魔弾の王は戦姫と英雄譚を紡ぐ   作:自堕落無力

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十四話

 

 テナルディエとガヌロンの両公爵に対抗するだけの戦力を手にするためには東部の中立の立場となっている諸侯たちにその立場から自分に味方してもらわねばならない。

 

 故にまずティグルは父であるウルスにマスハスとも親交が深いオージェ子爵の元へ味方になってもらうべく外交へと向かった。

 

 事情の説明をすればオージェ子爵は気持ちだけは味方になって良いと言った。

 

 しかし、オージェ子爵の治める領地テリトアールの中心都市、ベルフォルの町から見えるヴォージュ山脈の南端に元傭兵のドナルベインを頭領とした二百人の盗賊団が居座っているので今は動けない。

 

 三百の兵でオージェ子爵は盗賊団の討伐に向かったが、罠にかかってしまい怪我まで負わされながら、撃退されたとの事だった。

 

 そのため、ティグルはオージェ子爵の代わりに盗賊団の討伐に向かったのである。

 

 出発したベルフォルからヴォージュ山脈へは一日と少しかかる距離。

 

 ティグルはリムアリーシャを副将としつつ、自分の領地であるアルサスと元はザイアンの兵、そしてライトメリッツの兵よりそれぞれ精鋭を選抜した事で百の兵数となっている混成軍を率いながら夕方になる前に行軍を終えて幕営を築き、兵と馬を休ませる。

 

 翌日、夜明けとともに出発し太陽が朝と昼の中間あたりに位置した頃、ヴォージュ山脈のふもとに到着した。

 

『わああああっ!!』

 

 待っていた様に山道の奥から盗賊団が姿を見せる。

 

 大鉈を肩に担ぎ、革鎧を身に着けている者もいれば上半身裸で巨大な戦斧を構え、防具は兜だけという者もいて、武装はまるで統一されておらず、隊列も整っていない。

 

「返り討ちだ」

 

 ティグルは長弓に矢を複数矢筒から引き抜き、八百アルシンという超遠距離より矢を速射であり、連射をする事で盗賊団を射殺していく。

 

『なっ!?』

 

 

 そうして信じられない程の遠距離から仲間を射殺され、勢いを削がれた盗賊団へ混成軍の兵士は盗賊団へと向かっていき、攻撃を始めた。

 

「いくぞ、バートラン」

 

「はっ!!」

 

 ティグルは側近であるバートランを予備となる複数の矢筒を持たせているので、自分の側に彼をつかせながら周囲を移動しつつ、矢を放って盗賊団を討ち取りながら、混成軍が盗賊団を制圧出来るようにしていく。

 

 

 

「次の矢筒だ」

 

「どうぞ、若」

 

 矢筒が空になるとそれを捨ててバートランより予備の矢筒を受け取って、そうして再び、周囲を移動しながら矢を放っていった。

 

「(随分と立派な武装だな)」

 

 盗賊団の十人に一人はしっかりとした鉄の甲冑を着込み、兜をつけ、剣を振りかざしている者がいた。そうした者からティグルは射殺していったが……。

 

 そうして、混成軍を待ち伏せしていた盗賊団、数にしては百人程か……六十人は討ち取られ、二十余りは降伏、十数人は山の中へと逃げた。

 

 ティグルたちは圧倒的勝利をし、幕営を築いて休憩……。

 

 

 

 その後……。

 

「ふっ!!」

 

「はあっ!!」

 

 夜中、全員歩兵の状態でティグル達は降伏した盗賊の者に盗賊団のアジトへと案内させた。そうして、ティグルは盗賊団のアジトの中で長弓にて、遠距離からアジトの中にいた盗賊団を奇襲し、射殺していく。

 

 リムアリーシャたち混成軍の兵士も己が持つ武器である剣や槍でやはり、盗賊団を討ち取っていった。

 

 

 

「く……がっ!!」

 

 そうして、短い黒髪の下に線の太い顔があり、鋭く険しい鉄色の瞳の歴戦の戦士である男にして盗賊団の頭領、ドナルベインも奇襲を仕掛けてきたティグルを迎え撃とうと姿を現したところをティグルによって額を射抜かれ、死亡した。

 

「ティグルヴルムド卿の弓は本当に頼りになりますね」

 

「賛辞をありがとう」

 

 ティグルの弓の腕の頼もしさを改めてリムアリーシャは理解し、賛辞の言葉を贈り、ティグルは頭を下げて礼を言ったのであった……。

 

 

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