魔弾の王は戦姫と英雄譚を紡ぐ   作:自堕落無力

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四十九話

 

 ビルクレーヌ平原にて、ティグルが率いる『銀の流星軍』一万九千とテナルディエ軍一万七千は川を挟んで対峙する。

 

 そして、配置としては中央と左右両翼、後方の予備隊に分けての配置となった。

 

 中央部隊はティグルが直接指揮するための六千、それに傍らではリムアリーシャとマスハスがいた。右翼はエレオノーラとリュドミラによるジスタート軍とジスタートに隔意を持たないブリューヌの騎士団、五千。

 

 左翼はムオジネル軍との戦で従った貴族の兵や騎士団を主体とした六千、予備兵力は騎士と騎兵で二千という常識的に基づいた布陣である。

 

 

 対してテナルディエ軍は中央に六千、左右両翼が五千ずつ、中央部隊の後ろにはテナルディエが連れてきた五頭の竜、その更に後方にテナルディエ公爵の率いる一千五百の兵が控えていた。

 

 

 

「気をつけていけ、エレン、ミラ……向こうは戦姫の力も知っている上で竜を連れてきた。竜具に対する対策をしているかもしれん。例えば、俺の黒弓のように竜具に匹敵する何かを持っている可能性もある。そもそも、どうやって竜を連れてきたかが不明だからな」

 

「ふっ、そうだな……気をつける」

 

「どんなことがあっても対処して見せるし、勝利に導いてあげる」

 

 エレオノーラとリュドミラに声をかけて見送る。

 

 

「マスハスもリムもよろしく、頼むぞ」

 

「は、総指揮官殿」

 

「お任せを」

 

 マスハスとリムアリーシャがティグルの言葉に答え、リムアリーシャは予備隊を指揮するために本陣から離れて行った。

 

「良し、始めるぞっ!!」

 

 総指揮官としてティグルは号令を出し、テナルディエも又号令を出した事で戦は始まった。

 

 激しく争い合っていく両軍――銀の流星軍の右翼が敵の攻勢を支えきれないのか、徐々に後退していく。テナルディエ軍はこれに勢い込んで前進していく。

 

 しかし、これこそ右翼が仕掛けた罠であった。旗下の三百の兵を率いて離れていたミラがテナルディエ軍左翼の左側面に強烈な攻撃を加えた。

 

 それに合わせて右翼部隊が反撃を開始していく。テナルディエ軍左翼の先頭は一瞬で粉砕され、大きく後退を始めた。

 

 これに加えてティグルは相手を誘導しながら少しずつ、戦場を移動していた。

 

 

 

 ジスタート軍のすぐそばに川と森が迫って進軍を困難に見せているが、これこそ狙いである。

 

 

 

「遅れるなよ」

 

「そういう貴女こそ」

 

 エレオノーラがミラと合流するや森の外側を駆けて戦場を大きく迂回し、テナルディエ軍の側面へと回り込む。

 

 これは右翼ががら空きになる無謀とも呼べる用兵だが、テナルディエ軍は体勢を立て直している最中で森と川が阻んで突撃をさせづらくしていた。

 

 更にリムアリーシャが予備隊を率いて右翼後方へと動いているので強引に攻める敵がいれば苛烈な攻撃を受ける事になる。

 

 

 

「さて、こちらもそろそろ仕掛けるか……」

 

 ティグルもまた、敢えて押されながらも敵の動きの癖などを観察しており、大体把握した事とエレオノーラ達が仕掛け始めたので自分たちも攻勢に転じる事としたのだった……。

 

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