魔弾の王は戦姫と英雄譚を紡ぐ   作:自堕落無力

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四十七話

 

 ティグル率いる『銀の流星軍』は現在、保護しているブリューヌ王国の王女であるレギンが王族だという証明をするためにガヌロン公爵の領地であるルテティアの中心都市アルテシウムに行く事を目的としていた。

 

 しかし、なんとガヌロンがテナルディエ軍が出した竜に自分の軍勢が敗れると突如、自分の領地であるルテティアを焼いたのだ。

 

 ティグルはガヌロンの行動は何らかの目的で身を隠しながら、逃げるためと推測している。無論、時をおいて暗躍する可能性が高いとも……。

 

 

 

「(まあ、ひとまずはテナルディエと俺との戦いに関わってこない点は安心だ)」

 

 こんな事をやった時点でガヌロン派油断できない相手だと思いながらもテナルディエとの戦いに集中出来る点はありがたかった。本来はどちらともうまく立ち回って、戦わねばならないと覚悟していたからだ。

 

 ともかくティグル達は拠点としていたペルシュ城砦を発ち、ルテティアへと向かいながら周辺の地図を作ったり、王都ニースを素通りして北上――つまりはルテティアへと向かっているテナルディエ軍の動向を探ったり、ルテティアの様子を探るために斥候を多方面へと放った。

 

 隊商や旅人に遭遇すれば幕舎に招いて食事や酒を振る舞いながら、話を聞く。

 

 そうしてルテティアの領主であるガヌロンは戦に負けて錯乱し、アルテシウムを囲む城壁にある五つの門を全て閉じながら、自分の屋敷は勿論、都市のいたるところに火を放ったという事が噂になっている事を聞いた。

 

 

 

「(徹底的だな)」

 

 ガヌロンの性格の片鱗を感じながら話を聞くティグル。その後もルテティアへと向かうとガヌロン公爵に従っていたという兵の集団が現れた。

 

「(テナルディエめ、押し付けやがったな)」

 

 ネメタクムでテナルディエ軍に敗北し、降伏した者たちだと察した。テナルディエはティグルに抱えさせる事で食糧や燃料の消耗を増大させるための手だと推測する。

 

 ましてやガヌロン軍は竜によって恐怖心を抱えさせられているので戦力として使える訳が無い。ティグルは一時的に保護しながら、ある程度の兵糧やら渡して少なくともティグルが文を書いて、自分の意見が通る村や町で暮らせるようにしたり、兵たちが住んでいた村や町に向かわせてやった。

 

「いよいよ勝負の時だな、テナルディエ公爵」

 

 そうして、テナルディエ軍もアルテシウムに近づいているためにアルテシウムから徒歩で一日半ほど離れた所の平原で進軍を止めて幕営を築いて待ち構える事としたのであった……。

 

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