三年間、ジスタート王国の戦姫の一人であるエレオノーラが治めるライトメリッツ公国の客将となる事が決まったので妻であるティッタと共にティグルはライトメリッツへと向かい、まずはエレオノーラ達の歓迎を受けつつ、愛し合いながら穏やかな時間を過ごした。
自分の国のブリューヌではガヌロンとテナルディエと内戦を繰り広げたし、その途中で侵略に来たムオジネルと戦ったりなど緊張状態が続き、穏やかな時間など無かったが故にとても良いものであった。
数日程、ライトメリッツで政務の手伝いやライトメリッツの兵と訓練、ライトメリッツの市民と交流するなどして速く馴染むようにしていたティグルだがそんな時、ジスタート王国の国王であるヴィクトールから謁見を要請された事でエレオノーラの二人とジスタートの王都シレジアへと向かった。
王都として凄く栄えている都の雰囲気に感動すらしながらもティグルはエレオノーラの案内で王宮へと向かっていく。
「アリファールは窮屈そうだな、無理もないが……」
「ああ、申し訳ないとは思っているんだが、こればかりはな」
エレオノーラはアリファールが目立つため、上から布を巻き付けて腰に吊るしているのだが、アリファールは不満らしく、度々風を起こして己を包む布を膨らませていた。
その様子を見てティグルは苦笑し、エレオノーラは申し訳なさそうな表情を浮かべる。
そうして王宮へと近づけば、兵士たちは構えを解いて恭しく一礼をする。
「ブリューヌ王国の『
エレオノーラが兵士たちの求めでアリファールを布から解放して、あらためさせる中でティグルは己の弓と筒を預けながら自己紹介する。
そうして旅人に扮しているティグルとエレオノーラはそれぞれ、与えられた王宮の一室で汚れを落とすとティグルはこの日のためにエレオノーラ達が用意していた正装を着る。
「とても綺麗で似合うな」
「ふふ、ありがとう。ティグルも良く似合っているぞ」
「お前達が用意してくれた服だからな」
銀色の髪を結い上げ、白を基調としたドレスに身を包んでいた。首と肩、胸元には宝石で飾り、正に絶世の美女となっていた。左手にはアリファールを持っており、異彩を放つが戦姫としての美しさを醸し出してもいる。
ともかく、ティグルはエレオノーラと共にヴィクトール王のいる謁見の間へと向かった。
「面をあげよ」
ティグルはエレオノーラと共に所定の位置で膝をつき、頭を垂れるとヴィクトール王が言葉をかけた。
「謁見の栄誉を頂き感謝します。私がブリューヌ王国の『月光の騎士』、ティグルヴルムド=ヴォルンです」
「うむ……余はヴィクトール=アルトゥール=ヴォルク=エステス=ツァー=ジスタートだ。成程、テイグルヴルムド=ヴォルン。確かにただならぬものを感じる」
そうしてティグルは目の前にいる灰色の髪と髭を丁寧に整えているが艶は無く、肌は黒ずみ、活力の無い青い瞳、背筋はまっすぐだが衣から伸びている手は骨と皮で出来ていると思える程に細いという老王ヴィクトールに謁見したのであった……。