精神年齢高すぎィ!
「......なるほど、お話は理解しました。先生が補習授業部の担任の先生になられると。」
「そーです。てことであの人達連れて帰って大丈夫ですか?」
「はぁ!?だめに決まってるでしょ!?絶対ダメ、凶悪犯なのよ!?」
とりあえず2人を牢に戻し、委員室で考えをまとめる。
......今回も結構大変な仕事になりそうだな......今年に入ってからいろんなことあり過ぎだろ
「コハル。先生はシャーレの方として、ティーパーティーからの依頼を受けてこちらにいらっしゃったのです。規定上は何の問題もありません。補習授業部の顧問、担任の先生になるのですから」
「臨時で、ですけどね」
実際臨時顧問というだけで担任の先生をやれるかと言われれば自信はない。
だが、あの状態の2人を置いていくというのも正直気が引ける。
「え、えぇ......まぁでも、先輩がそう言うなら......」
最後まで抵抗していた下江さんがようやく折れてくれた。
ようやく仕事に入れそうだな。
「ふ、ふん!まあでも良いザマよ!こっちは凶悪犯達と一緒にいなくて済むし、そもそも補習授業部だなんて!恥ずかしい!」
「.........ん〜」
「あははっ!良いんじゃない?悪党と変態のくみ合わせ!そこに「バカ」の称号だなんて、私なら一緒にいるだけで羞恥心で死んじゃいそう!」
そうコハルが笑いながら言う。
普通なら羅衣はこの時点で指導か怒るかするのだが、今回は少し哀れんだ様な目でコハルを見つめていた。
「......補習授業部一年、下江コハル......」
「.........えっ?」
そう、コハル自身も補習授業部のメンツなのである。
良かったな。バカの称号をプレゼントだ。
下江コハル
トリニティ総合学園一年。すでに3回連続で赤点を叩き出し、留年目前である。
補足:成績が向上するまで、正義実現委員会へ復帰できないものとする。
これをみた瞬間羅衣も「うわぁ......」と声を漏らしていた。
普通赤点3回は取ることができない。
しかもそれは「赤点3科目」ではなく、「全科目3回赤点」なのである。
どうやったらそんなものを取れるのか。
どんだけ勉強をサボってもこんな悲惨な現場を見ることはないだろう。
......まるでバカのバーゲンセールだな......
これには羅衣も悪態をつきたくなる気持ちは分かる。
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「では、此処に揃っているのが補習授業部のメンバーということですか?」
「(シューッ、シューッ......)」
「は、はい......えっと、これで何とかみんな集まりましたね。補習授業部......」
俺たちは全員を回収したのち、事前に借りていた空き教室に来ていた。
教室とはいっても何とも豪奢な装飾がされた部屋だ。
天井にシャングリアなんて吊るされてんぞ。流石お嬢様学校ってところか
「......こっからが本当の問題ですね......」
「はい......」
そう、このメンバー全員を集めただけで終われば良かったのだが、そうは問屋が卸さない。
「ふふ、何をすれば良いのでしょうか?阿慈谷部長?放課後に人気のない教室で、素行の悪い女子高生と男子校生が集まって......ふふ、始まってしまいそうですね」
「終わりだよ。もうこれ終わりだよ。てか良い加減服を着てくださいこっちまで寒くなる......」
俺はいつまで経ってもスク水姿のハナコさんに着ていたコートと予備のズボンを渡す。
「......『全裸コート』と言うやつですね。」
「は、はぁ!?なんでそんな破廉恥な言葉ばっかスラスラ出てくるのよ!そもそも全裸じゃないでしょうが!」
「あら、下江さんは全裸をご所望のようで♡」
「バカ言ってないで早く着る。本当に最近感染症とかエグいんですから。」
本気でハナコの体調を心配している羅衣の雰囲気を読み取ったのか、羅衣の渡したコートとズボンを着る。
「......不思議な人ですね......」
「んー......本気でこれからどうしようかな......」
「わ、私もできるだけ頑張りますので......」
まさに現場は死屍累々。ガスマスクを被るものがいれば、死にたいと呟く少女も居る。
果ては地図は読めない、足と腕もない男がプラス1人。
もうどうするんだよこれ。
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「えっと、そう言うことですので、短い間ですがよろしくお願いします。」
「よろしくお願いします」
俺たちはとりあえず、それぞれを知るためにと軽い自己紹介をしていた。
「え、えっと、何かわからない点とか気になる点がありましたら......」
「大丈夫、これからは府中の授業に加えて毎日放課後に特殊訓練があるってだけでしょ。」
漸くガスマスクを脱いだアズサさん。
息苦しくないのかなあれ
「訓練か......確かにそうですね。」
「どんな訓練?」
「次の特別学力試験で『全員同時に』合格することを目指した学力訓練です。」
そして俺は左手の指を立てる。
「チャンスは3回。その中で『一回でも』合格すればそこで補習授業は終了。晴れて普通の生活に戻れますよ」
左手を使うときは一々杖を脇に挟んでいるでのかなりめんどくさい。
でも足がまだちょこっと治ってないからこうするしかないのが辛いな......
てかマジでいつ治るんだこれ。普通だったらもう治ってるはずなんだけどな......
「うん、理解した。3回のミッションのうち、一度でも良いから全員で成功を収める。そのために、ここに毎日集まって訓練を重ねる......それほど難しい任務じゃない。」
「そゆことです。」
「この集まりはつまり、各自のリタイアを防ぐための措置。私としては特に、サボタージュする気も理由も無い。」
うん。自信とやる気があって大変よろしい。
雰囲気的にはリツに似ているが、こっちはどちらかというと感情自体が乏しい感じか......
あと『任務』とか『訓練』と言う言葉を多用する様だからこっちもそれに合わせてあげれば特に問題もなさそうだな。
「アズサさんは転校生でしたっけ。トリニティに転向なんて珍しいですね」
「......そうだけど。」
「俺もここに来るの初めてなんで、『転校』同士仲良くしましょ〜」
俺は小さくピースを作り、笑顔を向ける。
「......うん」
少し......いや、かなり硬かったアズサさんの表情が少しだけ和らいだ気がした。
俺もここまで来たんだから人脈とか広げておきたい。
まぁ普通に友達になりたいって言う心もあるけどさ
「なるほど......それでは私も、アズサちゃんって呼んでも良いですか?」
「......?別に良いけど」
「ではアズサちゃん。ヒフミちゃん。それからコハルちゃん。うふふふ、何だか良い響きですね。では、私たちはこれから補習授業部の仲間と言うことで。」
浦和さんはそう言うと俺の方を向く。
「よければ先生のお名前も教えていただけませんか?それと、そちらの方も」
あ、そっか。俺とリツは三人に名前とか教えて無かったな。
「そうでしたね。えっと、改めて。鏑林 羅衣と言います。知ってるかもしれませんが『連邦捜査部』ってところでお仕事してる人ですね。年は15で一応高校生ですけど、皆さんより全然年低いんで、敬称は必要ないです。敬語も使いたくないって感じだったら全然大丈夫です。」
「......鏑林 リツです。年は17歳で、高校は......シャーレに通ってます。」
リツも軽く自己紹介をし、漸く全員の名前と年齢が把握された。
「えっ!?先生って15歳だったんですか?!」
「あれ?ヒフミさんに言ってませんでしたっけ?」
「私と同い年......!?」
まぁそりゃそうなるか......逆になんで今までそんなにいわれてなかったんだろ......
「と言うかリツさんの苗字って先生と同じなんですね。」
「しかもこの中だと最年長だ。」
みんなの視線がリツに集まり、リツはその視線を避けるように俺の後ろに隠れる。
「すんません人見知りなんですこの子。」
さっきはコハルさんに人見知りだとかどうとか言っていたが、この子もだいぶ人見知りよ。
「......まぁ、仲良くしてやってください。良かったら俺とも仲良くしてくれたら嬉しいです」
最近は砂漠だとか野宿とかでアホみたいに忙しかったからここらでちょっと息抜きできたらいいな......
「......いや......」
「ん?」
何やらコハルさんがプルプルと震えている。
「こんなところ嫌っ!私は絶対無理!!」
「えっ、ちょ!コハルちゃん!?
そう言ってコハルさんが扉を開け放ち、そのまま走っていってしまった。
何てこったい事件発生だぁ(諦め)
みましたか皆さん……?
羅衣くんが自然にみんなを下の名前で呼んで良いタイミングを掴みましたよ…..!
成長ですねぇ……