赤と青が交わる場所   作:カブライニキ

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ローソンコラボのブツはたくさん手に入れました。


第十二話 幻兵

 

「......人すくねぇな」

 

 

いつも行かない通りでも、その日は少しだけ雰囲気が違った。

 

 

空いている店がひとつも無い。

 

普通ならそこら辺のテナントにハンバーガー屋くらいは空いているはずだ。

 

だというのに『一軒も』開いていない。

 

 

 

「......どーしよ......」

 

 

今日はチートデイにして外食を楽しもうと思ったのに......

 

 

「予定が狂った......」

 

 

一旦公園まで行ってカレーメシでも_____

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「美味しい美味しい、「おいなりさん」はいかがですか〜?」

 

 

 

 

 

 

 

ぞ 

  ぞ 

    ぞ

 

 

 

 

 

 

「ッ!?」

 

 

 

無意識的に声の方へマキシマムドライブ(最大火力)を向ける。

 

 

感じたことのない異質な気配。

 

 

 

だが、

 

 

「あ、そこのお客様!もしお食事がまだでしたら、こちらはいかがですか?」

 

 

 

 

その圧力はどこへやら、俺を迎えたのは可愛らしい笑顔だった。

 

 

 

「あっ......す、すみません......」

 

 

俺は急に恥ずかしくなって銃を下ろす。

 

流石に気のせいか......

 

 

「どうかされました?」

 

 

「いえ......疲れすぎなんだと思います......」

 

 

まさか初対面の方に銃を向けてしまうとは......

 

 

 

「えっと......お稲荷さん、でしたっけ。」

 

 

「あ、はい!お勧めですよ!今日はなんと言っても、会心の出来でして!」

 

 

 

その手に抱えられた重箱には確かに大量の稲荷寿司が入っていた。

 

 

「ここからここまでがいくらで、あとはここまでが餡子。」

 

 

「餡子?!」

 

 

「意外と甘さが調和されていて美味しいんですよ?」

 

 

まさか餡子を稲荷で包むとは......驚きの調理法......

 

 

 

「それに今なら出来立てです!今が1番美味しいですよー!」

 

 

そう言って稲荷寿司の人は左右に揺れる。

 

 

それに伴って大きなケモミミと桃色の頭髪がわさわさと動く。

 

 

「......せっかくですから、いただきましょうかね。」

 

 

流石に美味そうだし、今日はRabbit小隊のみんなもチートデイとしよう。

 

 

 

「はい!毎度ありです!いやー、今日は全然お客さんが来なくて落ち込んでたんですよー。もしかして一つも売れないんじゃないかと思って、胃が痛かったんです。」

 

 

「こんなに美味しそうなのに......まぁ、確かに今日は人の往来も少ないですし。」

 

 

軽く会話を弾ませながらお金とお稲荷さんを交換する。

 

 

「そうですねー。ここはもうすぐ再開発が始まるんですよ。多分そのせいだと思います。」

 

 

「......再開発......」

 

 

 

カヤ上も云っていた言葉だ。

 

 

......カイザーコンストラクション......一体何を企んでいる?

 

 

 

「新しい地下鉄の建設、でしたっけ」

 

 

「そうですね。この辺りの商店街やら何やらを崩した上で、地下鉄工事をして新たなショッピングタウンを建てるんだとか。」

 

 

「街全体の誘致みたいな?」

 

 

「端的に言えばそうかもしれませんね。」

 

 

俺はふと街並みを見渡してみる。

 

 

レトロな雰囲気の商店街、隠れ家的なカフェ、小規模なゲームセンター

 

 

 

「......なくなっちゃうのは、ちょっと勿体無い気がしますね。」

 

 

「......そうですね」

 

 

住民たちの長年連れ添ってきた街が壊されてしまう感覚はどんなものなのだろう。

 

 

 

......あの時の渋谷も、そうだったのかもしれない。

 

 

一応カイザーの広報で再開発の情報は出ていたが、あまりにも不自然すぎて今は経営を一時分離させている。

 

なんというか......自分から火の海に突っ込んでいく虫みたいなことしてたから......

 

 

 

「......このお稲荷さんについては自信があるんです。同僚......友人や後輩たちも、いつも喜んでくれました。」

 

 

「......素敵ですね」

 

 

「フフッ......すみません、話を逸らしてしまって。」

 

 

そう言いながら彼女は上げていた服の裾を下ろす。

 

 

 

「お察しの通り、私とてもおしゃべりなんです。」

 

 

 

雰囲気が、変わった。

 

 

「もう一つお稲荷さんを差し上げますので、もし何かご存じなら教えていただけません?」

 

 

さっきのような爆弾みたいな圧力は感じないが、限りなくそれに近しい何かを感じる。

 

 

「......俺が連邦捜査部の部長って話......とか?」

 

 

「.....ふふ......面白い冗談ですね」

 

 

「......デスヨネー」

 

 

彼女は身を翻して俺に背を向ける。

 

 

「では、おしゃべりな狐はこれにて。『先生』も私みたいな狐には気をつけてくださいね〜」

 

 

 

「......」

 

 

そのまま去ると思いきや、一度彼女は立ち止まる。

 

 

「これは私の独り言ですが、今公園でどこかのエリート学校の生徒がデモを行っているそうなんです。それがもし本当なら、相当な火力の武器を持っているでしょうし、ヴァルキューレが手を焼くのも当然かもしれませんね。」

 

「とはいえ何故そんなエリートの生徒たちが、公園を占拠して生活しているのか......」

 

 

 

「これは推測でしかありませんが、何かを偽造しようとしているのかもしれませんし、取り返しの付かない失敗でそうせざるを得ないのかもしれません。」

 

 

彼女は指を空中でクルクルと回しながら語る。

 

 

「或いは、夢を見てるのかもしれませんね。」

 

 

「温室育ちの華が見るような......淡くて優しい、叶わない夢を。」

 

 

「そんな夢に浸った生徒たちを導く貴方は、それはもう大変でしょうね。」

 

そう云って振り返る彼女の目は、ひどく荒んで、光を無くしている。

 

 

 

「......そんなこたぁないと思いますよ。夢を見るだけなら別にタダですし。」

 

 

「......なるほど?」

 

 

叶わない夢を見る?

どんな夢も希望も、最後に叶っていたらもっと世の中夢で溢れかえってるだろう。

 

 

夢も希望も、多大な努力と無限の情熱によって生まれる化学式のような煙だ。

 

 

「そりゃ、淡くて優しいのは当たり前なんじゃないすかね。」

 

 

ならば、その化学式を手助けする実験役が手を焼くのは当たり前のことだ。

 

 

「本人たちが、きっと叶うと思っているのなら、きっと叶うと思いますよ。願い続ければきっと夢は叶いますから。」

 

 

俺は指を狐の形にして彼女に向ける。

 

 

 

 

 

「それはどうしてですか?あなたには、責任を負う責務も、重圧もないというのに。」

 

 

彼女の語気が強くなる。

 

 

信じられないものを目の当たりにしたような葵色の目が、そっと俺を見据える。

 

 

「友達として、先生として。俺が俺である限り俺の責任は俺のものです。」

 

 

そう、責任を負うのは、俺だけでいい。

 

 

今は、無鉄砲にはしゃいでいい時期なんだからさ。

 

 

 

「.........変な人ですね。ユキノちゃんはなんでこんな人を.........」

 

 

彼女は俯きながら何かを呟くが、俺には聞き取れなかった。

 

 

「まあ、そういう考えもあるかもしれません。」

 

 

 

 

最後の一言は、ひどく冷たいものだった。

 

 

 

 

 

「さて、今日はそろそろ店じまいとしましょうか。お買い上げ、ありがとうございました!」

 

 

すっかり明るい雰囲気に戻った彼女が俺の腕に重箱を押し付けてくる。

 

 

「こんな買えませんて。」

 

 

 

「売れ残りですから、私だけでは食べきれませんし、おまけということで、差し上げます」

 

 

そうは言われてもこのボックスは流石にでかい。

 

どこにこれを返却すればいいのかもわからんし......

 

 

 

「もしよろしければ、

 

 

 

 

 

 

 

 

お腹が空いている子にでもあげてください」

 

 

 

 

 

 

その一言が終わると、彼女は目の前から消えた。

 

 

まるで、狐に摘まれたような、後味の悪い感覚だけが、その場に残った。

 

 

 

「......辛くなったら、いつでもどうぞ。稲荷寿司のお礼ぐらいは助けます」

 

 

誰にいうでもないが、とりあえずその一言だけを残した。

 

 

 

うん、すっごい怖い。(今更)

 

 

 

 

 

________________

 

 

 

「と、止まってください!変な動きをしたら、う、撃ちます!」

 

 

「......ミユ、警戒する時はまず相手を見てからにしなって。先生だよ」

 

 

「ちっすちっす」

 

 

すっかりトラップを感覚で避けられるようになった今日この頃。

 

またまた子ウサギ公園へ来ていた。

 

 

「あっ、す、すみません!」

 

 

まるでヘッドバッドのように勢いよく頭を下げるミユさん。

 

 

「そんな気にしなくていいです。警戒するのはいいことですし。」

 

 

そう言ってミユさんの頭をポンポンと撫でる。

 

 

 

うん、可愛い。

 

 

信じられるか?これ俺の生徒。

 

 

 

「なんだ、羅衣先生か。」

 

 

「お、サキさん」

 

 

「どうした?今日は呼んでないが」

 

 

「今日はお昼を一緒にと思いまして。こちらをご覧ください。」

 

 

 

そう言って持っていた重箱をブルーシートの上で広げる。

 

 

 

「うおっ!稲荷寿司じゃん!うまそう!」

 

 

「食べるの久しぶりだな......SRTを思い出す......」

 

 

「.......もしかしてですけど、SRTの人で稲荷寿司を作れる人っています......?」

 

 

「ん?ああ。ニコ先輩という先輩がよく作ってくれた。」

 

 

「あれ美味しかったよねぇ......」

 

 

 

......やっぱりか。

こうなるとやっぱりユキノも俺の監視をしに来た1人か......こええ。

 

 

「も、もしかして私たちのために......?」

 

 

「はい、ちゃんとプロが作ったものだと思うんで。よかったらどーぞ」

 

 

俺は素早く箸で全員の分を取り分け、テーブルに乗せる。

 

 

「今ミヤコを呼んでくるから先に食っててくれ。」

 

 

 

「ウッヒョ〜!いっただきま〜す!」

 

 

「い、いただきます......」

 

 

「うし、いただきます」

 

 

 

 

その後、合流したミヤコさんとサキさんと5人で稲荷寿司を食べた。

 

 

 

 

一応再開発などのことは伝えたが、なんともうすでに補給が途切れ掛けだそうだ。

 

 

 

「実際問題どうします?......もぐもぐ......みなさんって俺の補給受けたくないっすよね?」

 

 

「うん。」

 

「は、はい」

 

 

「そりゃそうだろ」

 

「......私は、それでもいいと思いますが。」

 

 

おお、ミヤコさんがデレた。

 

 

うれしひ。

 

 

 

「まぁ、それもいいけどさ。みんな、私が誰か知ってる?」

 

 

「爆弾魔」

 

「特攻隊長......?」

 

「テロリストですね。」

 

 

「ひどい言われよう。」

 

 

 

え、実際誰?

 

 

え、真相は次回、すか......そっすか(諦め)





今日も今日とて眠いぜ!

名前

  • 知ってた。
  • 知らんかった
  • そんなことより曇らせまだ?
  • 捥ぐのは足がいいよね。
  • 腕に決まってんだろ
  • 五感に決まってんだろふざけんな
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