魔弾の王は戦姫と英雄譚を紡ぐ   作:自堕落無力

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三十三話

 

 このブリューヌ王国において、騎士になるためには武芸と教養が求められる。

 

 求められる武芸は剣、槍、馬の技術であり、求められる教養は騎士の精神に文字の読み書き、兵学、紋章学となる。

 

 年に一度、王都でこれらの能力を図る幾つかの試練が行われ、それに合格した者が叙勲を受けて騎士になるのが基本である。例外もあるにはあるが……。

 

 そしてブリューヌの騎士において最強と称される者こそ『ナヴァール騎士団』の団長であり、兜も甲冑も軍靴も外套まで黒一色の装いである事から『黒騎士』の異名を有するロランである。

 

 

 ロランの武勇伝は凄まじいものである。

 

 十三歳の時に試練を受け、彼は騎士になった。教養については年齢相応であったのだが武芸の冴えこそは超絶的であったのだ。

 

 騎士見習いの相手となるのは騎士団長の中でも名うての実力者揃いであったがその団長たちに悉く勝利してしまった。勿論、騎士となってからも『不敗』であり、『常勝』であった。

 

 ブリューヌの王が主催した馬上試合では幾度も優勝し、戦場に出れば必ず敵将を討ち取ってきたのだ。

 

 それが故に戦慣れした精鋭揃いの騎士団であるナヴァール騎士団の一員となった。

 

 ナヴァール騎士団は西方国境の重要な場所に城砦を構えており、ブリューヌと国境を隣接する二国がザクスタン、アスヴァールと何度となく、小競り合いを繰り広げている。

 

 その小競り合いにおいてもロランは武勲を立て続け、勝ち続けた事で六年前にロランはナヴァール騎士団の団長となり、王国の宝剣であり、大剣であるデュランダルを貸し与えられたのだ。

 

 そう、ロランこそはブリューヌにおいて最強であり、そんな彼が率いるナヴァール騎士団もまた精鋭中の精鋭。

 

 そんな騎士団を相手にすれば例え、戦姫が二人仲間に引き入れているとしても甚大な被害を受ける可能性がある。

 

 だからこそ、敵に回さずに寧ろ、仲間にする方が賢明だ。

 

 ティグルはそのためにアルサス出身で父であるウルスに仕えていて、自分とも親しく、更にはナヴァール騎士団にも所属しているオーギュストに色々と頼み事をしたのだから……。

 

 

 

 ひとまずは話を聞いてもらえる事となったので指定された場所へと行けば……。

 

 

 

「貴殿がヴォルン伯爵だな。俺はナヴァール騎士団の団長、ロランだ」

 

 

 

 大剣を背中に背負った長身で筋骨逞しい肉体を有した黒一色の装いの男であるロランが自己紹介をする。

 

 

 

「お目にかかれて光栄です、ロラン卿……俺はアルサスの領主をしているティグルヴルムド=ヴォルンです。そして、今は『銀の流星軍』の総指揮官となり、テナルディエ公とガヌロン公の横暴を止めるべく動いています」

 

「ああ、話には聞いている。そして、両公爵の横暴に関してもボードワン宰相からも証言を得ている」

 

 大剣を背中に背負った長身で筋骨逞しい肉体を有した黒一色の装いの男であるロランが自己紹介をする。

 

 ティグルはオーギュストにこの国の宰相であるボードワンにも接触するように言っており、ボードワンも上手くロランへ王家の現状についてや今後の打開策などを相談しているとロランは言った。

 

「それはそれとして、ヴォルン伯爵……何故、ジスタートの戦姫をブリューヌに招き入れたのか真意を聞こう」

 

「第一はアルサスを守るため、そしてなにより……このブリューヌを害する両公爵を倒し、平穏と安寧を取り戻す為です」

 

 ティグルは今までの事を真摯にロランへと伝える。

 

 

 

「……貴殿が欲望などを持って動いていない事は分かった……とはいえ、私達は戦う必要はある。自分たちの目論見が上手く行っていると両公爵に思わせるためにもな。だからこそ、激しい模擬戦の形でやらせてもらう」

 

「分かりました」

 

「そして、私は騎士だ……故に手合わせを通じてヴォルン伯爵の事を真に見定めさせてもらう」

 

「承知しました」

 

 模擬戦の形でティグルはロランと戦う事になったのであった……。

 

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