宇宙帝国の令嬢は日本に興味があるようです 作:性転換大好き
「さあ地球へ行くわよ。準備は出来てるかしら?」
「「「万事抜かりなくできております。」」」
「それは殊勝な心がけね。これからもよろしくね。」
「「「承知いたしました。」」」
地球へと向かうときが来た。
同行するのは対地球外交部のメンバーだ。
全員女性のメンバーとなっている。
「一応確認するわ。チャノル、予算3億電貨のうちいくら残っていて何にお金を使ったの?」
チャノルは電財省組だ。
「使用残高4億0007万電貨で、使用金額は降順で用船費用2億3007万電貨、中継機・通信機借用料5000万電貨、事務所契約料5000万電貨、人件費(2ヶ月分)3000万電貨、雑費4000万電貨です。詳細はデータに起こしております。」
「予算なんて目安にすぎないのに、堅実にまとめてくれたのね。私がいるんだから思う存分使って欲しかったわ。」
価値が分かりづらいなら1000倍してほしい。
合計で4000億円くらい使ったんだくらいの感覚でいいと思う。
もちろんこの世界の電貨と円の為替レートは考慮してなく、現地民の肌感覚を伝えるものだ。
「恐らくすべて最上級のものを揃えての結果でございます。」
「そうなの。コセ、どうなの?」
コセは内務省組だ。
「用船に関しては技術省組に任せております。給与も公務員で最高水準頂いてますし、その他の借用や契約についても納期を短くしていただいた関係で高くついております。」
「すべて最上級のものを使ってるのは見たら分るからいいわ。」
「恐縮でございます。」
「あなたが考え得る最高のものを最速で揃えたのが感じられて満足よ。」
「ありがとうございます。」
「それでロンケル、用船した船はどんなものなの?」
ロンケルは技術省組の一人だ。
「長距離船はヴァルディア製のL-KUR、中距離船はヴァルディア製のM-KUR、近距離船はクルシュ様とセレス様用でヴァルディア製のS-KUR、他の職員用でアルキス製のAK240を揃えました。」
KURは私のことだ。
縁あって最高級船種に私の名前が採用されたのだ。
「ふーん。わざわざアルキス製にしたの?」
「値段が200〜500倍も違うのです。躊躇してしまいます。」
「あなた達がいいなら何も言わないわ。」
アルキスはアルキス共和国の事で、私達と同じ超銀河団に存在している。
大衆船が有名であり、高級のヴァルディア、大衆のアルキスとして知られている。
「確認し終わったことだし、早速ライツ宇宙港へ向かうわよ。」
「「「承知いたしました。」」」
近距離のワープ技術があればと思う瞬間がこの船での移動中だ。
近年研究も進んでおり実用化までの目処はたっているが、既存の法律と高速管理会社によるロビー活動で導入には至っていない。
(ライツ宇宙港はいつ見ても壮大ね。)
ライツ宇宙港は宇宙空間に漂う巨大な桟橋といった風貌だ。
中距離船と長距離船の駐船場が円柱状の駅の周りにおびただしい数ついている。
大きい船だと惑星と見間違うレベルのものもある。
「ここでご飯食べていかない?」
「いいぞ。」
声をかけたのは外務省組のセレス・ルナスタである。
セレスは教皇の四女でありながら私の部下なので、相談の結果フランクに話すことになった。
「あなたたち、私とセレスはラグジュアリークラスで食べるわ。各々好きなもの食べなさい。雑費で落としていいわよ。」
「「「ありがとうございます。」」」
「目安は2時間後よ。」
わざわざラグジュアリークラスに行くのは上流階級の嗜みだからだ。
ここを訪れることで他国の上流階級とも接点が作れるため、カアニア大公国における情報源の1つとなっている。
「セレス、最近の教皇国の情勢はどうなの?」
「最近は少し戦争の気配があるな」
「どこと?」
「ミカンダだ。」
ミカンダとは大ミカンダ連盟国のことで、とても拡張思考が強い。
この国の話題だけはアルキス共和国と意気投合してしまう程だ。
「今までは落ち着いていたわよね?」
「ああ。しかし内乱が収まったらしく、また外に目を向ける余裕ができたみたいだ。」
「そうだったのね。」
「大公国はどうするんだ?」
「あんな後進国の相手したくないわ。教皇国に任せるわね。」
「聞いてみただけだ。貴族の手を借りずとも蹴散らせる。」
「教皇の威信が上がるイベントだと思ってれば良いんじゃないかしら?」
「イベントというほど軽くはないさ。大公国ならその認識だろうけど。」
大公国はこの文明において最も発展している。
他の文明を含めれば僅差で2位で、汎宇宙でこの2カ国が突出してる感じだ。
「お食事をお持ち致しました。」
「ありがとう。」
会話をしていると食事が運ばれてきた。
「こちらがエースドーの熟成肉野菜添えでございます。」
エースドーとは、ドーと呼ばれるスーオリム銀河で一般的な食肉用の家畜だ。
カアニアでは高ランクのドーであるエースドーを育てており、上流階級の食事では定番となっている。
「いつ食べても美味しいわね。」
「確かにな。」
食感は肉まんに近いかもしれない。
しっとりふっくら焼き上げた皮の中に噛む感触がほとんどないほど柔らかい霜降りの肉が隠れている。
これ一品でフルコースとして完成してしまうほどの完成度だ。
「ところで、他の客は居なかったな。」
「来月から大公国で観艦式があるのよね。その時は混むはずよ。」
「そういえばクルシュ、来年の教皇国外務省主催のライブに出るんだろ?」
「そうよ。」
「よく受けたよな。」
「今考えると安請け合いだったかもね。」
「だろ?」
「あの狸親父がことを重大そうに伝えるのが上手いのが悪いわ。」
「あいつな。当日は見に行ってやるから頑張れよ。」
「そうするわ。」
食事も終わり、みんなと合流した。
「お待たせ。食事は済んだわよね?」
「「「はい。」」」
「ならよかったわ。もう乗り込みましょう。」
「「「承知いたしました。」」」
KURシリーズはカスタムの自由度が高いため愛用している。
今回は用船用のモデルなので、基本的な装備しか搭載していない。
それでも、国や法人からの用船需要を上手く取り込んでいる最高のバランスのモデルといえるだろう。
「カアニア大臣、私KRUシリーズに乗るの初めてで感激の極みでございます!」
「そう。これから私の直属になるのだから慣れておきなさい。」
「はい!ありがとうございます!」
この子は技術省の新人のランドリューだ。
とても好奇心旺盛で情報の吸収力が高い。
しかもとても可愛いのだ。
愛でたくなってしまう。
「ランドリュー、地球へ行ったら一緒に各地を訪問してみない?」
「行ってみたく思います!地球人とスーオリム人の遺伝子検査をして、各地に残る損失技術を見つけ、更には…」
「また後でじっくり教えてほしいわ。」
「分かりました!」
そして長距離船に乗り込む。
長距離船の中には大規模な収容スペースがあり、空母のように船を収納できる。
「カアニア大臣、さすがはKRUシリーズでございます!」
「どうしてそう思ったの?」
「なんといってもその宇宙の深淵を思わせる漆黒の船体、どんな衝撃にも耐えられそうな綺麗な流線型の円盤。魅力に詰まった高級感あふれるその姿は誰をも魅了させること間違い無いでしょう!」
「そうよね。私もそう思うわ。一台いる?」
「そんな!恐れ多いことでございます!」
「うふふ、分かったわ。」
やっぱりこういう人懐っこい子は好きだな。
いくらでもお小遣いあげるのに。
「では地球に向けて出発するわ。各々好きな仕事をしていなさい。」
「「「承知いたしました。」」」
「向こうに着いたら嫌でも仕事をしてもらうわよ。」
好きな仕事というのは建前で、移動中は特にすることがないのだ。
その代わり、向こうに着いたらしこたま動いてもらうつもりでいる。
エリートは基本週休4日だけどね。
「ランドリュー、こっちにきなさい。」
「はい!」
「あなた可愛いわね。今ワープしているのだけど、感想を教えてほしいわ。」
「はい!移動の衝撃を回避するように空間と空間を結ぶという技術は正常に動作しております!他国製ではこうも静かな航行は出来ないと確信しております!」
「そうね。」
「また、到着位置の予測も正確です!この船はワープ中は外を重力波や時空のもつれによる量子運動計測で観測しております!距離と速度による空間の測定では大雑把な予測しかできませんが、そこにこの船の観測技術が加わることで、到着位置の周辺環境も事前に察知できます!」
「素晴らしいわね。その調子で今後も技術の発展に貢献できるようになってね。」
「承知いたしました!」
移動中は特に外の景色を見れるわけでもなく、退屈な時間を過ごすのだ。
そのため、長時間移動する船は内装を豪華にして移動中いかに乗客の満足度を高めるかが最新のトレンドとなっている。
「クルシュ、天の川銀河へついたら連絡を入れるんだろ?」
「そうよ、セレス。」
「向こうに着いた後の展開を変えたい。」
「急ね。ナイーダ*1で提案できた事よね?」
「そうだな。これは、移動中だから言える事でもある。」
「なんでそう思うの?」
「クルシュは日本に執着しすぎ。ナイーダでそれを言ったらメンバーから外してただろ?」
「そんなことはないわよ。」
「で、改めてどうなんだ?」
「JAXAの仲介で日本政府と会談するのでは不満なの?」
「そこまではいいさ。だが、その後の活動拠点まで日本に置く必要はないと思うんだ。」
「どうしてそう思うの?」
「国際的な影響力。地球について満遍なく調査し、スーオリム経済圏を地球に広げるには欠かせないところだ。」
「日本でも十分じゃない。」
「クノイス文明で圧倒的序列1位のカアニア大公国様が妥協したらダメだろう。」
クノイス文明とは汎宇宙における4大文明の1つで、カアニア大公国やルナスタ教皇国が属するスーオリム銀河が属するラルトラル超銀河団が属する文明だ。
4大文明は超広域に広がっているためその名がついた。
「妥協じゃないわよ。」
「じゃあ何故なんだ?」
「単純に日本がファーストコンタクトした国だからよ。諸々の手続きを支障なくできると思わない?」
「そんな答えで満足する訳ないだろう。」
「そうよね。でも、どうしても日本に執着している理由を言いたくないの。」
「そんなに深い事情なのか?」
「ええ。そうよ。」
「それは申し訳ないことをした。だが、それだとクルシュの行動原理が分からないから最高のパフォーマンスは出せないぞ。」
「それでも着いてきてくれない?」
「分かったよ。」
セレスは私が日本に執着していることに気づいてた。
日本人の僕が転生してカアニアの私になったと言って引かないだろうか。
「カアニア大臣、ンカラサ文明近辺を通過いたします。」
「そう。みんなに部屋に戻るように伝えて欲しいわ。」
「承知いたしました。」
ウィルズが報告してきた。
ンカラサ文明は簡単にいうと宇宙の深淵より来るものを崇める巫女を国家元首に据えた統治体制を敷いている国々の集まりだ。
その文明における序列1位の国は、カアニア大公国よりも国力として僅かに上回っている。
【深淵の源】と呼ばれる存在を崇める国家であり、異常な力を有しているのだ。
その存在をなるべく刺激しないようにしたい。
「大臣、1時間後に天の川銀河へ到着いたします。」
「分かったわ。交信の準備をロンケルに伝えて。」
「すでに伝えております。準備はもう済んだようです。」
「そう。ありがとう。」
2回目の交信だ。
今回はJAXAの川越と日本の要人が出席する手筈となっている。
待ちに待った瞬間は近づいている。