魔弾の王は戦姫と英雄譚を紡ぐ   作:自堕落無力

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四十三話

 

 ティグル達はムオジネル軍を率いる王弟クレイシュとの戦に勝利し、降伏させる事でムオジネル軍の武器や馬、食糧など物資をクレイシュたちがムオジネルまで帰る事が出来る必要最低限の分だけ残し、後は全て没収する事で今回はクレイシュ達を追い出した。

 

 そうして、勝利を讃える『宴』を開くと……。

 

 

 

「ティグル……ふちゅ、くちゅ、んちゅ……」

 

「ミラ……」

 

 終わりごろになるとティグルはリュドミラと二人、翌朝まで来ないように部下へと厳命すると自分の天幕に向かい、そうして深く口づけを交わす。

 

 

 

「好きよ、愛しているわ。ティグル」

 

「ミラ、俺もお前を愛している」

 

 気持ちを伝え合いながら、男女として真の交流を交わし合った。

 

 そうして……翌朝のまだ夜も明けない頃、二人は目を覚まし合った。

 

 

 

 

「おはよう、ティグル」

 

「おはよう、ミラ」

 

 一度、身を清めると言ったリュドミラだがティグルに自分の天幕への同行を要求した。

 

 

 

「(何かあるのか……)」

 

 移動しようとした時、黒弓が何か呼んでいる気がして一応、持っていく事にして矢束を収納した筒も装備する。

 

 そうして二人で野営地を歩いていたのだが……。

 

 

 

『……っ』

 

 連なる幕舎の間に異様な雰囲気を有する人影に鋭い視線を向けた。

 

 

 

「母から死霊や怪物、魔物の類は実在すると聞いていたけど……」

 

「敵国の侵略を退けたかと思えば怪物退治か……」

 

 人影は移動を開始して夜明け前の草原まで離れていく。それをティグル達は追っていく。

 

 そうして、影をティグル達の方を振り返り、影が薄くなり、短い黒髪に緑色の布を大雑把に巻き付け、中肉中背でエリヤ袖に毛皮をあしらった厚手の服をまとった姿を晒す。

 

 

 

 

「凍漣の主も一緒か……まぁ良い、来てもらうよ少年」

 

 明るい笑みを浮かべて若者は両足を大きく広げ、体を思い切り、前に傾けると不自然なその体勢から地面を蹴る事で空中を跳びながらティグルへと迫る。

 

「お前のような奴に応じる義理はねぇな」

 

 ティグルは若者が振り返る前兆を追いながら、観察した事で掴んでおり、よってその時点で素早く黒弓に矢を番えて引き絞っていた。

 

 

 

 

「離れなさいっ!!」

 

「邪魔だよ、凍漣の主」

 

 リュドミラが若者の前に立ちはだかりつつ、鋭く槍を突き出した。それを素手で弾きながらその反動を利用して空中で姿勢を変えて、リュドミラの頭部に蹴りを叩きこもうとしたところで……。

 

「それはこっちの台詞だ」

 

 ティグルは引き絞った鏃に一瞬で黒い輝きを放つ力を収束させると只者じゃない若者へと放つ。

 

 

 

「っ、ここまで!?」

 

 黒い閃光となって放たれた矢は若者の身体を射抜きながら破壊し、消滅させたのであった。

 

 

 

 

「貴方のその弓は驚異的だわ……」

 

「家宝への称賛、ありがとよ」

 

 リュドミラからの称賛に黒弓の力を使った事で消耗した事で大きく呼吸をしながら、礼を言うのであった……。

 

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