赤と青が交わる場所   作:カブライニキ

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新しいフォームを起動しようとしたらバグり散らかしたのでやめました


第六話 合宿ッ!それは学生への祝福

 

「漸く着きましたね、ここが私たちの……」

 

 

「合宿所……って奴ですね」

 

ナギサさんとの会合を終えたのち、俺たちはトリニティ校内にある合宿所に訪れていた。

もっと古臭い場所を想像していたが、内部は至って清潔で人が暮らすには十分すぎる立地だった。

 

「しばらく使われていない別館の建物と聞いていたので、冷たい床に裸になって寝ないといけないのかと思っていましたが……」

 

「裸の必要性は?」

 

今日も今日とてハナコさんはわけわからんこと言っとるわ。

まぁ、こう言う人なんだろう。俺がそれに合わせればいいだけだ

 

「広いですし、きちんとしていますし、可愛いベッドもあって何よりです。これならみんなで寝られそうですね。裸で♡」

 

「さっきからなんでちょいちょい「裸」を強調するの!?それにベッドの数もちゃんとあるんだから、みんなで寝る必要ないでしょ!?」

 

「せっかくの合宿ですし、そう言うお勉強も必要ではないでしょうか?」

 

「はいはい、そう言う勉強は時間に空きが出たらしましょうね。それよりも_____

 

 

 

結構埃っぽいんで、掃除しません?」

 

 

いつものハナコさんとコハルさんのじゃれあいを軽くいなしつつさっきから気になっていたことを口にする。

ぱっと見は綺麗だが、よく見れば手入れが行き届いていない場所は結構埃っぽい

 

「それもそうですね……ってあれ?アズサちゃんは……?」

 

「なんかさっき偵察とブービートラップを設置するとか言ってたんで外じゃないすか?」

 

「えぇっ!?な、なんで止めなかったんですか!?」

 

「そっちの方が安全かなって......」

 

 

アズサさんは合宿所につくなりいきなりトラップの設営を始めた。

うん、真面目なのはいいことだ。

 

 

「先生、今戻った」

 

 

「うす、立地はどうでした?」

 

「トリニティの本校舎からはかなり離れてるし、流石に狙撃の危険はなさそう」

 

 

「トラップの設営は?」

 

「先生から支給されたクレイモア12対とワイヤートラップが34個だ。」

 

 

「よし上々」

 

 

ここなら大丈夫は存在しないからな。いやー伏兵がいてくれてよかったよかった

 

 

「な、何をしてるんですか?!そんな危ないもの撤去しないと!」

 

 

「まぁまぁヒフミさん落ち着いて落ち着いて」

 

 

「だ、大丈夫なんですかこれ!?」

 

 

「.........大丈夫大丈夫」

 

 

「何が?!?!」

 

 

 

これぐらいキヴォトスじゃフツーふつーそんなん気にしてたら生きてはいけんぞ

 

 

そんな感じで俺がヒフミさんを宥めていると、アズサさんが館内を一望する

 

 

「ここが兵舎......いや、居住区か。......綺麗だな」

 

 

「まぁまぁ埃っぽくはあるんでこれから掃除するんですけどね」

 

 

「トリニティはこんな綺麗な施設を使わずに放置していたなんて......無駄遣いもいいところだ」

 

 

実際確かに綺麗だが、そこまでか?

俺が親父の家に住んでた時はこの施設を百倍不潔にした感じだけど.......

 

 

「あの、アズサちゃん......?私たちはここへ戦いに来たのではなく、勉強をしにきたんですよ?」

 

 

「わかってる。一週間の集中訓練だろう?外出禁止、自由時間は皆無。24時間一挙手一投足まで油断する事は許されないハードなトレーニング」

 

 

「いや、そこまでは言ってませんが......」

 

 

「うむ、その意気やよし。アズサ二等兵には伏兵の任を与えよう」

 

 

「Sir YES Sir!」

 

 

うむ、我本来ならこの人より年下だが、そう言うことにしておこう

 

 

「あ、でも任務は確実に遂行する。きちんと勉強して、第二次特別学力試験にはどうにか合格する。そのためにここに来たんだ」

「......迷惑は、かけたくない」

 

 

.........そんなに気負う必要はないと思うけどさ

 

 

 

「アズサさんは優しいね」

 

 

俺はそう言ってアズサさんの頭をポンポンと撫ようと_____

 

 

「っ.......!」

 

 

「.........」

 

 

頭に手を翳そうとした瞬間、アズサさんの体がビクんと震えた。

その上痛みに耐えるように瞼を瞑っている。

 

 

俺は一瞬迷ったが、そのまま頭を撫でた。

 

「.........ごめん、こう言うのは慣れてなくて」

 

 

「いんや、俺が無神経に頭撫でに行ったのが悪いですね。セクハラで訴えちゃってください」

 

 

俺はその動きに、どこか見覚えがあった。

 

 

......ああ、そうだ

 

 

出会った頃の、リツだ

 

 

あの頃のリツはひどく荒んだ目をしていて、この世のもの全てを憎むような呪詛を吐いた。

 

だと言うのに俺の小さな動きに怯え、身を震わせていた。

 

 

明らかに、何かに怯えるような動き

 

 

 

「では、早速お掃除を始めましょうか。」

 

 

「......そうですね。」

 

 

一瞬暗くなった空気をハナコさんが破る。

 

今は昔のことより埃っぽい場所の掃除だな

 

 

「.........」

 

 

何かに怯え、無意識の内から何かに怯えるような姿勢。

 

その動きを見逃さなかったのは、羅衣だけではない

 

 

 

「.........アズサ......

 

 

 

_______________________

 

 

 

「バッスマジックリン♩」

 

 

「先生、その歌に何か意味はあるのか?」

 

 

「この歌を歌うと洗剤の効力が五割り増しになるんですよ」

 

 

「本当か!?」

 

 

俺たちはとりあえず汚れてもいい服装に着替え、それぞれの持ち場で掃除をしていた。

 

俺、リツ、アズサさんはシャワー室と大きな浴槽の掃除。

 

コハルさん、ハナコさんは洗濯。

 

ヒフミさんは全体を俯瞰しながら掃除機を掛ける係

 

 

「お父さん、こっちは終わりました」

 

 

「オッケー。んじゃヒフミさんのこと手伝ったげて。1人寂しく掃除機かけてると思うから」

 

 

「わかりました」

 

 

リツはそのままヒフミさんの手伝いに行った。

 

......うーん、やっぱりタッパがあるからジャージとか着てても映えるな。

 

足がマジで長い

 

 

「俺たちは浴槽磨きとパイプの確認しましょう。錆びてたら大変だ」

 

 

「了解」

 

 

俺とアズサさんは洗剤とスポンジを持って浴槽を磨く。

 

 

 

「......アズサさんって、『エデン条約』って知ってますか?」

 

 

「......エデン条約?さぁ、知らないけど」

 

 

「確かに大きいイベントですけどまだ知らない人の方が多いですもんね」

 

 

俺とアズサさんの手は変わらずスポンジを動かし続けている。

背を向けているせいで、表情は見えないが

 

 

「......すんませんオチないです。急に変な話してごめんなさいね」

 

 

「.....大丈夫」

 

 

その後俺たちは軽く会話を交わしつつ掃除を終え、特に話すことも無くみんなのところへ戻った。

 

 

 

_________________

 

 

 

「おーい!少し休憩にしますよー!」

 

 

一度全員を簡易キッチンまで集め、休憩することにした。

 

流石に長時間屈んだりしてれば疲れる。糖分補給大事

 

 

「流石に疲れましたね.........」

 

 

「でもだいぶ良いんじゃない?ずいぶん綺麗になった気がする。うん、気持ちい」

 

「かなり時間をかけたから良いクオリティになったと思う。」

 

 

みんなは俺の作ったおはぎを食べながら駄弁る。

 

うーんこれは青春

 

 

「リツさんは食べないんですか?」

 

 

「お父さんが作ったものはお父さんにくっついて食べると決めているんですけど内輪ノリをここでやるのは些か......」

 

 

おぉ、リツが成長しておる。

ちょっと前なら無理矢理くっつきに来てたのに

 

 

「く、くっつ!?い!?え、えっちなのは駄目!死刑!」

 

「ありゃ、まーたコハルさんのエ駄死に引っかかってしもた」

 

 

ちなみにリツがコハルさんのエ駄死にひっかかったのは今週で4回目である。

 

 

「ふふ......あ、そういえばまだ掃除してない箇所が残ってましたね」

 

 

「ん?どっか残ってましたっけ」

 

 

教室から風呂に体育館。

果ては中庭まできっちり掃除したはずだが......

 

 

「はい、屋外プールが♡」

 

 

 

_________________

 

 

 

「......これ駄目ですね」

 

俺たちは別館から少し離れていた屋外プールに訪れていた。

 

もう何年放置されていたかもわからない水からは腐臭自体しないものの、ところどころ虫が浮かんでいたりして汚れかたがエグい

 

 

「水がもう死んでる。こっから復旧させたら今日丸一日使ってようやくって感じですよ......?」

 

 

水抜きから滑りとり、そこから洗剤で細かく掃除するとなるとかなりの時間を要する。

 

 

「そもそも補習授業には水泳の科目はなかったはずだけど?」

 

「試験に関係ないなら、別にこのままでも良いじゃん。掃除する必要ある?」

 

 

「そもそも掃除しても遊ぶ暇が......」

 

 

それぞれの言い分は最も。

逆にこれから勉強すると言うのにプールを掃除する暇もない。

 

「いえいえ、よく考えてみてください、リツさん」

「キラキラと輝く水で満たされたプール......楽しい合宿。はしゃぎ回る生徒たち」

 

 

「いや、私はあまりプールに興味は......」

 

 

「先生の水着姿♡」

 

 

「掃除しましょう。プールは合宿に必要不可欠です」

 

 

驚くほど手首がギュルンギュルン回るリツさんとハナコさんがこちらをガン見している。

 

リツに至っては鼻息が荒い

 

 

「でも確かに、こうして放置されてしまったプールを見ていると......なんだか物寂しい気持ちになりますね」

 

 

「......まぁ、確かに......」

 

 

放置されてしまった施設や場所には頻繁に呪霊が湧く。

 

キヴォトスに呪霊がいないとはいえ、このまま放置してしまうのも心にとっかかりを産んでしまう

 

 

「このサイズだったし、昔はきっと使われていた時期もあったんだろう。元々は、賑やかな声が響き渡っていた場所なのかもしれない」

「それでも、こんなふうに変わってしまう。『Vanitas vanitatum』......それがこの世界の真実」

 

 

 

その言葉、知っている

 

 

アズサさんのはなった一言が俺の記憶を呼び出す。

 

 

アビドスにまだいた頃、一瞬だけ知り合った友達。

 

 

彼女が口癖のように言っていた言葉だ

 

 

 

「『すべては虚しいものである』って意味でしたっけ。」

 

 

「はい。古代の言葉ですね」

 

 

........虚しい。か

 

今思えば急にいなくなったミサキさんは今どうしているのだろう。

 

基本話していたことといえば『今日はこれが嫌だった』とか『リスカしたことが家族にバレて怒られた』みたいな暗い話ばかりだった気もする。

 

もし、俺の知らない間にSOSを出していたのだとすれば、俺はミサキさんの辛さに気づけていなかったと言うことになる。

 

 

諸行無常。ただただ人の征く道の末は滅びだけが待っている。

 

 

......例えそうだとしても、動かない理由にはならない

 

 

 

「......アズサちゃん、ヒフミちゃん、コハルちゃんにリツさん!それに先生!」

 

 

 

「ん?」

 

 

「今から遊びましょう!」

 

 

「え、えぇっ!?」

 

 

「急だなぁ......」

 

 

「今から掃除して、プールに水を入れて、みんなで飛び込んだりしましょう!」

 

 

急にハナコさんがそう言い出す。

 

 

「遊ぶったってこれからじゃ日が暮れて.........第一これから勉強しないと......」

 

 

 

「だからこそ、です。明日からは頑張ってお勉強し続けないといけませんし、となると今日が最後のチャンスかもしれないじゃ無いですか」

 

 

「ん“.........まぁ、確かに......」

 

 

こっからは遊ぶタイミングがほとんどないだろう。

 

だからこそ今遊ぼうと言うのは理に叶ってはいるが......

 

 

 

「さあさあ、早く濡れても良い格好に着替えてきてください!プール掃除を始めましょう!」

 

 

 

「......うん。例え全てが虚しいことだとして、それは今日最善を尽くさない理由にはならない。問題ない、ちゃんと水着も持ってきてる。待ってて」

 

そう言ってアズサさんは本館の方へ戻っていく。

 

「あ、アズサちゃん!?はやっ......!?」

 

 

「さあヒフミちゃんも!コハルちゃんも早く水着......いえ、なんでも良いので濡れても良い格好に!」

 

 

あ“ー......もう完全に遊ぶムードになってる......

 

 

......確かに、一次試験もみんなちゃんと受けてくれたからちょっとくらいご褒美があっても良いよな......

 

 

 

 

「......ほら、リツも着替えてき。」

 

 

「......お父さんは?」

 

 

「俺は腕がないからちょっと無理だな」

 

 

向こうでは無言でコハルさんに躙り寄るハナコさんが見える。

 

 

ハナコさん結構タッパがあるからこええだろうな......

 

 

 

_________________

 

 

 

「さあ、これでびしょびしょになっても構わないと言うことですね♡」

 

 

「待て待て待て」

 

 

「?どうかなされましたか?」

 

 

「なんで然るべき時に水着じゃなんだこの人は」

 

 

他のメンバーはリツ含めて全員水着だと言うのにハナコさんは自分の制服のままだ

 

 

「うん、問題ない」

 

 

何を思って問題ないのかわからないが、多分大丈夫なんだろうな

 

 

 

「では、みんなでお掃除を始めましょうか!」

 

 

 

「......コハルさん。あれは大丈夫なんですか?」

 

 

「良いわけないでしょ!更衣室でいくら言っても聞かなかったんだから!」

 

 

うん、女性陣が止めて無理なら俺はもっと無理だろうな。

 

 

「流石に制服が濡れるのは駄目なんじゃ.....」

 

 

「......先生、これは各々の美学の問題かもしれませんが......」

 

 

おーなんか哲学的な問題に......

 

 

 

「先生は水着と制服、どちらが濡れた時に『良い感じ』になると思いますか?」

 

 

「制服(即答)」

 

 

「そう言うことです♡」

 

 

「なんだそう言うことだったのか」

 

 

なーんだ心配して損した

 

 

「何がそう言うことなの!?何が大丈夫なの!?全然何も解決してないでしょ!」

 

 

「コハルさん。ロマン。それはロマンの問題なんですよ」

 

 

うん。ロマンは濡れて透けた制服にある。

かの有名なワン○ースも濡れた制服なのではないかと予見されるほどなのだから

 

 

......英梨は常時無限を展開してるせいで雨に打たれなかったんだよな......

 

 

結局この問題はコハルさんが折れて試合終了となった。

 

時にはロマン基づいて行動するのも良いのだろう

 

 

 

 

_________________

 

 

 

「3番栓よし.........と」

 

 

俺が水着の女子高生集団の中にいられるはずもないので、とりあえずプールのパイプを確認していた。

 

 

 

「.........終わったかな」

 

 

いや、まだ行かないほうがいいだろう。

 

もう二度とRabbit小隊五右衛門風呂事件を起こすわけには行かない。

 

今度こそ切腹案件だ

 

 

「.........アリウス......か」

 

 

 

リツが逃げてきた『学区』

なぜかプラナの検索に引っかからない謎の自治区

 

リツから何度か話を聞いてはいるが、地獄のように苦しい場所くらいしか情報がない。

 

無理に聞き出してまたパニックを起こさせるのは酷すぎる

 

 

 

『ほら!見てください!虹ですよ!』

 

 

『ひゃっ!?ちょっ、ハナコちゃん冷たいですよぉ!』

 

 

 

プールの方からはみんなのはしゃぐ声が聞こえる。

 

まさか学区の違いで気温差が生まれるとは思わなかった。

 

まぁ、それぐらい学区同士で土地が離れてるんだけどさ

 

 

 

『ほら!リツさんも!』

 

 

 

『うひゃぁ!?ちょっ......冷たい......』

 

 

 

リツもはしゃげてるようで少し安心する。

 

......友達ができたようで、安心したような、ちょっとばかし寂しいような。

 

これが親心ってやつなのかな

 

 

......いつか彼氏とかを連れて来るんだろうか

 

 

あ“っ!お父さん耐えられない!それ死ぬ!

 

 

 

「お父さん」

 

 

「ビャァ!びっくりした......どうした?」

 

 

噂をすればなんとやら。

リツが配管室に入ってきた。

 

 

「プールの掃除があらかた終わりました。」

 

 

「あ、水ね。りょーかい」

 

 

俺はメインバルブを開け、プールに水を供給する

 

 

「トリニティ湖から直で引っ張ってきてるのか......」

 

 

「ハナコさんによるとそのまま飲んでも良いらしいです」

 

 

「.........」

 

 

 

「......どうかしました?」

 

 

「.....いや、リツが他人について話してるの珍しいなって」

 

 

今まではたまに会うユウカさんとかホシノさんの事務連絡くらいしかなかったから、リツがこう言う話を自分からしてくるのは意外と初めてかもしれない

 

 

 

「......みなさん優しいんです。私をあの輪の中に当たり前のように迎え入れてくれる。」

 

 

「......友達になれそう?」

 

 

「.........正直、まだわかりません。」

 

 

 

 

 

「でも________

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いつか、気兼ねなくそう呼べるようになりたいとは、思っています」

 

 

 





補習授業部が迎える初めての夜!

女子高生五人・男子校生1人

何も起こらない筈もなく……


そして羅衣先生は少しづつ物語の核心に迫ってゆく。

そんな彼らを待ち受けているのは、希望か絶望か


次回・『なんで歴史資料見る必要があるんですか(正論)』


さぁて次回も、サービスサービスゥ♡
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