赤と青が交わる場所   作:カブライニキ

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第四話 嫌なもんは嫌でいい。

 

 

「待ってコハルさん!」

 

 

「ついてこないでよ!」

 

 

あ“〜この感覚どっかで覚えがあると思ったらあれだ、セリカさんと追いかけっこした日のやつだ。

 

俺は教室を飛び出したコハルさんを追い、トリニティの校舎を駆ける。

 

いつもの調子なら追いつくことは容易だが、いかんせん今は杖と足がそれを邪魔するせいでなかなか追いつけない。

 

 

「コハルさん!お願いだから何が嫌かだけ教えてください!」

 

 

「あんたたちと一緒にいること自体が嫌なの!」

 

 

「だったら別教室とかも用意しますから!」

 

 

さっきからこの問答を何度か繰り返している。

 

だが、どんなことを提示しようともコハルさんの歩が止まることはない。

 

 

まずは何が嫌で何がダメなのか教えてくれないとそっから進まない

 

 

 

「はぁっ......はぁ......っ____

 

 

 

俺は体力切れを起こし、そのまま前に倒れる。

 

 

 

「えっ!?だ、大丈夫!?」

 

 

 

「嘘だよォォォ!」

 

 

 

「いやァァァァァ!汚い大人ぁ!」

 

 

 

普通俺がこんなことで体力切れになると思うなよォォォ!!!

 

 

 

 

 

 

 

_______________________

 

 

 

 

3時間後〜

 

 

 

「はぁっっっっっっっ!........はっ.........はぁっ......ゲホッ!!!オエェェ!!」

 

 

 

 

「ゼー......っ......はぁっ.........はぁっ......」

 

 

さ、流石に......3時間......逃げるとは......思わない、ジャン.........

 

 

 

「......っ......はぁっ......飲みもんでも......かいましょ......」

 

 

「はぁっ......賛成.........」

 

 

 

取り敢えず俺たちは近くのベンチまで歩き、それぞれ飲み物を買った。

 

俺はペットボトルのオレンジジュース。

コハルさんはホットコーヒーだった。

 

 

「コ、コーヒーィィ!?それちゃんと飲み切れるんですか?!」

 

 

「あ、あたりまえよ!だって私は正義実現委員会のエリートで......!」

 

 

そう言ってコハルさんは缶を開け、一口。

 

 

「......お味は......」

 

 

「..........に、苦いぃぃ......」

 

 

 

そりゃそうよね。

 

 

 

「あーあー......じゃあこっちと交換しましょう。」

 

 

俺はまだ飲んでないオレンジジュースをコハルさんに渡す。

 

「えっ......いいの?」

 

 

「苦いの飲み続けるのは苦行ですから。ほら」

 

 

「......あ、ありがと......」

 

 

俺は代わりにコーヒーを貰う。

 

 

「はっ!ま、まさか私が口をつけたのを狙って......」

 

 

「狙うか!そんなど変態みたいなことはしませんって!」

 

 

ほんと失敬やな!

 

だが俺とて苦いのは苦手だ。

 

だからこその____

 

 

 

「こいつですよ」

 

 

俺は陰から取り出したアイスクリームの箱を取り出す。

 

 

 

「アイス?」

 

 

「そう。こうやって一回コーヒーをコップに移し替えて、そんで持ってアイスをドボン」

 

 

そうすると程よく熱を持ったコーヒーがアイスを小さく溶かす。

 

それをスプーンで掬い、そのまま口に含む。

 

 

「......うん。うまい」

 

 

甘さと苦さが8:2くらいで美味しい。

 

普通だったらアイスはもう少し少ないのだろうが、俺は甘い方が好きなので結構ぶち込む。

 

 

 

「ほら。コハルさんもアイスどーぞ。」

 

 

「あ、アイスまで......」

 

 

そう言ってコハルさんにアイスの入った皿を渡し、そのまま食べ始める。

 

 

「やっぱ寒い時に食うアイスは格別ですね。糖分が引き立っている。」

 

確かこの現象は人の体温が下がるとナントカが減って体内の糖分が減少するせいで甘いものがより美味く感じるそうだ。

 

知らんけど

 

 

「.........寒い......」

 

 

「ブランケット入ります?」

 

 

「さっきから思ってたけど......どこから取り出してるのよ......」

 

 

実際陰からヒュバッと出してるから気づかないのも無理はない。

 

 

「......やっぱり、戻るのは嫌です?」

 

 

「あ、当たり前じゃない!あんなところ居たら正義実現委員会に戻れないもん!」

 

 

「だからってずっと1人はきついですよ。勉強するにしてもしないにしても」

 

 

それ自体はコハルさんは分かっているのだろう。

今の現状じゃ、いけない。自分でも治したいと思ってはいる。だがそれがどうしても行動に移らない。

 

 

 

......分かるよ。俺もそうだったから

 

 

「......でも......みんなに酷い事言った、から......」

 

 

コハル自身、先の行動には自分でもやりすぎただろうと言う自負はあった。

 

つい調子に乗って「バカ」だの「変態」だの『言ってしまった』。

 

 

「だったら謝れば良いんです。自分の行動を顧みれてるだけで十分立派ですよ」

 

 

俺はそんなコハルさんの頭をポンポンと撫でる。

これ最近ミヤコさんに要求されるようになってきたけどそんな良いもんなんだろうか

 

 

「さ、戻りましょ。今日は俺が美味しいもん作るんで」

 

 

「......うん」

 

 

コハルさんは頷いて立った。

 

 

そうやって立ち上がることができる人は立派だ。

 

嫌なもんは嫌なものでいい。その上で何をするかが重要なんだ。

 

 

 

俺は立ち上がることすらできなかったんだから

 

 

 

 

 

 

 

 

「.........あれ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

立ち上がれなかったって、なんだっけ




人間は記憶媒体である脳が傷つくと別の記憶で補填して、本来の記憶を呼び出すことを防ぐそうです。

それはなぜか?

人間の記憶媒体が傷つくほどのことを覚えていたいですか?
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