宇宙帝国の令嬢は日本に興味があるようです   作:性転換大好き

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4話 教皇国からの報せ

 

「カアニア外相、少しお時間よろしいですかな?」

「ルタベルタ外相突然どうしたの?今は少し時間空いてるわよ。」

 

今は対地球外交部での仕事しかしていないので、時間はあるのだ。

天の川銀河へは5日で着くワープ技術を我が国は保有している。

そのため、出発準備が終わった今、一週間の休暇を出している。

 

「最近、妙な話題が教皇国の貴族の間で流れていましてな。大公国との国際問題に発展しかねないのですよ。」

「なによ。今は外務省の職務から離れているから、次官に聞いたらいいんじゃないかしら?」

「すでに次官には話を通した後でしてな。この話題ならカアニア外相にと言われてのことですよ。」

「へえ、極秘技術か貴族社交界に関することかしら?」

「いえいえ違いますとも。」

 

良かった。どちらも違うみたいだ。

我が国は教皇国での貴族社交界に出席依頼されることが多いが、出席することはごく稀なのだ。

極秘技術に関しても、大公国は技術を必ずブラックボックス化するのでやっかみをくらうことがある。

例えば、ワープ技術等の動力源を反物質から超圧縮カーブラックホールに置き換える技術や、前回の万国博覧会のカアニア大公国展で話題となった刻紋に物体創造機能を付与する技術の詳細を非公開にしている。

 

ただ、その2つでないなら後は何があるのだろうか?

 

「ではなにかしら?相変わらず焦らすのが好きなのね。」

「そう言わないで会話を楽しみましょうや。」

「分かったからまずはその話題とやらを教えて欲しいわ。」

「いいでしょう。ただし、この件の解決を手助けする代わりに私が協賛しているライブイベントに出て欲しく思っとります。」

「あなたの件の重要度によってどの程度要望に応えるか決めるわ。」

「期待通りの反応をいただけて私も安心しましたよ。」

 

ルタベルタ外相はこういう男なのだ。

本当に困る一歩手前でこういった交渉を持ちかけて来ることがある。

 

「その話題とは、地球に関することです。」

「え、もう地球のことが漏れてるの?」

「そういうことですな。誰から漏れたかは知りませんけども、カアニア外相が殊更地球に関心を持っていると知ったからこそこの話を持ちかけたのですよ。」

「そうだったのね。素晴らしい慧眼を持ってるわね。」

「それほどでもありませんよ。」

 

地球に対して教皇国が興味を持ってるのは嫌だな。

日本のことは私が独り占めしたいのだ。

必然的に地球にも関心を向けてほしくない。

 

「教皇国の一部では、地球に入植しようとする声があがってますな。」

「そうなの。それで、あなたはその声を消す協力をしてくれるのかしら?」

「そうなりますな。」

「なら、教皇国が地球のことをどこまで把握してるか教えて欲しいわ。」

「いいでしょう。簡単に言うと、地球は我々が住むのに適した環境を有する中規模の岩石惑星ということですな。」

「そこまでしか広まってないならどうとでもできるわね。」

「その通りでしょうよ。」

「なら、お得意の政治的圧力で黙らせられるかしら?」

「確かにできますや。しかし、その方法ですと高くつけてもらいたいですな。」

「面倒くさいわね。分かったわ、仲介だけしてちょうだい。それで相手は何人いるのかしら?」

「1人ですな。」

「そんなことがあり得るの?」

「あらかじめ私の方で軽い脅しをかけたら腰が引ける連中ばかりでしたのでな。」

「何よ、もうそこまで終わってるのね。最後は誰かしら?」

「ハーカン侯爵ですよ。」

「ああ、あいつか。」

 

ハーカン侯爵は侯爵家の序列最下位の6位で、それにも関わらず妙に情報を集めていて厄介な立ち回りをしてくる奴なのだ。

 

「分かったわ。私があいつを丸め込むから、情報統制を引き続きお願いね。」

「では、ライブイベントにフルで出席するのでいいですかな?」

「了解。情報提供感謝するわ。」

 

こういう細事も事前に知っていれば対処は容易だ。

大事になる前で良かったと思おう。

対消滅弾で消せたらスッキリするのに。

 

「ウィルズ、外務省へ行くわよ。」

「承知致しました。」

 

今から外務省の通信機を使ってハーカン侯爵とお話しをする。

私の刻紋でアイツに通信するのは嫌だから。

もし私の通信先を知られたら、それをネタに外務省や対地球のメンバーが強請られる可能性もある。

 

「ただいま。今から外務省の公式通信を使ってもいいかしら?」

「構いません。現在、公式通信機は空いております。」

「そう、ありがとう。」

 

受付嬢に確認をとって通信専用の部屋へ向かう。

公式通信は現代日本での110番や119番みたいな感じだ。

 

「もしもし、ハーカン侯爵はいる?」

「現在侯爵は、ハーカン侯営サファリパークに滞在中でございます。」

「そう。繋ぐことはできるかしら?」

「可能でございます。お繋ぎいたします。」

「ありがとう。」

 

ハーカン侯爵はサファリパークにいるらしい。

ハーカン侯営サファリパークは近隣国の中で随一の規模を誇る自然公園だ。

銀河外領地の惑星1つをそのままの姿で保存していたものを、今代のハーカン侯が観光地として一部を開発したのだ。

私達は自然を残す開発はしないため、珍しさが際立っている。

そのおかげで周辺国の人々がよく観光に来る。

私も悔しいが一度は行ってみたいものだ。

 

「もしもし、ハーカン侯爵?」

「そうだが、どうした?」

 

補足として、爵位が上の貴族の子供と爵位が下の貴族の当主は、上下の爵位に関わらず対等であるとされている。

大公は公爵相当だ。

 

「あなたサファリパークにいるの?」

「ああ。ここは人が集まるいい場所だ。」

「私もいつかはそこに行ってみたいわ。」

「ここはどんな人も拒まない。いつか来てみるといい。」

 

宇宙文明にも裏社会はある。

ハーカン侯爵は裏社会との関係が噂されていて、サファリパークは怪しい連中の出入りがあるという。

独裁度が高いほど裏社会の規模が大きいとはいえ、さすがに来園者くらい選別しろよと思う。

 

「歓迎の意はありがたく受け取るわ。」

「それは良かった。そろそろなんの用事の通信か教えてもらえるかな?」

「白々しいわね。私から通信するなんて滅多にないんだから、あなたからの揺さぶりよね?」

「伝わったのか。よほど地球に関心があるとみえる。」

「あるわよ。あなたが関心がある理由が分からないけどね。」

「いま、裏社会で地球の存在がまことしやかに囁かれている。」

「それで?」

「その実力者が地球に目をつけるのも時間の問題だと考えている。」

「警告ありがと。」

「裏の連中は未開の文明には手段を選ばないから気をつけてくれたまえ。」

「そうするわ。」

 

こいつは自分の手を汚さずに行動することが得意なのだ。

今回は大公国が思いの外地球に熱心だと見て間接的手段に留めたのだろう。

 

「ウィルズ、私は用事が終わったから家へ帰るわよ。」

「承知いたしました。7日後、地球へ向かう際にまたよろしくお願いします。」

「そうね。よろしく。」

 

今日のうちに貴族省の情報院へ裏の怪しい動きを報告して、技術省の機動院へ実力部隊の使用申請をしておこう。

他の超銀河団を経由されたら発見は難しいので、天の川銀河に警戒網を張っておかないと。

 

(地球への対策はここまでね。後は経過を観察かしら)

 

現状で地球にちょっかいを出している者はいない。

地球が辺鄙な場所に位置していることに感謝だ。

 

(いっときティファと会えなくなるし、明後日遊ぼうかしら)

 

サファリパークへ行く許可を貰ったことだし、ティファと一緒に行ってみよう。

早速刻紋で聞いてみるかな。

 

「ティファ?」

「どうしたのクルシュ?」

「明後日開いているかしら?」

 

「そこは開いてない。明々後日から3日間は開いてるよ。」

「そう。なら明々後日から2日間遊びたいわ。」

「いいよ。どこにあつまる?」

「ライツ宇宙港でいいかしら?」

「もちろん。国外に行くんだね。」

「そうよ。ヴァルディア製の船を購入したの。」

「すごく嬉しい。乗り心地いいから大事にしてね。」

「当たり前よ。では、明々後日にお願いね。」

「はーい。楽しみにしてる。」

 

ティファの実家のヴァルディア公爵領とカアニア大公国は隣接しており、すぐに会える距離にある。

また、ヴァルディア製の船はとても有名で、富裕層向けで知られている。

ティファはヴァルディア公爵領副電財大臣であり、船の関連技術への投資のため詳しいのだ。

 

(今日は大変だったわ。もう寝ましょう。)

 

寝具は睡眠槽を使っている。

中が液体で満たされており、全身を沈めることで機能する。

不老効果*1や美容効果、安眠効果が備わっている。

富裕層向けの商品であり、この国では1割の人が持っている。

 

(お休みなさい)

 

*1
寿命は変わらない




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