう言うこと言わないで」

 

「......ごめんなさい」

 

 

流石に距離感をミスった

 

 

「......えっとねぇ」

 

「実は、おじさんがこっそりお昼寝してたのがバレちゃったんだよね〜」

「私の怠け癖なんて、今に始まったことじゃないとは思うけど、おじさんもここ最近ちょ〜っと寝すぎだったかも。まぁ、それで少しばかり叱られちゃったのさ〜」

 

 

 

「......俺は特に何も言いませんよ」

 

 

さっきのが叱りだったら、本気の喧嘩とかどうなるんだよ......

 

 

「あ、う、うん」

 

 

「にしたって、そんなに怒らなくてもいいのに〜。シロコちゃんは真面目だなぁ」

 

 

「ほらほら、外にノノミさん待たせてますから、いきましょ〜」

 

 

「うへぇ、もうちょい寝かせてよ〜」

 

「......」

 

 

俺は2人の背中を押して、移動させる。

 

 

言いたくないことは、じっくり聞いたほうがいい。

 

 

俺も、無理矢理は辛いからな。

 

 

 

「......」

 

「ほら、シロコさんもいきますよ」

 

 

俺はシロコさんの手を掴む。

 

「ん......」

 

 

 

ま、大したことなけりゃいいけどさ。

 

 

 

____________

 

 

「うへ〜......」

 

 

「......」

 

 

 

「......」

 

 

 

き、気まずぅ......

 

やっぱ無理矢理に喧嘩を止めるのは得策じゃなかったか

 

 

 

「先輩たち、大変!!これ見て!」

 

 

おお!救世主よ!この鬱蒼とした部屋の空気を祓いたまえ

 

 

「アビドス自治区の関係書類を持ってきました!これを......」

 

 

「......?」

 

「あれ.......?」

 

 

セリカさんたちにも、この空気に気づかれたようだ

 

「......」

 

 

「......な、なに、この雰囲気?」

 

「なにがあったんですか......?」

 

 

 

「かくかくしかじかで......てか、おかえりです」

 

 

「......うん、ただいま?い、いやそれよりもっ!」

 

セリカさんは持っていた書類を机に出す

 

「とんでもないことがわかったの!」

 

「はい!衝撃の事実です......!皆さん、まずはこれを見てください!」

 

 

アヤネさんが、セリカさんの出した書類の一部をみんなに見せる

 

 

「ん〜、これって......地図?」

 

「直近までの取引が記録されている、アビドス自治区の土地の台帳......「地籍図」と呼ばれるものです」

 

「俺も見たことあります。土地の所有者を確認できる書類のことですよね」

 

 

 

「でも、今更確認なんかしなくても、アビドスの土地は当然アビドス高校の所有物で____」

 

 

ちょっと待て、なんか引っかかったぞ

 

 

「私もさっきまでそう思ってた!でもそうじゃなかったの!」

 

「午前中にお見舞いに行った時に、大将から話を聞いたんです」

 

 

「柴関ラーメンが入っている建物はもちろんのこと、このアビドス自治区のほとんどが......」

 

 

 

 

 

 

「無くなってた、そうですよね」

 

 

 

「......っ......はい、その通りです......」

 

 

「えっ......!?」

 

「.....どう言うこと?アビドス自治区がアビドスの所有じゃないって、そんなわけ......」

 

 

ホシノさんは書類をもう一度よく確認する。

 

 

「....これって......」

 

 

「俺も目を疑いましたね、まさかこんなとこまで拡大してるとは」

 

「......アビドス自治区、現時点での所有者は.......」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カイザーコンストラクション

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺は静かにそう言い放った。

 

 

 

「......!!」

 

 

「そんな......!?」

 

 

「っ......!?」

 

 

「やっぱりか」

 

 

 

 

......どうやら、準備を進めてた甲斐があったみたいだ




羅衣くん小話  『頭が高い』


「お前、調子乗っとるやろ」

「はぁ?」

俺は少し予定があって、禪院家に足を運んでいた。

そこで、金髪のなんか柄の悪いやつが話しかけてきた。

「質問の意味がわかりません。」

「はぁ…..お前、ここどこかわかっとるんか?」

「……俺の妹がいらないっつってんのにお見合いの会場を儲けてくださったクソの禪院家様です」


「それやそれ!まずその舐め腐った態度をやめや。お前も兄なら、妹の門出を素直に喜べや、カスが。」


「……悪いですが、妹もお見合いを断っておりますので_______



ドゴン!



「おい、口を慎めやドブ。」


「……随分足がお早いようで」


俺の顔のすぐ横を掠めた拳が壁に深々と突き刺さっている。


「お前みたいな凡人、俺はすぐに捻り潰すくらい余裕なことを忘れたか?」

「……」


俺は領域展開の証印を組もうと________



「『赫』」



ギュァァァァ!!




突如、屋敷の廊下に赤い閃光が奔る



「わ、わぁ……」


「………お兄ちゃんに触るな。痴れ者が」


いつもの愛嬌のある英梨の顔は、心底嫌なものを見たときのように、眉間に皺がよっていた。


「英梨さ〜ん。こいつ死んでまったんじゃ……」


「手加減したから大丈夫。ほら!早く帰ろ?」


英梨は俺の手を引く。


「……ハァイ」


将来この子の旦那になる人は大変だな……


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