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第一話 アビドス高校へようこそ!
「ドーはドラゴンクローズチャージのど〜」
『レーはレモンのレー』
「み〜はミシシッピアカウミガメのみ〜
『……先生、この歌そろそろやめません?』
「そうだなやめよう頭おかしくなる」
今日はデスクに積まれた各所の書類を色々見ている
「エデン条約?却下で」
『ええ!?なんでですか!?』
「まだ深刻そうじゃない。政権問題はもうちょい後でいい」
無駄に長い書類は全無視
「アビドス廃校対策委員会?」
俺はそのうちの一つの中にひっそりとあった手紙を見つけた。
封を開け、中を見てみる
要約すると助けてほしいとのことだ。
「アロナ、ここはどう言う学校?」
『アビドス地区ですね、今は廃校化が進んでいて、優先度は低いかもしれませんね……』
「決めた、ここ行くぞ」
俺はシッテムの箱と『カード』と色々な補給物資を鞄やらに詰めて、シャーレを発つ
もちろん茶菓子も忘れずにな
『先生!そんな大荷物、1人じゃ……」
術式解放
赤鱗躍動
俺は軽く術式を解放すると、外見だけでも40キロはありそうな鞄を易々と持ち上げる
『……』
「行ってきまーす」
______________
「……おかしい。」
『いえ、何にもおかしくないです。』
「さっきからめちゃ歩いてるのに砂漠しかないぞ」
結論から言おう。
迷った⭐︎
「しゃーない。」
『先生が地図も持ってこないのが悪いです!』
「スーパーOSなら地図の一つでも出してみなさいよ」
『あ』
「え?」
どうやらアロナは地図を出すのを忘れていたようだ。
「その二つ名返上しろよ」
『しょ、しょうがないじゃないですか〜!』
「まぁでもこれでアビドスには向かえるな!」
『そ、そうです!ポジティブに考えましょう!』
「それとこれは話が別」
俺はアロナ(シッテムの箱)を掴む
『へ?先生なに……ヴあ“あ”あ“あ”あ“!!』
「そこで反省しなさい」
俺は箱をワイシャツの中に滑り込ませる
「あーひんやりしてる〜」
『先“生“!!』
「バイブレーション機能をきれ!」
結構騒がしくしていたからだろうか。
「ん、遭難者?」
なんか人きちゃった
「すげぇ……ケモ耳だ……」
ロードバイクに乗った狼耳の少女が俺に話しかけてきた。
「ん?」
「なんでもないです。アビドス高校って知ってますか?」
「あ、お客さんか。じゃあついてきて」
「ん?は〜い」
俺はロードバイクで疾走していく少女を追いかける。
「速いな」
こっちは歩行者ぞ
_______
「おはよう」
「お邪魔しまーす」
「おはようございます!シロコせんぱ……そちらの方は……」
俺はシロコさんに連れられてアビドスの校舎に来ていた。
「ん、シャーレの先生」
「シャーレの……あっ!あの手紙…!」
メガネをかけた少女がようやく気づいたようだ。
「手紙読んできました。補給品もここに」
俺は荷物を下ろし、中に入っている物を見せる
「ありがとうございます!これなら……」
嬉しそうな少女を横目に机を見ると、「大事に使おう!」と書いてある箱の中に、数発の弾丸が入っていた。
切羽詰まった状況が伺えた
「大変だったなぁ…」
俺はうるっときちゃうよ
「おはようございま〜す……あれ?」
「あ、ノノミ先輩おはようございます!」
やばいぞ!俺は名前を同時に覚えられるのは4人までなんだ!
情報量でパンクする
「アヤネー倉庫の掃除終わって……ん?お客さん?」
また増えた!
「この方は連邦生徒会のシャーレから来てくださった先生です」
「ども、鏑林羅衣です。趣味はタブレットに対して話しかけることです」
「へ、変な人……」
黒髪のケモミミの子に変な人認定された。
いと悲し
「初めまして先生⭐︎私はアビドス高校2年の十六夜ノノミと言います〜気軽にノノミと呼んでください!」
やめてくれ、その体で接近されるとまずい。
その技は俺に効く
「申し遅れました。私も同じく一年の奥空アヤネと言います」
可愛い(確信)
なんて清楚感あふれる子なんだ
「私は砂狼シロコ。最初に会ったのが私。……別にマウント取ってるわけじゃないけど」
覚えやすくていい名前だな……アビドススナオオカミと覚えよう
「……黒見セリカよ。」
なーんか警戒心が強いなぁ……
「……あれ?これだけ?」
学校にしては人数が少な過ぎる
「……アビドス高校の生徒は、私達ともう1人の先輩だけです。」
アヤネさんが寂しそうに言う
「………」
なんか神妙な空気が流れる
き、きつい……
「そ、そういえばお菓子!俺美味しいわらび餅持ってきたんです!」
ちょいと雑だがお茶の雰囲気にしてお茶を濁そう
「わらび餅?」
「しらいないすか?きな粉たっぷりの柔らか〜いおもちに黒蜜たっぷりかけていただくお菓子です。」
「甘そう」
「私も初めて食べますね⭐︎」
うんうん。やっぱりほんわかしてる方が好きだな俺
「……….」
なぜか黒見さんが全然動かない
「食べません?」
「……いい」
そう言って黒見さんは椅子に座る
「外の大人が持ってきた怪しいものなんて食べたくない」
「そんなぁ…」
普通に受け取り拒否されてしまった。これは悲しい
「そう言わずにセリカも食べる」
シロコさんがそう言って爪楊枝に刺さった餅を黒見さんに近づける
「いらないって!」
バシッ!と振り払われたてが餅に当たり、転げる
「あ……」
「………」
最悪だ。
出会いがこんなになってしまった。
ファーストコンタクト:失敗!
「……二千五百円」
「ヒッ!」
ゆらゆらと羅衣が揺れ始める
「俺の現在の財布の内部の4分の一が消し飛びます」
ただただ淡々と話し始める
「せ、先生?」
「……」
俺、なんか悪いことしたっけ。
突然だが説明しよう!
羅衣は戦闘時は驚くほどのメンタルの強さを発揮するが、日常生活で微量でもストレスを感じると途端に萎えるぞ!
説明終わり!
「にせん、ごひゃく、えん」
「あ、あの、先生……わざとじゃなくて……」
「ど〜したの。雰囲気悪いよ〜」
すると教室にピンク髪の身長の低い生徒が入ってきた。
「あれ?そこの人は?」
「えっと……これには色々事情がありまして……」
「ん。かくかくしかじか」
「なるほどね〜」
アヤネが色々説明しようとすると____
(ババババババッ!)
『ヒャッハー!校舎は頂くぞ!』
外から銃声が聞こえ、なんか世紀末チックな声が聞こえる
「おっと。まーたヘルメット団かな?」
みんなは戦闘準備をし始める
「先生は校舎に隠れてて。」
「……許さん……」
「ん?」
「みんなとの初会合を……汚しおって……ヤロウオブクラッシャー‼︎」
「せ、先生何を!?」
「ぬ“あ“ーーーーーーーーーー!!!」
「えぇぇぇえぇぇぇえ!?」
突然羅衣が叫んだと思ったら窓を開け、校舎の2階から跳んだ
「お前らのせいだァァァァァァァ!」
術式解放
赤鱗躍動・<機動>
「覚悟しろ」
特に理由のない怒りがヘルメット団を襲う!
「先生が!」
「早く降りて!」
「なんだぁ?」
「こいつ知ってんぞ!シャーレとかいう部活の先生だ!」
「シャーレ…じゃあ連邦生徒会からたんまり身代金がいただけそうだな!」
哀れヘルメット団。
百斂
「あ?」
「苅祓」
「え?う、うわぁぁぁぁぁ!?」
「痛い!痛いって!」
一応威力は最低まで落としているが、普通にカッターで指切ったくらいの痛みはある
「お前らのせいだ……」
「な、なんもしてないだろ!」
「いや…しようとはしてたけど……」
「ちょっと黙ってろ!」
「術式順転」
「せ、せんせ____」
「穿血」
「うぎゃああああああああああああああ!!!!」
「リ、リーダーがやられた……て、撤退ぃぃぃぃぃ!」
「うわァァァ!」
「ママー!」
「逃げるんだよぉォォォ!」
リーダ格のやつを倒したと思ったら残りの奴らは逃げていった
「にがさん」
「先生ストーップ!」
「ちょ、ちょっと落ち着きましょう!?ね?」
「うガー!」
「ん、当て身」
「ぶへ」
シロコに当て身をされ、羅衣の意識は無くなった
「……今のうちに運ぼっか」
_______
「はっ!ここはどこだ!?俺は羅衣!」
「あ、先生起きた」
「先生おはようございます〜」
起きたら十六夜さんとシロコさんがいた。
「あ!あいつら!」
「ヘルメット団は逃げたよ〜」
取り逃したヘルメット団を追いかけようと、羅衣が席を立とうとすると、ピンクの髪の子が入ってきた
「さっきは挨拶遅れちゃったね先生。おじさんは小鳥遊ホシノ。一応アビドス生徒会の役員だよ〜」
「こっちのおじさんは鏑林羅衣です。」
((この人……))
((強い))
2人とも、歩き方や些細な所作で相手の格を把握した。
「とりあえず先生のおかげでヘルメット団は撃退できましたね。先生、お疲れ様です」
アヤネさんが労ってくれた。
ええこや
「いきなりですけど火急の事案だったカタカタヘルメット団の件が片付きましたね。これで一息つけそうです」
「そうだね。これでやっと、重要な問題に集中できる」
「うん!先生のおかげだね、これで心置きなく全力で借金返済に取り掛かれるわ!」
さっきの戦闘を見て、黒見さんもちょこっと心を開いてくれたみたいだ。
「ありがとう、先生!この恩は一生忘れないから!」
「ええこや」
俺は黒見さんの頭を軽く撫でる
「ひゃ!な、何すんのよ!」
口ではああ言ってるけどあんまり……いや全く抵抗が見られない
「…てか、借金返済ってなんすか?」
「あ……」
「えと……」
まずい
入ってはいけない領域に入ってしまった感覚だ
「えっと、それは」
「待ってアヤネちゃん!それ以上は!」
奥空さんが何かを言おうとしていたが、黒見さんがそれを遮る
「いいんじゃない、セリカちゃん。隠すようなことじゃあるまいし」
「あの……なんかすんません……」
神妙な雰囲気に耐えられず俺はとりあえず謝る
「先生のせいじゃない」
「うう……」
「先生は私たちを助けてくれた大人なんだし…話してもいいんじゃなない?」
ホシノはセリカにそう言う
対してセリカはあまり乗り気ではないようだ
「ホシノ先輩の言うと言う通りだよ。セリカ、先生は信用してもいいと思う」
「寝起きは茶だな」
まーた話が長くなりそうなので俺は茶を啜る
「先生ー、おじさんもそれもらっていい?」
「どーぞー」
小鳥遊さんが俺の隣に座る
多分だけど、観察と監視
俺が危険因子として扱われてる感じか……
そんな(ようやく気づいた)
「ねぇ、先生のさっきのやつっておじさんに教えてくれない?」
「さっきの奴とは」
「さっきの……血?みたいなのを操ってたやつ」
インク、でもなく血と形容した。
これは黒だな
完璧に圧力をかけにきている
「……赤血操術っていう術式なんです。簡単にいうと体内の血液を操れる技です」
「ふーん……使ってたら貧血になりそうだね」
「そこんとこは自分でカバーしてるんで」
「へぇ……」
やばい。
怖い
この人の圧力まじバカ目隠しと同じレベル
「じゃあ……先生はそれを使って何をできるの?」
「……人助け……とは違うか……」
「?」
「この力はもともと、バケモノ退治に使うものなんです。」
「バケモノ?」
「詳しくは教えれないんですけど、俺、もともとバケモノ退治の専門家だったんですよ」
「本みたいな話だね。」
「事実は小説より奇なり、とも言いますよ?」
「うへ、確かに」
「なんで、今でもスタンスは変えずに、倒すのはバケモンじゃなくて、不良とか悪い大人に限定して使ってます」
言い訳みたいになったけど…大丈夫かこれ
「……うん。先生がいい人そうでよかった」
ぞ
わ
今のは絶対警告だ。
後輩に手を出そうものなら殺すと
目が全く笑っていない
「は、はひ……」
「このお菓子ももらっていいの?」
「ど、どうぞ」
そう言って可愛い顔でわらび餅を食べる顔は可憐だが、全く底が見えない
キヴォトスに来て一ヶ月、俺は死を覚悟しました
「でも、先生には頼っていいと思う」
「でっ、でも、さっき来たばかりの大人でしょ!今まで大人たちが、この学校がどうなるかなんて気に留めたことなんてあった!?」
黒見さんとシロコさんの声が少し大きくなる
「この学校の問題は私たちでどうにかしてきたのに……今更大人が首を突っ込んでくるなんて……」
私は認めない!!
黒見さんは叫んで出ていってしまった
百斂
「流鏑馬」
一応危なそうだから感知を____
(ガァン!)
「わぁ!」
「ホシノ先輩……急にどうしたの?」
「ちょっと間違えてトリガー引いちゃった」
やばい
選択を誤ったかもしれん
「先生」
「は、はひ」
「大丈夫だった?」
「大丈夫です」
「ならよかったよ〜」
こういうことも全部やめとこう
真面目に死ぬ
「私、様子を見てきます」
十六夜さんが黒見さんを追って外に出る
「……」
気まずいなんてレベルじゃない。
この空気だけで虫が死ぬ
「先生」
「ひゃい」
「簡単に説明するとね〜……この学校、借金があるんだー。まぁありふれた話だけどさ」
「借金はありふれてないと思いますけど……」
小鳥遊さんはポツリポツリと話してくれる
「でも問題はその金額で……9億くらいあるんだよね〜」
「9億……」
「あれ?あんまり驚かないんだね」
「まぁ……いろいろとありまして」
9億。
俺が術師やってる時は結構見た数字だ。
なぜかわからんが死んだ?前の口座の金額が満額俺の今の口座に入っていた
「……正確には9億6235万円です」
「アビドス……いえ、私たち「対策委員会」が返済しなくてはならない金額です」
「……なんでそんなことに?」
「それは……まぁ色々ありまして、最終的に残ったのは私たちだけなんです」
イカれてる
この子達がじゃない
普通に学園生活してて9億はどう考えてもおかしい
絶対に裏がいる
「学校が廃校の危機に追いやられたのも、生徒がいなくなったのも、町がゴーストタウンになりつつあるのも、実は全てこの借金のせいです。」
「……面倒ごとは全部新しいのに投げつけて自分らははいさよならですか……胸糞悪りぃ」
ついつい素が出てしまう
落ち着け。
負の感情を呪力に変換しろ
「なんで、借金なんか?」
俺はもう一度説明を求める
「……それは」
奥空さんは話し始める
「数十年前、この学区の郊外にある砂漠で、砂嵐が起きたのです」
「砂嵐か……」
話を聞くと、ここらでは頻繁に砂嵐が起きていたが、その時の砂嵐は特に酷かったらしい
「そのせいで多額の資金を投資するしかなかった、と」
「はい……」
まじか当たった
なんか冴えてるな
「でも、こんな片田舎の学校に、巨額の融資をしてくれる銀行はなかなか見つからなくて……」
「闇金か」
「その通りです……」
「子供の事情の足元見やがって……」
流石に俺も悪態をつく
「最初のうちはすぐに返済出来る算段だったと思います」
「しかし、砂嵐はその後も毎年さらに大きな規模で発生し……学園の努力も虚しく、学区の状況は手がつけられないほどの悪化の一途をたどりました……」
「それでこんなに砂漠地帯が……」
なるほど、それのせいで借金が雪だるま式に膨れ上がった、と
すげぇ今日俺なんか冴えてる
「だから、補給品の類も買えなかったんですね……」
酷い話だ。
かと言って俺はこの子達に金を払ってはいさよならじゃ終われん
どうにかしておきたい
「……セリカが、」
「大丈夫です。わかってますよ」
セリカさんは真っ当だ。
この問題の裏には大きな闇がある。
それも大人の
吐き気を催すほどの邪悪ってやつか
「……この問題に、誰も向き合ってくれなかった。だけど、こんなに話を聞いてくれたのは、先生が初めて」
シロコさんは静かにそう言う
「まぁ、そう言うつまらない話だよ」
……小鳥遊さんは、きっと少し諦めがあるんだと思う
口調は柔らかいけど、俺に期待は全然してない
「で、先生のおかげでヘルメット団っていう厄介な問題が解決したから、これからは借金返済に全力投球できるようになったってわけー」
「お役に立てたなら、何よりで」
「すごく助かった。」
「あの子らにはほとほと手を焼いてたからねー」
小鳥遊さんは続ける
「もし、この委員会の顧問になってくれるとしても、借金のことは気にしなくていいからねー。話を聞いてくれただけでもありがたいし。」
「そうだね。先生は十分力になってくれた。これ以上迷惑はかけられない」
迷惑?
いいや、違うね
「俺は今日から、短期ですけどアビドス廃校対策委員会の特別顧問として就任し、借金の半分以上をを真っ当な手段で返済する____アロナ!送っといて!」
『はい!先生!』
俺にしか聞こえないアロナの声が響く
「せ、先生……それは流石に……」
「戦力くらいにはなりますから!雇ってください無職は嫌ァァァァ!」
奥空さんは俺の演技をよんでくれたのか
「よ、よろしくお願いします!先生!」
にこやかに応えてくれた
「へえ、先生も変わり者だねーこんな面倒ごとに自分から首をツッコっむなんて」
「これくらいしか取り柄がないもんで……」
「ようやく……希望が見えてきたかもしれません……」
「そうだね。先生が協力してくれるならよかった」
「うっしゃ!頑張ります!」
「頼りにしてるからねー」
「ん」
「ありがとうございます!先生!」
これからきっとアビドスで長い時間を過ごすことになるだろう。
だけど、この子達に、少しでも。
________
『たす……..けて……』
『待ってろ「脞ァ黹ェ」!今!俺が助け____』
___________
守れなかった分も、少しでも
幸せでいてほしい
「そういえば先生って何歳?」
「15です」
「うへ!?そろそろ3個下!?」
「随分おわか……私と同い年……」
……そうだったわ。俺まだ15だったわ