魔弾の王は戦姫と英雄譚を紡ぐ   作:自堕落無力

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二十九話

 

 ガヌロン軍との戦に勝った事で仲間やガヌロン軍側が用意していた数日分の六千人分の食料に燃料などを獲得したティグルが総指揮官となっているブリューヌとジスタートの混合軍こと『銀の流星軍』。

 

 勝った事による士気の維持、戦った兵士たちへの労いも兼ねた『宴』をした。

 

 

 

「ティグル、ご褒美をくれ」

 

「その、私もお願いします……」

 

「わ、私も……」

 

「私もこれくらい……」

 

 その場の雰囲気や酔いもあるのか、宴が終わるころになるとティグルにエレオノーラにリムアリーシャ、ティッタにリュドミラ達が近づき、そうして皆で一緒に眠る事になった。

 

 

 

 無論、眠るだけではあるが……。

 

 

 

「ふふ、こういうのもいいものだな」

 

「ですね、心地良いです」

 

「ティグル様は良い男ですから」

 

「私もそう思うわ」

 

「俺は幸せ者だ」

 

 それぞれが心地良さを感じながら、安眠を始めるのであった。

 

 

 

『……おはよう』

 

 そうして、朝日が昇った事で皆で起きるとそれぞれ、苦笑したり、満足そうに笑ったり、恥ずかしがったりしながらも挨拶を交わし、身支度を整えた。

 

 

 

「良し、ではいくかの」

 

「はい」

 

 ティグルはオージェ子爵と共にオーランジュ平原から北へ向かい、革を超えてさらに進むと広大な葡萄畑に囲まれるようにして点在する幾つかの村の中でソーニエという最も大きい村に向かった。

 

 

 向かう人数としては十一人であった。本来ならティグルとオージェにそれぞれの従者をつけても五人で十分なのだが、ガヌロン軍を発見するという手柄があるエレオノーラの斥候部隊の中の五人でその中にはアラムもいる。

 

 

 

 因みにティグルの従者としてはティッタにルーリックがいた。

 

 ティグルとオージェが村を訪れるのは領主であるオージェの姿を見せて領民たちを安心させる事や村々の状況を確認し、今後の方針を改めて伝える事。

 

 そして、アラム達がティグルに対して一刻で良いから町か村で休みたいと言ったからである。

 

 こうして、ソーニエに到着すると一刻半後までにソーニエの集会場に戻ってくる事や揉め事を避けるようにと伝えてアラム達の自由行動を許した。

 

 

 

 

「お前も行って良いぞ、ルーリック」

 

「いえ、私はティグル様、ティッタ様の護衛も務めておりますので」

 

 ルーリックはそう言ってティグルの申し出を断った。

 

 その後、石造りの建物の中に広大な部屋が一つであり、部屋の中央には毛織の絨毯が敷かれ、その上に長テーブルと幾つかの椅子が設置されていて奥の壁には十の神々の像が祀られている集会場の中に入った。

 

 

 

 

 中ではソーニエ以外の村の長達も集まっていて主として領主であるオージェが話を進めたのだった。

 

 

 

「ふむ、思ったより早く終わったのぅ」

 

「どこかで休まれるか、一足先に幕営へお戻りください。俺達が此処に残りますから」

 

「では、帰らせてもらうとするかの…ヴォルン伯爵、夫婦水入らずのひと時を過ごしてはいかがな?」

 

「そうしようと思っていたところです」

 

「お心遣いありがとうございます、オージェ子爵様」

 

 

 

 

 集会場での話し合いが終わるとオージェはティグルの言葉に頷くと提案、それに苦笑を浮かべてティグルは応じ、ティッタは笑みを浮かべて頭を下げた。

 

 そうしてオージェと別れ、ティグルにティッタは護衛のルーリックは別として夫婦としての時間を過ごす事にしたのであった……。

 

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