『サリエンテスの野』でエリオットを待ち受けたティグルは大きな丘に陣営を設けつつ、大量の燃料と油を仕掛ける事で火攻めのための罠を用意した。
そうして、エリオットが放った二万ほどの海賊をおびき寄せたところで火攻めにかけたのである。そうしつつ、六千程で控えていたエリオットの本陣に潜ませていた全軍を持って、なるべく大量の兵で攻めていると戸惑わせるための仕掛けを用いた上で襲撃。
これにより、ティグルは長弓隊の主であるハミッシュを討ち取り、逃げようとしたアスヴァール王国の第二王子であるエリオットこと、エリオット=ブルーム=ゴドウィン=ナサニエル=ガラハッド=アスヴァールを捕虜として捕らえた。
その後、ティグルはエリオットに捕らえられ、ムオジネルに身柄を引き渡されようとしていたソフィーヤも救出した。
「ふっ!!」
目的を果たした後、油と燃料で猛火に包まれていた丘をティグルはオルガの竜具の力も借りた黒弓による矢で破壊し、猛火を消し去った。
水ではとても消化しきれないし、放っておけばサリエンテスの野全体にまで広まる事は想像に難くなかったからである。
ティグルはオルガにマトヴェイ、ルドラーという僅かな者達で黒弓の力を使ったがルドラーからはもっとその弓とオルガの竜具の力を使えたのではないかと言われた。
だが、消耗が激しいし、警戒されれば逆に面倒な事になる事にそもそも、この戦いはタラードの戦いであり、彼の部下達の戦果の事などを考えれば自分が目立つわけにはいかなかった事などを言い、ルドラーは納得し謝って来た。
その後……。
「……ティグルヴルムド卿……まさか、二千数百の兵で二万以上の海賊を率いたエリオットに対し、勝利してみせるとは……感服するよりほかにない」
「向こうが上手く乗ってくれたからというのもある……結構、賭けだった」
「それに勝ったんだから、見事だ」
ティグル達とは別行動になったタラード達は第一王女であるギネヴィアを彼曰く、口説いたタラードはギネヴィアを支持する者の中で自分に賭ける者から兵と食糧、ジャーメイン派に中立派の貴族の中で見込みのある者に声をかけ、兵と武器を出させて十日足らずで七千の騎兵を揃えたのだ。
まあ、ティグルが終わらせてしまったので援軍は捕虜のエリオットを王都コルチェスターまで運ぶための人員になってしまったが……。
「エリオットを誘いこんだあんたも巧くやったよ。それにギネヴィアを味方につけたのな。これなら諸侯からの反感も買わなくて済む」
「まあな」
ティグルはジャーメインを討つ事でエリオットと海賊を誘い込んだうえで海賊が有利な海では無く陸地で相手取れるようにし、あくまでジャーメインの座を奪ったタラードでは無く、ギネヴィアとエリオットの戦いにして見せた立ち回りをしたタラードを賞賛し、タラードは見抜いていたかと苦笑してみせた。
ともかく、その後はソフィーヤも含めて皆で捕虜となったエリオットを連れてマリアヨの港町からアスヴァール島へ行き、王都コルチェスターへと向かい、ソフィーヤはエリオットに人質にされていた部下と再会する。
そうして、ティグル達は王都コルチェスターの王宮で必要な事が終わるまで過ごせるようになる中、エリオットは処刑された。
処刑が終わっても今後の交流についての話などやる事は沢山だ。
そんな中でティグルはオルガとソフィーヤの二人の関係と言えば……。
「んふ、く、は、ティ……ティグル……」
「好き、好きよティグル」
「俺も好きだ、オルガ、ソフィー」
オルガとソフィーヤの二人と愛を交わし合った。
オルガは戦いのときも含めてこれまでの日々の中で高まっていたし、ソフィーヤは本当に危ない状況だったのを救われたのもあって、ティグルを愛した。
そうして王都内を観光しつつ、ティッタにエレンにリムとミラへのお土産を買ったり、オルガにソフィーヤへの贈り物を買ったりしたのであった。
観光を楽しんだ後、日が暮れた頃に宮殿の大広間で宴が開かれた。
「話を聞きました。二万以上の軍勢を相手に勝利してみせるとは驚きしかありませんわ。ティグルヴルムド卿」
腰まで届く程に長い黒髪、ほっそりとした身体つき、美しい容姿で二十歳の第一王女ギネヴィアはティグルに話しかけながら賞賛する。
「ありがとうございます、ギネヴィア王女」
そうして宴が終わるまで時間を過ごし、ソフィーヤがギネヴィアにタラードとアスヴァールとジスタートの関係についての話をするとともかく、ジスタートに帰還し、王に報告する必要があるためにティグルにマトヴェイ、旅を止めてジスタートに戻るというオルガ、ソフィーヤと三つの護衛船を傍におきながら、主船でジスタートに戻る航海を始めたのであった……。