魔弾の王は戦姫と英雄譚を紡ぐ   作:自堕落無力

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十九話

 

 エレオノーラとリムアリーシャ、リュドミラの三人とロドニークの大浴場にある宿屋で一泊しているティグル達。

 

 本来、エレオノーラとリムアリーシャの二人、ティグルとリュドミラが一人ずつという形で三部屋取っていたのだが何故か、ティグルは浴場ではエレオノーラにリムアリーシャの二人と混浴し、体も洗われた。

 

 更に結局はティグルの部屋にエレオノーラとリムアリーシャがやって来て寄り添い合って眠ったりした。

 

 

 

 一晩明けた今日。

 

「ふぅ、良く寝た……それにしても眠っている間に触ったりしなかったんだな。少しくらいなら良かったんだぞ」

 

「エレオノーラ様……ティグルヴルムド卿はそういう方ではありません」

 

 起きたエレオノーラは悪戯染みた笑みを浮かべると次に苦笑する。

 

 リムアリーシャは呆れた。

 

「おはよう、二人とも。どっちも魅力的で寄り添って眠れたのは良かったよ。だが、触ったりなんて出来る訳無いだろう。俺には愛しの妻がいるし、立場とかもあるし、なにより眠っている女性に手を出すなんて下劣すぎるしな」

 

 ティグルはそう言いつつ……。

 

「そもそも、そういう男じゃないとお前達もこういうサービスはしてくれないだろう? 信頼してくれてどうも」

 

「ふふ、どういたしまして」

 

「……ありがとうございます」

 

 

 エレオノーラは照れながらも誤魔化すように笑い、リムアリーシャは恥ずかしそうに俯いた。

 

 ともかく、身支度をそれぞれ済ませる自分の部屋から出てきたリュドミラと朝食を取り、そうして準備をして一雨きそうな不安定な天気の中、ロドニークを出た。

 

「それでお前はティグルがどのような人間かを見るために来たと言ったが、目的は果たせたか?」

 

 荒野が草原に変わり、細い街道へと出て抜ければ、主要な街道に合流する森に入るとエレオノーラがリュドミラと馬を並べて声をかける。

 

「ええ、良く分かったわ。ブリューヌ王国にはかなりの大物が今まで爪を隠して動く時を待っていた。それを公爵たちは動く機会を与えてしまったのがね」

 

「……ふん、流石に見る目はあるようだな」

 

 リュドミラが笑みを浮かべてティグルを賞賛したのになんともいえない複雑な表情を浮かべるとそれだけを言った。

 

 そうして、進んでいたが……。

 

 

 

「敵だっ!!」

 

 ティグルは狩人を続ける中で培った感覚からおそらく先回りして自分たちを待っていた刺客の気配を察知すると叫びつつ、緊急事態の時に対処出来るように備えていた長弓を左手に持ち、腰の後ろに装着している矢筒から幾本かの矢を取り出す。

 

 そして、凄まじい速さで次々に木々の陰や木々の上など様々な方向へと矢を放つ。

 

「うぐっ!!」

 

 すると次々に倒れる音や地面に落ちる音がする。

 

 

 

「一人、逃したか……七人もいれば仕方ないな」

 

「お見事です、ティグルヴルムド卿」

 

 一応、弓に矢を持って警戒しつつ馬を降りて刺客の死体の元へと向かうティグルに声をかけつつ、リムアリーシャも馬を降りて同行する。

 

 

 

「……嘘」

 

「ふふ、凄いだろうティグルの弓の技は」

 

 あっという間に森に潜んでいた刺客を片付けたティグルの弓の技にリュドミラは珍しい呆然とした表情をし、エレオノーラは自慢気に言った。

 

 そうして、死体を探ってみれば……。

 

「元ザイアンの兵の一人から聞いた話ではこいつらは七鎖(セラシュ)というらしい。傭兵崩れの盗賊団に暗殺集団……当たり前だが、テナルディエ公爵は俺に対して相当、お怒りのようだ。手段も問わないときてる」

 

 左腕にある鎖状の刺青からティグルは聞いていた情報と照合し、話す。

 

「気にくわない手段だ。リュドミラ、お前はテナルディエ公がこうした手段を使うような者で本当に交流を続けていけるのか? 間違いなく、利用してくるだけだぞ」

 

「……説得としてはまだまだよ、エレオノーラ」

 

 エレオノーラにしては珍しいリュドミラへの言葉にリュドミラは言葉では拒否しながらも間や複雑そうな表情を浮かべるのであった……。

 

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