赤と青が交わる場所   作:カブライニキ

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いよいよアビドスもクライマックスとなりました。

見切り発車で始めた俺の文章を読んでいただいて、少しでも面白いと感じていただければ幸いです。




第二十二話 デブ、再び

 

 

「やっぱり数が多いですね……」

 

「うん。これはノノミ先輩の掃射でも難しそう。」

 

「ですが、あそこまで先生を守りきれれば私たちの勝利です。」

 

「問題はこいつらをどうするかよね......」

 

 

俺たちは敵勢力の多さを再び確認した。

前に砂漠で戦った時よりも数倍。いや、数百倍多い。

 

小さいロボットから人型の大きいロボットまでウジャウジャといるため、集合体恐怖症の方には見せられない地獄絵図が出来上がっている。

 

「......前みたいに私たちで惹きつけてノノミ先輩と先生に倒してもらおう。」

 

「い、いやよ!あのバカみたいなことをまたやれってことでしょ!?」

 

「流石に俺も結構怖かったですよあれ」

 

後ろから追いかけられるあの感覚はかなり苦手な部類だ。

できることなら二度と経験したくはない。

 

 

「......しょ、正面突破ァァァァ!」

 

「ん、逆にもうそれしかない」

 

「賛成です⭐︎刻一刻と時間は迫ってるわけですから」

 

 

俺はミレニアム製のビートクローザ片手に砂丘の斜面に足をかける。

 

 

「私はみんなを後方支援で助けるから!」

 

「わ、私もドローンで援護を......」

 

 

この人たちはもう絶対前に出ない意地を見せている。

セリカさん、足ガクブルですよ。

 

 

「ま、元からセリカさんにはこれをお願いする予定だったんですけどね」

 

 

俺は陰から大型のスナイパーライフルを取り出す。

 

「わわ......重っ!」

 

 

「総重量57キログラムの大型対物ライフル。名付けて『対物くんマーク12』」

 

 

「ダサっ!思った五倍ダサい!」

 

「ダサいとはなんですかダサいとは!これでもミレニアムの生徒会長が名付けたんですよ?!」

 

「あはは......私たちとは感覚が違うのかも知れませんね......」

 

前にミレニアムに行った時に会社員みたいな生徒会長さんと仲良くなった時に名付けてもらった。

 

あの人はロボットとかの名前にも『くん』をつけるらしい。側近のメイドさんが言ってた。

 

 

「セリカさんの正確無比の射撃精度なら、こいつを十二分に活躍させてくれると思いましてね。」

 

 

「......上等よ!!任せなさい!!」

 

羅衣に頼られたことが嬉しかったのか、頬を少し朱に染めるセリカ。

 

「よし......ではこれよりホシノさん奪還作戦を開始する!カブラ、行きまーーーーす!!

 

 

 

ウラーーーー!と叫びながら砂丘を駆け降りる羅衣。

 

 

「ん、私たちも行こう」「はい⭐︎全弾発射〜⭐︎」

 

2人も銃を撃ちながら斜面を滑走する。

 

 

「覚悟しろガラクタどもめ!!」

 

俺はビートクローザーの柄の部分に取り付けられた特徴的な肢を勢いよく引く。

 

 

<HIPPRE!!>

 

 

音震増幅装置<グリップエンドスーター>。

最大3回までの振動を刀身に装填可能。

 

 

引かれた柄が刀身に振動を装填すると________

 

 

 

 

 

剣から音楽が流れ始めた。

 

 

しかも軽快な。

 

 

 

「なんで音楽!?」

 

 

「歌は気にするな!」

 

 

セリカさんのツッコみを軽くいなし、柄のトリガーを引く。

 

 

<SMASH HIT!!>

 

 

 

再度剣から音声が流れ、刀身が蒼色の炎で包まれる。

 

 

 

 

「今の俺はァ!」

 

 

羅衣は滾る怒りと共に、呪力を解放しながら剣を振り抜く。

 

 

 

「負ける気がしねぇェェェェェェ!!!」

 

 

勢いよく振り抜かれたクローザーの炎が正面のオートマタ達を燃やし、切り裂いた。

 

 

『うわっ!こっちまで熱い!』

 

『すごい。砂漠の砂がガラスに変わってる。』

 

『そ、それ私たちが正面にいる時やらないでくださいね!?』

 

『汗かいちゃいました......』

 

通信からみんなの泣き言が聞こえるが、今回は我慢してもらおう。

 

『大丈夫です大丈夫です。次は熱くないんで。』

 

 

<HIPP HIPPARE!!>

 

 

俺は再度グリップエンドスーターを2回引く。

 

 

『ん、私は逃げとく。』

 

『私も断熱シート持ってきてよかったわ......』

 

 

「うっしゃ!第二射ァ!」

 

 

今度は高速でオートマタ達の中心に移動し、片足を軸に回転を体にかけながらトリガーを引く。

 

 

<MILLION HIT!!>

 

 

さっきまでの音楽より少しダウンテンポの待機音が流れ、刀身内部に搭載されたイコライザーを模した<ビートアップメーター>が最大まで上昇する。

 

こっちの斬撃は熱ではなく、直接の振動。

 

 

「回転っ斬りぃぃぃ!」

 

 

ビートアップメーターの“レッドゾーン“から振動値の図を模したエネルギー状の刃が、羅衣の回転に合わせて範囲攻撃を生み出す。

 

 

「気分爽快!」

 

 

オートマタ達は、斬られたと言うより振動により距離が離れている者も粉砕されていた。

 

それでも制圧には至らない。

 

 

「さて......どうしたもんかな......」

 

 

領域展開はできれば建物に侵入後に使いたい。

自身の手のうちを晒し、それに対応されるが1番まずい。

 

 

こうしてる間にも、続々と機械の兵士たちは増えていく。

 

 

『......っ!』

 

『大きいのは処理してるけどそれでも追いつかない!』

 

『そろそろドローンのミサイルも尽きそう』

 

 

仕方ない。

 

領域の手を知られるより、俺は生徒が怪我するほうが嫌だ。

 

 

領域展_____

 

 

 

『皆さん伏せてください!!!』

 

 

 

 

(ドゴォォォォォォォォン!!)

 

 

 

聞き慣れない少女の声がヘッドセットから響き、オートマタたちにミサイルの雨が降り注いだ。

 

 

 

「......あっぶねェェェ!」

 

 

ミサイルが着弾する刹那、俺は領域展開の証印を簡易領域に流用し、シロコさんとノノミさんを抱えて簡易領域を展開。

 

なんとか爆風に巻き込まれるのを防いだ。

 

 

『な、なに!!?何があったの!?』

 

『あれは......』

 

 

「支援射撃?」

 

「今のが支援!?」

 

「たまたま私たちが前に出過ぎてましたからね......」

 

 

何てこったトドメを指すやつかとおもったら支援射撃だった。

誠に信じ難いですね(政治家並感)

 

 

『......L118、トリニティの牽引式榴弾砲です!一体どうして......』

 

 

「トリニティの?」

 

 

なんでわざわざこんなとこに?

 

てかさっきの声って______

 

 

 

『あ、あぅ......わ、私です......』

 

 

通信デバイスに表示されたのは、いつの日か見た紙袋を被った、

 

「ヒフミさ『ち、違います!私はヒフミではなく、ファウストです!!』......名前いっちゃってるじゃん......」

 

 

「わぁ、ファウストさん!お久しぶりです!」

 

「ん、久しぶり、ヒフミ」

 

 

『だ、だから......うぅ......』

 

ヒフミさんはあれで正体を隠しているつもりだが、デバイスから見えている特徴的なペロロ様バッグが目立ちに目立ちまくっている。

 

これでは正体が見破られても仕方ないね。

 

 

『そ、その、このL118は、トリニティの牽引式榴弾砲ですが......』

『と、トリニティ総合学園とは一切関係ありません!射撃を担当している皆さんにも、そう伝えておきましたので......』

 

なんとヒフミさんは学園の壁を乗り越えてこちらに助太刀してくれたのだ。

ごめんよ、とどめとかいっちゃって

 

 

『す、すみません、このくらいしかお役に立てず......』

 

 

「ううん、すごく助かった」

 

「はい!ありがとうございます、ファウストちゃん!」

 

「マジで大助かりです」

 

 

『あはは......えっと、皆さん、が、ばんがってください!』

 

 

そこで通信は切れた。

 

 

さっきのヒフミさん.......いや、ファウストの絨毯爆撃によってオートマタの数はもはや一握りといった程度に収まっていた。

 

 

「火力支援の直後に突撃、定石通りだね。」

 

『はい!今のうちに突撃しましょう!』

 

 

戦いは最早掃討戦に移行し、残りはみんなに任せて先に________

 

 

 

『鏑林羅衣ィィィィィィィィィ!!!』

 

 

空からクソでかいロボットが降ってきた。

 

 

「あー!もう次から次に!!」

 

 

『貴様のッ!貴様のせいで私の長年の計画はッ!全てオシャカだ!!私のポストまで奪いおってェェェェェ!!許さん!絶対に許さん!!!』

 

 

ロボットに搭乗していたのはもちろん元カイザーPMC理事長であった。

 

今は高いスーツではなく、安っぽいワイシャツに防弾コートを着ているが。

 

 

「先生!あいつは私たちに任せて先に行って!!」

 

 

「うん。ホシノ先輩を助けてあげて。」

 

「私たちは大丈夫です!行ってください!」

 

 

「大丈夫!?なんかフラグ立ってない!?」

 

『言ってる場合ですか!』

 

 

確かに今の最優先事項はホシノさんだ。こんなデブに時間を取られている余裕はない。

 

 

「っ......!怪我しないでくださいね!あんなデブに遅れを取ったら先生許しませんから!」

 

 

みんなの声援を背に、俺はロボの股下を駆ける。

 

 

『逃すわけないだろう!!』

 

 

元理事のロボットが足元に手を伸ばす、が

 

 

(ガイン!!)

 

 

ロボットの側面に大きな衝撃が走り、転倒まではいかないが、ロボットが大きく体制を崩した。

 

 

『対物ライフルかッ!!』

 

 

『当たりよ!!』

 

 

セリカさんは対物くんのコッキングレバーを引き、再度射撃準備に入る。

 

 

元理事もただやられるだけではない。セリカさんに向けて主砲のチャージを開始する。

 

 

『開発に何十億もかけたデカグラマトン専用の装備を使ってもらえることを感謝しながら死ねッ!!』

 

 

「させるかァァ!」

 

 

俺は股下から直上に向けてドロップキックをかまし、主砲をズレさせる。

 

 

だが足りない。

 

 

“大人のカードを使う“

 

 

「『位相』 『波羅蜜』 『光の柱』」

 

 

浮いた主砲めがけて跳躍し、ちょうど元理事と目線が合う。

 

 

 

「俺の生徒に手を出したツケを払え」

 

「シャーレェェェェェェェェェ!!!!!!」

 

 

 

術式反転 『赫』

 

 

 

打ち出された無限の反発が、見事ゴリアテの主砲を撃ち砕いた。

 

 

 

「あとは任せます!」

 

 

「ん!」

 

『ええ!任せて!』

 

 

制限時間ギリギリで、俺は施設の扉に予めアロナがコードを入力してくれたカードをスキャンし、扉を開けた。

 

 

「いくぞアロナ!!」

 

『はい!先生!』

 

 

俺が施設に入ると、扉は勢いよく閉じた。

 

まるで、元から俺を待っていたかのように。

 

 

 

 

__________

 

 

 

『......奴を殺すために改良に改良を重ねたゴリアテだが......まぁいい......』

 

 

仕留め切れない相手に固執する理事ではない。

 

『奴が帰ってきた時......貴様らがボロ雑巾のようになっていたらどんな顔をするか......今から楽しみだ......』

 

 

『よかったではないか。自分たちの本校で死ねるのだから。安心しろ、奴が帰るまでは殺さん。』

 

 

完全な勝利を確信した元理事は、薄笑いを浮かべる。

 

 

 

だが、

 

 

 

(ズガガガガガガガガガガガ!!!!)

 

 

 

ノノミのマガジンを全て使い切った掃射、セリカのフルオート対物くんの連続射撃、シロコの容赦ないミサイルの追撃。

それに加えてアヤネの呼び出した無数の無人ヘリから放たれるさまざまな武装攻撃。

 

 

あはれ元理事。

灰になってしまうとは情けない。

 

 

「......私たちもずっと我慢してた。」

 

「先生だけが強いと思ったら、大間違いですよ⭐︎」

 

「これ本当にすごい威力......フルオートで撃てるとは思わなかったけど、あいつをぶっ飛ばせてスッキリしたわ!」

 

「私のヘリも温存しておいてよかったです」

 

 

 

さっきのものすごい集中攻撃を行なっていた本人たちとは思えないほど和んでいる空間は少し異常だったという。

 

 

 

 

 

 

 

ちなみにさっきの攻撃をギリギリまで温存しておいた理由は、やりすぎて怖いと思われたくないからと、帰ってきて無事だったら先生に格好がつけられるから。だそうです。





スッキリキリキリキリッキリで元理事は粉砕できました。


だがまだころさん。

地獄を楽しめよ!!
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