赤と青が交わる場所   作:カブライニキ

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これから年末以外は平常運転に戻します

だって年末羅衣くんの誕生日じゃん


第五話 学力は努力の証とか言うやつの背骨をグシャァ!

 

「.....驚いたねぇ〜......」

 

 

いや、ふざけてないけど黄猿が出てきた

 

あれからなんとかコハルさんを補修授業に参加させ、一時試験を行ったのだが結果がまぁー酷い酷い

 

基本俺が教えられるのは問題の抜け道くらいしかない。

 

だからと言ってこれはちょっとねぇ......

 

第一次学力試験・合否発表

 

 

阿慈谷ヒフミ 72点 合格

 

白洲アズサ 32点 不合格

 

下江コハル 11点 不合格

 

浦和ハナコ 2点 不合格

 

 

 

......これ、合格ラインが60点なんですよ......

 

 

しかもこれ中学の小テストみたいな......やつで......

 

 

 

「チッ、紙一重合わなかったか......」

 

「紙一重も紙二重もねーよかすってもないって」

 

 

しかもこんなことばっか言ってるし......

 

 

「てかコハルさんんん!?俺コハルさんと一緒にかなり勉強したと思うんですが」

 

 

「で、でも......今回すごく難しかったし......」

 

「いやっ......あ“ー......違うな......まぁ、次があるんで......」

 

 

ここで俺がそれを責めるのは違う。

努力が形とならないのはよくあることだ。まだまだ基礎が出来上がってない状態で内装を組み立てようとして俺の落ち度だな

 

 

 

いや、それよりも

 

 

浦和ハナコ:2点

 

 

これがどうにも気になる

 

ハナコさんは基礎から応用までしっかりとできていた。

しかもそれを2人に教えることもできていた。

 

 

「2点!?!??!?!20点の間違いでなく!?いえ、20点でもダメなのですが......!むしろ何が正解だったのですか?!と言いますか待ってください、ハナコちゃんものすごく勉強ができる感じでしたよね!?」

 

 

「私そう言う雰囲気あるみたいで。まぁ、成績は別なのですが」

 

 

 

「......は、はっはは......はっはっはっはっはっはっはっは.........は......ゲホッ!」

 

 

もうなんか、咽せた

 

 

 

「あ、......あう......」

 

 

ヒフミも倒れた。

 

 

 

 

________________________

 

 

 

と、こんな感じで補修授業部全員不合格!なんとそんなみなさんに朗報です。これから試験が終わるまで、トリニティの合宿施設で強化合宿決定!

 

あーもうめちゃくちゃだよ

 

 

 

「すでにお話は聞いております。どうやら最初の試験はうまくいかなかったようですね」

 

 

「うまくいかなかったとかそう言うレベルじゃないところまで来てますねこれ」

 

 

正直こっからどうやって建て直すのか俺が誰かに聞きたいレベルである

 

 

「ですがまだ、あと2回残っていますので......」

 

 

「2回.........2回かぁ.........」

 

 

そう言って羅衣は机に突っ伏する。

 

この姿勢をとるのももう久しぶりすぎる。

人間は楽な姿勢になろうとする時、こんな家事で頭から顔にかけてを覆い隠すらしい

 

 

 

「てかそれ何やってるんですか?」

 

 

「ああ、これはチェスです。趣味でして」

 

 

 

「チェス......」

 

 

「やってみますか?」

 

 

「ルールわかんないんですよね」

 

 

「学びながらでもやってみません?」

 

 

「......じゃあ.......」

 

 

俺はナギサさんの隣に移動し、チェスのコマを並べる。

 

 

確か、1番弱いのが『ポーン』で『キング』のコマを取ったら勝ちなんだよな

 

 

海外版将棋って感じか

 

 

 

「最近は付き合ってくれる人が少なく、暇をしていまして」

 

「......まぁ、ミカさんがやってるイメージはつきませんね」

 

 

「ミカさんも嗜まれますよ?楽しむ程度ですが」

 

 

まじか......あの人結構そう言うの苦手そうな感じしてたのに......

 

 

 

「あれ?ナギサさんの方にナイトとかのコマが足りない」

 

 

ナギサさんの方の板に置かれているのは、キングとクイーン。あとは全てポーンだけという紙装甲パーティ。

 

しかも俺の方には余分に動くコマが多く存在する。

 

 

これじゃあ白の方がガン有利......

 

 

「これ1人でやってたんですか?」

 

 

「はい、今は私1人で。ミカさんはやってる時うるさいですから」

 

 

「あ、うるさくはあるんだ」

 

 

なるほど、確かに将棋の名人も自分に不利な盤面で1人将棋をするとかもあったな

 

 

 

「ではこのまま始めましょうか。」

 

 

「流石にそれはキツくないすか?」

 

「ふふっ、もしも私が負けたらなんでも一つお願いを聞いてあげてもいいですよ?」

 

 

「お、言ったなぁ〜」

 

 

そうして、ナギサさんに教えてもらいつつのチェスが始まった。

 

 

 

「そう、ビショップは斜めに動かせます」

 

 

「あ、はい......」

 

 

「はいそうです。では、そちらのルークをいただきますね」

 

 

「嵌められた!」

 

 

「戦術です」

 

 

あっという間に俺の盤面はボロボロになり、余分にあったナイトやクイーンはすでに1個ずつまで減らされている

 

 

 

「......今日は先生に、お伝えしておきたいことがあったのですが......それよりも先に、先生の方から何かいいタゲなことがあるように見受けられますね」

 

 

「......あー......バレてるよな......まぁ、そんな感じです」

 

 

俺たちはゲームを進めながら会話をする。

こう言うマルチタスクは慣れてるからやりやすい

 

 

「あの、聞いてなかったんですけど、3回とも不合格になったらみんなってどうなるんですか?」

 

 

「......それは、当然」

 

 

ナギサさんは一際大きな音を立ててナイトのコマを盤上に置く。

 

 

「試験で不合格を繰り返す。落第を免れそうにない。助け合うことさえできない......だとすればみなさん一緒に退学していただくしかありません」

 

 

 

「......やっぱりか」

 

 

 

トリニティには.....いや、トリニティだからこそ厳格な校則が存在する。

 

流石はお嬢様学校とは言ったものだ。

 

 

「なるほど、そのために俺を呼んだんですね」

 

 

俺もナギサさんの勢いに負けじとポーンのコマを1番奥に置いて『プロモーション』させる。

将棋で言うところの『成る』に近い

 

 

「......その通りです。そのために補修授業部を新設しましたから」

 

 

俺のシャーレとしての権限を補修授業部に折り込み、退学までの手続きを簡略化させたか

 

 

 

「まるで......いや、元々___________

 

 

 

 

 

 

ヒフミさん達を退学させるために仕組みましたね」

 

 

 

 

 

「......ご明察、としか言いようがないですね」

 

 

 

そもそもで不可解な点が多すぎた。

 

なぜか組み込まれた3回までの実施試験

短すぎる期間

 

わざわざ補修授業のためだけに新設された部活

 

 

 

「理由をお聞きしても?」

 

 

 

「.......あの中に、トリニティの裏切り者がいるからです」

 

 

 

「裏切り者?」

 

 

それは初耳

あの中での裏切り者といったら_____

 

 

 

「それだったら俺が最有力候補でしょ。外部からの刺客かもしれませんよ?」

 

 

「それはあり得ません。連邦生徒会長が指名した上で、私達の申請を何度も無視している時点でスパイに入るメリットがありませんから」

 

 

......めんどくさかったとかじゃないよ。

 

ただ単に騙されそーだなーとかしか思ってないよ

 

政権問題はめんどくさいとか思ってないよ

 

 

 

「その裏切り者の狙いは、エデン条約の阻止。」

 

 

「条約の?」

 

 

条約締結の阻止......つまり俺以外の外部の人間?

その理由は2つある

 

 

一つは単純に条約の締結を嫌うのはトリニティとの和解を望まないゲヘナの組織

 

二つ目は、わざわざ内情を崩すトリニティ生の存在が考えられない

 

 

いや、まぁ内部崩壊を狙ったものではあるから全然可能性としてはあるんだけどさ

 

 

 

「......先生は、「エデン条約」についてどれほどご存知ですか?」

 

 

「......トリニティとゲヘナの和解のための条約。つまり不可侵条約ってことですよね?」

 

 

 

「端的にいえば、そうです。ですが、この条約の核心は、ゲヘナとトリニティのメンバーが全員出席する、中立的な機構を新設することにあります」

 

 

「新設......?」

 

 

わざわざ新しく作る利点があるか?

 

 

 

「『Eden Treaty Organization』『ETO』と呼ばれるであろうこの団体が、トリニティとゲヘナの間で紛争が起きた時に介入し、その紛争を解決することになります」

 

 

 

「っ!それってもう戦争宣言と同義じゃ......!」

 

 

二つの学園の最高機関に爆発する首輪を取り付けているにすぎない。

バッチリ敵対状況の平和条約とか言う矛盾

 

 

「言うなれば『呉越同舟』常に揺れ動く不安定な船に乗ることによる、敵対的な平和条約」

 

 

「矛盾に矛盾をコーティングしたみたいな言葉ですね」

 

つまり、どちらかが先に動けば紛争解決のために『ETO』が動き、そのまま三つ巴の全面戦争が開幕する。

 

「共倒れルートまっしぐらじゃないすか......」

 

 

「そうならないように条約が締結されるのです」

 

 

そういってナギサさんは一度紅茶のティーカップを持つ

 

 

「......先生、トリニティとゲヘナの長きにわたる敵対関係は、お互いに大きな重荷になっています」

 

 

「......それを解消するためにも、条約の締結は必要......と?」

 

 

「その通りです。連邦生徒会長が行方不明となった今、キヴォトスのバランスを保つための唯一の方法でもあります」

 

 

......確かに、両校のこの状態をこのまま放っておけば、確実に全面戦争が起こる。

 

そんなものを野放しにしておけば、政治とは全く関係ない場所で暮らしている人たちが思い切り迷惑を被るだろう

 

 

「そのためにも補修授業部に容疑者を一箇所に集めたのです。......裏切り者はそこにいます。ですが、誰なのかは分かりません」

 

 

「......疑わしきは罰せよ......ってやつか。」

 

 

ナギサの手が緊張で震える。

今やろうとしていることは、言うなれば分別しきれないゴミを箱ごと捨てるような力技。

 

噂で聞いた人格の先生が、到底許容するものではないだろう

 

 

「......その箱を作るために、私は先生をトリニティへ呼びました。.........ごめんなさい」

 

 

そうして、私は深々と頭を下げる。

 

「こんな、血生臭いことに先生を巻き込んでしまいました。私のことは罵っていただいても構いません」

 

 

おそらく、罵られるでは済まないだろう

 

殴られるか?蹴られるか

 

腕の一本は覚悟をしておいた方が良いだろう

 

 

 

「.........」

 

沈黙が、10秒、20秒と続く

 

 

恐怖で、頭を上げられない

 

いつか来るかもしれない衝撃を歯を食いしばって堪える

 

 

 

だが、そんな私が想定する答えとは全く違った言葉が返された。

 

 

 

「......いいですよ。犯人探し、協力します」

 

 

「......えっ?」

 

 

 

「人が頑張って立ち上げようとしてるものを壊そうとしてる奴がいるなら、俺だって黙ってられません。」

 

 

そもそも羅衣は、利用されることに怒っているわけではない。

 

なぜ利用するのか、それを理解できない現状に腹を立てていたのだ。

 

逆にそれが明かされたことでスッキリしたまである

 

 

「そもそもナギサさんは俺を利用するつもりじゃないですよね?利用するなら、俺を最後まで騙しておくはず。」

 

 

「......」

 

 

「それをしなかったってことは、ナギサさんが本気で困ってるってことなんです。いいですよ、いくらでも手を貸します」

 

 

 

利用される理由が、生徒同士の争いであっても羅衣はできるだけそれに手を貸したい。

 

 

その上で羅衣先生としてハッピーエンドを目指しているのだ。

これは、軽い覚悟では務まらない

 

 

「でも、それと同じくらい補修授業部にも手を貸します。」

 

そこだけは、譲れない

俺が俺として、一度受けた責任はきっちりと果たす。誰だって退学にさせやしない

 

「その上で裏切り者を探して、その雁首揃えてやりますよ」

 

 

____羅衣は生来、切り捨てるものは切り捨てる主義のものである。

自分ではどうしようもない事は切り捨てる。それ自体を許容できる人物でもある

 

 

 

「......ありがとうございます」

 

 

ナギサは安心したように椅子の背もたれにもたれかかる

 

 

 

「......まさか協力してもらえるとは思っていませんでしたよ......」

 

 

「生徒のお願いはできるだけ聞きたいですから。」

 

 

自身の手の届く範囲を助け、届かない分はかなりあっさり諦める。

 

2人は意外にも似たもの同士なのである

 

 

「んじゃ、俺はそろそろお暇しますね。みんなが腹空かせてる」

 

 

「あ、確かにもうこんな時間ですね。お引き止めしてすみません」

 

 

「いえいえ。また今度チェスの続きしましょう。」

 

 

 

そういって羅衣は椅子を立つ。

 

 

「ナギサさんも、ちゃんと休んでくださいね。」

 

 

 

最後までナギサを心配する言葉を残して帰る羅衣を見送り、ナギサはそのまま自身も帰り支度をする

 

 

 

「.......あ、チェス盤も」

 

 

一度盤に手を伸ばし、片付けようとするが_______

 

 

 

 

「.......このままにしておきましょうか」

 

 

次また彼と遊べるように、次はもう少しお堅いイメージが少ないお菓子を用意しよう

 

 

盤上には、ほぼ詰みの羅衣の盤面だけが残されいていた。

 

 

 

だが、それに一矢報いるように_______

 

 

 

 

ナギサのクイーンが掠め取られていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

_________________

 

 

 

「どうしたんですか先生?帰るなり急にチェスの勉強なんて......」

 

 

「勝つ!次は絶対に勝つ!」

 

 

意外と負けず嫌いな羅衣くんなのであった




ナギサ様ってすっごく頑張ってる人なんですよ。
大人の力に頼らず、トリニティを守るために戦った1人なんです。

だけど、自分でも限界を見つけて、大人に手を伸ばした。


でも、本編の先生はその手を取らなかった。


生徒の味方ではあるものの、そう言うことには疎く、協力できない

でも羅衣くんは引き際を得てしまっている。
だからこそナギサ様と同調したのです。

一概にどちらが良いとはいえませんが、どちらも合っていて、どちらも間違っている。それだけ


ちなみにナギサ様は可愛くて好きです
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