記憶を失っているウルスはジスタート王国内のルヴーシュ公国を治める戦姫であるエリザヴェータに拾われた。
拾われた切っ掛けとしてウルスは優れた弓の技術があるのでその事から馬術に剣術など他の武具も使えるか試され、戦略を練る能力など色々調べられた結果としてエリザヴェータの側近も任される騎士の一人、ナウムの従者から始める事になった。
素性もウルス自身、分からないし、新参者なのでまずは着実に実力を発揮して成果を出して出世するようにとの事である。
本当はエリザヴェータがウルスを従者にしたかったのだが、やはり素性も分からないのと新参者とあれば公宮の者達にどんな目で見られるか、あるいはどんな抗議をされるか分からない。
なので、なるべくウルスと接する事が出来る立場とナウムに面倒を見させる意味でもウルスをナウムの従者としたのであった。
「出来ました、ナウム様」
「ご苦労」
従者なのでナウムの身の回りの世話をしたり、補佐をしたりするのがウルスの仕事だ。無論、訓練に参加したりもする。
その片付けもだ。戦略と戦術の研究や分析もしたり、書類の整理などもやっていく。
「ウルスは本当に強いな……まだ記憶は戻らないのか?」
「ええ、残念ながら……でも、皆さんには世話になっていますし、エリザヴェータ様に拾われた恩もありますから例え、俺が何者でもその恩を返すまでは此処から去るなんて事はしませんよ」
「ああ、その方が助かるしその方が良い」
「お前が何者であっても俺達はお前を受け入れるからな」
ウルスは訓練の中でルヴーシュの騎士たちと触れ合っており、交流深い仲ともなっていた。優しく真面目で実直なウルスの人柄もそうだが、彼が持つ武勇への敬意もあって受け入れられやすかったのだ。
そうして……。
「はっ!!」
「ふっ!!」
ある日、ウルスはエリザヴェータに剣の訓練の相手を頼まれ、それぞれ刃を潰した剣をもって手合わせを開始する。
エリザヴェータの剣舞をウルスは捌いていき、反撃として繰り出す剣舞をエリザヴェータは捌く。
「随分と剣の鍛錬もしているんですね」
「剣は武の基礎ですもの……ウルスも中々の物ですわ」
無論、エリザヴェータもウルスも全力で手合わせをしている。
「そこっ!!」
「っ!? やりますわね、本当に」
「いえいえ、ぎりぎりでしたよ」
ウルスの一閃がエリザヴェータの模擬剣を手元から弾くと剣を突き付け、エリザヴェータは降参したのであった。
「弓はこう……」
「なるほど」
更にエリザヴェータはウルスに弓術の指導も頼んだ。
「弓においてはウルスは別次元ですわね」
「恐縮です、エリザヴェータ様」
こうして、ウルスは特にエリザヴェータやナウム、他の公宮内の騎士達と交流しつつ、受け入れられていくのであった……。