赤と青が交わる場所   作:カブライニキ

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第二十六話 奏でるは銃奏、翻すは硝煙

 

無我夢中

 

柵を乗り越え、限りなくミサイルの着弾地点に近い場所を割り出し、気づけば飛び出していた。

 

 

“大人のカードを使う“

 

 

『無下限呪術』

 

 

呪力出力のセーフティを全解除

 

赤鱗躍動・載

 

血漿

 

術式反転『黒血』

 

 

全て総動員

 

 

 

荷重負荷

 

 

 

警告 出力限界です

 

 

 

警告無視

 

 

 

出力全開

 

 

 

つん、と鼻の奥にかけて痛みが走る

 

目の奥と鼻にかけて生暖かい感触が

 

 

口の中に血の味が広がる

 

 

明らかな荷重負荷

 

 

俺の体が耐えられない

 

 

怖い

 

ミサイルとかバカかよこの世界

 

怖い

 

何で今日

 

 

怖い

 

なんで今

 

 

怖い

 

 

 

「どうして今日なんだよォォォォォォォォォォ!」

 

 

 

『九網 偏光 烏と明光 表裏の狭間』

 

 

 

虚式

 

 

 

“茈“

 

 

 

 

________________

 

 

 

 

『......先生ってさ、香水とか付けてる?』

 

昔、ホシノさんとまだ出会った頃に聞かれた言葉

 

 

『香水......?なんか変な匂いします?』

 

『いやぁ......変な匂いっていうか......

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

変に、甘い?』

 

 

 

 

 

_________________

 

 

 

 

 

「きゃあぁぁぁぁぁ!?」

 

 

「こっち、こっちに怪我人が......!」

 

 

「熱いよぉおおおお!」

 

 

 

『ザザッ......緊急____です......!___正体不明の_____が____に包まれ____』

 

 

 

熱い

 

 

羅衣は辺りから聞こえる数々の怒号で目が覚める。

 

 

 

結果的なことだけを話そう。

 

 

羅衣は止められなかった

 

 

いや、一つは止められた

()()()()()()()()()()()、は

 

 

「......ッ“.........プラ.........な」

 

 

シッテムの箱は無事____ではなかった

 

 

画面はひび割れ、明らかに壊れかけ

 

「___何が____」

 

 

術式効果はまだ続いている

 

 

事故

 

 

違う

 

 

意図的

 

 

誰が

 

 

 

助けなければ

 

 

プラナはどうする

 

リツたちは大丈夫なのか

 

 

ナギサさん

 

ヒナさん

 

ツルギさん

 

みんなは

 

 

どう、なって

 

 

古聖堂は半壊。

空中でミサイルを破壊したことによって被害自体は減ったが、炎の手が広まる事になった

 

 

考えろ

 

 

立ち止まるな

 

 

震える膝を拳で殴りつけ、思考を巡らせる

 

 

優先順位

 

 

生徒の救出と安否確認

 

 

プラナが守ってくれたおかげだろう。体の損傷はいずれも少ない

今ここで五体満足はおそらく俺だけだ

 

 

思考は終わった。

次は行動

 

助けを求めるトリニティの生徒に駆けつけ、下敷きになっている生徒は建物だろうが岩だろうが壊して助ける

 

「下がって!!」

 

 

赤鱗躍動・載

 

強化した拳で邪魔な瓦礫を吹き飛ばし、生徒たちを回収

 

 

でも、どこに行けば___

 

 

「先生!こちらです!!」

 

 

声を張って呼びかけてくれたのは、シスターフッドのマリーさん

 

なるほど、地下か!

 

 

「この人たちをお願いします!」

 

 

「何言ってるんですか!?先生も早く___

 

 

「今ここで戦力になるのは俺だけなんだよ!!」

 

 

つい、言葉の棘が鋭くなる

 

 

「.........ッ___ごめんなさい」

 

 

それだけ言って、マリーさんに背を向ける。

 

 

「先せ____」

 

 

 

後ろで声が聞こえた気がした。けど、無視した

 

 

 

 

 

________________

 

 

 

「う“ぅ.........」

 

 

思い切り教室の扉を引く。

 

 

先生と過ごした思い出の空間は、すでにその形を保っていなかった

 

「い“っ......ぁ......」

 

 

何度も、何度も教室の扉に手をかけ、思い切り体重を乗せて引く。

 

でも、扉は開いてくれない

 

教室が崩壊した。

OSの権限が使えない

 

ネットワークとの接続を切られた

 

 

「ひら......いて......!!」

 

 

扉の取手は私の血で汚れている。

そのせいで手が滑り、また手から血が流れる

 

 

痛い

 

 

何でこんな余計なものがOSの私に

 

痛みを無視できるなら、すぐに先生に駆けつける。

 

 

駆けつけたいのに

 

 

 

「開いて!!!」

 

 

悲痛な叫びは、瓦礫となった思い出の中に消えてゆく

 

 

無意味とも思える状況の中、プラナは見つける

 

 

 

 

唯一の

 

 

 

(希望)

 

 

 

 

________________

 

 

「退けぇッ!!!!」

 

穿血

 

 

苅祓

 

 

瓦礫の中から生徒を引っ張り出して、どこからともなく湧いて出てきたアリウス分校の兵を処理していく

 

 

何が起こっている

 

 

考えるな

 

 

みんなはどうなった

 

考えるな!

 

 

今やってることに意味は

 

 

やめろ!!

 

 

今は生徒を救うことだけを考えろ!!

 

 

痛いのは無視しろ

 

辛いのは無視しろ

 

 

今やらなきゃ

 

直ぐに!!

 

 

「『領域展開』ッ!」

 

 

 

血華領______

 

 

 

「先生ッ!」

 

 

早くも最後の切り札を切りかけた俺の元に、少し安心を覚える声が届く。

 

 

「ご無事ですか!?」

 

 

「ツルギさん......それに......ハスミさん、まで..........よかっ、た......はは」

 

 

乾いた笑みが出てくるが、本当に心底安心した。

 

全員怪我はあるが、俺が反転で治せる程度。

 

「今治癒を......」

 

 

「いえ、これぐらい大したことありません。無闇にその力を使わないでください」

 

 

羅衣の呪力は確かに膨大だが、それでも有限。

 

すでに不完全状態の『茈』を撃ってしまっている時点で呪力の消費はかなり激しい。

 

 

「ど、どうぞ......!」

 

 

ツルギさんがハンカチを渡してくれた。

 

 

「血が......」

 

 

「あ......そうだった......」

 

 

すっかり忘れていた。

すでに荷重負荷を超えて動いてんだった

 

 

「俺、まだ」

 

 

「わかっています。ですので此処は私たちにお任せください」

 

ツルギさんが貸してくれたハンカチで目元と口元を拭う。

 

可愛いハンカチなのに、俺のせいで汚してしまった

 

 

「先生1人にお任せしてしまうのは本当に不本意ですが、今の最高戦力はどう考えても先生です。」

 

 

ハスミさんが愛銃に弾丸を装填し終える

 

「どうか____お願いします......!」

 

 

ハスミさんから感じる。

不甲斐ない、情けないって

 

それでも、俺に託してくれたんだ

 

 

 

「___っはい!!」

 

 

 

思い切り踏み込み、次の生徒のところまで駆ける。

 

託されたんだ。

 

全力でやれ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「作戦地域に到着、正義実現委員会の残党を発見......いや、訂正。残党じゃなく、正義実現委員会の真髄だ」

 

 

羅衣が立ち去った僅か数秒後

身の丈ほどのスティンガーミサイルを携えた少女がツルギとハスミの前に立つ。

 

 

「......アリウス分校......!」

 

 

「......地下からか」

 

 

ツルギ、ハスミ両名

 

戦闘準備

 

 

「許しません。その代償、今ここで......っ!」

 

 

「.........ハスミ、落ち着け。今私たちがすべきはこいつらを先生の元に行かせないことだ」

 

ツルギの冷静沈着な言葉にハスミは落ち着きを取り戻し、呼吸を整える

 

 

「.........はい、そうですね」

 

部下をなだめ、ツルギ自身はその気を昂らせていく

 

 

「暴れるのは_____

 

 

 

 

 

 

私の役目だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「......交戦を開始する」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「相手してやるぜ虫ケラども!!!かかってきなぁっ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

トリニティの戦術兵器 剣先ツルギ 羽川ハスミ

 

アリウススクワッド 戒野 ミサキ

 

 

 

交戦開始

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

旧友である彼らが出会わなかったのは、幸運か

 

それとも不幸か




一説によると焼死体からは強い甘い匂いがするようです。


短くてすんません、ほんとなんでもするんで許してください
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