ほら!羅衣くんたちもお礼して!
「アザース」
「皆さんありがとうございます。」
だ、そうです
四方八方から弾丸が飛び交う。
それもサプレッサーで遮音された弾丸が。
「右、上」
だがそれも殺気と気配で大体わかる。
「『穿血』」
たまに避けきれない弾丸を穿血で穿つ。
大体はスナイパーライフルの大口径弾の気配が読めない。
相当優秀な狙撃手がいるな
「もらった!!」
「声を出して突っ込むほど愚かなことはないですよ」
羅衣はサキに盾を押し付け、木と盾の間にサンドイッチする。
「バカ!こっちが本命だ!」
後ろに白髪のウサギの人......確か『ミヤコ』だっけ
わざわざ声を出したのはブラフを隠すためか。
「動かないでください」
ミヤコさんは俺の背中にドラム式のマシンガンを突きつける。
狙撃手もこちらを狙っているだろう。
「いいコンビネーションですね」
サキさんを抑えてるせいでこちらは両手を使えない。
そして下手に動けば狙撃される。
「これで詰みですね」
「大口叩いた割には大したことないじゃないか」
「抑えつけられてる状態でそれ言います?」
確かにこれは動けない。
だが、
「それが人並みの耐久ならですけどね」
俺は盾を蹴り、サキさんを木に叩きつける。
肺の空気を吐いてそのまま気絶した。
「ッ!?」
ミヤコさんは俺の背中にマシンガンの弾丸を放つ
「無駄無駄無駄無駄〜」
赤鱗躍動で強化した体に穴が開くわけなかろう
「モエ!爆撃!」
今度は無下限で呼吸を塞ぎ、酸欠で窒息させる。
一応苦しくないようにはしたが、なんとなく申し訳ない。
だがまた爆撃の号令を許してしまった。
(パァン!)
「うお、なんだこれ」
さらに狙撃手が放ったであろうワイヤーでできた拘束弾で足を拘束された。
空からはクラスター式の爆弾が降ってくる。
この人らヤベェな。自分たちが巻き込まれる前提で凸ってきたのか
「『
『大人のカードの制御完了。いつでも撃てます』
「テンキューアロナ。」
アロナが考案した完全迎撃用の簡易領域を展開する。
そして俺も空に向けて右てを翳す。
「『解』」
領域内に侵入した爆弾を次々に切断していく。
流石にここで領域展開を晒すわけにもいかない。
そんな悩みを解決してくれたのがこの領域だ。
「ほんと、アロナには頭が下がるな」
『いえ、先生のお役に立てたのなら嬉しいです』
「さて、そこに隠れてるやつ、出てこい。」
茂みの中に声をかける。
『う“ウン......おやおや、隠れたままでは消しとばしてしまうかも知れませんねぇ』(変声機)
「ヒャッ!」
今度はロングの髪の子が出てきた。
ずいぶん気配が分かりにくいな。
「はい確保〜」
「うう.........」
とりあえずメインの斥候は全員捕まえたかな
「確保確保〜」
あとはオペレーターだけだ。
『タンマタンマ!アタシもこーさん!』
「お前そう言って俺に酷いことするつもりだろ。爪剥がすとかさぁ」
『今ので爆薬全部使い切っちゃったんだよ。てな訳で降参』
多分オペレーターの人も降参し、その後確保。
______________
取り調べ記録1 空井サキ
担当官 尾刃 カンナ
「......名前は」
「.........」
「まぁまぁ、カツ丼でも食いなはれ。故郷で親御さんが泣いてるよ」
......シャーレ担当顧問:鏑林羅衣
「名前を言え!!」
「うわびっくりした......そんな声を荒げなくても......」
「先生は黙っていてください。下手に出るのはこいつらを増長させるだけです。」
「ん〜......そーかな......」
俺はウサギの人たち......Rabbit小隊を確保し、ヴァルキューレの取り調べに参加していた。
同伴しているのはヴァルキューレ公安局長の尾刃カンナさんだ。
前々から一緒にご飯とか食べにいくので数少ない顔見知りでもある。
「ねぇサキちゃん」
「ちゃん付けで呼ぶな!」
「アイスブレイクのつもりだったんですけどねぇ〜」
サキさんは俺の煽りに舌打ちする。
「名前なんてとっくに知れてるだろ。聞く必要あるのか?」
「お仕事なもんで。一応言ってもらえます?」
「......空井サキだ」
おや、意外と素直
「てか所属ってどこなんすか?俺SRTのことよく知らんくて」
「はぁ......それでよく『先生』が務まるな......SRT特殊学園、Rabbit小隊所属......だった。お前みたいな上層が勝手に閉鎖するまではな」
「言うて俺なんもしてないのに......」
てかなんで急に閉鎖なんて......
「いい態度だな。自分の状況を理解しているのか?」
「そうよそうよ!こちらに座す方を誰だと思っている!ヴァルキューレ警察学校の『狂犬』だぞ!二つ名だぞ!」
「お前は一体なんのキャラなんだ......」
「先生はこれ食べて待っていてください」
「カツ丼食っていいんすか?」
「ちょっと食べて静かにしててください」
「はーい」
とりあえずサキさんの目の前で美味そうにカツ丼を食ってやった。
なんでもサキさんは本来優等生のはずで、ヴァルキューレへの編入を拒むような人じゃないらしい。
じゃあ一体何が彼女を駆り立てるのだろうか
「......ヴァルキューレ警察学校と、SRTは違う。」
「?どこらへんが違うんすか」
「SRTでは放課後でも厳格な規則の元で生活することとなる。定時に起床し、寝具を整理し、1日の訓練と座学を行う。放課後だって寮の中で気を緩めずに訓練や整備をすることが求められる。その常在戦場の心構えが、SRTをSRTたらしめる所以。」
「自衛隊かな?」
かなり厳しいし俺は多分無理だ。
灰色の青春なんてもんじゃねぇぞ
「......つまりサキさんは厳しい生活を求める......ドM?」
「全然違う!!人をドM扱いするな変態教師!」
「ドイヒー」
まさかテロリストに変態変態呼ばわりされるとは思わなかった。
「てか公安局とかはそんくらい厳しいんじゃないすか?」
「いえ、公安局でも放課後は自由です。書類片付けをしている私が異常なだけでして......」
ほえ〜......あとでカンナさんの書類仕事手伝いに行こっと......
「私はそんな自堕落な生き方はしない。のうのうと自由を与えられた犬になるくらいなら、厳しい環境下でも狼として誇りを持って生き___
「じゃあサキさんは、人を殺したことってあります?」
「......は?」
カンナさん達だって、毎日頑張って仕事してるのにそんな言い方はない。
俺も怒る時は怒るぞ。
「俺からしてみればサキさんの言い分は納得できない。狼として生きる?カンナさん達がのうのうと自由を与えられた犬?バカも休み休み言え」
「......話が飛躍しすぎだろう。」
「んなことないですって。サキさんもさっきおんなじようなことを言いました。ようやくすれば「私たちの方が厳しい生活をしているから偉い」みたいな捉えられ方をしてもなんら不思議じゃないです」
「だからもう一度聞きます。サキさんは人を殺したことはありますか?」
その点では、カンナさんも『無い』というだろう。
「......あるわけがない」
「.........そっすよね。だから、根幹はどっちもおんなじなんです。市民を守るヴァルキューレと、平和を守るSRT。」
警察組織と自衛隊。どっちが偉いなんて決められるものじゃないだろう。
「ま、だからと言って俺がサキさんにヴァルキューレに入れ、なんて偉そうなことは言えないんですけどね。すんませんきつい事言って。」
「.........別に。だが、私の意見は変わらない。」
「俺はそれもいいと思います。」
できるだけ、俺だって生徒のやりたいことを聞いてあげたい。
無理矢理意思を決めるのは違う。
「そういやあん時ドローンとかに向かって弾丸とか爆薬を浪費してましたけど、あれになんか意味とかって......」
「.........SRTは規則が厳しかったから、一回やってみたいな、って.........」
この人へんなところで年相応だなぁ......
空井サキ 処分:保留
___________
取り調べ記録2 風倉モエ
担当官 中務キリノ
連邦捜査部シャーレ 鏑林羅衣
「えっと、風倉モエさん」
「んー?てかそろそろ聞いておきたいんだけど、これ何時間くらいやるの?」
「早めに終わらせててくんないかな。予備の飴も少なくなってきたし」
「そ、そうは行きません!」
「飴足りない?」
「うん」
「あげるよ」
「ありがと〜」
「先生!容疑者に差し入れ品を渡さないでください!」
俺はとりあえず携帯している飴をモエさんに渡す。
この人も糖分ないと動けんタイプか。
「この状況で、飴の話をしている場合ですか?」
「だって糖分ないと集中もできませんて。」
この人は中務キリノさんだ。
ちょい前から連邦捜査部の仕事で顔合わせはしているが、カンナさんほど親しくもない。
「はぁ......めんどくさいなぁ......」
「......風倉さん、単刀直入にお聞きします。どうしてあの時、公園を占拠したのですか?どうしてヴァルキューレの呼びかけに応じなかったのですか?」
まぁこの問題はそれぞれの心情によるものだから判別もできないし解決もできないだろう。
「そもそも最初から武器を捨てて素直に投降していたら、事態はここまで大きくならなかったはずです。」
「じゃあ中務さんって捕虜になった時武装解除します?」
「えっ!?えっと......それは......」
うん。押しに弱いなこの人。
「そーそー先生のいう通りじゃん。」
「モエさんも反省してください。」
「あたっ」
全く反省がないのもダメだからペシっとでこピンを喰らわせる。
まあキヴォトス人に俺がデコピンしたところで痒いくらいだろう。
「まぁそれはいいとして。なんでモエさんはSRTを離れたくないんですか?」
「......うーん......なんて言えばいいかなぁ」
「仲間と離れたくないから?」
「んにゃ、それは結構どーでもいい。むしろあのRabbit小隊とは早々におさらばしたいよ。サキは毎日小言ばっかだし、ミユはすぐ泣くし......」
「で、では、どうしてSRTを離れたくないと......?」
キリノさんは皆目見当もついていないようだが、俺は多分見当がついた。
「そりゃ勿論あの大量の武器のためだよ!」
「うん。だと思った」
最後のクラスター爆撃だって十二分に余力を持って牽制もできたはずだ。
だがモエさんは全弾発射を選んだ。
この人は多分だけど抑えきれない破壊衝動でもあるんだろーな......
羅衣自身、呪術高専時代に近しい存在を見ているため、あまり驚かない。
「ぶ、武器でしたら、ヴァルキューレにも色々とありますが......?」
「いやいや中務さん。この人はそんなチャチな武器じゃ満足しませんぜ。」
「ちゃ、チャチですか......」
「そうそう!SRTにある兵器の数々はヴァルキューレとは比べ物にならないくらいの武器がたっくさんあるんだから!区画ひとつ丸ごと焼きつくせる様なミサイルとか、戦車の装甲をモノともしない弾丸とか......!」
「理解できます。激しく理解できます。全弾発射、高威力爆雷、対戦車特殊弾......ロマン。やはりロマンは全てを解決する」
「おお!!先生もロマンがわかる人かぁ〜!」
「実はこちらに『高分子破壊砲』が......」
「ウッヒョー!!ちょ、ちょっとかして!」
「そんな物騒なものを取り出すのはやめてください!!」
やばい、この人と結構波長合うな......
「ま、そんな感じで高威力の武器を好きなだけ振り回せるSRTから離れたくないってこと。」
「い、いえ、SRT特殊学園でも「好きなだけ」はダメですよ!?」
「そーいやモエさんって昔商店街を半壊させてましたよね。無差別乱射とか」
俺も資料を読んだだけだけどこの人も結構やばい人ってことはわかる。
「そもそもSRTもまたヴァルキューレと同じで、本来は市民の安全を守るための組織じゃないですか......」
「私は市民の安全とかどーでもいい系だから。」
「じゃなかったらこんなこと起こしてないですしね」
風倉モエ 処分:保留
__________
取り調べ記録3 霞沢ミユ
担当官 合歓垣フブキ
連邦捜査部シャーレ 鏑林羅衣
「えっと、名前は?」
「か、霞沢ミユ、です。SRT特殊学園の一年生で......Rabbit小隊では、狙撃手を担当しています......」
「あんたがあの異次元のスナイパーか。」
結構気弱そうに見えるが、俺の足にワイヤー弾を正確に当てたり、完全な死角から狙撃してくるくらいには優秀なスナイパーなのだろう。
「15歳で、誕生日は7月12日......しゅ、趣味は小石探し、です。」
「いや、そこまでは別にいらないけど......」
「あれ?ミユさん俺と同い年だ。」
キヴォトスの人たちって結構16歳から上が多いから新鮮だなぁ
「あ、あの、私、これからどうなるんでしょうか......?」
「もしかして、恐ろしい拷問とか.......!?一日中同じ曲を聞かされるとか、一晩中くすぐられるとか......!」
「拷問のレベル低くない?」
「お、お願いです許してください!し、知ってることは全部言いますので......」
「いや、それも別にしないし.......」
「そそ、俺たちはミユさんにちょっちお話を聞きにきただけですから」
この人あれだ。昔英梨が飼ってた犬に似てるんだ。
「んじゃあとは先生お願い」
「お、職務怠慢だ」
「今回は先生に一任されてるだけ。」
合歓垣さんは結構サボり癖がある。
俺がカンナさんのオーバーワークが居た堪れなくなってヴァルキューレに入り浸っていた頃も何度もサボりに誘われた。
「まぁいいや。とりあえずなんでヴァルキューレへの編入を拒んだんですか?」
「へ、編入はその......怖くって......」
まあそりゃ怖いし抵抗もあるだろう。
「じゃあなんでその抵抗の手段がデモだったんですか?」
流石にあそこまでことを大きくする必要もなかっただろうに
「怖いって......別にうちの学校、不良とかほとんどいないと思うけど?」
「いや、その、そういった意味ではなくて......」
......多分だが、
「ミユさんは、誰かと仲良くなるのが怖いんですね?」
「えっ......えっと、はい......」
だろうな。ミユさんみたいなタイプは誰かと仲良くなって捨てられるのを以上に忌避する傾向がある。
どっかの便利屋で似た人を見たことがあるからわかる......ハルカさん元気かな......
「今のRabbit小隊でも、そんなに仲がいいわけじゃありませんが、ミヤコちゃんとか、時々面倒を見てくれたりしてますし......」
「んで、新しいとこに編入したら今の心地いい空間が水の泡ってわけっすね」
「はい......そんなことになるくらいだったら、いっそのこと、公園で野宿でもした方が......」
「......変な子だね。新しい人に会うのは怖い?」
「会うことが怖いと言いますか......人から忘れられるのが、怖いです」
「誰にも認識されなくなったら......そう考えると、もう......」
この人は別に弱い人ではないのだろう。
結構ちゃんと頑張って喋ってくれてるし。
「で、でも、先生は最初から私のことを知覚してました、よね?」
「まぁ、ミユさんより影が薄い人を何人か見てるんで......」
禪院のバカとか禪院のクズとか
「この性格を治したくてSRTに入ったのに、学校が封鎖なんて......私、どうしたらしいか......」
「なるほどねぇ......」
「合歓垣さんって結構こういう話は真面目に聞きますよね。」
「不真面目に聞く話でもないし。」
意外と好感持てる人なんだよな。
「じゃあさ、
「多分忘れられることとかないんじゃないかな。面倒ごとも少ないし、人に会うこともそんなにない部署だからさ。」
「そ、そうなんですか......?」
「お、興味持った」
ミユさんが目を輝かせた。
意外と新しい環境が合ってるのかもしれんな。
「ほとんど誰とも会わずに、静かな学校生活が?」
「うーん「ほとんど誰とも」は無理かな」
「まぁ確かにあそこも結構忙しいですもんね......」
「......あ、じゃあ無理です」
「心折れんのはっや!!」
「ごめん先生、私この子無理」
霞沢ミユ 処分:保留
__________
取り調べ記録 月雪ミヤコ
担当官 シャーレ『執行部長』鏑林羅衣
「......あの時の......」
「や、久しぶり」
最後の取り調べはおそらくリーダーのミヤコさんとなった。
「......正直驚きました。まさかヴァルキューレの担当官が先生1人とは。」
「......言っとくけど逃げようとしたら戦うことになっちゃいますよ?」
別に俺だってよわっちいわけじゃない。
「それに今回はシャーレの『執行部長』としての俺できました。」
「......まあ、誰だってかまいません。相手がだれであろうと、答えは変わりませんから」
「そーでしょーね。俺だってあんた達の考えを曲げに来たわけじゃないすから。」
表情は穏やかだが、敵意がむき出しのせいで先生悲しいよ。
「何か聞きたいことがあればどうぞ。」
「んーと......ここでの生活ってなんか不便なとことかないですか?」
この質問も一応取り調べが始まる前に全員に質問している。
反応は「キモい」の一言だったが。
「......最初から変な質問ですね。お気になさらず。あったとしても捕虜の立場で何かいうつもりはありませんから。」
「それともあれでしょうか?環境を改善する代わりに、何か情報を聞き出そうと?」
「だったらもっと効果的な方法があるでしょ。」
俺はそう言いながらカツ丼の箱を二つ開ける。
「どーぞ。さっきコンビニであっためてもらいました」
その一つをミヤコさんの前に出す。
別に贔屓してるわけではない。ちょうどお昼時だったのと、みんなにあげようとしたら食べないって言われた。
「......心変わりを望んでいるのでしたら、諦めた方がいいです。」
「別にそんな意図はないです。あったかいうちにどうぞ。」
「.........あなたは何を考えているのですか?」
「......腹減ったなって......」
「.........それもそうですね。頂きます」
そう言ってミヤコさんはカツ丼を食べ始める。
意外だな、1番食べないと思ったのに。
「これは賄賂になるのでは?」
「だったとしても関係ないです。俺こう見えても国家権力なんで」
基本的に何してもいいって言われたから一緒にカツ丼を食べた。それだけ。
「......もぐもぐ.........はむ.........仮に何かを提案されても、私たちのSRTへの気持ちは変わりません。」
「むぐ......そーすか。」
「.........」
「いや、俺にそんな目を向けられたって俺はなんもできません。SRTを再び立ち上げること......はできなくもないすけど、俺が特にミヤコさん達になんかを求めようとしてるわけでもないんです。」
それは根本的な解決になっていない。
「......ミヤコさんは、なんでSRTに固執してるんですか?」
少しずつ、踏み込んで行こう。
「......あなたのような人にはわからないかもしれませんが、SRTには、そこにしかない『正義』があるからです」
「正義、ね」
何を持ってしての正義なのか、何にとっての正義なのか。
「改めて話すと、難しい概念ではあります。」
「しかし、先生も「正義」について耳にする機会はあるでしょう。」
「ん〜......まぁ、確かに」
この前トリニティに行った時もそんな名前の人たちいたな
「ここヴァルキューレもまた、生徒達は自らの行動が「正義」だと信じているかと思います。」
「うん。」
「......しかし、私にとって、彼女達の正義は「本当の正義」ではないと考えています」
「......うん」
「正義とは、理に適った正しい道理のこと。その通りは真理に基づくものです。であるのならば、相手や状況によって変わるものではありません。」
「しかしキヴォトスにおける各所の治安組織には、さまざまな利害関係の中に成立するものが数多く存在します。」
「利害関係が一致しないと、組織は成り立ちませんからね。」
「......しかし、SRT特殊学園だけは、学校間の関係や利害の問題に左右されず、自らが信じる正義を実行してきました。」
「ふーん」
「時と時間を選ばず、相手がだれであろうと同じ基準で、一つの正義を実現する組織......」
「そんなSRTに、私は憧れたのです。」
「.........」
この人は、ダメだ。
「......一言だけ、ミヤコさんに言葉を送りましょう。」
「?」
「『人間のすることに、正義などない。あるのはただそれぞれの想いだけ。』」
「......」
「どんな屈強な正義も、相手から見ればただの暴風に過ぎません。全ての見え方が一緒なら、俺は今ここで先生をやってませんよ」
いくらこの人が正義を愛していたって、この世に正義がなければ全てまやかしに過ぎない。
「ミヤコさんが今回やったことだって、俯瞰して見れば、学校を守るために戦った生徒。封鎖された学校にしがみつき続ける生徒。見え方はそれぞれです。」
「ま、ミヤコさんはミヤコさん自身で頑張ったんです。俺はどっちの意見だって排除したくない。」
排されてしまった意見は、この世で悪としてしか認識されない。
「自分たちの学校がなくなったら、嫌ですもんね。分かります。」
アビドスのみんなが、そうやって頑張ったことを、俺は知っている。
「.......ほとんど初対面の人に、そう言われましても」
「貴方からそんな褒め言葉を聞いたところで、何も変わりません」
「......だから言ったじゃないですか。俺はミヤコさん達の意見を捻じ曲げたくない。」
「.........ですが負けたのは私たちです。先生はあの短い時間で自身の長所を最大限に生かし、私たちの弱みをついて戦況を一瞬にして変えました。」
「......それに比べて私は、全然うまくできず.........」
「最初は、そんなもんでしょ。何も自身を責めるものじゃないです。」
そういうと、ミヤコさんは押し黙ってしまった。
ちょっと踏み入り過ぎたかな。
「......まぁ、最初の話に戻りますけど、なんか欲しいものとか必要なものはないですか?」
俺はとりあえず、皆さんにここにいるのが敵だけじゃないことをわかって欲しい。
「......他に話すことはありません。先ほどお伝えした通り、不満もありません。」
ミヤコは白いロングの髪をかきあげながら、冷徹に答えた。
「強いていうとすれば、SRT特殊学園の封鎖命令を撤回していただきたいのですが?」
「今すぐにどうにかするのは俺にはちょっとむずいです。」
「......でしたら私たちは戦い続けます。SRTのために」
「......そっすか。じゃ、頑張ってください応援してま〜す」
どうせ彼女達は勝算がどれだけ薄くても戦い続けるだろう。
「まあ、次は、俺も説教混じりになると思うんで、そこんところは」
そう言って羅衣は取調室を出た。
「.......貴方の力を使えば、私たちを屈服させるのなんて楽なはずなのに.........」
ミヤコは、去っていった男の腹の内が、どうしてもわからなかった。
月雪ミヤコ 処分:保留
___________
「ブハァ......生き返る......」
「最近は全然食べにこれませんでしたからね」
「すんません......」
「私は全然怒ってなんていません。ただ少し寂しいと思っただけですから」
「大型犬......」
「今 な ん と ?」
「じょ、冗談ですぜカンナの姉貴......」
俺は久しぶりにかんなさんと飯に来ていた。
おでん屋の屋台で。
「前は週一どころか毎日入り浸ってましたからね......」
「そうですね......羅衣が急に来た時は何かと思いましたから」
「カンナさんだってオーバーワークで死にかけのレイディオだったくせに」
「ははっ......まぁそこは認めます。羅衣が来てくれて助かりましたから」
カンナさんは俺と2人っきりの時は敬語は変わらないが、俺のことを『羅衣』と呼び捨てにする。
この人結構勘違いされがちだけど可愛い人なんだよなぁ
「よしよし。カンナさんは俺がいない間よく耐えましたね」
「......もしかして酔ってますか?」
「じぇんじぇん酔ってませんよ〜」
実際羅衣は酔っていない。
だってまだ15歳なんだから。
場の雰囲気に酔っているだけだ。
「あの防衛室長......あーやめやめ!こんなこと考えてたら死ぬ......」
「羅衣も随分な役回りに立たせられましたね。ざまぁみろです」
「今日口悪くない?」
「気のせいです。」
俺はおでんの卵を食べながら、今日のことを思い返してみる。
「まぁ、防衛室長殿はどうにもきな臭さを感じますけどね。」
「カンナさんそーいうこと言っていいんすか?」
「たまには吐き出さないとまたパンクしますから」
__________
『貴方にRabbit小隊を任せることにしましょう!』
__________
「めんどくさい仕事を押し付けおってからに......」
「そこは勝手にウサギを拾ってきた羅衣が悪いんじゃいですか?」
「......今ので減点1。はんぺん食わしてください」
「はいはい」
そう言ってカンナさんは俺の口にはんぺんを運んでくれる。
「お、この風景を見るのも久しぶりだなぁ!」
「大将〜俺もう仕事やだ〜!したくない!まだこっちは15歳だぞ!」
「まぁまぁ、先生は頑張ってるよ。」
「たいしょ〜......ここで雇って......」
羅衣は限界社会人のようなことを慟哭し、カンナはそれを宥めながら眠ってしまった羅衣をシャーレに送り届け、結局カンナ羅衣につられてシャーレで寝落ちしてしまったのだった。
マジ一万字って感じ。
カンナさん可愛くて描きたくなっちゃった。
解像度が低いのは許してちょんまげ
ー追記ー
私の名前は鏑丸に決定いたしました!皆さんアンケートにお答えいただきありがとうございます!
これからは鏑丸って呼んでね
名前がややこしいから改名案
-
かぶらん
-
鏑丸
-
もちまんじゅう