魔弾の王は戦姫と英雄譚を紡ぐ   作:自堕落無力

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四十六話

 

 ティグル達、『銀の流星軍』が現在、拠点としているペルシュ城砦のティグルの部屋に戦姫の一人であるヴァレンティナ=グリンカ=エステスが現れた事は戦姫であるエレオノーラとリュドミラにとって驚きの事態であった。

 

 そもそもヴァレンティナは健康に優れない身だとして自身が治めるジスタートの北東にあるオステローデより、出てこようとしないし王宮に呼ばれても話をし終えると病弱だとしてすぐに帰ってしまうのだ。

 

 彼女が持つ大鎌である竜具が『虚影エザンディス』はどこの場所でも一瞬にして行ける能力があると言われている。ヴァレンティナ曰く、距離に応じて体力を使うので病弱の身には辛いとの事だが……。

 

「何か怪しいと思ってはいたがな」

 

「兵たちが白いドレスを着た女が出ると噂していたけど、そういう事だったの。随分と遊んでいたようじゃない」

 

 好き勝手していたヴァレンティナの行動にエレオノーラもリュドミラも軽く怒っていた。

 

「まあ、この事を問い質してもどうせのらりくらりと躱すだろうし危害を加えてきた訳じゃないから放っておこう。それよりもまずは公爵共だ」

 

 ティグルはそう言って、軍議を始める。

 

 今の状況であるが、ネメタクムへと攻め入ったガヌロン軍はネメタクムの北部にあるモントーバンの野にてテナルディエ軍と交戦した。

 

最初の方こそ大軍の力で追い込まれていたテナルディエ軍であるが、テナルディエが本体と五頭の竜を率いてきた事で形勢を逆転し、ガヌロン軍は大敗北を期したのである。

 

ガヌロン軍が大敗北を期したなら、ティグル達は攻めやすい状況ではあるが自分たちが動けば必ず、テナルディエ達も動く事は明白である。

 

 むしろ、政争をしていたガヌロン軍と一応の決着をつけたために息子の仇を討てるとティグル達との戦いに集中できるという事でもあるのだ。

 

それにティグルはガヌロン軍の大敗北に対して……。

 

「匂うし、臭い」

 

 ガヌロン軍の大敗北についてきな臭いし、策謀とかそういう匂いを感じていた。

 

「ほう、どこがだ?」

 

「まず、敗走に関しても手際が悪すぎる。万を操れる大貴族の軍だぞ? 幾らなんでも竜が強いからって即効で潰走するか、逃げるにしてももっとうまく逃げれるだろう。それに……」

 

「それに?」

 

「厄介な竜が現れたにしろ、それなら向こうの軍とも混戦に持ち込んで竜に攻撃させないようにしたり、陣容に綻びが出るから、その隙を衝いて総指揮官を討つとか搦め手の使いようはあるんだ。どうも指揮官を交代をさせたような形跡もあるしな」

 

エレオノーラとリュドミラの問いにティグルは答えつつ……思考を巡らせ続け……。

 

「……これは推測だが野郎、身を隠すつもりだ。ルテティアを焼いてな」

 

『なっ!?』

 

 ティグルの言葉に全員が驚く。

 

「今までの事が奴にとって退屈しのぎとかそういう遊びだったんだろう……まあ、他にも目的はあるかもしれないがな。身を隠した後はどうするのかも読めないし」

 

 頭を抱えるティグル。

 

 そうしてルテティアに行く準備を整えていた『銀の流星軍』にルテティアに向かっていた斥候から目的地としていた中心都市のアルテシウムが燃えたと報告が入った。

 

「好き放題この国荒した挙句、まんまと逃げやがって、糞爺が……」

 

 ティグルの推測は当たってしまい、だからこそティグルはガヌロンに対して怒ったのであった……。

 

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