魔弾の王は戦姫と英雄譚を紡ぐ   作:自堕落無力

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五十三話

 

 

『ビルクレーヌ平原』でティグル率いる銀の流星軍とテナルディエ公爵率いるテナルディエ軍の二度目の戦が行われていた。

 

 テナルディエ公爵が切り札としていた五体の竜はエレオノーラとリュドミラ、二人の戦姫の活躍で討ち取られ、中央部隊の半数と共に銀の流星軍の中で多くをジスタート軍で構成された右翼相手に押していたテナルディエ軍左翼も援軍として向かったティグルの指揮と弓の技により、壊滅されていく。

 

 テナルディエ軍の右翼と残りの中央部隊も銀の流星軍においてブリューヌ軍の騎士団で構成された左翼はマスハスとオーギュストらの一度丘を放棄する事で相手に渡し、囮となっているマスハスたちが貴族の者達が注意を惹きつけ、その間にオーギュスト達騎士団が丘を迂回して背後に回り込み、オーギュスト達が丘を再び、占領し前後から敵を討つという戦術に嵌り、負けた。

 

 これもあって、テナルディエは撤退を決めたのだが、そんな彼の背後に死んだはずのロランと彼が率いるブリューヌ王国において最強と名高い『ナヴァール騎士団』が現れ、そうして攻め込まれた。

 

 

 

 テナルディエ軍は二度の戦いで消耗しているし、何より完全なる奇襲、名高いナヴァール騎士団に敵と認定された事で混乱や動揺もあり、満足に戦えない状態であったために碌な抵抗も出来ずに敗れていく。

 

『うおおおっ!!』

 

 そして更にテナルディエ軍左翼と右翼の陣を抜けてそれぞれ銀の流星軍が左右から挟撃するために攻め込み……。

 

「お前は邪魔だ」

 

「っ!?」

 

 ティグルはまず、テナルディエを守るために側にいた副官のスティードをその弓の技を持って額を射抜く事で屠った。

 

 

 

 

「バートラン、槍を」

 

「はい、若」

 

 そして、弓を仕舞いながら控えさせていたバートランより、槍を受け取るとテナルディエの元へと向かう。

 

 テナルディエは剣を構えながらも追い詰められ、ロラン達ナヴァール騎士団と銀の流星軍の包囲されている。

 

「分かっているな、もうお前は終わりだぞ。テナルディエ……とはいえ、あんたの子息を討った者として俺が相手をしてやる」

 

 ティグルが槍を振り回しながら、決闘を申し込んだ。

 

 

 

 

 

「ふっ……随分と舐めてくれる。だが、良いだろう。元より貴様はこの私の手で殺すつもりだった」

 

 そうして、テナルディエも勝負を受け入れ……ロラン達は邪魔しないように一度離れる。

 

 ティグルとテナルディエ――二人の指揮官はそれぞれ、槍と剣を構えながら対峙し……。

 

『うおおおおおつ!!』

 

 そうして、互いに馬を相手に向かって駆けさせると……。

 

 

 

「しっ!!」

 

「がっ!?」

 

 テナルディエの僅かな間隙をティグルは狩人としての観察眼を持って見抜き、そうして槍による流麗かつ鋭い刺突を放ち、テナルディエの胸を貫く。

 

「あんた達は我がアルサスを汚そうとした……これはその報いだ」

 

 ティグルはテナルディエに告げながら、槍を引き抜く。

 

「ごふっ……ふっ、見事……」

 

 テナルディエは血を吐きながら、馬より背中から地面へと倒れる。

 

「……ブリュー……ヌを……」

 

「言われる前でも無い……テナルディエ公爵をこの、ティグルが討ち取ったぁぁぁぁっ!!」

 

『おおおおおおっ!!』

 

 テナルディエの最後の言葉に答えながら、勝利した事を告げると銀の流星軍とナヴァール騎士団は歓声を上げ、テナルディエ軍は武器を捨て、失意のままに項垂れるのであった……。

 

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