赤と青が交わる場所   作:カブライニキ

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みなさま、UA数20000ありがとうございます。
最近この作品を一話から読み返したりして暇つぶしをしておりますが、こう見ると初期のころも今もやっぱ駄文感がありありと出ているのですが、初めて感想を頂いた回(アビドス編最終話前夜)だったりを見ると、二ヶ月半の歴史が見えてによによしています。

これからも羅衣くんと生徒のみんなをよろしくお願いします。

あと話変わりますけど今年も感想など頂けたら発狂して喜ぶのでお願いします。(乞食)


第十九話

 

「『日輪』『清廉』『坩堝の________________ガホッ!オエッ!」

 

 

アズサさんを見送り、待っている間俺は自室で反転術式の勉強をしていた

 

「ぅ“.........はーっ.........死ぬ......」

 

 

勉強というのは、自ら毒を飲んで反転術式でそれを分解するというもの。

本来反転術式は毒物を分解するような効力はないが、これが掴めれば回復力が上がるのではないか......と浅はかな考えのもと決行したのだが......

 

 

「......『坩堝の海』バツ.....と」

 

反転術式の効力を上げるため、『正のエネルギー』を傘増しできるような詠唱を片っ端から試すが、文書が難解過ぎて『日輪』と『清廉』の二つしか解読できなかった

 

もっとちゃんと翻訳しとけや禪院家!!!

 

 

「先生、入ってもいいですか?」

 

 

「あ、すんませんちょっと待ってて下さい......」

 

 

致死量以下まで毒物を分解することには成功したが、出血毒にしたのが間違いだったな。部屋が汚れる

 

俺は赤血操術で自分の血を回収し、ヒフミさんを部屋に招き入れる

 

 

「こ、こんばんは先生......まだ起きていらっしゃいましたか」

 

「なんか寝付けなくて......」

 

 

いつも通りなら布団に入って30秒もあればねれるというのに

 

 

「あはは......実は私も眠れなくて......」

 

 

そんなことを話していると、再びドアがノックされる

 

 

「私もきちゃいました♡」

 

「いらっしゃいです。お茶でもいかが?」

 

 

俺は2人が来ることは予測していたので、急須に入った茶を耐熱のコップに入れる。

茶菓子でも食おうと思ったが、女子高生の前で夜食でも食おうもんなら頃される。

 

 

「ハナコちゃん......」

 

 

ハナコさんは少し前から俺とヒフミさんの密会?に参加していた。

やっぱり感がいい人の前では隠し事はできないということを学びましたよ

 

 

 

「みんな何してるの......」

 

「あれ、コハルさんまで......」

 

 

「私もいますよ」

 

 

珍しくみんなが俺の自室に揃った。

 

別に特段狭い部屋でもないし、退学のことがバレてる以上聞かれて困る話もないので俺はそのままみんなを招き入れる

 

「明日は試験なのに何してるのよ。休むことも大事だって言ったのは先生でしょ......!?」

 

 

「まぁ、そうなのですが......」

 

 

「なんかアズサも、どっか行っちゃったみたいだし......」

 

 

「まだ20分経ってませんから。」

 

「20分?」

 

 

アズサさんとの約束で20分以内に戻ってくるらしいが、まだ5分も経っていない

 

 

「先生、実は先ほどシスターフッドの方々に少し会ってきたんです。色々調べたいことがあって......」

 

 

シスターフッド......サクラコさんまた勘違いされてないといいなぁ......

 

 

俺はひっそりと1人の苦労人に向けて祈りを捧げる。

どうか彼女が誤解されませんように。

 

 

「明日、私たちが試験を受ける予定の第19分館についてなのですが......」

 

 

「......まさかまた場所っすか?」

 

 

「いえ、そうではありません。ただそこはこの後、かなりの数の正義実現委員会が派遣されて、建物全体を隔離するとのことです」

 

 

......隔離?

 

 

「なんでまたそんな面倒なことを......」

 

 

「エデン条約に関する重要な書類を保護する......という名目でティーパーティーからの要請があり、建物全体を正義実現委員会として守る厳戒態勢に入ったとか」

 

 

まーたナギサさんだ......

あの人も懲りないねぇ......

 

 

「それからどうやら、本館の方にも厳戒令が出されているようです。昨日からやけに人が少ないのは、これのせいみたいですね」

 

 

なるほど......

 

 

「これって俺たち袋叩きにされないっすか?厳戒令が敷かれてるってことはそもそも建物内には入れないでしょうし......」

 

 

無理矢理強行はできるが、それだと普通にトリニティとシャーレの全面戦争になりかねん。

 

 

「おそらくその通りです。エデン条約が締結されるまでずっと建物は閉鎖されるでしょうね......」

 

 

......前回より早くナギサさんの意図に気付けたのはよかったんだけど、これじゃ普通に対応の仕様がないというか......

 

 

「ゴリ押しすぎませんか......?」

 

 

「私たち試験受けられないってこと!?」

 

 

 

試験が受けたければ正実を敵に回せ......そう言いたいんだなぁ......

 

 

腹立つーーーーーー!!!

 

 

「なんじゃいあの人!?真面目に腹立ってきた!」

 

 

イライラのレベルマックスになりそう。

まじでどうやっても試験を受けさせん気だなこれ

 

 

「正義実現委員会を敵に回すって.........そ、そんな.......私がハスミ先輩に事情を説明して.........!」

 

「難しいでしょうね。羽川ハスミは裏側の事情を知りませんから。そもそも羽川ハスミが私たちを助けても、彼女がティーパーティの権限で追放されるだけでしょうから」

 

 

リツも怒っているのか不機嫌そうだ。

 

なんか最近不機嫌にさせちまってるなぁ......すまんリツ......

 

 

「......やはり私が生徒会を破壊してきます。安心して下さい必ず首を_____」

 

 

「......いや、それよりもっといい方法がある。」

 

 

俺はみんなに提案を____

 

 

 

 

 

「......私のせいだ」

 

 

 

静かに部屋の扉が開き、アズサさんが入ってくる。

 

 

 

「アズサちゃん!?ど、どこに行ってたんですか......?」

 

 

 

「お帰りなさい。まだ時間経ってませんけどお散歩は終わりました?」

 

 

少し皮肉を混ぜてアズサさんを椅子に座らせる。

 

もちろん俺は後ろに着く。

 

 

「......ごめん先生。まずは、私の話を聞いてもらいたい。できれば、みんなも」

 

 

「アズサちゃん......?」

 

 

「アズサ......どうしたの?具合でも悪い?」

 

 

椅子に座ったアズサさんを取り囲むようにみんなが心配しに来る。

 

 

......また、震えてる

 

はじめに会った頃のように手が細かく震えている

 

 

「大丈夫。ゆっくりでいいんで、話せるところまで話してみましょう。」

 

 

そんなアズサさんの頭に手を置き、わしゃわしゃと撫でる。

 

すると少し震えが収まったのか、アズサさんはポツポツと話し始めた

 

 

 

「......みんなにずっと、隠していたことがあった」

「でも、ここまできたらもうこれ以上隠しておけない......」

 

 

 

わかってるよ

 

 

 

「......桐藤ナギサが探している『トリニティの裏切り者』は、私だ」

 

 

一瞬の沈黙

 

 

その後にみんなの素っ頓狂な声が出る。

 

コハルさんとヒフミさん、そして何故かリツも驚いている

 

 

「私はもともとアリウス分校の出身。今は書面上の身分を偽って、トリニティに潜入している」

 

 

「あ、アリウス?潜入......?」

 

 

「アズサ......さん......なんで今......それを___」

 

 

 

......なるほど、リツが何故驚いているのか半分分かった

 

 

今ここで、計画を明かしたことを驚いているんだ

 

 

普通なら計画を他人、それも本来敵であるはずの俺の前で言うのだから

 

 

 

「えっと......何それ?アリウス......?どう言うこと?」

 

 

「......アリウス分校......かつてトリニティの連合に反対した、分派の学園です」

 

 

ハナコさんはみんなにわかりやすいように簡潔に説明する。

 

「その反発のせいでトラブルとなり、その後はキヴォトスのどこかに身を潜めていると聞きましたが......」

 

 

 

「......そう。私はここに来るまで、ずっとアリウスの自治区に居た」

「アリウスとしての任務を受けて、今はこうしてこの学園に潜入している」

 

 

 

黒確定なのは分かっていたが、意外なところで答え合わせがきたな。

 

......もっと後になると思ってたけど

 

 

 

「アズサさんの任務は、『桐藤ナギサのヘイローを破壊する』......そうでしょ?」

 

 

「......正解だ。」

 

 

「っ!?」

 

 

「嘘でしょ!?そ、それってつまり......」

 

 

 

この世界では『ヘイロー』と言うのを破壊すれば人は死ぬ。

俺もこの前聖園さんに聞いたばっかりでそれがどう言うものなのかは分かっていないが、もうこれ以上生徒が死ぬのは懲り懲りだ

 

 

 

「......アリウスはティーパーティーを消すためなら、なんでもしようと言う覚悟でいる」

「アリウスはまずティーパーティーのメンバーであるミカを騙して、私をこの学園に入れた。詳細は知らないけど、きっとトリニティと和解したいとか、そう言う嘘を吐いたんだろう」

 

 

 

 

 

________________

 

 

『今からでも一緒にお茶したり、仲良くできないのかな?』

 

 

________________

 

 

 

浮かんだのは、無邪気で、無垢の笑顔

 

......その心を利用した

 

 

「......全部終わったら聖園さんに全部の罪を着せる......そう言う筋書きか」

 

 

そもそも、和解の案は無駄だったんだ。

ゲヘナとトリニティが和解できていない時点で、それ以上に悪辣を生んでいるアリウスとトリニティが和解できる筈もない

 

 

 

 

 

 

「っ.........私からも、一つ。」

 

 

 

 

 

不意にリツが話し始める

 

 

 

 

 

 

「.........私も、アリウス分校の出身です」

 

 

 

 

 

 

「......えっ......?」

 

 

 

 

 

 

 

......()()()()()()()()。リツ

 

 

「最初から......分かっていました。アズサがアリウスの生徒のことも......おそらくなんらかのスパイだと言うことも」

 

 

無表情......ではなく、普通にわかるレベルで辛そうな表情をしている

 

 

「......分かっていたのに、止めませんでした」

 

 

 

「分かっていたのに、言い出しませんでした」

 

 

 

「分かっていたのに.........っ..........他人のふりを、しました」

 

 

徐々に、言葉に嗚咽が混ざる

 

 

 

「分かっていたのに.........っぁ............知らない顔をして......ずっと騙していました.........」

 

 

 

 

 

「分かっているとバレて仕舞えば.........きっとみんなが疑われる.........お父さんが、疑われると思って.........ぐっ......相談も.........しませんでした.........」

 

 

 

 

リツの急な告白に、全員ついていけないような顔をしている

 

 

「でも......リツみたいな人をアリウスの自治区で見なかった筈だ......!」

 

 

 

「.........極力他人と顔を合わせないようにしていましたから.........面識も極一部に限定して。」

 

 

 

......なるほど。

 

時たまリツがアズサさんのことを一方的に知っているような口振りをしていたのは一方的に面識を持ってたからなのか

 

 

 

「ま、待って......急になんの話......?いや、嘘だとは思わないけど、今の私たちとは関係ないじゃん.........?」

「アリウスのことはよくわからないけど、それが私たちの補修授業部とどう言う関係があるわけ......?アズサとリツさんはなんで急に、そんな話をしてるの......?」

 

 

 

 

「......明日の朝、アリウスの生徒達がナギサを狙ってトリニティに潜入する」

「...私は、ナギサを守らなきゃいけない」

 

 

 

......明日かよ。早えな

 

 

「......1人で?」

 

 

「うん、私はそれをどうにか阻止しないと」

 

 

至極真剣な表情で、くだらないことを云う。

 

 

「本館が厳戒令が出ている状態......最後の試験でのナギサさんの無茶もあって、正実は本館にいないタイミング.........そんな最悪の状況で、1人で戦いますか?」

 

 

 

 

「ま、待ってよ?!よ、よくわかんないけどアズサはティーパーティーをやっつけに来たんでしょ?なのに守るってどう言うこと?話が合わないじゃん!」

 

 

 

「......確かに。急に心変わりでもしたんですか?」

 

 

コハルさんの言う通りこのまま任務を遂行すればよかったのに

 

......その時は俺が全力で止めるが

 

 

「......それは.........」

 

 

 

 

「.........アズサ『自身』は、最初からその目的でトリニティに来た......そう言うことですね?」

 

 

リツは涙のあとを袖でぐしぐしとこすりながらそう言う

 

 

「.........」

 

 

 

「最初から桐藤ナギサを守るために、襲撃任務に参加した......所謂、二重スパイ」

 

 

 

「なんで、そこまで.........」

 

 

どうやらリツの言葉が正しかったようで、アズサさんはそれを認める

 

 

 

「......昔から、そうでしたから。」

 

 

「.........?」

 

 

 

「いえ、こっちの話です。とにかくアズサは、アリウスに問題ないと嘘の報告をして、裏切りの準備を進めていた」

 

 

「.........うん」

 

 

「でしょうね.........私も、そんな感じです」

 

 

 

軽く笑みを浮かべながら、悲しそうにするリツ。

 

そんな感じ......か。

 

 

 

「......どうして、ナギサさんを守ろうとするんです?それは、誰の命令で?」

 

 

 

痺れを切らしたのか、ハナコさんが割って入る

 

 

「......これは、リツの言った通り。誰かの命令じゃない。私自身の判断」

「桐藤ナギサがいなければ、エデン条約は取り消しになり、結果的にこれからのキヴォトスの混乱はさらに深まることになる」

 

 

その時また、アリウスのような学園が生まれないとは思えない

 

 

 

.........条約のためか?

 

 

 

 

「......平和のためか?」

 

 

 

だとすれば、俺はここでアズサさんを止める

 

 

「自分を犠牲にして、誰かのための平和を守るためか?」

 

 

自然と、口調が強まる

 

 

「...............」

 

アズサさんは、答えない

 

 

 

「.........結局。アズサさんは嘘つきで、裏切り者なのか?」

 

 

「............」

 

 

 

答えない

 

 

 

「......本当の自分を隠して、本音を隠して、結局、アズサさんの周りには騙された人しかいなかった。ずっとずっと、俺たちも」

 

 

ピクッと、肩が震えた

 

 

 

「......俺たちすらも、ずっと騙していた。それであっていますか?」

 

 

 

違うだろ

 

 

 

 

「先生.........」

 

 

「お父さん......」

 

 

 

「......いつか言った通りだ。私はみんなのことも、みんなの信頼も......みんなの心も、裏切ってしまうことになる、と」

 

 

 

「.........違うだろ」

 

 

 

「何も違わない。先生の言う通り、私は「トリニティの裏切り者」で、私のせいで補習授業部がこんな危機に陥っている」

 

 

 

 

「本当にごめん。私のことを恨んで________________

 

 

 

 

「違う」

 

 

 

俺はアズサさんの正面に回り、座り込んで目線を合わせる。

 

 

「じゃあ、あの時。モモフレのぬいぐるみを大事にするって言ったのも、全部嘘だったんですか?」

 

 

「っ.........」

 

 

 

「違う。俺が作ったご飯が美味しいと言ってくれたアズサさんは、偽物ですか?」

 

 

 

「......がう........違う.........」

 

 

 

アズサさんの膝に、雫が落ちる

 

 

「......そう。嘘じゃない。今回の原因だって、アズサさん1人の責任じゃない。」

 

 

ことの発端は、誰かを信じられない『桐藤ナギサ』と言う少女が始まりだった

 

 

 

そこから、疑念の渦は巻き、鏑林羅衣という男が一筋の光だけを映して、何もしなかったこと

 

 

 

「もっと、俺が責任を持って行動していれば」

 

 

 

もっと、聖園さんがナギサさんのことを信じて、他人を疑うことをしていれば

 

 

 

「......人間同士がわかり合う、それは......まぁ、ずいぶん大変なことで、随分と難しいことです」

 

 

 

誰かを深く信じる

 

 

それは、前にも言ったが、自分の意思を捨てるに値することだ

 

 

「でも、ハナから理解を諦めれば、そこで全部が終わりだったんです」

 

 

 

 

 

「だから、俺は皆さんを信用した。」

 

 

みんなでなら、出来ると

 

 

「.........偉そうなことを言ってますけど、もしも最初からアズサさんがスパイだと分かっていれば、切り捨ててたでしょうね。」

 

 

 

けど、過ごすうちに、名残惜しくなった。

 

 

だから、肝心な証拠を掴むことができなかった

 

 

 

.......いや、()()()()()()()()()

 

 

「全部俺の自己満足です。さて、俺は皆さんに自分をひた隠しにしたいわばスパイです。本当なら、アズサさんより先に進み出るべきだった。ここにいる誰よりも狡いやつです」

 

 

もし、リツやアズサさんが悪いというのなら、全て自分本位で動いていた俺はもっと悪い。

 

 

 

「.......そうですね、そうかもしれません」

 

 

ハナコさんは、少しいつもの調子で話し出す。

 

 

「確かに、先生の言うとおり人を信用すると言うのは、もともと難しいです。......ですが、リツさんも、先生も」

 

 

 

 

「アズサちゃんも、私たちのこうして本心を語ってくれました。黙り続けることもできた筈なのに、謝ってくれました」

 

 

 

......本心を語る

 

それは、とても勇気のいることで、とても苦しいものだ

 

 

「.......すんません。俺も早くに本心を言うべきでした。アズサさんに先に言わせてしまってごめんなさい。」

 

 

俺は説教臭くなってしまったことも謝罪する。

 

 

「......でも、もう一個だけ聞いておきたいことがあります」

 

 

俺は、真っ直ぐとアズサさんを正面に見据える

 

 

「なんで、補習授業部(ここ)に居続けたんですか?」

 

 

理論(ロジカル)で説明するわけでもなく、ただただ直球にその言葉を話す

 

 

もしも質問やくがハナコさんとかだったら、変わってたのかもしれないけど

 

 

「.........」

 

 

 

アズサさんは、答えない

 

 

 

「.........俺と一緒です。楽しかったんでしょ?」

 

 

 

「.........!」

 

 

 

ははっ、図星か。

 

 

全く、わかりやすい人だなぁ

 

 

 

「みんなで勉強したり、飯食ったり、洗濯したり、掃除したり......俺の目から見れば、どれもコレも楽しいことばかりでした」

 

 

 

「だから、この楽しい時間を、台無しにしたくなかった。」

 

 

 

俺とアズサさんの行動原理は、驚くほど合致している

 

 

俺も、この楽しい時間を崩したくなくて、問題を先へ先へと送っていた。

 

 

「......もともと学ぶ機会が少なかった場所にいたんだから、尚更何かを学んだりすることが楽しかったんですよね?」

 

 

「............」

 

 

アズサさんは、また答えない

 

 

 

「.........違う?」

 

 

 

最後に、その一言だけ

 

 

 

「.........それは......私は.......いや、うん。」

 

 

 

アズサさんは、意を決したように

 

 

 

「そうかもしれない」

 

 

「何かを学ぶこと、みんなで何かをすると言うこと」

 

 

「その楽しい時間を、私は手放せなかった」

 

 

「まだまだ知りたいことがたくさんある。海とか、お祭りとか、遊園地とか.......行きたいところも、知りたいところもまだまだたくさんあって.........」

 

 

 

......そうだよな

 

 

 

「俺も、まだまだ教えてないことがたくさんあります。何せ、俺も先生みたいで楽しかったんですよ。アズサさんとか、みんなにいろんなこと教えるのが」

 

 

試験に合格するための抜け道とか、問題文をすっ飛ばして答えだけを浮かすズルとか

 

そんな、狡いことばっかりだけど

 

 

「......私も、なんだか知ったような口を聞いていましたが、わかるんです。その気持ち。何せ......はい。同じように思った人がいたんです」

 

 

「お〜、その語り口は自分を語る時のいいプロットですよぉ〜ハナコさぁ〜ん」

 

 

俺の一言でハナコさんが上品に吹き出し、それに釣られて俺も笑う。

 

 

「......ふふっ、そうですね。悪い癖です」

 

 

......きっと、ハナコさんが語ろうとしたのは、自分自身のことだろう

 

......ずっと要領よく生きてきた。いや、生きてきてしまった

 

 

だからこそ、利用される目線に気づいてしまった

 

 

......そんな人に、こんな鳥籠みたいなところは辛いだろう

 

 

だから、ここを手放したくないと

 

 

なるほど。だからあんな点数を意図的に.........

 

 

 

「ともあれ、そもそもアズサさんはアリウスを裏切って、その後どうするつもりだったんですか?」

 

 

「.........っ......」

 

 

なるほど、プラン無しか

 

 

「すべては虚しい筈なのに、どうしてここまで固執したのか.........それが分かっただけでも、俺は嬉しいですよ」

 

 

まだ目に涙を浮かべたままのアズサさんを少し力強く撫でる。

 

 

.......アズサさんは、ただ虚しいだけで終わらせなかった

 

 

 

『うん、たとえ全てが虚しいことだとしても、それは今日最善を尽くさない理由にはならない』

 

 

 

『虚しいことであっても、抵抗し続けることをやめるべきじゃない』

 

 

 

そう、終わらせなかったんだ

 

 

どこまでも足掻いて、足掻いて

 

 

 

「......今はこんなことしか言えないですけど________________

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「偉いですよ。頑張りましたね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「.........っ.......うん.........うんっ..........!」

 

 

 

 

 

 

涙を溜めながら、力強く俺の言葉を肯定する。

 

 

 

 

アズサさんは、諦めなかった

 

 

 

全てを背負ってまで、動こうと、動こうと努力して

 

 

 

 

 

なら今度は

 

 

 

 

「次は、俺が頑張る番ですね」

 

 

 

 

 

 

アズサさんの願いを守った上で、ナギサさんも守る

 

 

 

「でも、どうやって試験まで......」

 

 

「ふはははは。俺はこう見えてもキヴォトスの国家権力ですから。如何様にでもして見せますよ」

 

 

 

自信満々に、そしてどこか狡そうに

 

 

 

 

「ここまで散々弄ばれましたからね......今度は_______

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こちらのターンですね♡」

 

 

 

「いえーす」

 

 

 

何もただの勢いで云っているわけではない

 

 

「何せ今ここには正実のエリート、ゲリラ戦の達人、ティーパーティーから偏愛を受ける自称平凡なファウストと、トリニティほぼ全てに精通した人物、シャーレの主戦力そして、この俺国家権力が居るんですから」

 

 

 

「へ、偏愛......!?ファ、ファウストもやめてください!」

 

 

そんなアベンジャーズ的なドリームチームならば

 

 

 

「「トリニティくらい、半日で転覆させられますよ/♡」」

 

 

 

「......はい!?」

 

 

「えっ、どう言うこと!?何するき!?」

 

 

「......なるほど、ようやく生徒会を破壊できるんですね」

 

 

 

話についていけていないもの二名、殺る気満々の主力傭兵一名

 

 

 

「何、少しナギサさんとO⭐︎HA⭐︎NA⭐︎SHI⭐︎するだけですよ⭐︎」

 

 

「そうです、私たちは試験を受けて合格するだけですから♡」

 

 

 

 

.........さぁさぁナギサさん。

 

 

 

こっちもこっちで言いたい事ばっかだ

 

 

 

もう一回、チェス(化かし合い)でもしようぜ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第十九話 下剋

 




話の最後にサブタイトルが出てくる演出。

『好き』


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