EITOエンジェルズ総子の憂鬱(仮)   作:クライングフリーマン

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「アホ!何ででけへんねん。それでも警察官か。小町がおらんようになって、緩んだんか。それが、お前の職業意識か!嫌やったら、EITOも警察も辞めてクニに帰れ!」


119.愛ある限り

 

========= この物語はあくまでもフィクションです =========

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= EITOとは、Emergency Information Against Terrorism Organizationを指す =

== EITOガーディアンズとは、EITOの後方支援部隊のことである ==

 

7月15日。午後1時。EITO大阪支部。会議室。

総子がリンを平手打ちし、罵倒した。

「アホ!何ででけへんねん。それでも警察官か。小町がおらんようになって、緩んだんか。それが、お前の職業意識か!嫌やったら、EITOも警察も辞めてクニに帰れ!」

「総子、そこまで言わんでも・・・。」と、大前は戸惑っている。

「チーフ。リンも悩んでるだけやんか。堪忍したって。」と、ジュンが言い、「誰かて初めては恐い。リンはビビっただけやんか、なあ。」と、ぎんが言った。

「あ。そや。今日の宿直、誰やった?」

大前の問いに、「私です。」と弥生が手を挙げて言った。

「今夜、リンと宿直な。な、弥生。」言外の言葉を察して、弥生は「了解しました。」とだけ応えた。

「俺、小柳さんとこ行って来るわ。紀子、晩飯はええで。」と言い、大前は出て行った。

総子は、何も言わず出て言った。

ぎんとジュンは顔を見合わせた。

こんなことは、初めてだった。

いつもなら、二美が間に入ってくれるのだが、昨日から自衛隊に用賀と帰っている。

 

その夜。訓練場には、弥生がいて、リンがいた。

リンは、その直前、弥生が電話の相手にえらい剣幕で怒っているのを見て、驚いた。

「だから、草薙さんのアイディア・設計もいいし、迅速に製造した開発部の腕もいいけど、何でオペレーターが限定なのよ。誰が決めたの、二美さんがオペレーターだって。マニュアル、やっつけ仕事じゃない。オペレーターはね、コマンダーの指名で今奈良隊員なの。今日中に作り直して送りなさい。いい?きょう、じゅう、よ。分かった???」

リンが担当することになったのは、ドローンを複数機同時に操縦するシステムだった。以前、東京本部で使用した時は、単に敵を攪乱する為に追跡するシステムだったが、同時に複数のリモコンを操る必要があった。その改良版の【ぶいシステム】では、レーダーポインターを照射する。ドローンには武器は装備していない。レーダーポインターは、飽くまで『照明』という名目だ。

ホバーバイクを操ってきた弥生やいずみには理解出来ても、リンには無理だ。

マニュアルには、『専門用語』を『専門用語』で説明してある。

リンが辞退を申し入れたのは、その為だ。

ホバーバイクとは、『宙に浮くバイク』で、民間会社が開発、自衛隊もしくは警察に採用される筈だったが、某自称市民団体、左翼団体によって、阻止された。

そこで、芦屋三美が、芦屋グループで版権を買い、改造して『救助用車両』として大阪府警、警察庁に認可させた『準緊急』車両である。

大前は、暗に、弥生に『特訓』を指示したのだ。

 

複数のドローンを操り、同じポイントに向けて飛ばし、更にレーダーポインターを照射するのは至難の業だ。

だが、大阪は路地が多く、一方通行も多い。警察車両が犯人を追えなくなる場合も少なくないのだ。

EITOは小回りが効く。現に、火事の類焼を食い止めた実績も多い。

草薙のアイディアはすぐに採用された。

後方支援に持って来いのシステムだからだ。

 

何度も何度も失敗を繰り返す内、午前0時近くになった。

弥生は、司令室に行き、新しいマニュアルをプリントして持って来た。

「もう大丈夫よ、リン。」

弥生は、噛み砕いてリンに説明した。

リンは、弥生にしがみついた。

リンには総子が姉同然だが、弥生にも『姉』を感じた。

休憩後、2人は、再び特訓を始めた。

 

翌日。午前9時。会議室。

「それが、総ちゃんともウチの人とも連絡取れへんまま。」

「府警には?」と、松本師範が尋ねた。

「回線が繋がりません。スマホも。何かあったのかも。」

「じゃ、様子を見に行こう。ヘレンちゃん、東京本部にも連絡して。ジュン達は、訓練場で待機して。」と、二美は言い、用賀とホバーバイクで向かうことにした。

 

午前9時半。訓練場。

皆が来ると、リンと弥生が延びていた。

今日子が提案し、2人はストレッチャーで宿直室に運ばれた。

二美は、オスプレイのパイロットであるデビッドに事情を話し、待機させ、新式のホバーバイクで用賀と大阪府警に向かった。

府警近くのビルに降りた二美達は、府警がジャックされていることを知った。

府警のビルの外には、警邏課や警備課の警察官がいる。

二美は、一美に連絡しようとスマホに電話したが繋がらない。

佐々に電話したら、警備課に混じって、外にいた。

「昨夜午後10時頃、祇園祭の警備出向で手薄になる人員体制の会議をしていた所をジャックされた。私は、外で私用電話をしていて、セキュリティーシステムに閉め出された。」

「犯人の要求は?」

「東京拘置所にいる仲間の釈放。」

「無茶だわ。」

「犯人は、大抵無茶ですよ。」

「コマンダーとチーフは?」

「中です。」

二美は、三美に電話した。

「強行突破しかないわね。予備のオスプレイを飛ばすわ。多次元中継をして、私が指示を出す。」

 

午前10時。大阪支部司令室。

ヘレンは、皆を集め、状況を説明した。

「ジュンさん、ぎんさん、いずみさん、オスプレイとホバーバイクで出動願います、とのことです。」

「みんななら出来る。私は、そう信じているよ。」

 

皆がオスプレイに到着すると、もうリンといずみは搭乗していた。

 

午前11時。大阪府警。

マスコミのヘリが飛び交っている。

そこに、一機のヘリが飛んで来た。

機体には「0」の文字があった。

犯人グループが籠城している部屋の窓ガラスを、そのヘリが機関銃掃射して、どこかへ去って行った。

マスコミのヘリは、そのヘリを追った。

入れ替わりに、ホバーバイクが現れた。ホバーバイクの前にはリンがEITOエンジェルズの格好で乗り、ドローンを飛ばした。

ホバーバイク自体は、弥生が手を伸ばして操縦していた。

リンは小柄だから出来る『曲乗り』だった。

リンは、レーダーポインターをターゲットである犯人達に照射し続けた。

犯人は、とうとう現場を放り出し、階下に、いや、屋上に逃げ出した。

 

そこには、大阪支部のオスプレイが止まっていて、ジュン達が待ち構えていた。

犯人の拳銃は間に合わなかった。

ジュン達は、『素手』で20人の敵を、犯人を倒した。

そして、ホバーバイクから降り立った、リンは叫んだ。

「天が呼ぶ、地が呼ぶ、人が呼ぶ。悪を倒せと我等を呼ぶ。参上!EITOエンジェルズ。満を持して。」

 

階段を伝って、佐々が率いる警官隊が雪崩込んだ。

佐々は黙って敬礼をした。

警官隊は、黙って習って敬礼をした。

 

正午。臨時ニュースが全国に流れた。

何故か、謎のヘリの画像はぼかされ、『那珂国籍のヘリと見られる』と、注釈が入れられた。

籠城した部屋には『機密事項』があるので、と門田がマスコミ各局に通達したのである。窓ガラスが割れたのは、『老朽化』である、と説明を付けて。

 

午後3時。EITO大阪支部。

スクリーンの向こうで、小柳警視正と門田が盛んに頭を下げていた。

「いや、隙があったのは事実ですから。私や総子も捕まったし。」

 

午後4時。

芦屋グループから、大量の『冷やし飴』が持ち込まれた。

芦屋グループも、この名産を販売している。

『冷やし飴』とは、飴ではない。『飴湯』という清涼水を冷やした、大阪の、古くからある飲み物だ。炭酸飲料水ではない。

リンのスマホに、小町が映っていた。

「チーフ。みんな。よくリンを育ててくれました。また、みんなで京都来てや。」

警視正になっても、小町は以前の小町のままの笑顔だった。

 

午後7時。総子のマンション。

「親はなくとも子は育つ、か。リン隊員。成長したんやな。お前、辛かったやろ。心にも無いセリフ言って。」

「そのセリフ、考えた、所長さんのお陰やな。」

「総ちゃん、京都に行く暇あるの?」

「今年は無理かな。小町も急がしそうやし。」

「時間はまだある。」

「ほな、お先に。」

知子が帰ると、「子供、気になるんやったら・・・。」と、総子は、『支度』を始めた。

 

南部は、ドリンク剤でゆっくりとビタミン剤を喉の奥に流し込んだ。

 

「いくで、だんさん。」「はいな、嫁さん。」

 

確かに、時間はまだあるようだった。

 

―完―

 

============== ただ今の出演 ================

南部[江角]総子(ふさこ)・・・大文字伝子の従妹。南部興信所所長の妻。EITOエンジェルのチーフ。

南部寅次郎・・・総子の夫。南部興信所所長。

大前英雄管理官・・・EITO大阪支部の管理官。コマンダー。総子からは『兄ちゃん』と呼ばれている。

 

足立祐子・・・EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。

石動悦子・・・ EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。

宇野真知子・・・ EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。

丘今日子・・・EITO大阪支部メンバー。看護担当。元レディース・ホワイトのメンバー。

河合真美・・・ EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。走るのが速い。

北美智子・・・ EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。

久留米ぎん ・・・ EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトの総長。EITOエンジェルス班長。

 

小峠稽古 ・・・ EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。

和光あゆみ・・・EITO大阪支部メンバー。元レディース・ブラック7のメンバー。

中込みゆき・・・EITO大阪支部メンバー。元レディース・ブラック7のメンバー。

海老名真子・・・EITO大阪支部メンバー。元レディース・ブラック7のメンバー。

来栖ジュン・・・EITO大阪支部メンバー。元レディース・ブラック7の総長。EITOエンジェルス班長。

 

愛川いずみ・・・EITO大阪支部メンバー。EITOエンジェルスの後方支援担当になった(EITOガーディアンズ)。

本郷弥生・・・EITO大阪支部、後方支援メンバー(EITOガーディアンズ)。

 

大前[白井]紀子・・・EITO大阪支部メンバー。事務担当。ある事件で総子と再会、EITOに就職した。

 

芦屋一美(ひとみ)警部・・・大阪府警テロ対策室勤務の警部。総子からは『ひとみネエ』と呼ばれている。アパートに住んでいる。

用賀[芦屋]二美(ふたみ)二曹・・・。三つ子の芦屋三姉妹の次女。陸自からの出向。総子からは『ふたみネエ』と呼ばれている。オスプレイやホバーバイクを運転することもある。後方支援メンバー(EITOガーディアンズ)。総子の上の階に住んでいたが、用賀と結婚して転居した。

芦屋三美(みつみ)・・・芦屋グループ総帥。EITO大株主。芦屋三姉妹の長女で、総子からは『みつみネエ』と呼ばれている。芦屋三姉妹と総子は昔。ご近所さんだった。

 

門田奈穂美(もんでんなおみ)警視・・・大阪府警副本部長。小柳警視正の姉。

小柳圭祐警視正・・・警視庁から転勤。大阪府警テロ対策室室長

指原ヘレン・・・元EITO大阪支部メンバー。愛川いずみに変わって通信担当のEITO隊員になった。

用賀哲夫空自二曹・・・空自のパイロット。EITO大阪支部への出向が決まった。二美の元カレだったが、二美と結婚した。EITOガーディアンズ。

 

今奈良リン・・・大阪府警巡査。EITO大阪支部に出向になった。

 

---- ゲスト –---

佐々一郎・・・大阪府警テロ対策室勤務。警部補。

友田知子・・・南部家の家政婦。実は、芦屋グループの社員。

 

本郷隼人・・・EITO東京開発部部長。弥生の弟。

神代チエ(小町)・・・京都二条署署長。警視正。

 

 

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