宇宙帝国の令嬢は日本に興味があるようです   作:性転換大好き

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9話 クルシュ・コンプレックス

 

今日はクルシュ・コンプレックスの草案を日本側の権利者へ説明する日だ。

今回は私が主導で企画している。

 

電財省のチャノル、内務省のコセ、技術省のロンケルを同席させるつもりだ。

 

ちなみに、外務省のセレスには技術省のランドリューをつけて諜報活動を任せている。

口では日本にしか興味を持ってないと言っているが、地球に日本がある以上は米国やロシア等の影響も受けるものだ。

それに、他の宇宙文明の動向も気になる。

 

「ウィルズ、こちらの準備はできたから、日本側の人達を迎え入れてほしいわ。」

「承知しました。」

 

貴族省のウィルズは恭しく礼をして大使館の入り口で待機している人達を迎えに行った。

 

「チャノルは外為取引、コセは権利関係の擦り合わせ、ロンケルは今回使用する日本の技術の導入をして欲しいわ。」

 

「「「承知しました。」」」

 

ドアをノックする音が聞こえる。

 

「クルシュ様、お客様をお連れいたしました。」

「ウィルズね。入室を許可するわ。」

「分かりました。では、みなさまご入室ください。」

 

その合図とともに、日本側の人達が10人入ってきた。

全員男性で、ほとんどが60〜70歳の人たちで、スーツを決めてきている。

 

「お初目にかかります。私は三井不動産から出向し、この共同事業の日本側の代表を務める利根安と申します。本日は国交省、経産省、羽田空港、JR東、鹿島建設、NTT、バンナム、ALSOK、SMBCの代表が同席しております。」

「そうなの。私はこの事業の最高責任者、クルシュ・カアニアよ。」

「もちろん存じております。」

 

共同事業にした理由は、大規模な施設を作るため運営の手伝いをしてもらうためだ。

 

「国交省と羽田空港の人はコセ、経産省とSMBCの人はチャノル、NTTと鹿島建設、ALSOKのひとはロンケルと規制や為替、使用技術について話し合いしてほしいわね。三井不動産とバンナム、JR東は私とよ。」

 

そういうと、カアニアのメンバーに連れられて、日本のメンバーがそれぞれ別室へ移動した。

 

「承知しました。それにしても、いいオフィスですね。」

「そうね。建ってからそんなに経っていないし、内装も全部一流品で集めたのよ。」

「日本ではかなり過ごしやすい空間だと思います。」

 

雑談するのはいいけど、後ででいいな。

 

「さて、そろそろ話し合うわよ。」

「承知しました。」

 

日本側のメンバーは私に圧倒されている。

少し話しやすくしてあげないと。

 

「今回は日本で初めての大規模事業を行うから、意見のすり合わせは重要よ。遠慮ない議論をしてほしいわ。」

「そういう事ならば、箱物をどう運営するかについて忌憚なく意見を申し上げます。」

 

「構成については、テーマパークや宿泊施設を100 k㎡、中央に摩天楼を建てる100 k㎡で計200k㎡の3部構成で作るつもりよ。」

 

かなり驚愕している。

 

「そんな広さを運営したことはありません。交通や入退場等の規模が大きすぎて不安が残ります。」

「そのために国交省とJR東の人を呼んだのよ。」

「そうだったのですね。では、ここからは彼に任せます。」

 

そうして三井不動産の人が腰を深く落ち着け、JR東の人が前のめりになった。

 

「私を呼んだという事は、複合施設に電車を走らせたいという事ですか。」

「そういうことね。あと、これからは【クルシュ・コンプレックス】と呼んでほしいわ。」

「承知しました。」

「線路を引いて欲しいのは、まず宿泊施設やテーマパークを繋ぐものと入り口から【摩天楼】へ繋ぐものよ。」

「はい。」

「クルシュ・コンプレックスは羽田空港沖10km地点に作るから、電車と車が通れる通路を作るつもりよ。それに合わせて、東京から繋ぐ線路の整備をお願いするわね。」

「かなり法律や権利に阻まれそうですが、いかがしますか。」

「そこはコセに任せているわ。東京なら大深度に地下鉄を通せばいいけど、土地や規制が問題となるから、自治体や国、権利関係者に交渉してもらうわ。」

「そこが解決するなら、後は技術的な問題だけです。」

 

「どんな問題かしら?」

「その通路の詳細を教えてください。」

「そうね。簡単にいうと、加減速機能付きのトンネルよ。これは【摩天楼】での上下左右の移動でも採用するけど、電車と車を通すものはその拡大版ね。」

 

「では、通常の電車の加減速を手伝うという認識で間違い無いですか。それだと部品の耐久性からリニアを使う他ないですが。」

「そこは問題無いわよ。速度はマッハ1になるけど、精密な重力制御技術で車体や搭乗者は直接Gがかかる事はないわ。」

「承知しました。では、リニアを引いてもよろしいですか。」

「いいわよ。最適な方法でして欲しいわ。」

「承知しました。」

 

三井不動産の人が少し前屈みになりながら真剣な顔をした。

 

「私どもは大型の商業施設の運営には携わっておりますが、カアニア製品の取り扱いについて未知数な部分があります。」

「カアニア側で、高級・最高級の商品を取り扱う【星】、【天】という会員専用空間を提供するつもりよ。」

 

まだ疑問が尽きない顔をしている。

 

「ならば、それ以外の一般客にはどのような商品を提供しますか。」

「基本的には地球の商品を並べるつもりよ。カアニア製品は0.01電貨以下の商品は棚に並べて、それ以上の商品はガラスケースに入れるわ。扱いとしては専門店街の一部に出店する感じかしら。」

 

メモをとりながら構想を固めていく。

 

「高級ランク以上の商品は一般フロアでは出さないのかを聞きたく思いましたが、0.01電貨程の商品が気になります。」

「パン一斤一電貨ということは存じておりますが、パンの百分の一の価値というのは分からなすぎます。」

 

真剣な空気だったが、この発言にバンナムの人が乗ってきて、JR東の人もすごく気になったようで、少し空気が緩んだ。

 

「パン一斤1SDC(1,000万円)ということは存じておりますが、パンの百分の一の価値というのは分からなすぎます。」

「確かにイメージつかないわよね。カアニアでは肉類が安く、野菜や穀物類が高いのよ。」

「肉類は一食分で0.01SDCよ。」

 

そういうと、三井不動産の人が驚いた表情になった。

 

「カアニアではアルバイトでも日本の感覚でパンをとても安価で買えますよね。肉はほぼ水のような価格ではないですか。」

「カアニアは安い食品を大量に輸入してるから価格が低いのよね。配信で肉と比べてって言うの忘れてたわ。」

「何でそんなに安いんですか?」

「属国に肉ばっかり作ってる国があるのよ。」

「そうなのですね。」

「カアニア人の物価で1SDCのパンは、日本の物価なら50円のパンくらいの感覚なのよ。」

「確かに日本円に換算すると高級品みたいに見えるけど、実際は普通の食品ね。」

「だから、カアニア人にとってパンは庶民の食べ物で、肉は水のようなもの。でも、日本で売るときは高級品になるわね。」

 

 

カアニアと日本では物価がかなり異なるので、単純に比較するのは難しいのだ。

 

「それで、0.01電貨以下の商品は属国の品物になるわ。」

「なるほど、それをカアニア製品として提供するわけですね。」

「そうよ。具体的には肉類や缶詰、キーホルダー、決済機能付きのドックタグ等を置くつもりよ。」

「そのドックタグとは何ですか?」

「このドックタグは、訪問者が電貨の商品を購入する際、に自動で口座の円を両替してくれるものよ。カアニアにおけるスマホの立ち位置の刻紋を刻んでいない人向けの商品ね。」

 

どうやら一般フロアのカアニア専門店のイメージがついてきたようで、話が進んでいく。

 

「では、ガラスケースに入れる商品と高級な商品の展示の有無についてお伺いして、最後に複合施設の構成をどうするかするか決定したく思います。」

「分かったわ。それが終わったら、私からの要望を言うわね。」

「では、ガラスケースに入れる商品をお教えください。」

「そうね。目玉商品は【星】フロアへのアクセス券と後に話すテーマパークに展示するヴァルディア製の短距離船への試乗券よ。」

 

そういうと、目の色が変わった。

 

「大変興味深く、値段さえ合えば大人気となりそうです。」

「そう?後はスーオリム銀河外の国の電子機器やこの宇宙の概要を記した書物を置く予定よ。」

「それだけの商品があれば、間違いなく客足は伸びると思います。」

「高級な商品の展示についてはテーマパークにヴァルディア製の船を何隻か置くわ。それ以外は出さないわね。」

「承知しました。」

 

バンナムの人が前のめり気味に聞いてきた。

 

「テーマパークの広さはいかほどですか。」

「50k㎡を占有させるわ。」

「では中身はどうしますか。」

「大雑把にカアニアゾーン、アーマードコアゾーン、ガンダムゾーン、SAOゾーンを考えているわ。原作技術はこっちで用意するから、IPのライセンス交渉とその他の施設をお願いするわね。」

「承知しました。それにしてもサブカルに造詣が深く感激いたしました。」

「そんな事ないわよ。」

 

バンナムの人との話がひと段落したところで三井不動産の人が話し出した。

 

かなり乗り気になってくれたようだ。

 

あの後、コセ、チャノル、ロンケルが諸問題を表から裏から様々な手法で解消してくれた。

これで、羽田空港沖10kmに200k㎡の施設を作る準備ができた。

クルシュ・コンプレックスの建設が待ち遠しい。

 

 

 

〜一月後〜

 

そうして建設が始まった。

現在は洋上にてクルーザーで起工式を行なっており選ばれたメディアは同船に、様々なメディアや野次馬が海ほたるに見える。

 

「日本の方々、見にきてくれて嬉しいわ。今日はクルシュ・コンプレックスを起工する大切な日よ。」

 

「カアニアと日本は対等な関係では無いけれど、いつの日か日本が成長してくれることを願って、少しでもこの施設がその手助けになるなら嬉しいわ。」

 

「作業員の方々にはテーマパークと宿泊施設、線路、道路の建設をお願いしてるわ。安全に気をつけて、日本の技術を最大限活かして欲しいわね。」

 

「では鍬入れをするわよ。」

 

ここにはカアニアの主要メンバーと、日本の主要メンバーが参加している。

 

「せーの、ありがとう。」

 

鍬入れをすると、歓声が聞こえてきた。

 

「では、基礎工事と専用通路の建設はカアニア側が3日で終わらせるから、それまでに各資材の搬入の最終手続きを済ませなさい。解散よ。」

 

「「「承知しました。」」」

 

日本側のメンバーが一斉にはけていった。

皆んな電話を取り出していたから、情報を社内に共有しているのだろう。

 

「セレス、付き合ってくれてありがとう。」

「いいよ。日本ではこんな感じなんだな。」

「そうよ。本来ならもっと時間と労力のかかる事だから、安全の意味を込めてするのよ。」

「なるほどな。しかし、何でわざわざ日本側に建設を手伝わせるんだ?」

 

セレスが可愛い顔を疑問に染めて聞いてきた。

 

「日本と繋がりを持つことと、富を落とすためよ。」

「クルシュは日本を大切にしてるな。」

「そうね。ただ、日本側の建設は最低でも3年かかるから、まずは vipエリア【星】【天】だけの開業になりそうね。」

「ふーん。そうなのか。」

 

少し興味が薄れた雰囲気を感じる。

 

「セレス、ところで諸外国の反応はどうかしら?」

「他の宇宙文明国家は特に大きな反応はないな。だが、尊国は若干迷惑そうな雰囲気だったから、黙らせておいたぞ。」

「そうだったのね。とても助かるわ。」

「いいよ。」

 

尊国とはンカラサ文明の覇権国で、カアニア大公国より少し国力が高いと評価されている国だ。

 

「地球の他国はどうかしら?」

「大国はどこも大騒ぎしてたぞ。」

「そうなの。日本への影響は?」

「今のところは米、中、露、欧が日本へ大使館を通じて情報を探っていて、条約について把握した段階だな。」

「そうなの。」

「だが、クルシュが世界へ向けて配信したから、海外の人の興味はすごいぞ。」

「どんなふうに?」

「まだ具体的な数字は出せないが、各国の資産家が日本の資産家に連絡する回数が何倍にも増えている。他の階級の人も同様かもしれないな。」

「それはすごいわね。」

「なんか反応が薄いな。」

「その事に興味がないから当然ね。日本へ危害を加えなければ何をしてても関係ないわ。ただ、その情報網は事前に怪しい動きを察知する上で重要だから、継続して欲しいわ。」

「分かったよ。」

 

そうして長距離船によって照射建築が始まった。

まるで雲のような大きさの船が高高度から質量光線で一気に造型していくのは何度見ても圧巻だ。

 

まるで構造物が転移してきたかのように、下から目に見える速さで形作られていく。

 

エネルギーや資源は長距離船に搭載された動力と物質生成機構で余裕を持って賄える。

何せ、惑星を丸々開発するにも1週間かからずに済む性能を持っている。

 

それから基礎工事と通路の整備が終わり、【摩天楼】の建設開始と同時期に日本の業者を入れ建設してもらっている。

 

だから、当面は短距離船による入退場をする vipエリアのみの営業となる。

 

ここについては、年六千万円で人材を雇うつもりで、すでに3,000人確保している。

 

残りの一般エリアは日本の企業共同体が完成させ次第の開業となる。

 

ここで日本の活性化の手伝いができるだろう。

 

来場者への影響を考えると、これからが楽しみだ。

 

そういえば、優月はどんな反応をするだろうか?

一度誘ってみようかな?

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