魔弾の王は戦姫と英雄譚を紡ぐ   作:自堕落無力

94 / 96
九十三話

 

 『ルクス城砦』を守っていた城主のレスターは人間では無く、異形の怪物であった。

 

 ティグルが先に砦へと潜入し、暗殺しようとしたオルガを心配して城主の部屋に向かうと目にしたのはその怪物に吹っ飛ばされていたオルガと怪物である。

 

 ティグルがレスターである筈の怪物から名を尋ねられたのでそっちから言えと軽く反論してみると容易く怪物は『トルバラン』だと名乗ってみせた。

 

 ティグルにとってその怪物の名は幼い娘を攫うとされるおとぎ話の怪物と同じものであった。そして、怪物が自分の名を名乗る時、ティグルに対して『弓ならば名乗るしかない』と言ってみせたのだ。

 

「(この弓は怪物たちにとって重要な物のようだな)」

 

 トルバランの反応から前にティグルはミラとムオジネルからその時、混乱中であったぶリューヌを攻めてきたクレイシュと戦い、撃退したのだがその時、妙な怪物の若者の男と戦い、撃退した。

 

 この時、若者はティグルに自分の元に来るように告げた。この事も合わせると黒弓は怪物たちにとって重要な物だと理解した。

 

 ともかく、ティグルはトルバランを討つ事とし、オルガの竜具であるムマの力も借りて砦内の天井を突き破らせながら、夜空高く吹っ飛ばしたのだ。

 

 そうした事からティグルはトルバランを倒せたとは思っているが、巨躯であればあるだけ、生命力も高いので生きているかもしれない。もし、生きていて襲い掛かってきたなら倒す事を決めつつも現状においてはトルバラン、レスターもおらず、彼の兵士も降伏しているので『ルクス城砦』は陥落した事になる。

 

 

 

 つまり、ティグル達は勝利したのだ。

 

「本当に申し訳ありませんでしたっ!!」

 

「事情は分かっているから安心しろ。お前は悪くない……これからこき使いはするかもしれないがな」

 

「なんでもお申し付けください」

 

 ルクス城砦の一室にティグルはオルガにマトヴェイと共に集まるとマトヴェイはオルガを止めなかった責任感からティグルに謝り、ティグルは苦笑しながらも冗談交じりに言葉をかけつつ、許しマトヴェイはそんなティグルの冗談に深く頷いてみせる。

 

 因みにオルガと共に潜入したマトヴェイはレスターの兵に見張られており、大人しくしていたが故に生きる事が出来ていたのだ。

 

 その後、ルドラーは降伏したレスターの兵の中で帰順する者達を加えて軍を編成しつつ、タラードに従えないという者達には食料を数日分、渡して解放した。

 

 ただし、レスターにおもねって周辺の村々を襲っていた特に性質の悪い兵たちは容赦なく処刑したが……。

 

 そうしてタラード軍の数は約三千となり、戦う前の数に戻った。ティグルが率いる傭兵隊の数は二百二十三程に減ってしまっていたが……。

 

 敵味方を問わず、兵の死体を集めて埋葬し、城砦内にこびりついた血を水で洗い流す作業を行う。

 

 これは疫病対策であると共に投降した者達のわだかまりを無くすための措置であり、ティグル達はそれを手伝った。

 

 一日が終わろうという時間帯、城砦の会議室でこれからの事を話そうとした時、慌ただしい報告が入った。

 

「エリオット王子が三万の海賊を率いて上陸しました。この城砦とバルベルデのどちらかを目指すのかはまだ不明ですが、彼らは此処から二日ほどの距離にいますっ!!」

 

「(上等だ、必ずソフィーは返してもらうからな)」

 

 ティグルはエリオットが捕らえている戦姫の一人でティグルの知り合いであるソフィーヤを助け、エリオットを倒す決意を固めたのであった……

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。