魔弾の王は戦姫と英雄譚を紡ぐ   作:自堕落無力

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四十一話

 

 ティグルが率いる『銀の流星軍』へとマスハスとオージェ、二人の援軍要請に応えた三つの騎士団に諸侯の軍勢が加わり一万六千程でこれより、ムオジネルの王弟であるクレイシュが率いる三万数千のムオジネル軍を迎え撃つ事になった。

 

 戦場として選んだ場所は小高い丘が二つある『オルメア平原』だ。

 

 『銀の流星軍』は手前の丘の方へ陣を敷きつつ、いたるところに柵や濠を備える事で小さな城砦にしていた。

 

 そして、その上で千の兵を出していた。

 

「くく、さっさと攻めて来いと言わんばかりだな……良いだろう、攻めてやるとも」

 

 クレイシュはあからさまな挑発に三万数千の軍を幾つかの隊に分けつつ、向かわせる。

 

「む、数百に減っている?」

 

「この数に怖気づいて逃げたか」

 

 攻めを任された隊の指揮官が千で待ち構えていると聞いていたのに明らかに百や二百程度しかいない事に戸惑い、副官が嘲笑うも……。

 

「獣共を皆殺しだっ!!」

 

『おおおおっ!!』

 

 横腹から五百以上の騎馬を率い、槍を持って突撃するティグル。

 

 その槍で次々と突き刺し、薙ぎ払いながら進んでいくと……。

 

 

 

「馬鹿なっ!?」

 

「奇襲だとっ!?」

 

 そのまま、指揮官と副官を屠っていく。

 

 

 

「くそ、囲んでしまえっ!!」

 

「数の差ではこちらが上だっ!!」

 

 当然、他の指揮官らがティグル達を囲んで屠ろうとするも……。

 

「良し、ここまでだ。離脱するぞ」

 

 ティグルは頃合いを見て、騎馬隊を率いて離脱を開始する。

 

『逃がすかあっ!!』

 

 ムオジネル軍はティグル達の背を追いかけるも……。

 

 

 

「今だっ!!」

 

『オオオオっ!!』

 

 追いかけるムオジネル軍の横腹へと姿を隠していた騎馬隊が突撃し、ムオジネル軍を奇襲する。

 

 

 

「旋回だ」

 

「ぐうっ、撤退だっ!!」

 

 奇襲され、押され始めた事で追っていた隊の指揮官は撤退を指示する。

 

 

 

「追うぞ、徹底的に背を叩く!!」

 

 

『はっ!!』

 

 そうして、逃走しているムオジネル軍を別の騎馬隊と合流して討ち取っていく。

 

 

 

「おのれ、舐めた真似を!!」

 

 救援すべく、多くのムオジネル軍がティグル達へと向かっていくも……。

 

 

 

「今よっ!!」

 

「我ら騎士団の力を見せつけてやれっ!!」

 

「外道どもを屠るのだぁっ!!」

 

 左右から一万と少しの軍勢をリュドミラ達が率いて奇襲する事で屠っていく。

 

 

 

 丘の城砦化はムオジネル軍の意識を引き付けるためのもので『銀の流星軍』の大半の軍はあらゆる陰で待機させられていたのでだ。

 

 戦況の流れは完全にティグル達の方に傾いていた。

 

 

 

 「おおおおっ!!」

 

 そうして、隙が生じたムオジネル軍のあらゆる間隙を衝いてティグルは数百の騎馬兵と共に馬を駆けさせて本陣へと向かっていく。

 

 

 

「俺の勝ちだ、クレイシュ殿」

 

「まさか、こうも良いようにされ続けるとはな……」

 

 そうして、本陣を陥落させクレイシュに槍を突き付けるとクレイシュは息を吐きながら、降伏するのであった……。

 

 

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