アビドスの地下労働者   作:bishop

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初投稿です


第三話

「何をやってるんですか」

『見ての通り、装備の整備だよ。デカガキはどうした』

「ユメ先輩なら病院に行ってますよ」

 

 弾薬ポケットにこちらに偶然持ち込んでいたトリップマイン。あとは生命線であるバイオトラッカーはもちろんブルパップライフルとスナイパーライフルのオーバーホール作業も忘れない。

 

 俺の命に関わる作業だ、これについて文句を言われる謂れは無いはずだろうと不満げにこちらを見るチビガキに言う。

 

「信用できませんから」

『理由になってねぇ。んなことも分からねぇようならこんな無駄なことせずに国語の勉強してたらどうだ?』

 

 弾薬ポケットが問題なく弾薬を製造しているのを確認し、基盤部分等のカバーを着けなおす。上の連中は俺らの事を使い捨てとしか見てねぇ癖にどうしてこうも装備には金をかけるのかね……?

 

 まぁ、軍の型落ち品とかを廃棄するのに使う金惜しさに俺らに流してたとかその辺なんだろう。っし、銃は2丁とも異常無かった。

 

 チラリとチビガキの方を見れば顔を真っ赤にして明らかにキレている。良いねガキは、キレさせようと思えばすぐにキレさせられる。変なタイミングで爆発しやがる大人なんかよりもよっぽど良い。

 

「っどうしてユメ先輩はこんな奴を――」

『おいおい、そのこんな奴が目の前に居るって忘れちゃいないか? あぁ、置いて貰ってるんだ、役には立ってやるさ。こんな風にな?』

 

 そう言ってチビガキの持っていた銃をスって分解し始める。どうやら物をスられるという経験が無かったらしいチビガキは少しの間ポカンとした顔で机の上でバラされていく自分の銃を見ていた。

 

 そして5秒ほどして状況を理解したのかこちらに掴みかかって来る。

 

「ちょっ! 勝手に何やって――」

『チャンバー付近の摩耗が多い、恐らくお前の体に対して若干銃がデカいせいだな、チャンバーへのリロードがし辛いだろ? ちょっと削って調整しておく』

「え、あ。はい……?」

『グリップもこの一体型じゃ握りにくいはずだ、ピストルグリップにするべきだな。金に余裕があるなら早急にパーツを買うと良い、改造ならやってやる……とりあえず応急処置で握りやすいように削るが耐久性が若干落ちる。銃で殴ろうなんて思うなよ』

「わ、かりました……?」

『だがセミオートのショットガンなんて故障しやすいもんに故障の兆候が見えないのは良い事だ。普段の整備が行き届いてる証拠だな……っと、装填口のバネが若干馬鹿になってるな、替えがあるから交換しといてやる』

「――ってそうじゃなくて!! なに勝手に人の銃を分解して――組み立て、終わってる――!?」

 

 所要時間は2分ってとこか、整備しながらの分解組み立てには自信がある。ついでにグリップとチャンバー付近の加工もしたから2分もかかってしまったが、整備しながらの分解組み立てだけら1分切りも目指せただろう。

 

 現場で鍛え上げた技術、舐めるなよ。

 

『ほら、返すよ。さっきも言ったが握りやすいようにグリップ部分を削ってある。耐久性に難が出来るが――』

 

 チビガキに差し出した銃をぶん取られる。そして即座に銃口が俺に向けられ――ることは無く、銃を握り込んだチビガキは驚愕の表情を浮かべていた。

 

『――どうだ、握りやすいだろ?』

「ほんとだ、握りやすい……」

『ほれ、チャンバーリロードもやってみな』

 

 整備の際に排莢した弾薬を一発投げ渡す。それをキャッチしたチビガキは言われるがままにチャンバーを解放し、直接チャンバーへと弾薬を込めた。

 

「や、やりやすい……」

『まぁ、どうだ。役には立つだろ?』

「……まぁ、少しは」

 

 釈然としないといった顔ながらも銃の動作チェックをするたびにどこか満足気な顔も見せるチビガキ。いやぁ、誰かを技術で黙らせるのが一番気持ち良いんだから!!

 

 さて、俺の方の整備も終わらせなきゃならん。とはいえ残りはバイオトラッカーだけだし、こいつに関しちゃ俺が触れる部分が少ないからすぐに終わる。ちょちょいと触ってはい終わり。動作に関しちゃチビガキがしっかりと映ってるのを見るに良い感じだ。

 

 ああ忘れてた、トリップマインに関しちゃ……とりあえず信管は抜いておくか。あとでバラして自作出来ないか見てみるかね。

 

『ふぅ、ようやく全部終わった……んで、いつまで居るんだよチビガキ』

「チビガキじゃないです、小鳥遊ホシノです」

『チビガキはチビガキだろ』

 

 銃の試射でもしてぇなと思いながら弾薬ポケットからマガジンを取り出して銃に取り付ける。普通保管してる時には銃に弾薬を入れておくなんて言語道断だが、生憎こうして無いと落ち着かない境遇で生きて来たもんでね。

 

「はぁ……もういいです。それじゃあ、私はパトロールに行ってくるので……くれぐれも変なことしないで下さいね」

『はいはい』

 

 俺を相手にし続けてイライラしたのだろう、チビガキはさっさとどこかに行ってしまった。弄ってて暇しねぇな。

 

 にしても、学生がパトロールねぇ……いやはや、どうにもこの世界の事が分からない。

 

 なんつーか、歪だ。無理矢理学生という存在に色々なモノを当てはめたように感じるというか、妙に大人って存在が薄いように感じるというか。一応昨日聞いた話でこの学校に借金があってそれが悪い大人に騙された結果だという事も聞いた。

 

 だがそれは人間の大人ではない。んなこと言ったらガキ共の頭の上に天使の輪っかが浮かんでいる時点で人間か怪しいって話にはなるが……まぁ、ロボとか獣畜生に比べりゃガキ共の方は十分人間だと言えるだろ?

 

『いやぁ、マジで意味が解らん』

 

 そりゃあ俺だって精密機械の整備とかできる頭はあるけどさぁ!! これは文字通り死にかけながら必死に身に着けた経験の産物であってェ!! 哲学とかそういうの分かんねぇんだよなぁ!!

 

『あークソクソクソ。無駄なこと考えるのは俺の悪い癖だ』

 

 こうして間抜けた平和な時間に馬鹿みたいに考える分にはマシだが戦闘中に考えようもんなら即死だ。死んだあとは感染して性病の売春女のアソコみたいな顔面してる化け物の仲間入り――その前に体が崩壊して死ぬか。

 

 まぁ、今のところこんなに平和な世界なんだから、んなこと心配する必要は――

 

 ――銃声が聞こえる。なるほど……なるほどなるほど。

 

『試し撃ちの的には困らん世界かここは。いやぁ、最高にクソだぜクソッタレ』

 

 立てかけて置いた銃をマウントする。マスクを着け、バイオトラッカーを拾い上げる。腰に刺したナイフをチェックしてから物置の扉を開ける。

 

「この学校は私達ガタガ――」

『まず2人』

 

 バイオトラッカーで予め位置を確認していた敵に向けて、ドアを開けた瞬間スナイパーライフルをぶちかます。2人の頭……じゃなくてヘルメットが弾け飛んだのを確認。こちらの位置は当然バレたのでスナイパーライフルの装填だけ済ませてマウントし、ブルパップライフルを構える。

 

「なっ!? お前何処から!!」

『はいはいFuckFuck』

「きゃあ!?」

 

 1マガ分フルオートで立ってる奴ら全員の頭に叩き込む。1人3発も頭に入れれば戦闘不能ってとこか? 頭を撃って大人しく沈むなんて随分と良心的だな。

 

 さて、たかが10人ちょっとのヘルメット集団だったとはいえ10秒ほどで片付いてしまった。しかもスナイパーライフルを当ててやった奴等も含めて全員気絶で済んでる。

 

 やっぱりあの世界に比べりゃこっちの世界の方が平和だよ。頭の吹っ飛んだ化け物がファンサービス求めて飛び掛かって来ねぇんだから。

 

 とはいえこうして襲撃賭けてきたわけだろ、このヘルメット集団。しかも昨日聞いた話からして結構な頻度で来るらしいし……せっかくだし有効活用するか。

 

『ちょっとばかし恥ずかしい姿で晒し者にしてやるとするか』

 

 そうと決まればと適当に近くに転がっていたやつのヘルメットと服を粗方剥ぎ取り、その剥ぎ取った服を使って拘束する。あとはこれを校門あたりに吊るしておけば丁度良いだろう。

 

 その後、全員ひん剥いて吊るし終わったところで帰って来たガキ共に見つかり、何故かしこたま怒られた。解せぬ。




弾薬ポケット:素材を入れれば弾薬を自動生成してくれる。効率はゲロみたいに悪い。    
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