赤と青が交わる場所   作:カブライニキ

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羅衣くん、休め。

今まで大人として気負った分、子供でいられる時間も増やせ。

おかわりもあるぞ!


ではこれより、エデン条約編を始める!!


第十二話 どうか、貴方のままで

 

「美食研究会に......シャーレ?」

 

『はい。どうやら先生が前線に立ってるみたいで......ところで先輩今どちらです?早くご命令をいただかないと、このままだとツルギ先輩が発射......飛び出していきそうっすけど......』

 

 

「つ、ツルギはとりあえず止めておいてください。私はその......私用で少々外に......」

 

『いやぁー無理っすよ。ハスミ先輩以外じゃそうそう止められな____』

 

 

次の通信はツルギが壁を破り、そのまま出動した音だった。

 

 

「......」

 

すでに外からは戦闘音が聞こえる。

 

「近いな。発砲音からしてここから約一キロ圏内......と言うかこれは......」

 

 

「お父さんの銃......?」

 

 

そして今ハスミの前には補習授業部+リツの面々が構えていた。

 

なぜハスミがいるカフェに居るのかと言うと、ハナコの提案により全員で夜のお出かけをしていたところにバッタリと出会したせいだ。

 

 

「.........はぁ.........仕事が.........」

 

 

いつも前線に立ってくれるのはありがたいが、その後の資料作りが大変過ぎる。

 

この前なんて『先生が空を飛んでいました』と書いたら連邦生徒会から普通に注意された。

 

 

そう思いながらもハスミは補習授業部を連れ、現場へと向かうのであった。

 

 

 

 

 

 

________________

 

 

 

「ね、ねぇ!マグロ取られちゃったけど......」

 

 

「今は会長とジュンコちゃんの介抱が必要ですね。一旦体制を立て直して_____

 

 

アカリが勢いよくハンドルを切り、再びゲヘナへと道を戻すと、

 

 

《Special Tune!》

 

 

 

《million HIT!》

 

 

 

すでに剣を構えた羅衣が道路に立っていた

 

 

 

「は、ハンドル_______

 

 

 

「もう切ってますよ......っ......」

 

 

 

アカリは思い切り右にハンドルを切り、裏路地に車を進める。

 

 

「_____っんが!?こ、ここどこっ!?」

 

 

「......ふわ......あまり良い目覚めではありませんね......」

 

 

その衝撃で2人は目を覚ます。

 

 

「ここはまだトリニティですよ、ついでに言えばまだ先生に追われていますね」

 

 

「ぜ、全然ついでで言っていいことじゃないでしょ!?どーするのよ!」

 

 

「ふむ......もしやバラバラに逃げれば生存率が上がるかもしれませんね......」

 

 

「なるほど、いいアイデアですね会長⭐︎では足の速さ次第ですが、弱肉強食と言うことで♩」

 

 

そう短くいったハルナとアカリは車を飛び降りる。

 

 

「......は?ど、どーいう神経してんの!?い、イズミ先輩、逃げ______

 

 

 

ジュンコは咄嗟にイズミが乗っていた席を見るが、そこにはすでにイズミの姿は無かった。

 

 

 

「......わ、私も早く......!」

 

 

慣性で動き続ける車を飛び降り、地面に足を_____

 

 

 

 

 

「.........」

 

 

「あ」

 

 

 

着くまえに首根っこを羅衣に掴まれ、身動きが取れなくなる

 

 

 

「......1人目」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ギャァァァァァァァ!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

______________________

 

 

 

 

「ふぅ.........ここまで来れば大丈夫でしょうか......」

 

 

 

ハルナは走ったことでかいた汗をハンカチで拭いながら周りを確認する。

 

 

「あ、アカリさ_____」

 

 

暗がりの中アカリを発見し、少しホッとした

 

 

 

 

のも束の間

 

 

アカリの後ろに何かが潜んでいる

 

 

 

「あら、会長......あの、端的に言いますと.........無理でした」

 

 

 

すでにフラフラの状態だったが、ついにアカリは倒れ、その後ろの人物が顕になる

 

 

 

「.........2人目。と」

 

 

やはり羅衣。

 

慈悲はないらしい。

 

 

「......コラ」

 

 

「ひっ.........」

 

やはり記憶の奥底にある謎のトラウマを刺激され、情けのない声が出る。

 

 

「.........三人目」

 

 

そう言いながら羅衣はハルナに手を伸ばす。

 

普段は風紀委員長であるヒナにすら畏れを抱かないハルナですら恐怖の余りぎゅっと目を瞑る。

 

来るべき衝撃に備えて

 

 

 

(ナデナデ)

 

 

 

だが、来たのは弾丸の衝撃でもなく、拳のような痛みでもなく。

 

なぜか頭部を撫でられる感覚だった

 

 

「っぁ.........」

 

 

許された。

そう思いゆっくりと瞼を開けると_____

 

 

 

「おやすみ」

 

 

マグナムを眼前に押し付けられ、先生の全く目の奥が笑っていない笑みだけが見えた。

 

 

 

撫でられていたのは、頭を固定しただけだったようだ

 

 

 

 

 

_________________

 

 

 

「ただいまです」

 

 

「あ、先生。随分遅かったですね」

 

 

「.........モウシワケゴザイマセン」

 

 

美食研究会を全員(イズミは羅衣の食べていた携帯食料に釣られ、確保)風紀委員会に届けた後、ナギサさんを待たせていたカフェに入ると、見るからにピキっているナギサさんが待っていた。

 

 

「......それよりも、大丈夫でしたか?遠くから何やら爆発音や戦闘音が聞こえてきて......」

 

 

「.........誰かがテロリスト狩りでもしてたんじゃないかな」

 

 

「......大丈夫ですか?」

 

 

ナギサさんは正面に座った俺を心配そうな目で見つめながら、またも心配そうに聞いてくれる。

 

 

......かわいいな。ウチの生徒

 

 

「大丈夫ですよ。特段怪我とかもしてませんし」

 

 

逆に俺はもう遅い時間だと言うのに眠気すら感じておらんぞ

 

HAHA、無敵

 

「.......そうではないです。先生の、心の方です」

 

 

「......特に心臓の病は患っておりませんが」

 

 

「ボケてるつもりならやめて下さい。先ほど先生.........すごく怒ってるように見えまして......」

 

 

そう言われ、俺は多少は納得したが、半分は納得しなかった。

 

 

俺が怒っていたのは美食研が水槽を破壊したことくらいでそれ以外は特に_______

 

 

「特に、壊れた水槽を見ていた時に......」

 

 

そう言われ、俺は少し自身の感情を顧みる。

 

 

そう思えば確かに死んだ魚を見た時は心底怒りが湧いた。

 

でもなんでだろう。特段魚が好きとかじゃないのに

 

 

「.........まぁ、もう終わったことなんで、蒸し返さずいきましょうよ。少なくとも俺はナギサさんと回れて楽しかっ_____

 

 

その言葉に、俺の蟠りが少し解ける。

 

 

そうだ、楽しかったんだ

 

 

 

ナギサさんとたくさん喋って、仲直りできた気がして。

 

楽しかったんだ

 

 

ハタタテダイを見た時も、俺はキヴォトスなら生きられるかもしれないって少なからず思ったのは確かだ

 

 

......だから、あんなに悔しくて、あんなに嫌だったんだ

 

 

 

......美食研の人たちに、また大人気ないことしたな。

 

 

テロ行為に及んだとはいえ、ハナから話し合いを排して武力行使に移ってしまった。

 

......生徒にしていいことじゃないな

 

「.........先生?」

 

 

「あ......いや、楽しかったなって」

 

 

羅衣は変わらず笑顔を向けてはいるが、少し悲しそうな雰囲気を醸し出している。

 

 

「.........先生、少し失礼します」

 

 

そう言ってナギサは羅衣に手を伸ばす。

 

「よ、よしよし......」

 

 

慣れていない手つきでナギサは羅衣の頭を撫でる。

 

「大丈夫です。先生も子供なんですから、怒ったっていいんです。偶には発散しないといつか壊れてしまいますから」

 

羅衣はそんなナギサをキョトンとした顔で見ていたが、次第に貼り付けたような笑みが自然な笑みに変わってゆく。

 

 

「......そっか......確かに俺子供でしたわ」

 

「今思い出したんですか......」

 

 

七海さんにもそう言われただろう。

 

 

『あなたはまだ子供です。先ずは大人振るのをやめなさい』

 

 

不意に、ナギサの姿が恩師の姿に重なる。

 

あの時、頭を撫でてそう言ってくれた。

子供でいいと言ってくれた。

 

 

.........そうだ、俺はまだ子供なんだ。

 

反省はしても、無駄に気負う必要もないだろう。

 

 

「......ありがとうございます。楽になりましたわ」

 

「よ、良かったです」

 

 

ナギサはさっきまで自分がしていた事に気がつき、急に恥ずかしさが押し寄せる。

 

だが、少なくとも羅衣が、羅衣自身が子供であると再確認したナギサなのであった。

 

 

 

 

その後はナギサを校舎まで送り、羅衣は帰路に着いた。

 

 

 

 

________________

 

 

 

 

「門限は何時でしたっけ?」

 

 

「......8時、です......」

 

 

「今何時ですか?」

 

「11時です......」

 

 

帰ってきて早々、俺はみんなに説教をしていた。

 

......俺より先に帰って来てたら見逃したのに......

 

 

羅衣はすでに戦場に補習授業部がいることには気づいていた。

 

だが、その時はナギサと行動しているため不用意に近づくことはしなかったのだが、補習授業部の面々は羅衣が帰宅した時にちょうど帰宅してしまったのだ。

 

「はぁ......ま、怪我がなくて良かったですよ。危ないことに巻き込まれてたらどうしてたんですか......」

 

 

ぱっと見全員怪我はないし、危ないことに巻き込まれていた気配はない。

 

ハスミさんが付いていたっぽいし危ない事も特にしていないのだろう。

 

 

「リツ、最年長者がいると言うのになんでみんなを止めなかったの?」

 

 

「えっと.........その.........み、みんなで夜のお出かけが......」

 

 

「そう言うのは俺がいる時にしなさい。」

 

 

リツが集団の中で行動し、自分の意思もだいぶ出せるようになってきたのは大変喜ばしいことではあるが、親代わりとしてちゃんと注意しなければいけないところはしっかり注意する。

 

「すみません先生。私が皆さんを連れ出してしまって......」

 

 

「一概にハナコさんだけ悪いわけじゃないでしょ。付いていったみんなもちゃんと悪いですよ」

 

 

「うぅ.........」

 

 

ハナコさんさては最初からみんなを庇うために自分が提案したなこれ。

 

「......まぁ、今回は注意で済ませますけど、今度からどっかに遊びに行くときは俺に相談すること。」

 

 

「は、はい......以後気をつけます.........」

 

 

ヒフミさんはなぜか床に正座して申し訳なさそうにしている。

 

 

「.........ブフッ.........あ〜もう疲れたからこのキャラやめまーす」

 

 

「キャラ付けだったんですか!?」

 

 

なぜか吹き出してしまい、もうめんどくさくなったからいつもの調子に戻る

 

 

「......お父さんなんか軽くなりました?」

 

「なして?」

 

 

「いえ......なんか雰囲気が......」

 

 

リツは羅衣がトリニティに来てから何かに付けて無理に大人を演出していたことに気づいていたが、その雰囲気が戻ったことに一早く気が付いた

 

 

 

 

 

 

 

「ん〜.........まぁ、俺も子供ですから。偶には調子も軽くなるよ」

 

 

 

怒涛の1日ではあったけど、ナギサさんと仲直り?は多分できたし、何より____

 

 

 

 

 

 

俺のままで、子供のままで良いと、ようやく気づけた。

 

 

 

 





子供であることを自覚すると言うことは、大人であることを否定する行為でもある。

背負過ぎは厳禁。
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