宇宙帝国の令嬢は日本に興味があるようです   作:性転換大好き

11 / 11
来ていただきありがとうございます!


10話 海外の動きと日本人のコラボ動画

 

 

「ボス、クルシュ公の配信が行われたようです。」

「了解、チーフ。せっかくだから私も分析に参加しよう。」

 

ここは米国にあるCIAの拠点の一つ。

長官(ボス)と部門長(チーフ)がクルシュの影響力を評価するようだ。

 

「まずはここです。」

 

『【◯何で日本を選んだんですか】これは会見で言ってなかったわね。国家規模と治安で選んだからよ。』

 

「ボス、どう思いますか?」

「これには不可解な点なあるな。」

「どういった点ですか?」

「一つ、国家規模は合衆国の方が大きい。

二つ、合衆国はゲーテッドコミュニティがあり、そこに拠点を作れば拠点の治安は心配するに値しない。

三つ、クルシュ公が合衆国を選ばなかった理由は民主主義ではない。」

 

チーフは頷いている。

 

「私もほぼ同じ考えでした。」

「宇宙人が文化を理由にやってくるわけもなく、天皇の存在が理由というのも好意的な見方にすぎない。」

「王族外交は有効です。地球でも、政府外交とは別のパイプを持てるという理由で立憲君主政を導入している国があります。」

 

意見が対立し、空気が締まった。

 

「ほんとに、王族が重大な要因だと思っているのか?」

「そうでもおかしくないという話です。」

「まあいい。続きだ。」

 

『【◯あの船は買えるんですか?】カアニアの商品を欲しがる人もいるわよね。買えるわよ。売買の詳細は条約を見てほしいのだけど、私は日本に店を作る計画を立ててるのよ。興味があるなら来てほしいわ。』

 

「この店は必ず押さえておけよ。」

「もちろんです。」

「今回は連邦王国のMI6に遅れを取るわけにはいかないからな。」

 

『ちなみに、今回取り扱う予定で1番安い船は〈 AKBシリーズ〉で5万電貨よ。私達の商品を安売りするつもりはないけど、これはカアニア製やルナスタ製ではなくアルキス製だから、交渉次第ね。』

 

「SDCとUSDは直接為替取引をしていないため、大公国と取引するには日本円を使うしかないようです。」

「条約をよく検証しておけ。日本の付け入る隙が大きいほど、大公国の製品を合衆国に持ってこれる。」

 

『【◯通貨レートもっと円高にできませんか?】無理よ。カアニアの経済規模ってパン一斤1電貨で、総生産五千兆電貨よ。パンは少し高級品だから単純比較はできないけど、雰囲気は分かるわよね。身の程をわきまえて欲しいわ。』

 

「通貨レートは極端な電貨高になっているのか。」

「そのようです。ただ、先ほどの話からすると高級品のパンが相当安く感じられます。何との比較か気になります。」

 

「チーフ、GDPについてはどう思う。」

「かなり巨大であると言えます。」

「どうしてそう思った?」

「物価が安い国はGDPが小さい傾向にあります。それなのにあの規模だと考えると、身の毛がよだつ思いです。」

 

「物価が安くて規模がでかいといったら中国やインドが近いな。おそらく貧富の差は小さくないぞ。」

 

『【◯日本以外の国とはどう関わるのですか?】関わる予定も興味もないわ。』

『日本人以外が私の店に来る事は拒まないけど、日本円以外を換金するつもりはないわよ。』

 

「ついにクルシュ公が日本以外の国とは関わらないと宣言したな。」

「そうですね。」

「ただし、これは合衆国だけど関わらないとは言っていない。今後は対日戦略を重視していく事をプレジデントに進言しておこう。日本の与党は親米派が多く利用しやすい。」

「了解。」

 

「ところで為替についてだが…」

 

そこまで喋ったところで突然ドアがリズムよくノックされた。

 

「入れ」

「ボス突然の訪問失礼いたします。」

「要件は?」

「たった今、ウォール街からドル円レートでかなりの悲鳴が上がっています。早急に対処されたし。」

「状況は?」

「昨日まで1ドル150円のところを5分たたずに100円まで急落しています。FRBが米日通貨スワップを発動させ、1ドル150円のレートでドルを円に変えることで、現在は110円ほどに抑えられていますが、かなり深刻な状況です。」

「原因はこの配信か。チーフも来い。FRBの長官とも相談が必要だ。」

「了解、ボス。」

「その後は日本の政財界に圧力をかけてクルシュ公が日本に与える影響を分析していくぞ。」

 

そうして3人はウォール街へと消えていった。

 

 

 

〜SIS(英国秘密情報部)〜

 

「クルシュ公の世界への影響はまだ通貨しかないが、今後は日本への優遇策により貿易の変調や技術の格差が大きくなることが考えられる。」

「お前には引き続き、日本での諜報活動を頼む。特にクルシュ公の周りを洗ってくれ。」

 

「承知しました。」

 

私はしがないSISのエージェントだ。

今、シンガポールにいるアジアンチーフから指令を受けたところだ。

 

三菱商事の社員が表の顔なので、情報が集めやすいとの判断だろうが、間違いじゃないのが悔しいところだ。

 

ひとまず、通貨関係と条約関係を調べる事にしよう。

 

クルシュ・コンプレックスに関わっている団体ではSMBCと経産省が詳しそうだな。

 

まずは話を聞きに行こう。

 

「安田さんお久しぶりです。突然の訪問で申し訳ないです。」

「いえいえ。こちらもハドソンさんにはお世話になっていますから。」

 

最初に会ったのはSMBCの人だ。

海外事業に携わっていたため、私がアドバイスをした過去がある。

 

「どういった要件で来られたのですか?」

「電貨の取り扱いについて聞きたいのですよ。」

「その事はあまり言いふらせないのですが、以前に助けていただいた事もありますし、ハドソンさんの頼みなら一つだけ質問に答えますよ。」

「ありがとう。」

 

今までの信頼関係を犠牲に機密度の高い情報を得ることが我々スパイの役目だ。

だとしても、ここで無理に聞き出すよりは一歩引いてまた機会を作った方が建設的だ。

 

「なら、電貨と円の為替はどこがどのように管理しているのか聞きたいです。」

「ほう。実はSMBCが一括で管理してます。」

「そうなのですか。」

「さらに、クルシュ・コンプレックスにて売られる予定のドックタグは、全部うちの口座と紐付けされる段取りなのですよ。」

「それは大変有益な事を教えていただきました。」

「そうですか。でも、これ以上は教えられませんよ。」

「いや、これで十分です。また何かあったら呼んでください。」

「分かりましたよ。」

 

関係を維持した上での情報収集としたらいいのではないだろうか。

これは未公開の情報だしな。

 

最後に経産省の人に話を聞いてみよう。

 

「近藤さんお久しぶりです。」

「久しぶりですね。」

 

彼は経産省の課長級の人で、カアニア大公国との条約を取り扱ったと聞いている。

 

「突然来られて何のご用ですか。」

「カアニア大公国と結んだ条約について聞きたいのです。」

「それはビジネスとして聞いてください。プライベートで教えることでは無いです。」

「手土産を持ってきています。」

「どれどれ。」

 

昔から、官僚は取り扱う情報の価値と見合わない給与で働いていることが多い。

そのため、どこの国でも賄賂を渡せば靡く人が必ずいる。

 

「ふむ。いいですよ。何が聞きたいのですか。」

「国家序列条約、通商条約、そしてカアニア大公国特別措置法です。」

 

「まずは国家序列条約から話します。」

「これは単純な話で、クノイス文明においてどの階級の国家なのかを明確にするものです。」

「そのため、序列が高いほど発言力が大きいです。」

「日本国は三位にあり、カアニア大公国の友好国ということで、文明レベルに反して高くなっています。」

「裏話ですが、最低でも惑星統一国家でないと10位になるようで、日本は恵まれています。」

 

「ふむふむ。」

 

メモをとりながら聞いている。

録音も密かにしながら。

 

「お次は通商条約。黒船来航時には治外法権と関税自主権の放棄が盛り込まれた事によって、不平等条約と言われました。」

「今回煌(カアニアの日本での略称〈こう〉)日間で結ばれた条約は、固定相場と貿易権、煌特措法をもって不平等条約と言われています。」

「通商条約は固定相場と貿易権が盛り込まれています。」

「非公開のものではないため、後ほどホームページから資料を見てください。」

 

「分かりました。」

 

「最後にカアニア大公国特別措置法、通称『煌特措法』について教えます。」

「概要は、カアニア人が日本で行う様々な活動の制限を一切なくすというところです。」

「居住権や在留資格は煌特措法によって保証されています。」

「また、土地の取得や規制、既得権など、カアニア人の活動を阻害する事柄を排除することができます。」

 

「クルシュ・コンプレックスは最も分かりやすい例だと思います。」

「高さ規制法や航空法、景観法など、様々な規制や権利を超越して計画を実行しています。」

 

「説明は以上です。」

「ありがとうございました。」

 

そういうと、経産省の近藤は足早に去っていった。

 

さて、チーフに報告しよう。

 

「チーフ、例の件の報告をします。」

 

〜データと共に説明〜

 

「これで要点は押さえられたと思います。」

「よくやった。我々が今後宇宙文明と関わるなら、この国家序列をよく学んでおかなくてはならない。」

「そのように思います。」

「仮に高度な通信技術が手に入って宇宙文明と接触できても、笑われて終わる事になる。」

「はい。」

「今後は通信技術を第一優先とし、軍事とエネルギー分野の情報を集められるように基盤を作っておけ。」

「では、他の企業に潜りますか?」

「まだ見極めが必要だ。日本では転職が容易ではないからな。」

「承知しました。」

 

「最後に、頑張ってくれた君に面白い情報を教えてやろう。」

「どのような内容ですか?」

「米国がカアニアとの交渉を諦めたらしい。」

「それはまたとんでもない事です。」

「日本の要人にあの手この手で圧力をかけて、カアニアの職員をテーブルに座らせられたらしいが、梨の礫だったそうだ。」

「はい。」

 

「日本の首相もかなり機嫌が悪くなっていて、米日関係の悪化が顕在化するのも時間の問題だな。」

「では、我が国はどう立ち回るのですか?」

「基本方針は日本との友好、付随して他の宇宙文明との接触だな。カアニアとの友好にどれだけ時間をかけても無駄だとボスが判断した。」

「そうなのですね。」

「ああ、そうだ。カアニア関連の施設にハッキングは無意味だから、選択肢から外しておけ。」

「ほう。」

「ロシアのSRVが試みたそうだが、技術体系が違いすぎてアクセスすらできなかったそうだ。」

 

「では君の奮闘を期待する。」

「イエッサー。」

 

これからは日本に張り付くエージェントの重要度が上がる。

今は静観が正しい選択だろう。

 

 

 

 

〜とある動画〜

 

プロフィール

 

楪 愛莉(ゆずりは あいり)(27)

 

アイドル→女優→インフルエンサー

 

YouTubeチャンネル登録者200万人

Instagramフォロワー数1000万人

 

元気な可愛い女性。

髪を金色に染めており、その大きな目と整った顔立ちから放たれる歌声に惚れ込んだ人は数知れず。

 

 

 

「やっほー。みんな元気?今から配信を始めるよー」

 

元気な挨拶をしている。

背後には東京駅がある。

 

「今からカアニア領事館に行きまーす!」

 

テロップで〈大使館はクルコンにあるみたい〉と表示される。

 

「ここ、丸の内ビルディングにあるみたい。」

 

振り返るとガラス張りのよく映える下層と、そこからモナカのように伸びる上層部分のある建物が映される。

 

「まだ企画聞いてないんだよねー。」

 

「着いたら教えてくれるみたい。今日のために2日空けてるよ。」

 

受付後、エレベーターを降りる。

 

「ここが入り口だね。」

 

「受け付けで入っていいって言われたから入るよー。」

 

ドアを開けて中に入る。

 

「国旗があるよ。黒地に白の銀河のような模様が描かれてるね。」

 

入り口付近の会議室らしき部屋の扉の前に、白のスーツに似た服装をした、長身で筋肉質のクールな女性がいる。

 

「初めまして。」

「初めまして。私はウィルズと申します。」

「私は楪です。よろしくお願いします。」

「では、企画の説明をしますので、部屋の中へどうぞ。」

「分かりました。」

 

部屋に入ると、木目模様のくっきり入ったいかにも高級そうな長机が、口の字に並べられている。

 

「早速ですが、企画の説明をさせていただきます。」

「お願いします。」

「クルシュ・コンプレックスの【星】エリアで100万電貨を自由に使用していただき、その魅力を発信するというものでございます。」

「100万電貨もですか!?」

「はい。動画の詳細は楪様にお任せいたします。」

 

「そのお金は誰からですか?」

「セレス様になるかと思われます。これは広報費からの出費でございます。」

「持ち逃げされるとは思わないんですか?」

「その電貨は円との両替不可、クルシュ・コンプレックス以外で利用不可の細工をしてあります。要するにクーポン券のようなものとお考えください。」

「手が込んでますね。」

「褒め言葉として受け取らせていただきます。」

 

そういうと、ウィルズが席を立った。

 

「では、説明は以上となります。あなたのsmbcの口座に振り込んでおりますので、どうぞ楽しんでください。」

「ありがとうございました!」

 

場面は移り、羽田空港へ。

 

「という事で羽田空港へ来たよー。」

 

「vipエリアには宇宙船に乗って行くから、クルシュ・コンプレックス行きの専用ターミナルに行くよー。」

 

スタスタと歩いていると、白い船体に黒のラインと銅色の模様が映える、窓のないデルタ八面体の物体が窓越しに浮いているのが見える。

 

飛行機の全長と同じくらいの直径だろう。

 

「楪様。お待ちしておりました。こちらの船にご搭乗をお願いします。」

「ありがとうございます!」

 

「すごいね、この宇宙船。ヱヴァのサリエルみたい。」

 

テロップで〈ヱヴァンゲリヲンとコラボして欲しい〉と表示される。

 

「中に入ってみるよー。」

 

搭乗すると、まるで無重力かのように楪愛莉が浮かぶ。

 

「えぇ!これ快適すぎる!頭に血が昇る感覚全くないし、無重力なのに移動の不自由もないよ。」

 

手すりを伝わずとも船内を移動している。

 

「私がどこに行きたいかを考えるだけで、勝手に体が連れていかれる感じがするね。」

 

「では、クルコンまで連れて行ってもらうよー。」

 

船が搭乗者の意思を感じ取ったのか、自動で発進する。

 

「船は喋らないし、そこはあまり力を入れてないのかな。」

 

実際に、船内に言語のような音が聞こえる場面はない。

 

「それで、到着時間は…読めないね。」

 

日本語ではない文字が羅列してある。

 

「もう着いたよ。動いてる感覚がないから不安になるね。」

 

大体5秒で到着している。

 

「それにしてもこの建物、高すぎるしでかすぎる。」

 

目の前には山々を優に超える高さの、ぶっとい建築物が建っている。

 

下の方はエアーズロックのような円錐台で、その上に遥かに伸びる円柱が浮いている。

 

下部は全面ガラス張り、上部は一切窓のない、黒光の中に金のアクセントといった見た目だ。

 

「入り口はここみたい。今日はあえて一階から登ってみるよー。」

 

「すごい。ここが流星回廊かー。」

 

円錐台の建物の下にある巨大な扉を潜ると、天井まで届く広大な吹き抜けがあり、壁を一周する回廊が何層もある。

 

その吹き抜けには商品や店を紹介するホログラムが流れている。

 

「楪様。お待ちしておりました。」

 

いかにも従業員な見た目の人が待っていた。

 

「どうもー。早速みて回ってもいいですか?」

「大変恐縮ですが、まだ流星回廊は開業しておりません。」

「そうなんですね。」

「そういう事ですので、早速星エリアへご案内いたします。」

「お願いします!」

 

もう一度外に出て、専用のターミナルへと車で向かう。

 

「ここは車なんですね笑」

「そうなんですよ。開業したら、特殊な通路を通る鉄道を走らせると聞いております。」

「もしかして、一階へはまだ来ない方が良かったですか?」

「そんなことはありません。この建物の全景を見るなら、地上からが一番良いですからね。」

 

ある程度移動すると、鋼鉄製神殿とでもいう様な洗練された施設が見える。

 

「あそこがターミナルですか?」

「そうですよ。渾然門と呼ばれていて、日本とカアニアの融和を意図しているそうです。」

「そうなんですか。」

「この門はここと星エリア、天エリアの3箇所にございます。」

「なら、羽田空港から星エリアに直接迎えたんですね。」

「そちらの方がメインですよ。」

「やっぱりですか笑」

 

入り口を抜けると受付があり、その先には魔法陣の様な謎の機械が地面に設置されている。

 

「楪様、こちらのドックタグをお持ちください。これは特別仕様で、従来の自動為替機能や自動支払い機能に加え、星エリアへのアクセス権が付与しております。」

「ありがとうございます!」

「それでは、ごゆっくりとお楽しみくださいませ。」

 

地面に設置されている機械に乗ると、次の瞬間には別のフロアへいた。

 

まるで宇宙船博物館の様な雰囲気の空間が広がっている。

 

「わあー。これ全部宇宙船なんだ。違う見た目をしてるし、いろんなメーカーの船を飾ってるんだろうね。」

 

ここに展示されている宇宙船は常に浮遊するタイプもあるが、大多数は地に足のつくタイヤを付けてあるものだ。

 

「さっき乗ってきた船もあるよー。えっ1,000万電貨って書いてある。」

 

値札には、

 

【BASISシリーズ: 1000万電貨】

【ヴァルディア製標準短距離モデル】

【全長5〜50mをオーダーメイドで注文いただけます。】

 

と書かれてある。

 

「隣の船も常に浮いてるね。お饅頭みたいなフワフワした見た目をしてるよ。大きさはこっちの方がものすごく大きいけど。」

「値段は、2,000万電貨か。ほんとに誰が買えるんだろう。」

 

値札には、

【NIMシリーズ: 2000万電貨】

【ヴァルディア製標準中距離モデル】

【0.1〜10kmをオーダーメイドで注文いただけます。】

 

と書かれている。

 

「この2隻以外は足が床に着いてるね。」

「えーと、この中で1番安いのは、あった!」

「クルシュ様が配信で言ってた1番安い船だ!」

 

目の前には、新幹線に足がついた様な空気抵抗の小さい見た目の船が展示されている。

 

「この船の注意書きで、陸の駐車空間が必要って書いてあるね。」

「ずっと浮かんでる船とこの船は、使われてる技術が違うのかな?」

 

値札には、

 

【AKBシリーズ: 5万電貨】

【アルキス製実用短距離モデル】

【10m】

 

と書いてある。

 

「1番安いと言っても、十分にスタイリッシュでかっこいいけどね。」

「船の紹介は次で最後にするね。」

 

「そら豆の実のような見た目の船があるね。」

「アルキス製よりは高そうな感じ。」

 

値札には、

 

【MLXシリーズ: 50万電貨】

【ミカンダ製汎用短距離モデル】

【10mと20mのタイプからお選びください】

 

と書いてある。

 

「MXLは貨物にも使えるみたい。トラックみたいだね。」

 

「他にもたくさんあるから、1隻買ってみようかな?」

 

「大きな商品は番号を伝えたら、流星回廊の上の商品受け取り場に転送される仕組みみたい。」

 

「そこで最終判断して買うか決めれるそうだね。」

 

「次のフロアに行ってみよー」

 

館内を通る楪の背より少し大きいガラス張り通路の中に、ジェットコースターのような乗り心地良さそうな乗り物が待っている。

 

「あれに乗って移動できるみたい。」

 

不思議そうに乗り込んでいる。

 

「館内マップはここでも見れるんだね。」

 

目の前に館内の立体ホログラムが展開されている。

 

「星エリアを好きに移動できるね。」

 

「見たところ、ここが2,000m地点で、最上階は4,000mだね。」

 

「船が展示してあるフロアは、2,000〜3,000m地点までだから、五階くらいに分かれてる感じかな?」

 

目の前のホログラムには、広大な五に分かれたフロア〈船フロア〉と、3,000〜4,000mまでのガジェットやインテリア、生活用品、飲食関連などの店が並ぶ〈総合販売フロア〉があるのが見て取れる。

 

「時間ないし、今回はガジェットとインテリアのフロアだけ見てみるね。」

 

フロアを搭乗者が楽しめる速度で動いている。

 

「やっぱり船エリアは広かったね。」

 

「宇宙のガジェットを見てみよっか!」

 

広々とした館内店舗に、余裕を持って並べられた商品の数々が見受けられる。

 

「この並べ方は見やすくて良いね。」

 

「どれも高級品の部類だから、船が少し安く感じちゃうけどね。」

 

ここを何時間かかけて一周回し、欲しい商品を2つ持ってきた。

 

「この2つを買うよー。」

 

「一つ目は容姿保存機。一式8万電貨だね。」

 

シンプルなドーム型のデザインをしている。

 

「登録した髪型や服装をナノマシンが自動で出してくれるみたい。」

 

「ムダ毛処理とかの手間も省けるから、かなり楽になるね。」

 

「1番高いグレードを選んでみたよ。」

 

「二つ目は刻紋!10万電貨!」

 

「これがあったら、カアニアでのお支払いや通話、入国手続きとかのインフラ系を、不自由なく使えるようになるそうだよ。」

 

「アクティブ化には毎年1,000電貨いるけどね。」

 

「ほら、ここに刻んでもらったよ。」

 

コートから覗くセーターの襟を広げて首元を見せている。

その艶かしい首元に、幾何学模様の刺青がうっすらと光る。

 

「良い感じだね。インテリアを見に行くよー。」

 

また何時間もかけて商品を選んだ。

 

「インテリアはお手頃なものを選んだよー。」

 

「10点の合計は5万電貨!」

 

楪の持って来た伝票には、寝具や椅子、風呂など、思い当たるインテリアが並んでいる。

 

「ベットと風呂が凄いんだよ。」

 

「ベットはカプセル式で、中にナノマシンが放たれて、疲労回復を促進してくれるみたい。」

 

「寝るのが楽しみになるね。」

 

「風呂は空間拡張型で、設置すると設置面積は変わらず、2倍の広さのスペースができるみたい。」

 

「マンション住みにはピッタリだね。」

 

「このくらいの価格帯は、程よく便利になるものが多い感じ。」

 

「最後に、流星回廊の屋上で宇宙船を受け取って終わるよー。」

 

例のジェットコースターのような乗り物【彗星】に乗り込むと、今回はかなりの速度で一気に目的地へ到着する。

 

「本日は星エリアをご覧いただき誠にありがとうございました。」

 

受け取り場にいる店員に声をかけられた。

 

「いえいえ、とても楽しめましたよ!」

 

「非常にありがたいことです。ご希望の短距離船はこちらです。よくご覧になってからお持ち帰りください。」

 

「ありがとうございます!」

 

目の前には、全長30mほどの動力部が大きいキリのような造形の、白塗りの船が足をついている。

 

「こちらの船は中距離船の動力を備えた短距離船サイズの船です。移動可能範囲は中距離船と同等ですが、搭乗可能人数が1桁のため、短距離船に分類されています。」

 

「ぜひご搭乗して下さい。」

 

「分かりました!」

 

扉が二つある。

 

「まず後ろの方は〜、広い空間になってるね。」

 

おおよそ10×10mの広々とした、何も置かれていない部屋が見える。

 

「ここをつぶして住み家にしてもいいし、荷物入れに使っても良さそうだね。」

 

後ろの扉から外に出て前の扉から入る。

 

「前は〜、やっぱりコックピットになってるね!」

 

「OSは私の刻紋に反応するように更新されてて、運転から積み込みまでを自動でしてくれるよ。」

 

「相変わらず音声案内は出ないけど、おしゃべり機能は着けてもらったよ。」

 

可愛い声でこんにちはと聞こえてくる。

 

「ほら!カアニア人はあまり好まないらしいけど、私はこの方が未来感があって良いと思うな。」

 

「操作盤とかは無くて、刻紋を持ってる人だけが操縦できるよ。」

 

「モニターから外を眺めてもいいけど、基本はゆったりしながら到着を待つ感じかな。」

 

進行方向の壁が外の景色を映し出す。

 

「あとは、基本的な生活空間が確保されてるよー。」

 

ベットや浴室、トイレ、キッチンなど、家にありそうなものは全部揃っているのが見える。

 

「最後に値段を発表して終わりだよー!」

 

「楪様、こちらが領収書になります。」

 

さっきの店員が外で待っていた。

 

「ありがとうございます。」

 

「動画で勘違いがあるといけませんので、念の為に申しておきますが、領収書は本来SMBCが発行するものです。カアニアではすべてを電子上で行うそうで、お金が闇で使われることはないと聞きました。」

 

「そうなんですね。そこらへんの話は別の機会にお願いします。」

 

「承知いたしました。」

 

「では早速見てみるよー!」

 

「宇宙船、70万電貨!ガジェット18万電貨!インテリア5万電貨!合わせて93万電貨!」

 

「もう少し使えるね!」

 

「でもよく考えたら、93万電貨って9兆円くらいだよね。」

 

「これを買える人はすごいね。」

 

「横から口を挟んでしまい申し訳ございませんが、正式にオープンしたら、大特価での販売イベントをするそうなので、興味がある方はその機会に是非ご来店くださいませ。」

 

「それは楽しみですね!」

 

「後編では、7万電貨でレストランやコスメを見てみるよー。」

 

「後編も楽しみにしててねー!」

 

 

〜動画終了〜

 

 

3,000万回視聴 3日前

 

楪チャンネル 220万

 

コメント 20万

 

以下上位コメント抜粋

◯そんな金持ちは日本にいない

 10万

 

◯夢はあるけど庶民には無理だな

 5万

 

◯裏話ですが、星エリアには富裕層以外も行く方法があります。社員になれば社員割が使えるので、家族や友人と格安で利用できますよ。

 3万

 

◯愛莉ちゃんが楽しそうで良かったよ

 3万

 

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。