魔弾の王は戦姫と英雄譚を紡ぐ   作:自堕落無力

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五十二話

 

 ビルクレーヌ平原にて一度、銀の流星軍とテナルディエ軍は交戦したがその二刻後、太陽が西へと大きく傾いた頃に再戦するために対峙し始めた。

 

 テナルディエ軍の配置は中央に左右両翼という配置だが、中央は薄めである。しかし、中央の後ろには双頭竜と火竜がおり、更にその後ろにテナルディエが控えていた。

 

 対して銀の流星軍は川から大きく後退しており、左翼は丘の上にいて、丘のふもとに中央部隊、その隣に右翼が列を組んでいるという配置だった。

 

「さっさと竜を出してこい」

 

 ティグルは竜二匹を誘き出すためにこうした配置をしたのだ。そうして彼の呟きに応えるが如く、テナルディエ軍は角笛を鳴らし、中央部隊が右か左へと分かれて道を作り、そうして二匹の竜が猛然と襲い掛かって来た。

 

 

 

「良し、逃げるぞ」

 

 そうして、ティグル達中央部隊は隊列なども無視した全力の逃走を開始する。

 

「後は任せたぞ、二人とも」

 

 数百アルシンは逃げたところでエレオノーラとリュドミラが竜へと襲い掛かる事で動きを止めさせた。これより、二人の戦姫は竜を討伐するべく戦うのだ。

 

 二人に声を送りながらもティグルはあらかじめ決めていた場所で部隊を止め、隊列を整える。

 

 

 

 これにより、ティグル達中央部隊は竜と戦姫を大きく迂回し、ティグルはリムアリーシャと共に右翼のジスタート軍の援護へと向かい、マスハスは丘の上の左翼部隊の掩護に向かう事となっている。

 

 

 

「ではマスハス卿、ご武運を」

 

「お主もな、ティグル」

 

 そうして握手を交わし合うと……。

 

「これより、反撃に移るぞっ!!」

 

『おおおおっ!!』

 

 ティグルは号令を出しながら、声を上げる兵たちと共に戦場の外を猛然と走り、二度ほど立ち止まって呼吸と隊列を整え、右翼のジスタート軍の元へと向かった。

 

 

 

「いくぞっ!!」

 

 そうして、ティグルは馬を駆けさせながら敵軍の側面より、次々と超速連射をしていき、敵兵を射抜き、敵の隊長や指揮官をも射抜いていく。

 

 敵の指揮系統を混乱させながら、右翼を指揮していたルーリックと合流する。

 

 

 

「さあ、勝つぞ」

 

『はい』

 

 ティグルの言葉にルーリックとマスハスは応じ、そうしてティグルは相手の動きを見ながら機先を制した指揮で追い詰めていきながら、自分も戦場に出て更に指揮官を積極的に射抜いていき、戦況をこちらへと引き寄せ、そうして追い詰めていった。

 

 

 銀の流星軍の左翼もマスハスとオーギュストらの卓越した指揮で戦局を逆転していく。

 

 

 

「くっ、よもやここまでやるとは……」

 

 切り札であった竜二匹もやられ、撤退するしかないとテナルディエが指示を出そうとした時……。

 

 

 

「ブリューヌを私欲のままに貪ろうとした国賊、テナルディエよ。貴様の命運もここまでだっ!!」

 

「は……ろ……ロラン……だと?」

 

 テナルディエの更に後方にロラン率いる『ナヴァール騎士団』が現れ、そしてデュランダルを構えたロランが宣誓する。

 

 当然、死んだとされた筈のロランが生きていた事にテナルディエは混乱するも……。

 

 

 

「お、おのれ……おのれおのれ……ヴォルンめ……この私を謀りおったなぁぁぁぁっ!!」

 

 全てはティグルによるものだと察し、怨嗟の咆哮を上げたのであった。

 

「突撃だっ!!」

 

 そんなテナルディエに対し、ロランは自分が指揮する数千の騎士団と共に突撃を開始するのであった……。

 

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