魔弾の王は戦姫と英雄譚を紡ぐ   作:自堕落無力

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四十八話

 

  ガヌロン公爵の領地であるルテティアの中心都市であるアルテシウムはガヌロン自身が身を隠すために焼き払った。

 

 しかも焼き払う前には物資を運ぶため、屋敷と北の門を何度も往復する馬車があった。

 

 その上でアルテシウムの十数ヵ所に燃料の保管所を四、五日かけて設置しており、ある日、真夜中に三階建てのガヌロンの居城に火は放たれた。

 

 それを合図とするかのように各所の燃料の保管所も燃え上がり、北から吹く夜風が火を煽った事で街中が燃えていった。

 

 木材が大半を占める建物の構成、住居同士の間隔も狭いために大規模な火災と化すのに時間はかからなかった。

 

 そうして、アルテシウムの南東部分は全焼に近い被害を出し、当然、炎による焼死、川に飛び込んで炎を消そうとした上で溺死、黒煙や熱気を吸い込んでの窒息死など死傷者の数も夥しいものになった。

 

 衛兵も市民も一丸となって、消火活動しても日を跨ぐ程の長時間かかり、それが消えると廃墟となった都市に向き合わねばならなかったのだった。

 

 そんなアルテシウムから南東へ行ったところにビルクレーヌと呼ばれる平原がある。

 

 北と南を森に挟まれ、森を繋ぐかのように川が流れ、東には小さいながら丘もある場所だ。

 

 そこで幕営を築き、自分たちを倒そうと向かってきているテナルディエ公爵をティグルは待ち受けた。

 

 そうして、テナルディエ公爵軍はティグル達『銀の流星軍』と対峙する位置にて陣営を築いて待機した。

 

 するとテナルディエ公爵の軍は使者を送って来た。

 

 ティグルヴルムド=ヴォルンこそ反逆者であり、隣国の戦姫を騙しながらその武名を利用して諸侯を脅し、国内に無用の乱を起こした大悪人。

 

 ブリューヌの平和の為にもティグルは許せず、ティグルに騙され、利用されている諸侯においては降伏してティグルヴルムドの首を差し出すなら全ての諸侯を助けるし、領地や爵位の安堵も約束。

 

 エレオノーラにリュドミラ、ジスタートの二人の戦姫とは事を構える気は無いので即刻、兵と共にジスタートへと帰還するようにと使者を通じて文で伝えてきたのだ。

 

 

 

「好き勝手言ってくるものだな……しかも何の確証もねえだろう。絶対、俺を排除したら他の奴らもそのうち、排除か逆らえないように手を打つだろうに……」

 

 ティグルは鼻で笑いながら、使者に返事の文を持たせて帰らせた。

 

 ティグルによる返事の文の内容とはこうだ。

 

『貴方の息子が野盗に近い兵と竜を引き連れ、我が大事な領地であるアルサスの地を荒そうとした事に対する謝罪、大事な息子の剥製を送り届けた事に対する礼はどうした?』

 

 当然、交渉は決裂し『銀の流星軍』一万九千とテナルディエ軍一万七千による戦が始まる事になったのだった……。

 

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