ティグルはジスタート王国の王都シレジアにて国王であるヴィクトール=アルトゥール=ヴォルク=エステス=ツァー=ジスタートと謁見をした。
それぞれ、自己紹介を済ませるとティグルはブリューヌ王国の内乱戦においてエレオノーラとリュドミラの共闘を許可してくれた事に対して礼を言った。
するとヴィクトールもそれによって、ティグルの事も含めてブリューヌと良い関係を築けたのだから良かったと言ってみせた。
その後、約定通り三年間、ライトメリッツでジスタートの客将としてジスタートの国益になるような活躍をして見せると誓った。
「そういえば、ティグルヴルムド卿はブリューヌ人でありながら凄腕の弓手だそうだな」
「ええ、一番の長所です」
「では、少し見せてもらうとしよう」
これまでの戦の事は当然ジスタートにも伝わっており、弓を忌避するブリューヌに生まれながらこの大陸の中でも随一の弓の実力を有するというティグルのそれにヴィクトールは興味を示した。
こうして王宮の中庭にてティグルの弓の腕を披露する事となる。
せっかくだからとこの王宮内の弓上手達と試合形式での披露となり……。
「ふっ!!」
ティグルはそれとなく、改良などをしている特性の短弓を構え、四百五十アルシンの距離にある的を射抜いてみせる。
「馬鹿な……四百五十アルシン先の的を当然のように」
三百アルシンの的でやっとな弓手はティグルの素早く正確な弓技に驚愕し、畏敬の念を抱いた。
そして、ティグルはそのまま複数、矢を番えて放ったり、超速連続で矢を放っては継矢を成す。
更に馬に乗って駆けさせながら横一列に並んでいる五つの的を射抜くという試合にも楽々勝利するし、城壁の上を狙ってどれだけ遠く矢を飛ばせるか競うそれにも、城壁の奥に落とすという規格外さを持って勝利した。
「……素晴らしい、本当に素晴らしい弓の技だ。これ程の物は今まで見た事が無い。ティグルヴルムド卿こそ、この大陸一の弓手だろう」
「有り難きお言葉、ありがとうございます」
ヴィクトール王はティグルの弓の技を賞賛し、それによって他のジスタートの者達も拍手し、言葉も送る。
ティグルは自分の弓の技が素直に称賛される事に内心、嬉しく想いながら頭を下げる。
ともかくこうしてティグルはヴィクトール王達から好感を抱かれたのであった。
「ふふ、やったなティグル。ヴィクトール王はお前を気に入ったようだぞ」
「嫌われるよりはとても良い」
王宮からの帰還中に満足気なエレオノーラの言葉にティグルも笑みを浮かべて応じるのであった……。