魔弾の王は戦姫と英雄譚を紡ぐ   作:自堕落無力

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三十四話

 

 ブリューヌ王国の東部諸侯にジスタート王国の戦姫であるエレオノーラとリュドミラの二人をも纏めて『銀の流星軍』を結成した事でテナルディエとガヌロンの両公爵への対抗勢力となったティグル。

 

 彼の存在は当然だが、両公爵にとっては目障りであるし、なにより、自分の息子であるザイアンをティグルに殺されたテナルディエは敵意も恨みも深い。

 

 よって、王家の命令としてブリューヌ王国内において最強の騎士であるロラン率いるナヴァール騎士団に『銀の流星軍』を討てと指示を出した。

 

 王は毒を盛られて自室内に籠るしかない酷い状態となっているのでテナルディエとガヌロンが王家の威光やら権力を使いたい放題なのだ。

 

 それに下手に対処しようとすれば最悪、王を人質にする可能性が高い。

 

 ある程度、両公爵の思い通りになっていると思わせる必要があるのだ。

 

 だが、こうした状況は宰相であるボードワンもナヴァール騎士団も把握していた。

 

 というより、ティグルがオーギュストを頼り、ボードワンとナヴァール騎士団が連絡を取れるようにしたのである。

 

 こうした理解ある状況の中でひとまず、ティグル達『銀の流星軍』はロラン率いるナヴァール騎士団と実戦紛いの模擬戦をする事となった。

 

 理由は勿論、テナルディエとガヌロンにナヴァール騎士団に『銀の流星軍』と戦わせる目的を果たさせるためである。

 

 自分たちの思い通りになっていると誤認させ、王を救い出し、両公爵を排除できるよう隙を作るためでもある。

 

 

 

 ティグルとロランが状況を整理するための会合をした後、その日の昼過ぎに銀の流星軍(今回はジスタート王国軍は待機)とナヴァール騎士団はおよそ五百アルシン(約五百メートル)の距離を置いて対峙する。

 

 

 

『全軍、突撃』

 

 そうして銀の流星軍の総指揮官であるティグルとナヴァール騎士団の団長であるロランが指示を出し、総軍が動き出す。

 

 

 

 

「いくぞ、ヴォルン伯爵」

 

「望む所だ、ロラン卿」

 

 ロランはブリューヌ王国の宝剣にして大剣であるデュランダルを片手で持ちながら、ティグルへと向かい、ティグルも馬を自由自在に駆けさせ、間合いを維持しながら長弓を構えて複数の矢を番え……。

 

 

 

「しっ!!」

 

 そして、ロランへと時間差を作って連射する。

 

「こんな距離から、届かせてくるとは」

 

 デュランダルを振るって的確にロランは矢を弾いていく。

 

 

 

「こんなにも弾いてくるなんてな……だが……ふっ!!」

 

「ぬっ!?」

 

 互いに縦横無尽に馬を駆けさせる中でティグルは何度も矢を超速連射し、何度もロランに矢を弾かせる。

 

 その中でティグルは彼の動きを観察する事でその実力や癖を把握した。

 

  そして、間隙を見抜いた事で本命となる矢を射た。それはデュランダルを持つ手に炸裂し、彼の手からデュランダルを弾き落とす。

 

 

 

「これで終わりだ」

 

「まさか、これ程の射手がブリューヌ王国にいたとはな……退却だ」

 

 一旦、ティグルとロランは意思を交わし合い、こうしてデュランダルをロランは拾うとそのままナヴァール騎士団は撤退していったのだった……。

 

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