赤と青が交わる場所   作:カブライニキ

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ナギサ様と羅衣くんはかなり仲が良いです。

だからこそお仕置きも楽しくなるということ。

いやぁ、楽しかったですよ……


第十五話 それでも俺は、貴女の味方でありたい

 

「本日もお疲れ様でした!」

 

 

「はいお疲れ。今日はゆっくり休んで明日に備えてくださいね〜」

 

 

俺はみんなの模擬試験の解答用紙を回収しながら思考を巡らせる。

 

 

 

 

『私としては、補習授業部を合格させる気など塵一つほども無いですがね』

 

 

 

そんなナギサさんの言葉を反芻する。

 

考えろ。

ナギサさんの妨害をどうにか防ぎつつみんなを合格させるためのルートを

 

「......えー、みなさんご存知の通り明日は第二次学力試験となっています。昨日も言った通りみなさんならぶっちゃけできます。」

 

 

具体的にどんな妨害が入るかはわからなかった。

というか、明かしてはくれなかった。

 

 

「本番で大切なのは今までの積み重ねと、それに対してどれだけ本気になれたか。で勝敗が決すると思ってください」

 

 

......どうも、無事には終えられそうな気がしない。

 

...全くもって

 

 

「......ふっ......俺も陰ながら応援させていただくんで、みなさんの頑張りの成果を叩きつけてきてください!俺からは以上です」

 

 

俺がそう言うと、みなさんがそれぞれ気合の入った言葉を返してくれる。

 

うむ、うちの生徒はやはり根性があるな。

 

 

 

「あとはしっかり試験に合格し......堂々と補修授業部を卒業するだけです」

 

 

みんなで笑ってお別れできるように......か。

 

 

敢えてヒフミさんは言葉に出さなかったのかな。

......そりゃそうか。今日まで当たり前みたいに朝飯を一緒に食べて、一緒に勉強して、一緒に寝て......

 

 

それがもうそろそろ終わりを告げてしまうのだから。

 

 

『......人生とか、肉体とか、私には全部虚しい。だから早く楽になりたい』

 

 

 

空な目でそうぼやいていた1人の友人を思い出す。

確かに、出会っても結局別離が来てしまうのならやはり人生は往々にして虚しいものなのか?

 

 

 

「.........まぁ、お別れっつっても補習授業部が解散なだけでおんなじ学校なんだから」

 

 

補習授業部が終わっても、友達は終わらない。

 

おにぎりの師匠だってそんなことを言っていた。いや、あの人普通に裏切るんだけどさ

 

 

「そ、そう!私はいつも正義実現委員会の教室にいるから!ひ、暇な時があったら来れば......?」

 

 

「......うん」

 

 

「えっと、気持ちとしては同じなのですが、とりあえず試験に合格することが先決と言いますか......なんだか急に青春ドラマのエンディングになっているような......」

 

 

「こまけーことは気にしなさんな。別にエンディングってわけじゃ無いんですし。」

 

 

逆に君たちはこれからが本編だろうに。

高校生活は短いとか言われてるだろうけど、案外長い物であると思うし

 

 

「と、とにかく。今日は先生の言う通り早めに休んで、明日の試験に備えるとしましょう」

 

 

「てことでおやすみなさいですね」

 

 

俺はクタクタになったチェスの指南書を持ち、部屋に戻ろうと______

 

 

 

「あ、そういえば明日の試験って前と同じところでするの?」

 

 

「そういえば告知見てなかったな......」

 

 

コハルさんの指摘でようやく気が付き、俺はホームページを開く

 

 

 

 

 

 

 

ロードが妙に長い。

 

嫌な予感......と言うより確実に嫌なことではあるだろうな

 

 

「.........っ!!!」

 

 

(ダンッ!)

 

羅衣の机の叩く音が響き、生徒たちは身を一瞬震わせる。

 

 

「おとうさ___

 

 

「......やられたっ.........!!」

 

 

リツの心配の声を無視する。

だとしても今彼女たちに伝えなきゃいけない。

 

 

「......『補習授業部の第二次学力試験の変更内容』......今になって急に......?」

 

 

「.........ははっ.........くっ......まさかここまでやる人だとは考えても無かった.........最悪だ......」

 

 

ホームページがロードされ、示された文章は______

 

 

 

「試験範囲を既存の範囲から約三倍に拡大......それに加えて合格ラインを90点に引き上げ.........か」

 

 

「は、はぁ!?何よそれ!?」

 

 

「.........クソが.........」

 

 

なるほど、ナギサさんが言っていたのはこれか。

随分と脳筋スタイルで来るんだな。

 

まさかその権力だけでここまでのコトを起こすとは

 

 

「わ、私も90点なんて超えたことないのに......」

 

 

「ど、どう言うことよこれ.........」

 

 

本当にどう言うことか真偽を問いたいね。

それと倫理観と人間性も加えて確かめてみたい。

 

 

「昨日急にアップされたみたいですね。まさか試験開始に合わせてくるとは全くもって対策ができてませんでしたけど」

 

 

そんな自分を悔やむのは今じゃない。

考えろ。対策を

 

 

『プラナ』

 

 

『はい、先生』

 

 

『.........“アレ“そろそろ頼む』

 

 

 

 

俺はプラナにそう命令する。

 

露骨。

あまりにもお粗末な策。

 

だが、今の現状はこの策が1番の一手であろう。

 

 

「流石としか言いようがない......誰かを追い詰めるのは得意ってか.........」

 

 

 

不思議と腹は立たない。

怒りも湧かない。

 

ただただ、ナギサさんのその手腕に感心する。

 

齢17にしてあそこまでの戦略手腕。

そして、確実に相手を追い詰められる一手。

 

 

「......なるほど、私たちの模擬試験の結果を、ナギサさんが何かしらの手段で把握したみたいですね。」

 

 

「そこまでして俺たちを厄介払いしたいのか.........露骨だなぁ」

 

 

「ど、どうしましょう!?このままじゃ私たち退学に____っあ!」

 

 

ヒフミさんは自分が放った言葉に気がつき、慌てて手で口を塞ぐが、時すでにお寿司

 

「......退学?」

 

 

「えっ、た、退学!?ちょっとどう言うこと!?」

 

 

..........言うべきか?

 

 

もうここまでばれたんだ。ここで出し渋るのは、逆に反感を買うな。

 

 

 

「そのお話も......いえ、その前に他にも変更された部分がありますね」

 

 

「......ええ。試験場所がやべぇことになってますよ」

 

 

 

 

 

補習授業部 第二次特別学力試験実施会場・ゲヘナ自治区15エリア77番街、廃墟一階

 

 

 

 

 

 

_______________________

 

 

「つまり、私たちは試験に3回落ちたら退学......!?」

 

 

「そう言うことです。今まで黙ってて、本当にすみませんでした」

 

 

俺はみなさんに深々と頭を下げる。

 

本当だったら焼き土下座も辞さないのだが、あいにくと今はそんな事をしている暇ではない

 

 

「......なるほど」

 

 

 

「せ、先生のせいだけじゃないです!私もずっと隠してて......!」

 

 

「ど、どうすればいいの!?退学になんてなったら、正義実現委員会に復帰できない......!」

 

 

.........最悪、ナギサさんを裏切る......?

いやダメだ。

今度こそ何しでかすかわからんかくなる

 

 

「......状況は理解した。とにかく出発しよう」

 

 

「.........えっ?」

 

 

「試験時間が『深夜の3時』って書いてある。今から出発しないと間に合わない」

 

 

「あ、確かに......!?」

 

「驚くにせよ、怒るにせよ、絶望するにせよ......それは試験を受けてからでも遅くはない。障害物の多さに文句を言ったところで、状況が変わるわけじゃない。大切なのは、それでも最後まで足掻くこと」

 

 

 

.........すげぇ

 

俺は何をしている?

全部全部生徒に言わせちまった。

 

俺が、最後まで諦めんなって言わなきゃ無かったのに。

 

 

.........確かにそうだ。障害物は、壊して往け

 

それが先生()の役目だろう

 

 

......にしてもカッケェなアズサさん

 

 

「その通りですね。よし、このまま行きましょう。」

 

 

俺は最低限の装備を陰に押し込む。

 

 

「......そうですよね。アズサちゃんと先生の言う通りです。今はとにかく動くしかありません。」

「それにしても、ふふっ.........ゲヘナに試験を受けに行くなんて、初体験です♡」

 

 

「わざわざゲヘナを選んでる......いい性格してんな」

 

 

引っかかるのは、『廃墟』

 

 

なぜわざわざここまでして試験の会場を特設しなかった?

 

「すぐに出発しよう、各自装備をわずれずに」

 

「ぶ、武器!?銃火器ですか!?」

 

 

「当たり前でしょ。これから行くのは完璧にゲヘナの管理下なんですから、トラブルが起こらない方が驚きですよ」

 

 

これまでに何回か空崎さんの仕事を手伝いに行った時も基本トラブルが起こらないなんてことは絶対になかった。

 

まぁ、空崎さんと一緒に歩いてる時はあんまり絡まれたりしなかったけど

 

 

「あ、あうぅ......どうしてこんなことに........」

 

 

「まぁまぁ、嘆くより先に試験ですよ〜」

 

 

それぞれ銃火器を持ち、出陣の準備を完了させる。

 

「行こう、先生」

 

 

「おし。んじゃ、合格までの片道切符を行きましょうか!」

 

 

それぞれ足並みを揃えて、宿舎を出る

 

 

だが、俺は敢えて後ろに下がり______

 

 

「リツ、なんかあったらみんなを頼める?」

 

 

「......了解です。」

 

 

「......ありがと。」

 

 

何事もない、軽い会話。

 

だが、その間には何者にも変え難い信頼の糸が結ばされている。

 

 

「......俺になんかあったら、すぐに空崎さんのところに行って。」

 

 

 

.........でも、まだ

 

 

 

 

 

 

貴女の味方でありたいと、今でも思ってるよ




お仕置き楽しみだなぁ〜〜〜〜


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