目当ての『茈』は全て廃棄されたとでもいうのだろうか。
嗚呼無情。これだからブルーアーカイブはやめられない
許さんぞアロナ。
ついでに陸八魔アル
「間に合えっ......!」
間に合え
ただ走る。ひたすらに走る。
不安と恐怖で涙がこぼれそうになる。
頼むから
間に合ってくれ
「......!七海さん!!!」
ようやく追いついた。
多分怪我してる。
すぐに治さなきゃ傷が残る______
「『無為転変』」
七海さん
触れられた
真人
「.........羅衣くん」
師から、言葉が発せられる
ボロボロで、それでも慈愛に満ちた表情で
ひどく泣きそうな顔で
「あとは、頼みます」
呪いの言葉を、弟子に遺した
あの時、俺が『カード』を持っていれば
何か変わっていただろうか
......いや、違う
今、カードを持っていても何も変わっていない
所詮俺はただのガキで
何一つ救えなかっただけの______
クズだ
________________
慟哭
銃声
回避
_____無理
死んだわ、これ
そう思い、俺は目を瞑る。
一瞬でも戦いから考えを放棄したんだ。自業自得
そもそも、ミサキさんがアリウスなのも分かってただろ
無意味の言葉を知っていた時点で割り切っていれば良かった
......違う。
俺が気づきたくなかっただけなんだ
ミサキさんは違うって。
俺があげたお菓子を美味しそうに食べてくれた、あの人は違うって
ガキみたいな理由で、疑いもしなかった
「先せ_____!」
思考を放棄し、諦めかけた羅衣の眼前に
白い髪と、黒い制服の少女が現れる
小柄で、あんなものに撃たれて仕舞えば一発でおじゃんだろう
......失えない
これ以上、何かを失えない
あの人みたいに、死ぬなら
救ってから死ね
そっと、抱きしめるように
プラナの体を守る
刹那、
一つの弾丸が羅衣の心臓を貫いた
__________________
「_____ぇ?」
教室のドアを、銃で破壊した。
そうすると前みたいに先生の影から出てくることができて、危ない状態の先生を助けようとした
でも気づけば、お腹の辺りと胸の辺りから血を流している先生が、私を抱きしめながらゆっくりと倒れていく
「せん......せぇ?」
返答は無い
いつものように、元気のいい声が聞こえてくることはない
撃たれた
心臓部
人体の中で、絶対に欠損してはいけない部位
死ぬ
先生が死ぬ
なんで?
「.........よくやった、ミサキ」
あの瞬間、ミサキは羅衣を撃った。
それに乗じるように、アツコは通常弾を
サオリは『術式弾』を。
当然ミサキも『術式弾』を放った。
「よ、ようやく終わりました?この人すっごく強かったですよ!?」
「.........、......。」
ヒヨリが騒げば、アツコが手話で宥める。
「......ミサキ?」
「.........っ..............?」
心配するサオリなどどこ吹く風。
ミサキは自分が引き金を引いた銃をなぜか見つめていた
「......ぃ......いや.........」
どうすればいいんですか
「やだ......いや.........」
指示を、ください
細かく震えながら、首を左右に振るプラナ。
すでに物言わぬ肉塊となった羅衣の体を抱きしめながら、細く言葉を綱ねる
「いや......ぁ.........なん、で.........しん.........いや.........」
私のせいだ
わたしが、今出てこなければ
余計なことをしなければ
ぜんぶわたしが
「嫌アアアア“あ“あアアアア“”!!!!」
わたしの絶叫が、いつしか降り始めた雨に飲み込まれていく。
なんで
何故
先生は何か悪いことをしましたか?
なんでこれ以上先生から奪うんですか
怒りと拒絶の電気信号が、私の思考領域を埋め尽くす
だというのに、待てど出てくるのは怒りのみ
涙一つ出てはくれない
それでも時間は待たず、先生から流れる赤が私の白い髪を染めてゆく
「......もう諦めたらどうだ。腹を二、三発開けてやった。生きているわけ「黙れッ!」
私の喉から出たとは思えない大声が空気を揺らす。
目の前の女が言ってることを私はどうしても理解できずにいる。
だって、やったのはお前らだ
「違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違うッ!!!!!」
怒号とともに流れる涙が虚な目をして斃れている先生の頬に落ちる。
何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故理解不能理解不能理解不能理解不能理解不能理解不能理解不能理解不能理解不能理解不能理解不能理解不能理解不能理解不能理解不能理解不能理解不能理解不能理解不能理解不能理解不能理解不能理解不能理解不能理解不能理解不能理解不能理解不能error error error error error error error error error error error error error error error error error error error error error error error error error error error error error error error error error error errorエラーエラーエラーエラーエラえらーえらー
いやだ。
嫌だ。
割れたくない。
壊れないで
死なないで
「ヅゥ“......!」
あたまが、いたいよ
いた い
“大人のカードを使う“
ぱ
り
ん
『シッテムの箱OS A.L.O.N.A.の神秘結合を確認。一部ヘイローを『カード』にて掌握完了』
ぜんぶ
『術式回路;接続』
『模倣』
壊れてしまえ
『赫』
右手は先生の体を支える
左手は傘型のショットガンを。
『壊れろ』
そう命じたと思えば、先生が使っていた技が飛び出す。
あいつらに当たることはなかったが、地面に大きなクレーターを作り出した。
かなりの行為力
先生と同じことができた。
だけど今は、それを喜べるような時間じゃない
「......!今度こそ撤退だ!」
サオリがそう叫ぶと、アツコとヒヨリは背を向けて逃げていく。
だが、ミサキだけが動かない
「ミサキ!!」
その間も、プラナの銃から『赫』が飛び出す。
紛れもなく、無下限呪術から生み出される無限の反発
「逃げるぞ!」
サオリが無理にミサキの体を押し、そのまま逃げ仰る。
行かせるものか
先生にこんな
酷いなんて言葉じゃ何百個あっても足りないようなことをした責任を
取らせる
『虚式』
銃身に呪力が溜まっていく。
自身の演算領域を焼き切れんばかりの速度で動かす。
それによって生まれた、虚数の光
「むらさ____
其れを撃出さんと銃を前に出す。
が、
体がグンと引かれる。
体がふわっと宙に浮く感覚
「逃げるぞ!!」
力強くて、まだ幼さの残る優しい声。
生きて、る
________________
「氷室.....さん!!!」
撃たれた場所の痛みを必死に堪えながら、担いだプラナと脇に抱えた空崎さんを救急車の中に放り込む。
少し雑なのは許してほしい。これでも結構いっぱいいっぱいなのだ
「がヒュっ......!ぜっ......がっ.........!」
口から溢れる血を吐きつつ、術式効果を発動させる。
早く心臓を動かさないと本当に死ぬ
苦しいとかそういうレベルじゃない
普通に、死ぬ
「先せ「触るな“ぁ!!」
斃れ伏す羅衣を心配してヒナが触れようとするが、其れをプラナがものすごい剣幕で阻止する。
「触るな触るな触るな触るな!!!」
羅衣に必死に縋り付き、喚き散らす。
その剣幕に押され、ヒナは言葉を失う。
「......そもそも、あなたは......?」
「.........先生の、秘書です」
突然現れて狂ったように羅衣に縋り付く存在。
ヒナにとっては全く脈絡がない
冷静さを少し取り戻したのか、口調が落ち着く。
「......なら、早く退いて。」
「......何故」
「先生が重症だから。早くセナに治療を____「何ができるんですか」
「先生を守り切れなかった、貴女に」
ひどく冷たい声。
小柄で可愛らしい彼女から発せられるその声は、ヒナにとっても何か根源的な恐怖を感じさせた。
「先生は私が助けます」
『LINK』起動
神経接続開始 ユーラルネットワーク接続完了
先生の呪力と、私の呪力を半分ずつ混ぜる
ゆっくり、先生の痛みが私にも伝わってくる
お腹の中が熱い
痛い
でも、さっきまでの頭痛に比べれば。
先生が本当に感じている痛みに比べれば
神経を、一本一本通すように傷を塞ぐ。
体に埋まった弾丸を取り出すのも忘れずに
でも、足りない
何故か傷の治りが遅い。
欠損ならともかく、撃たれたくらいなら普通に治せていた筈
もっと呪力を。
パキ
『ヘイローの一部を掌握。呪力出力を解放します』
また何かが割れるような音が響き、呪力の出力が上がる
それに比例して、先生の傷が治っていく
「さ......サンキュ......プラナ......」
ようやく言葉を発せられるくらいには回復した。
なんでプラナが呪力を.........
てか何その頭の上の輪っか
朦朧とする意識が少しずつ回復し、視界も開ける。
一回意識もシャットダウンしてわかんないことばっかだけどパッと見誰も死んではいないようで、少し安心する
「せんせい......っ!!よかった.........本当、に......」
ヒナよりも、医者であるセナよりも先にプラナが羅衣に引っ付く。
「うお......抱きしめる力つよ......あ、痛い痛いやばいてギブギブギブギブ」
普通にキヴォトス人の力で抱きしめてくれたおかげで治してもらった肋骨が嫌な音を上げている。
「ごめんなさい......!私が、もっと強かったら......もっと......!」
羅衣のコートをギュッと掴み、自分の無能さに怒りが湧く。
泣きじゃくり、謝罪の言葉を述べ続けるプラナを慰め続ける。
......もっと強かったら?
それは俺のセリフだ。
一瞬でも憎んだアリウスに自己満と偽善の温情をかけた。
“殺せなかった“
最初から『炎』を使っていればアリウスを全部殺せていた筈なんだ。
......ミサキさんが現れた程度で心が揺らぎ、防げたはずの攻撃も体で受けた。
責任は、俺だけにある。
生徒に心配かけた分。
敵を殺せなかった分。
そのせいで傷ついた生徒が増えた分。
次は、必ず
殺り切る
__________________
「ミサキ、本当に大丈夫か?」
「......大丈夫だから。いい加減しつこい」
撃った
心臓を撃った
「で、でもミサキさん顔色が悪いような......」
「大丈夫って言ってる!!!」
つい、苛立ちが募り何も悪くないヒヨリに対して怒鳴り声を浴びせる
「.........っごめん」
「い、いえ......」
......任務は、遂行した。
私はただ任務を終わらせただけ。
誰かと一緒に居たっていつかは居なくなる。
過ごした時間なんて知人程度。
死んだって_______________
どうでもいい。
言葉どころかその考えを浮かべることすら何故か憚られた。
気持ちが悪い。
自傷の時とは違うグズグズとした胃の痛みが、その思考を崩していく
その時、
バジジッ“
ズドン
____突然の、落雷
天候は雨。
落雷が起きようとも違和感がない。
だが、その雷の光と
落雷地点に立つ人間を、アリウススクワッド全員が知っていた。
「お父さんは......何処だっ“!!!」
ミサキは一瞬記憶を呼び起こし、その思い出した記憶に自分自身で驚く。
アツコは変わらず無言。だが、仮面を被っても分かるほどには動揺が見える。
ヒヨリはその少女の茗を掠れた声で呟き続けた。
サオリは______
「ミ、コト.........?」
罪悪感が、溢れ出した
「答え“ろ“ぉ“!!!」
それは、怒号というにはあまりにも悲しい。
それは、悲鳴というにはあまりにも恐ろしい。
鏑林リツは
××××は、
アリウス、お前らのせいだ
お前らが羅衣くんの事を一生の傷物にしたのも、覚悟をガンギまらせたのもお前らのせいだ