ティグルは三年間の間、ジスタート王国領内の公国の一つにしてヴォージュ山脈を通して国境が隣接しているライトメリッツへと妻であるティッタ、そしてライトメリッツまでの道中、ティグル達の護衛を務めるルーリックやアラムなどのライトメリッツ兵と共に向かっていた。
「今更だが改めて、ヴォージュ山脈を渡るとなると険しいよな」
「ええ、だからこそブリューヌにとってもジスタートにとっても天然の要害になる訳ですが……」
ティグルはヴォージュ山脈内の森を進みながら側にいるルーリックへと声をかけるとルーリックは頷きながら、言葉を返す。
「まあ、ブリューヌは山道の開発と整備をしなければならんし、そうなると要害としての機能もだいぶ削がれるわけだけどな……旅人や商隊、傭兵とかにとっては喜ぶべき事だが」
このまえのレギン王女と戦姫エレオノーラのやりとりの中、決まった事を言う。
そう、ブリューヌはこの険しいヴォージュ山脈を通行できやすいように山道の開発に整備をする事になった。
そしてティグルの領地であったアルサスは本来、エレオノーラ、引いてはジスタート王のものにされるところでそうなると悪政などをされる可能性があったが、一応はレギンとエレオノーラ二人での共同管理となったのでティグルは安心した。
故に心置きなく、ティグルはライトメリッツに行く事が出来るようになったのだ。
「少なくとも数年はかかりそうだな」
「ですな。まあ、エレオノーラ様は念願叶って大喜びですが」
「喜んでいただけてなによりだよ」
そんな他愛もない会話をしながらも一同は進んでいき、夕暮れが迫ったところで野営をする事となった。
「本当、ティグルヴルムド卿は優秀な狩人ですな」
「ああ、ティグルさんはこういう場所だと頼りになる。」
食事のために狩りをし、それを手際よく調理をするティグルにルーリックとアラムは言う。
獣がいる位置の特定、食えそうな実や茸の選別などティグルは長年の狩りの経験を活かし、次々と食料を確保してくるのでルーリックとアラム、他のライトメリッツ兵たちも賞賛の言葉を言う。
「ヴォルン家は狩人の系譜だからな。俺も狩りは大好きだしよ」
「大好き過ぎて数日は留守にする時が多いですけどね」
ティグルがルーリック達に応じるとティッタは苦笑しつつ、言う。
「獲物の中には中々、警戒心が高くて動かない奴もいるしなぁ」
軽く今までの狩りの話をしたりしてヴォージュ山脈での野営をするティグル達。
野営なども挟んでティグル達はヴォージュ山脈を進んでいき、山脈を抜けると道中の村で金を払って泊めてもらったりなどして着実にそしてなるべく早くライトメリッツへと進んでいくのであった……。