ティグル達、『銀の流星軍』はグレアスト侯爵が率いるガヌロン軍と戦い、勝利した。
「さて、お前達の選択肢は二つに一つだ。服従するか死のどちらかだ」
ティグルはグレアストが討ち取られたのもあって降伏を選んだりして捕虜とした伯爵位を有するガヌロン公爵の遠縁にあたる貴族と大半は逃げ出したが、数千のガヌロン兵に告げる。
「別に解放してやっても良いが、ただでさえ大敗した上にグレアストを死なせたとあってはガヌロン公爵の性格上、お前達は結局、死ぬ事になるだろうな」
『……』
ティグルの言葉に捕虜の全員が絶望の表情を浮かべていた。そもそもティグルが言う前にそうした末路は想像しており、震えていたのだ。
「だが、俺達と一緒にテナルディエとガヌロンの両公爵と戦うならば味方として扱ってやろう。無論、働きに応じた報酬なんかも約束してやる」
「ティグルヴルムド卿の言う事は本当だ。私達の事も味方として迎えてくれている。子の方こそ誠実で善性の優れた方だ」
ティグルの言葉に元ザイアン兵たちが保証する。
『……服従します。ティグルヴルムド卿』
「ならば、今日からお前たちは俺の味方であり、仲間だ。共にこのブリューヌを貪る公爵たちと戦おう」
捕虜たちは『銀の流星群』に加わったのだった……。
こうして、ティグルたちは戦後処理もする事になり……。
「かなり、射ち込んでやったから凄い事になってるな」
「ふっ、少しは気が晴れたぞ」
「こんな死に方をするとは思ってなかったでしょうね」
「とんでもない弓技でないと出来ない事ですものね」
馬車に乗っていたグレアストの死体は馬車を貫通した矢が幾本も刺さっているという凄惨な物となっていた。
「おそらくだが、グレアスト……いや、ガヌロンは俺達に自分の軍を負けさせようとしたんだと思う」
ティグルはエレオノーラにリムアリーシャ、リュドミラ達へと語りかける。
「む、どうしてそう思うんだ?」
「あまりにも簡単に勝ちすぎたからな。そして負けさせた理由だが、ガヌロン達からすれば領地であれ、財貨であれ、得られる物は多いほど良く、それらを分配する仲間は少ないほど良いという事なんだろう。こっちの戦力把握も勿論、あるんだろうが」
「それが本当だとすると相当に悪辣ですね」
「なら、猶更グレアストの死は向こうにとっては痛手でしょう」
エレオノーラの質問に答えたティグルにリムアリーシャとリュドミラが意見を言った。
「弓が軽視されるこの国の性質にも感謝だな」
「いや、お前の弓の技が異常過ぎるんだ。私達だって敵に回すと恐ろしいと再認識したところだぞ」
「ええ、ティグルヴルムド卿の弓の技は戦姫様を相手にしているようなものですから」
「本当に超絶級だものね……」
「まあ、ともかく勝った事だし祝杯をあげよう。結果で言えば大勝だからな」
こうして、ティグルは今日の勝利を祝う事を皆へと告げ、その準備に取り掛かるのであった……。