魔法使い、一身上の都合により世界移動す ~そして、世界全ての破壊者へ~ 作:無淵玄白
島本先生は時代を先取りしすぎていたんや!!今こそヴァンパイドルのリブートをして啓蒙してほしい!!
氷漬けの体から解放されていく魔石獣の獣人たち、自意識があるのかどうかは分からない。しかし、ヒトよりも優れた身体能力からの生来の戦士としての本能でもあるのか、眼前の存在に戦いを挑んでいくようだ。
「レオーネ、ラフィニアさん。ワタクシが上空から牽制します!!!」
「分かったわ!」
「リーゼロッテお願い!!」
相手の意識を正面だけでなく上方にも向けさせるために翼の
時には後方に回り込むようにして攻撃を仕掛ける。
そうして意識が散漫になった所にレオーネの大剣が振るわれ、ラフィニアの光の矢が収束して貫いていく。
美少女3人が中々のコンビネーションを見せている中……。
「ラティ、あちらから来ます!」
「おうよ!!」
二足歩行の金色の狼犬に変じたラティが背中にプラムを乗せながら魔石獣人を倒していく。その膂力と爪の鋭さは尋常ではない。
周囲にいる魔印持ちに
「ほぅ。やるじゃねぇか」
「アナタ好みの少年よね」
「誤解を生む表現やめろよ。まぁ俺と似たタイプではあるか」
重装甲の騎士と化したレオンが剣や拳を用いて魔石獣を倒していく。
それをフォローするようにエリスも双剣を用いて衝撃波を出して援護していく様子。
如何に色々あったとはいえ、戦いの場において私情を持ち込むほどエリスも分別がないわけではない。
「エリス、俺の援護はいいからシスティアさんの援護頼めるか?あの仮面の獣人戦士は、かなりの実力者だ」
「……そのようね。分かったわ」
血鉄鎖の「天恵武姫」という不可解極まる存在との共闘に少しだけ蟠りを覚えながらも今はそれを押し殺しながら戦う。
長柄の武器の特性を生かさせないように、戦斧を振るい常に接近戦を挑む獣人女に対してーーー。
「援護するわ!」
「ーーー助かる」
少しだけ間があったが、それでも横合いから獣人女に斬りつけたことで、間合いが出来上がったのだ。
「私の「槍」や「攻撃」は空間を超えて相手にダメージを与えられる。もちろん制限はあるがな」
「遠距離型ね。私もこの双剣から衝撃波とでもいうべきものを飛ばすことができるわ」
お互いの戦力確認。特に秘すべきものではないが……。
((お互いに微妙にマッチングしてない
思いながらもセツナ曰くのドブルイニャなる女の獣人は戦斧を軽々と使って攻撃を加えてくるのだ。
抑え込むだけならば、なんとかなるが……そうしている内に、とんでもないアクシデントが起きた。
それは、本来ならばあり得ざるものだったが、それでも起こってしまったならば仕方ない。
イングリス・ユークスが、倒れていたのだった。
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軽快に、素早く、鋭くーーー獣人魔石獣を倒していた愚連隊ではあるが、予想外のことが起こった。
「セツナ、イングリスが!!」
ラティの警告。プラムを背負いながら戦っていた金狼の戦士の言葉に言われて振り向くと。
イングリス・ユークスが前のめりに倒れた姿。
どういうことだと思っていると。
「あ、足がシビレました……」
あれだけ鍛えているとはいえ、何故ーーー。
(そうか、エコノミークラス症候群!!)
疑問に対する解消が速かったのはセツナであった。
イングリスが、自分に何かの力を渡すために背中に抱きついたままの状態を長く続けていたことが原因だと気付けた。狭い空間とまでは言わないが、それでも飛行する乗り物の上で長時間同じ姿勢でいたことで、そうなったと思われる。
その事実からイングリスの強化は、自分の身体強化のように人体の活動を全て理解したうえでのものではなく、ざっくり言ってしまえば「保護強化」のようなものであると完全に理解した。
もちろん本来の病状のように、とてつもないもの「血栓」が出来て呼吸器系にまで及ぶわけではないが。
とはいえ、一番弱体化をした相手に魔石獣が殺到しようとする。地に伏せてもアイツならば戦えるーーー、上体だけ起き上がらせて体育座りのままに何か出来るーーー。
と、考えていても身体は反射的に動き出した。
「ああっ、クリス……!!」
ラフィニアの悲しみの声。エーテルシェルで防御していても、全方位からの脅威に太刀打ち出来るかもしれない。
だが、それでもーーー。
獣人がその手に凶器を四方から振り下ろす前に、横合いからイングリスの身体を抱き上げて高速で回避して、洞窟の上部に滞空する様子。
「ア、アツイイイ!!!」
「こんな状況でなければ口笛吹いていたぞ!」
立ち上がろうとしても立ち上がれずにいたイングリス・ユークスを姫抱きでさらったのはセツナであった。
その様子はどっかのヒロイックサーガを思わせるが、そんな気持ちは全く無かった。
「お前さんもヒトの子なんだな。まさか足の不調を起こすとは」
「私をなんだと思っているんですか!?……とはいえ、助けられました。感謝しますセツナ……」
「まぁ君の不調はどう考えても、あの立ちバックだからな。俺も責任を感じる」
「卑猥な表現は見逃しましょう。とはいえ、この状態ではヒマですねー」
とりあえず抱き上げつつイングリスに回復術をオートで掛けているので、もうちょっとすれば……なのだが。
(リーゼロッテも飛んでいたとはいえ、翼も持たない普通の人間である俺の飛行で魔石獣の意識が上に向いたとはいえ、基本的には地上の相手を狙うようだな)
そして、ビックリドッキリな技でみんなの意識も自分たちに向いてしまったのでイーブンというところか。
加勢せねばーーーという思いはイングリスも同様だったらしく……。
「セツナ、アレやってくれませんか? 王城で出した魔法陣の砲台を!!」
「出そうと思えば出せるが、俺はいま両手が塞がっているぞ」
「ええ、私が「砲弾」を、エーテルを込めますので砲台だけでも」
その言葉に、一考する余地もないことは地上の状況から理解できたので。
「Anfangーーー」
言葉を受けて呪文を唱えるのだった。
「あうっ、セツナの左右の手から変な感覚を覚えますよ。スケベ」
「我慢しろ」
両腕の魔術刻印が、励起して姫抱きしているイングリスの足と背中というより胸部に刺激が走り、それでもーーー
「さぁ、設定してやったぞ」
虚空に浮かぶ魔法陣の全てを制御した。
「では!!」
片手で自分の首に巻き付きながら、片手を伸ばして五指を広げるイングリスのエーテルストライクが色彩豊かなレーザービームとして、洞窟内を圧倒する。
自動的にイングリスの手の前に配置される魔法陣は、照準を定めた相手に適した属性なのだ。
(まぁイングリスのことだ。こういうカウンターは好かないだろう)
あえて困難に立ち向かうといえばいいのか、そういう性質で挑みかかる相手なので相手の優位を取るということがイヤになるかもしれない。
「むむむっ!!とはいえ、今はラニ達への援護優先だ。セツナにこれ以上負担を掛けるわけにも行かない。例え私のおっぱいとおみ足の感触を堪能していようと!」
思った通りの反応だが、今回ばかりは実利優先でイングリスは動いてくれるようだ。しかし、最後の言葉には物申したい。
「位置を変えるぞ」
「オーケーです!!私を落とさないでくださいよ!!」
射角の関係と洞窟の構造から動き回りいい位置でイングリスに魔弾を放たさせる。
たまらず獣人たちも投石というか岩を投げたりその手に持つ得物を投げてくる様子だ。
「上に気を取られていていいのかね?」
騎士としては、あまり褒められた戦いではないかもしれないが、背後から斬りつけたり、撃ったり、貫いたりと……魔石獣人が消滅していく。
「これは
少しだけ寂寥感を灯しながら言うイングリスだが、絶対の優位ともいえる頭上からバシュバシュと砲撃を食らわせている女の言えた義理ではないと思えた。
そうしてあちらの戦力が減っているとアークロードとトウジマ仮面の戦いに変化が起こる。
それは戦いがセカンドステージに進んだことを意味する。