魔弾の王は戦姫と英雄譚を紡ぐ   作:自堕落無力

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六十六話

 

 

 ティグルはライトメリッツの複数の村にて被害を出していた牡鹿を狩り、そうして村でお礼も兼ねた宴に参加して歓迎されるとエレオノーラ達の元へと戻った。

 

 そして狩りの終了と無事に帰還した事を祝うエレオノーラとリムアリーシャと葡萄酒を一杯、飲み交わした。そして牡鹿狩りの話もしたのだがそもそも、ティグルはティッタによってエレオノーラ達が話があるというのを聞いている。

 

「ティグル、アスヴァール王国は知っているな?」

 

「ああ、リムから一通り、教わっているからな」

 

 聞いてみるとエレオノーラとリムアリーシャは顔を見合わせつつ、エレオノーラが話を切り出す。

 

 アスヴァール王国は北の海にあるアスヴァール島と大陸の一部とで構成されている。

 

 王国が興った時は只の島国であったが、ある時期に傑出した能力を持った統治者が大陸に進出し、領土を拡大したのである。

 

 国境を接しているのはジスタートとブリューヌ、ザクスタン王国の三つの国だ。

 

 ジスタートとの仲は良くも悪くもないものでブリューヌは西の国境をたびたび侵しているので良いとは言い難いが、数年は攻める度にブリューヌの騎士団に撃退されている。

 

 ザクスタン王国との関係は非常に険悪で些細な事でも争う程だ。

 

 このアスヴァール王国の状況としては、なんと約半年前までザカリアスという王が治めており、ブリューヌへの侵攻を企んでいたが自身の健康が優れなかったので様子見に留めていた。

 

 下手をすればティグルにテナルディエとガヌロンが内戦を繰り広げていて、ムオジネルで疲弊していた時に侵攻してきた可能性があったのだ。

 

 だが、そんなザカリアス王はブリューヌの内乱が終息する少し前に亡くなった。そして死に際の遺言で嫡男であり、第一王子のジャーメインが玉座を継ぐ事になった。

 

 しかし、戴冠式の数日前にジャーメインは狂乱してしまった。

 

 自分の弟妹達を王宮に呼び出し、謀反の疑いがあると次々に手にかけたのだ。

 

 第二王子のエリオットと第一王女のギネヴィアだけがなんとかジャーメインの魔の手から逃れた。

 

 そしてエリオットは兄に対して反乱を起こした。四人もの王子と王女を殺害したジャーメインに反発する諸侯は少なくなく、反乱は成功した。

 

 ジャーメインは王都コルチェスターを捨てて、大陸の領土に逃れたのだ。

 

 結果としてアスヴァールは王都コルチェスターを含むアスヴァール島をおさえたエリオット王子の勢力と大陸にある領土を支配しているジャーメイン王子の勢力に二分された。

 

 王女のギネヴィアは争いを避けて国内のどこかでひっそりと暮らしているという。

 

 エリオットとジャーメインの勢力の関係は中立を唱える諸侯が多いため、拮抗しているがエリオットは海賊を配下にしており、ジャーメインは傭兵を雇ってそれぞれ戦力を整えていた。

 

 

 

「ティグル、ヴィクトール陛下からお前にアスヴァールに行ってほしいという要請があった」

 

「なんのために?」

 

「第一王子であるジャーメインへ、密使として会ってほしいそうだ」

 

 ティグルが問いかけるとエレオノーラはヴィクトールへの戸惑いがある表情を浮かべながら、ティグルにヴィクトールの要請を伝えたのであった……。

 

 

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