赤と青が交わる場所   作:カブライニキ

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基本羅衣くんは嫌いと言った生徒は嫌いですが、いつもそんな自分に嫌気がさしています。

いつも感情を抑制できない自分に苛立ちながら葛藤と矛盾を持って生きていく。

美しいですね。
これ以上の芸術作品は存在し得ないでしょう。


第十話 諦めんなよぉ!諦めんなお前!どーしてそこで辞めるんだそこで!必ず目標達成できる!だからこそ、never give up!

 

「土砂降りも土砂降りだな」

 

 

シャーレの自室の窓から外を見るが、ものすごい雨で窓の外があまり見えない。

 

 

「......大丈夫かな......」

 

アビドスは当然大丈夫だとして問題はRabbit小隊だ。

 

 

「ま、腐ってもスペシャリスツだから大丈夫だろ。うん大丈夫大丈夫。」

 

 

俺は今日お休みなので大きいベッドでぬくぬくしながらゆっくりしよう。

 

久しぶりにホシノさん達とモモトークでもしようか。

 

 

ずっと見たかった漫画でも見ようか。

 

 

「.........」ソワソワ

 

 

 

今日はお休みなんだ。そうだ!今日の当番って誰だっけ!結構楽しみだなぁ

 

 

「...」ソワソワソワ

 

 

.........まぁ、まずは着替えからしよう。せっかく床暖房とか暖房設備全部揃ってて寒くないんだから

 

 

「..」ソワソワソワソワ

 

 

 

んで次はなんか飯でも食おう。確かシロコさんが前の当番で買ってきてくれたシュトーレンがまだあったはず

 

 

「」ソワソワソワソワソワソワ

 

 

 

 

......ついでに防災グッズでも出しておこう。

 

特に意味はないけどさ。

 

ついでのついでで新しい防水用の大きいテントだったりスコップも出しておこう。特に意味はないが(だいじ)

 

 

 

「......アロナ、雨ってどんくらいで止みそう?」

 

 

『今日はずっと降る予報ですね。なんならこれからもっと強くなるかもです......』

 

 

「そか......ありがと」

 

 

天気を教えてくれたアロナに感謝の意を込めて画面越しに頭を撫でる。

 

 

『ん......それぞれの自治区で被害が出ていないといいのですが......』

 

 

『そう言えばSRTの生徒さん達は......風邪を引かないか心配です......』

 

 

 

 

アロナの一言で、俺の心はその問題一色になってしまった。

 

 

 

 

「クソォォォォォォォ!ゆっくりしたかったのにィィィィィィィィィ“!」

 

 

 

そう慟哭しながら荷物を全て持ち、子ウサギ公園へ向かう羅衣なのであった。

 

 

 

___________

 

 

 

「こっちもターブが破れた!ミユ!防水シートが足りない!」

 

 

「も、もう予備はなくなちゃって......」

 

「くそっ......もっと資材があれば......!モエ、こっちを手伝え!」

 

 

「無理無理!こっちも通信装置濡らさないようにしてるんだから頑張ってよ!この辺の機器、全部合わせていくらだと思ってんの!?」

 

 

「知るか!どうにかしろ!!」

 

 

降り始めた雨は一刻一刻勢いを増していく。

 

風が強く吹いているせいでテントは倒壊し、地面が浸水しているせいでうまく足が運ばない。

 

「クソっ、いつまで続くんだこの雨......」

 

 

サキが忌々しげに空を仰ぐが、雨が降り止む気配は一向にない。

 

 

「防水周りが補強できたら、次は排水路の方を!土砂が詰まっているのか......水が溢れて......」

 

「わかってる!でもこっちも補強が間に合わないんだよ!手を離したらすぐに倒れそうなレベルで____」

 

 

 

その瞬間、薄暗い公園に光の柱が堕ちた。

 

「い、今のって......」

 

「こ、公園の中央に、雷が......!」

 

 

「まずい、テントの支柱が_____

 

 

 

サキの手がテントの支柱を離してしまい、テントは無惨に崩れ________

 

 

 

「んなことだろうと思ってましたよ」

 

 

____ることはなく、全速力で到着した羅衣によってすんでのところで倒壊は免れた。

 

 

「せ、先生!?」

 

 

「話はあとです。モエさん!機材は今シートを出すんでそこに!まずはテントを新しいのに取り替えますよ!」

 

 

Rabbit小隊の面々は突然現れた羅衣に一瞬放心したが、羅衣の一喝で再び動き出す。

 

 

「そっち支えて!ミユさんはそっちのシートを固定!モエさんは前のテントを軽くでいいんで片しといてください!」

 

 

「「「了解!」」」

 

 

全員の動きが一つになり、羅衣が持ち込んだ大きなテントがすぐに立ち上がった。

 

 

「ミヤコさん!排水路は奥に臨時放水口があるはずなんでそこを開放して土砂を退けてください!俺も今行きます!」

 

 

「えっ......あ、はい!!」

 

 

呆然としていたミヤコも同じくして動き出す。

 

 

 

「先生!武装はどうする!」

 

 

「おんなじテントに入れといてください!」

 

 

 

「先生、あの、食器は......」

 

 

「それ用のボックス持ってきたんでそれに入れといてください!あとみなさん寒いと思うんでブランケットを!」

 

 

「先生、テント片したよ!」

 

「うっしゃ!んだらばもうほぼ終わりですよ!あと一踏ん張り!」

 

 

羅衣の的確な指示とサキ達の洗練された動きによってほとんどの作業が完了。

 

 

残るは、

 

 

「先生!放水口が土砂で詰まって......」

 

 

「うし!みんな!スコップは持ったか!」

 

 

「「「おう!」」」

 

 

「いくぞォォォォォォォ!」

 

 

 

 

____________

 

 

 

 

その後、モエさんの機転で土砂周りを一気に爆弾で吹っ飛ばしたことで浸水を免れ、雨が降り頻る中全員が無事に作業を終えることができた。

 

 

 

 

「あ“〜......寒い寒寒い寒い寒い寒い寒い寒い......」

 

「流石にこの時期に雨に打たれるのはキツイな......」

 

 

今はとりあえずテントの中で全員集まり、小さいストーブの前で丸まっていた。

 

 

「本当に全部終わりだと思ったけど、案外なんとかなるもんだね〜」

 

「私も、もう諦めようと思ってた......」

 

 

「ま、あきらめたらそこで試合終了なんで。安西先生も言ってた。」

 

みんなのマグカップにココアを入れながら他愛もなく雑談をする。

 

 

「ほいどーぞ。鏑ブレンドです」

 

 

「お〜、気がきくじゃん」

 

「あったかい飲み物が身に染みるなぁ......」

 

 

「あちち......」

 

 

「.........」

 

静かな雨の音がテントを射つ。

 

ポタポタという音がテントに響き、軽く雅さを感じさせた。

 

 

「先生があそこで来てくれなかったら装備も機材も全部オシャカになってたと思うとゾッとするねぇ」

 

「......まぁ、実際助かった。」

 

 

「あ、ありがとうございます......」

 

 

「んにゃ、俺が来るまで持ち堪えたみなさんの頑張りだと思いますよ。」

 

 

「いやいやご謙遜なすって」

 

 

「にゃはは」

 

 

「あとあれだな、先生が最後に叫んでたやつ。あれ面白かったぞ」

 

 

「ああ、『諦めんなヨォ!』ですか?」

 

「そうそれ!『never give up』ってやつ、結構心に響いた。」

 

 

「急に叫び出した時はびっくりしましたけど......確かにやる気が湧いてきた気がします.........」

 

 

意外にも俺の人生の大先輩のネタが役に立ったようだ。

 

これは神棚にシジミを供えておかなくては

 

 

「.........少し、外を見てきます」

 

 

「ん?おお、雨は止んだっぽいけどまだぬかるんでるから気をつけろよ」

 

「転んでも洗濯してやんないからね〜」

 

 

そういうとミヤコさんは無言でテントを出ていった。

 

 

「......俺ちょっと見てきます」

 

 

「お、本格的にストーキング?」

 

「おうおうテント燃やすぞ」

 

 

軽口を叩きながらもミヤコさんに続いて俺もテントを出た。

 

 

 

______________

 

 

 

 

「ほいどーぞ」

 

 

川沿いで座りながら景色を見ていた私の視界に缶のコーンポタージュが現れる。

 

「.........先生でしたか。」

 

次に視界に入ってきたのは今1番見たくない人の顔だった。

 

「寒くないんすか?」

 

「これぐらいは慣れていますので」

 

「ほえ〜、俺も北国育ちですけどここまで寒いと厚着したくなりますけどね」

 

確かに今の先生の格好はパーカーの上に学ランのようなジャケットを羽織っている。

 

 

「......雨、ようやく止んだっすね」

 

 

「......そうですね」

 

 

雨が止んで間もないのに雲が消え去り、空からは星がのぞいていた。

 

 

「.........どうして」

 

 

「ん?」

 

 

「どうして私たちを助けるんですか?何度も何度もあなたを拒絶して最初からあなたの話を聞かなかった私達を......私を.........」

 

 

本当は悔しかった。

 

この人は私と違ってみんなを助けられる。

 

この人は私と違って愛想がいい。

 

この人は私と違って優しい。

 

 

 

 

この人は私と違って_____強い。

 

 

なんで私じゃなくてあなたなんだ。

 

なんであなたのように出来ない

 

だから、拒絶するしかなかった。

 

 

 

出来損ないのあなた(自分)を。

 

 

「先生が私に何を望んでいるのか、本当にわからないんです。」

 

 

だからこそわからなかった。

この人が私を助けてくれる理由を。

 

何度拒絶しても料理を教えてくれるあなたを。

 

対価を望まない、あなたを

 

 

「俺は別になんかを望んでミヤコさんを手伝ったわけじゃないです。」

 

 

「なら......!どうして......!」

 

 

「......責任を背負う、『大人』として?いや......違うな。」

 

 

 

 

 

少し考えるような素振りをした後、彼はこういった。

 

 

 

「みなさんの先生でありたいから......みたいな?」

 

 

「.........」

 

 

先生でありたい?

 

なぜ?

 

 

 

「実際俺はミヤコさんより一個下ですし、責任とか、大人とか、全然わかってないんですよ。」

 

そうだ、この人は責任を自分で負うような存在ではない。

 

本来私達のように、やりたいことを貫き、無鉄砲に行動できるはずなのに。

 

 

 

「願望があるとすれば、みなさんが健やかに成長できるのが、今の俺の願いですかね。」

 

 

 

 

「......そうですか」

 

 

 

「......すんませんさっむいんでテント戻りません?」

 

 

「.........確かに......そうしましょうか。」

 

 

私は、先に立った先生の背中を目で追う。

 

確かに私より少し大きいが、それでも子供のような背丈。

 

 

 

だというのに彼はその運命を一身に背負い、『責任』を負い続けている。

 

 

その背中が、どうしようもなく大きく見えた。

 

 

 

___今なら......違う。今までもわかっていた。

 

 

 

今なら、あなた(自分)を信用出来ます。

 

 

先生___。




くう〜ッ!ミヤコが傾き始めたところが1番美味しいです。

ちなみにシュトーレンは死ぬほど美味かったです。
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