羅衣くんは結婚してるから後ろで見ててね
「う、そーん......」
見渡すは当たり一面の銀世界。
昨夜は雪がガンガン降ってたから積もるだろうなとは思っていたが、まさかここまで積もるとは思っても見なかった
「......ヘリで来といて良かった......」
流石にヘリがなかったら生身下山だからキツかった。
これなら無事ここでクリスマスを過ごせそうだな
「......メッセージありえんくらい来てるな」
スマホをパッと見ただけでも前世の俺じゃ考えられないくらいの量のメッセージがモモトークに届いていた。
『早瀬ユウカ』
12件
{先生今どこにいらっしゃるんですか!?}
{連邦生徒会に急に仕事が立て込んで......!}
{一言でもいいので連絡ください}
軽く返信するとまるでずっと見ていたかのように既読がついた。
{雪山!?なんでそんなところにいるんですか!早く帰ってきてください!}
そう、俺がなぜこんなところにプラナを誘ってまで来たのかと。
それはひとえにクリスマスに急に舞い込む仕事を回避するためである。
そのためにわざわざ有給申請までしたのだ。ここで帰えるわけにはいかない
すまないユウカさん。こんな俺を許してくれたまえ
『小鳥遊ホシノ』
46件
{ねぇ先生、クリスマスって暇かな?}
{実はアビドスの近くにすごく大きいイルミネーションが来ててさ}
{良かったら一緒に行かない?}
{先生?}
{もしかしてお仕事中だった?}
{ねえ返事してよ}
{ごめんなさい急に連絡されても困るよね}
{こんな夜遅くなのにごめんね}
やばい(やばい)
昨日は山に入ってからそのまま寝てしまったせいで連絡返せてねぇッ!
急いで連絡するともはやノータイムで返信が飛んでくる
{そうだったんだね、おじさん心配しちゃったよ}
{いっぱいメッセージ送っちゃってごめんね}
{......うへへ}
{ありがとね}
よし。これで大体は大丈夫だな
ホシノさんからのメッセージが大半で、そっちが片付いたらメッセージの嵐も落ち着いた。
「......飯作るか」
プラナが起きる前に何か作ろう。
寒いから薪ストーブも焚いて、と
.........今日は絶対にミスることができないミッションを実行する
「おはようございます先生」
「おっ、遅起きさんだねおはよう」
「朝食作りですか?手伝います」
よし、プラナが起きて来たな......
「......時にプラナくん。君はクリスマスに良い子の元に訪れる赤い服の男を知っているかね?」
「くん.....?サンタクロースのことですか?」
「いえす!プラナもいい子にしてたら今夜サンタさん来てくれるかもね」
「サンタクロースというのはその家の親御さんが子供のためにサプライズでプレゼントを贈る文化のことじゃないんですか?」
「.........うるへー!来るったら来るんだ!おらおらおら!」
「ちょっ!あはははははは!やめっ.....!やめてくださいぃ!」
プラナめ、そんな擦れた大人みたいなこと言わないの。
そんなこと言う子には俺からくすぐりのプレゼントだ
......そう、今回のミッションはプラナにプレゼントを用意すること!
プレゼントをただ渡すだけでは効果は薄いだろう。
ならば!サンタのように枕元に忍び込み、起きた時に驚く様を見ようじゃないか!
「あ、そう言えば雪のせいで麓まで戻れなくなったわ。」
「へ?」
「明日になったら除雪が通るらしいから戻れるけど」
「やっぱりこんな時期に雪山に来るのはおかしいですね」
おかしいってさ( ; ; )
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「......まだ、バレてないですよね」
先生が用意してくれたベッドを捲り、昨日から持ち続けていた小さな包みを手に取る。
「...喜んでもらえるかな」
いつも先生にはお世話になっている恩返しとしても、これは渡したい。
......いや、ごちゃごちゃ理由を並べてはいるが、結局先生が好きなだけ。
「う“ぅ〜......」
私はベッドに倒れ込み、枕に顔を押し付ける。
先生からもらったもこもこのパジャマを抱きしめてゴロンゴロンと布団の中を這い回る。
......先生の周りには、たくさん魅力的な女性がいます。
いつも先生のお仕事を手伝っている早瀬ユウカさん。
アビドスの一件で絆を結んでいる小鳥遊ホシノさん
どちらも、先生に見えやすい好意を向けている。
......あと、いつでも触れられる距離にいる
そんな状況で、そもそもステージにすら上がっていな私。
私に、魅力的な部分が一つでもあるでしょうか
先生の視界を、埋められるような
「......でも」
でも、この感謝の気持ちはどうしても伝えたい。
そのために選んだんだ。
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「......ふはは......侵入成功......」(小声)
見た目で言えば幼女の寝室に無断で入る男ここに参上
お巡りさんは呼ばないでね
「ぐへへ......あとはコイツを枕元に置くだけ______っ!?!?」
い、っいない?!
プラナが姿を消しているッ!
こっ、こんな狭いロッジで行方不明!?
......いや、落ち着け素数を数えるんだ
1、2、3、4、5、6.........
フゥースッとしたぜ
落ち着け。きっとトイレか何かだ
焦るこたぁ無い
とりあえず探せば良いのだ
「.........リビング......いない」
いない.......いない!?
どっdドドドドドドドオドっっドドっっどどっどどどっっd
どうしよう
ガチ目にどうしよう
「プラナ.........プラナァァァァァァ!(大声)」
_________________
「あれ?」
先生の寝室に忍び込み、枕元まで来たのはいいが本題の先生がいない
一応布団をぺらっと捲るがその姿は見えない
「......お手洗いかな」
一瞬トイレを確かめに行こうかとしたが、もしかしたら男の人の
やめておこう
「.........」
眼前には、先生がさっきまで寝ていたであろうベッド
まだ少し暖かい感じがする
「......ちょ、ちょっとだけ、なら.........」
そう思って私は先生の布団に潜り込む。
......やっぱり、いい匂いがする
「......すぅ.........すぅ...........はぁー......」
ずっと吸っていると......頭が......ぼーっと.........
「すぅ.........すぅ.............」
「あれ?」
吹雪の外から一度帰ると、寝室に普通にいた。
なるほど、東大デモクラシー。近場は大体見えないと言うことか
「ほれ。」
俺は寝ているプラナの枕元に包みを置く。
「......喜ぶかな」
......懐かしいな。高専でみんなでクリスマスパーティした時を思い出す。
『でも、そこには英梨が居なくて』________
「.........いなかった......っけ」
最近時折起こる頭にノイズのようなモヤが掛かる現象。
過去の記憶が少し違った形で思い出されている?
「......今は、いいか」
そう思い、俺も布団の中に潜る。
先にプラナが入っていたからか、布団の中は温もりで満たされていた。
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「あとどれくらいですか?」
「今日はスムーズに来れてるから本当あともう少し......お!見えた!」
私たちは翌日ロッジを離れ、前日来た道を戻っていた。
今日は先生じゃなくて私がナビしたから予想よりも早く到着できた。
「.........先生」
「ん?」
「あの......これ......」
おずおずと先生に昨日の包を渡す。
いつの間にか寝ていたようで、渡せていなかった
なんなら今日は先生が同じ布団で寝ていたし、何が何だかわからない
「プレゼント......です.......」
「えっ!!マジで!?いいの?」
「はい......」
ああ、やっぱり顔が真っ赤になっているだろう
「開けてもいい?」
「ど、どうぞ」
喜んでもらえるだろうか
「......!タグだ!」
「はい......もらったものと、被ってしまったのですが......」
私が送ったのは、透明なアクリル板に先生の名前が英字で刻印されてる
逆に先生が枕元に置いてくれていたのは私の名前が刻印されたもの。
結局私たちは同じモノを送り合ったのだ。
「ありがとう!大切にするね」
「......私も......大切に使わせてもらいますね」
帰路のヘリの中で話すようなモノでもないのだが、今は喜んでくれたことにただただ喜んでいる
「ははっ、お揃い〜」
「お揃い......」
先生がタグをひらひらと動かす
私も
......クリスマスを検索した時は、パーティをするものだとだけ考えていましたが、こんな風に幸せな時間を過ごすことがクリスマスなんですね
私はいま、とっても幸せです
窓から照らされる陽光が、2人の表情を照らす。
その笑顔がどうか、続きますように。
メリークリスマス。
クリスマスっぽいことなんもしてねぇなこの2人