アビドスの地下労働者   作:bishop

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第二話

 さて、どうボヤいたところで眼前に銃口を突き付けられている事実に変わりはない。しかも多分だが突きつけられてるのショットガンだろこれ。

 

 どう足掻いても死ぬなぁこりゃ。

 

『まぁ、クソ共よりかはガキに殺される方がマシかね……』

「何をゴチャゴチャと言って――」

『ああすまんすまん。理解できる頭が無かったようだな? じゃあもっと解り易く言ってやるよ。お前の質問には答えねぇから早く撃て……お分かり?』

「なっ……!? 本当に撃ちますよ!?」

『おう、撃てよ。頼むぜ? ああ、外さないようにガイドしてやるよ』

 

 銃身を掴み、銃口を俺の脳天へと押し付ける。

 

『ここだ、外すなよガキ。お前も時間と弾丸を無駄にはしたくないだろ』

 

 ガキは目を見開き言葉を発さない。掴んだ銃身越しに震えが伝わってくる。

 

 にしても、このガキの言うユメ先輩ってのは誰なんだろうか。少なくともこの砂漠に来てからここまでの間、こんな風に誰かがキレ散らかして俺のことを殺してしまおうと思うようなことはしていないはずだ。

 

 むしろ自分の体をほっぽり出して救命活動してんだから感謝されるべき――

 

『――ああ、そうだ』

 

 人が来たんだから、あのガキを託すべきだ。

 

『向こうの方でガキが1人寝てる。俺を殺した後にそいつのことを連れて行ってやれ。脱水症状っぽかったから経口補水液だけ飲ませてある』

 

 よし、託したな。あとはショットシェルが俺の脳味噌ぶっ飛ばせば綺麗に終了チャンチャン♪って訳だ。

 

 しっかりと俺に銃を突きつけたガキ、その頭の上に光る輪っかが見える。こいつは俺への迎えの天使サマだったりすんのか?

 

 視線を少し下げ、ガキの目を見る。オッドアイというんだったか、左右が違う色の良い目をしている。何故かその目が震えているのはどうしてだろうか。

 

『おいどうした』

「ッ!」

 

 声をかけてやる。ガキの呼吸が荒れている。

 

『落ち着けよ、外されちゃ困る』

「うぁ……ッ撃たなきゃ……!?」

『ああそうだよ!! お前は今ここで引き金を――』

「ストーーーーーーップッ!!」

 

 握っていた銃身が俺に銃を突きつけたガキごと横へと吹っ飛ぶ。

 

 目で追ってみれば、行き倒れのガキ――解りづらいからデカガキに、俺に銃を突きつけたガキ――こっちはチビガキで良いか。

 

 まぁ、要するにデカガキがチビガキを押し倒していた。

 

「ダメだよホシノちゃんそんなことしちゃ! この人は私のこと助けてくれたんだから!」

「ちょ、ユメ先輩!?」

 

 デカガキに押し倒されたチビガキがアタフタとしている。にしてもあれだ、ユメ先輩ってデカガキの事だったんだな……俺デカガキに対してそんなにヤバいことやった覚えマジでZEROなんだがどうして銃を突き付けられたんだ??

 

 もしかするとこの世界は死こそ至高的な世界なのかもしれん……いや、そうなると銃を突き付けて脅すことと矛盾するか。うーん分からん。

 

『とりあえず、俺は脳味噌ぶちまけずに済むって話か?』

「あ、ごめんなさいホシノちゃんが早とちりしちゃったみたいで!! ほら! ホシノちゃんも謝って!」

「……ユメ先輩本当に何もされていないんですか?」

「なにもされないし、さっきも言ったけど助けて貰ったんだよ!!」

 

 緊張が解れて体にどっと疲れが出てくる。死ねると思ってたがこうして生き残ると安心してしまうのは生物の性と言う奴なんだろうな。てかデカガキの方俺が助けたこと覚えてたんか。

 

 目の前でワチャワチャとするガキ2人を尻目に立ち上がる。義足に若干の違和感がある以外は体に違和感はない。

 

 そこら辺に捨て置かれていたマスクを拾って着けなおす。ありがたいことに水を駆けられたために水分は補給できた。まだしばらく彷徨うことは出来るだろう。

 

 そうしてそそくさとここから離れる準備を進めているとデカガキの方が俺の動きに気付いて声をかけてくる。

 

「あれ、どこか行くの?」

『どこかって訳じゃない。気が付いたら砂漠に居たもんでな、彷徨ってる途中だよ』

「そっか……あ! じゃあうちの学校に来ない?

「『……は??』」

 

 

 


 

 

 

「ユメ先輩正気ですか!? こんな得体が知れない奴を校舎に入れるなんて!!」

「得体が知れなくないよ、だって私の事を助けてくれたし!!」

 

 ガキ2人に連れられて長い距離を歩かされた。今、俺の目の前には中々にデカい建造物がある。どうやら学校の校舎のようだが……にしては砂まみれというか、どう見ても廃墟だろこれ。

 

 にしてもあれだ、なんというかすごい静かだ。学校ってのはもうちょっと賑やかなもんじゃなかったか。

 

『他の生徒が見えないようだが、今日は休みか何かなのか?』

「えーっと……その、実は生徒が私達くらいしか居なくて……」

「ユメ先輩!!」

 

 全校生徒が2人……ってことか。いや、それは学校としてどうなんだ? 教師は――居ればこうはなって居ないか。

 

 生徒が2人だけの学校に銃を持つ頭に輪っかが浮かぶガキ共……今更だが、この世界は相当におかしな場所らしい。

 

『んで、ノコノコと着いてきたわけだが俺はここで何をどうすればいいんだ?』

「それはね~! ……えっとねぇ~~……? ……考えてなかったや」

「はぁ!?」

「ひぃん……」

 

 デカガキの考え無しな行動にチビガキがカチキレる。まぁ、俺みたいな奴を考え無しで自分達の本拠地に連れてくるなんて冷静に考えて馬鹿くせぇか。

 

 まぁ、砂漠から連れ出して貰った礼とか含めて助け舟を出すか。

 

『まぁ、あれだ。住む場所さえくれりゃあやれることは手伝うさ。銃や機械の修理にハッキングが少々、戦闘だって早々負ける気はしねぇ』

「ユメ先輩まさかこの得体の知れない奴をここに置こうだなんて思ってませんよね!?」

「いや、私のお家に住んでもらうつもりだけ――」

「もっとダメです!! それなら校舎の物置にでも住ませた方がマシです!!」

「じゃあそうしよっか! それじゃあこれからよろしくね、えっと……」

 

 トントン拍子で物置が俺の住処になることが決定した。このデカガキ、天然に見えてドアインザフェイス的なことをやってのけたのを見るに普通に切れ者の可能性があるな。

 

 ああ、そうだったそうだった。今聞かれてるのは俺の名前か。

 

『スメラギ……そう、スメラギだ。よろしく頼む』

「うん、じゃあよろしくねスメラギ君!」

 

 そんな感じでニコニコと笑いながらそういうデカガキの後ろで、あからさまにこちらを警戒しているチビガキが俺のことを睨みつけている。

 

 とりあえず、これでまぁ最低限の生存は出来そうだ。だが生き残れるんなら……まぁ、なるようになれば良いか。何があってもあのクソ地下よりはマシなはずだからな。




スメラギ:Eクラスのランダウンへの降下を許される数少ない囚人。プルバップライフルとスナイパーライフルを好んで使う。
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