エネイブルーアーカイブ   作:イチカの開眼好き好き侍

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奪還作戦

「キンジ、アビドスが動いたみたいっす。先遣した子から入電がありました」

 

「っし。いくか。遠山キンジ以下正義実現委員会40名、これよりアビドス高等学校支援任務を行う!なお、ゲヘナ風紀委員も目的を同じくしているが交戦を禁じる。これはあくまで、被害者救出任務だ、いいな」

 

 はいっ!と俺のうしろにいる後輩たちが緊張に震える声で返事を返してくれる。どうやら先生は上手いことヒナを動かしたらしい。具体的には向こうの委員会の一人、銀鏡イオリの足を舐めていたとヒナからモモトークがあったが見なかったものとする。

 

 困惑しているのがまるわかりなモモトークであったが、恐らくイオリは俺のげんこつという脅し文句を伝えてきた先生にイラっとしたかなんかで適当なこと言ってしっぺ返し食らったんだろう。そういうやつだからな。

 

 しかし先生もそういう、まあ俺が想像するのは憚られるというか死にたくなるので言及は控えるけどすごいな。うん、なんか血圧上がってきた気がするのでこの話はやめよう。

 

 ぞろぞろとヘリに乗り込んでいく我が後輩たち。まあなんだ、ナギサに色々任せると言われたが、そもそもトリニティはマジでゲヘナを親の仇のごとく憎んでいる奴らが大勢いるのだ。特に副委員長のハスミ先輩はやばい。ゲヘナと半共同になると伝えた瞬間静かにキレたからな。

 

 で、それでハスミ先輩は邪魔はしないけど不参加、ツルギ先輩は俺が持ってきたようなもんなので俺に任すとのことで不参加と相成った。ゲヘナとかち合うのが嫌な奴もいるだろうから挙手制で参加者を募ったんだが、先輩は様子見で不参加だったのだが同級生と後輩が結構な数手を挙げてくれた。

 

「と、いうわけでこちら、協力者のファウストさんっす」

 

「ふぁ、ファウストです!よろしくお願いします!」

 

「あの、ひふみせんぱ」

 

「ファウストだ」

 

「あ、はい」

 

 ナギサから正義実現委員会ではなく砲兵隊の指揮を預かったヒフミなのだが、目立ちすぎるのは嫌だからというか私は普通の女の子ですとのことで変装でこちらにやってきている。後輩からすでにバレかけてるが。一応俺も否定しておく。

 

 なんで、後輩や同級生が参加してくれるのかそれとなく聞いてみたんだが、ゲヘナは嫌いだけどそれ以上に命が危険な人を放っておくのは正義に反するからって答えが多かったな。ま、正義実現委員会だなんていうくらいだ、義に悖るっていうのは大問題だな。

 

「キンジ、それなんすか?」

 

「麻薬」

 

「ぶぁーーっ!?タイホ!タイホっす!何してるんすか!?」

 

「冗談だやかましいな。ミレニアムと山海経に頼んで作ってもらったもんだ。お前はわかってるだろうが俺は本気になるまでのスイッチが入るのが遅い。最初から全力を出すために作ってもらったもんだから安心しろ」

 

 イチカが俺がケースから取り出して頬の裏と舌の裏に張り付けてる赤いフィルムを見て聞いてきたので素直に答えるとイチカらしくない大げさな驚き方で驚き、慌てて両手に手錠を持った。釈明しておくと、ほぼ麻薬だが一応害はない、らしい。成分表見たらめまいがしたので知らんが。

 

 俺のヒステリアモードは、入るか入らないかがあいまいだ。というか、できればなりたくないものだがキヴォトスで生きるにおいて力はなくてはならないもの。だが毎回セクハラじみたことをしてヒスってたら何回俺の頭でロシアンルーレットをしなきゃいけなくなるかわからなくなる。

 

 なので薬に頼ることにしたのだ。理論上、この薬でβエンドルフィンをだしてヒステリアモードに入れば、俺はイチカにセクハラしたりされたりしなくていいし、女に気障なセリフを吐かなくていいうえに、強くなる。いいじゃないか。

 

 …………なんかかかりが悪いな。けどまあ一応なれたにはなれたからそれでいっか。イチカの不満そうな薄目をやりすごし、そこらにいた後輩どもをヘリに押し込んでから副操縦席に座って操縦桿を握る。正門ではすでに移動砲台をけん引した武装車が出て行ってる。

 

「機長はサーヤ、お前だ。マシロは俺が降下した後に戦域全体を狙撃でカバー。イチカは乗ったまま全体指揮、必要があれば降りろ。ファウストは俺と飛び降りる。以上、何か質問は?ないな、よしいくぞ」

 

「わかりました遠山先輩!お隣失礼します!」

 

「了解しました」

 

「おっけーっす」

 

「まってください飛び降りるってなんですか!?」

 

 後輩の中で一番乗り物の操縦がうまいサーヤに機長をやらせてきぱき指示してテイクオフ。ファウストもといヒフミがなんか言っているが俺は白けた顔でしらんぷり。お前銀行強盗の件でナギサに気を揉ませたんだからお前もそこで揉んどけ。

 

 本気の出撃なので俺もフル装備である。いつもはつけてないが俺の技の数々は普通に音速を突破するので何も防御しないと手足がズタズタになる。こればっかりはヘイローがあるやつらが羨ましい。そういうわけで艶消しした黒の手甲と脚甲を装備、ミレニアムが余計な機能をつけようとして却下しまくったのもいい思い出だ。自爆機能はいらん。

 

 アビドス砂漠まで編隊を汲んで移動している。ゲヘナとは真反対につくはずなのでかち合うことは無いはずだ、たぶん。まあ会ったら会ったで俺が止めればいいだろ。ヒスってるんだし家の巻物に書いてあった女性を口説く技術を使って…………いやダメージ受けるの俺だわ。

 

「現着!先生とアビドスの学生さんを確認しました!」

 

「よし。各員作戦通りに動け!AからDは外周をそってお掃除!お前らは俺とだ!いくぞ」

 

「え、あのそのパラシュートとかなにか……」

 

「そんなもんはない」

 

「えっちょっまっ!?きゃああああああっ!?」

 

 ドアを蹴り開け、デザートイーグルに特別弾をコンバットロードした俺は動揺するヒフミのペロロ様バッグを掴んで飛び降りた。続けざまに後ろから後輩どもも降りてくる。パラシュートなしで。

 

 「どうするんですかキンジ君!皆さん翼がありますけど私にもあなたにもないんですよ!わああああ墜落死ぃぃぃ!?」

 

「少しお口チャックだ。舌を噛むよ」

 

 やかましいヒフミの方を見ると彼女はなぜかたい焼き屋の紙袋を抑えて顔を出さないようにしてるくせに他はノーガードだった。つまりあれだ、スカートがめくれ上がり純白のサムシングが丸見えになってしまっている。カカリが甘かったヒスに燃料が追加されてもう完全になってしまった。悪いね、ヒフミ。

 

 眼下では囲まれたアビドスと先生が巨大なメカに相対しているところだった。俺はそこに狙いをつけると同時に先生の隣にデザートイーグルを発砲。すると特別製の弾丸は着弾地点で膨らみエアバッグになった。そこにヒフミが背中から着地するように放り投げる。

 

 俺はそのまま身をひねり、巨大ロボットに向けて踵落としをぶちかます。上空からの落下の勢いと秋水によって体重分の鉄塊となった俺の踵はロボットを見事に凹ましてぶち壊した。衝突分の撃力はロボットにすべて押し付けたので俺は無傷だ。ロボを蹴って先生の前に着地する。ヒフミはもちろん無傷だ。

 

「へぶっ!?ちょっとキンジくんなにするんですか!?」

 

「ごめんね、少しスリリングにいきたかったのさ。ほら、どこも痛くないだろう?」

 

「納得いきません!」

 

”えーと、キンジに、ヒフミ?”

 

「違います!私はファウストです!なのでキンジ君とは関係ないし皆さんのことも知りませんし今から起こることにも不干渉です!」

 

”あはは……ありがとう、みんな”

 

「約束を守りに来ただけさ。これより正義の御旗のもとに、君たちを援護する」

 

 俺がそういうと同時に遅れてきた後輩たちが自らに生えている翼を使って軟着陸し、四方に散って包囲網を破りにかかった。俺のうしろにいる奴が銃を構えた瞬間に頭が吹き飛んだ。マシロの狙撃だ。あいつ対物ライフルなんざ担いでるからなぁ。

 

「お前らと先生が約束を守ったからな、ナギサも答えたんだ。だからお前らも手を出すなよ。ここは敵味方ナシ(ノーサイド)だ」

 

「わかってるわ。先生、ゲヘナ風紀委員会委員長空崎ヒナ以下30名、援護を開始する。後ろは気にせず進みなさい」

 

「ファウスト、号令」

 

「え!?は、はい!皆さんお願いします!」

 

 ヒフミがつけている通信機に号令を吹き込むとトリニティの榴弾砲が火を噴いて下からせりあがってきた大砲背負ったメカに直撃していく。廃棄予定の弾の有効活用だ、ナギサが反対意見を黙らせた以上、何も気負うことも気にすることもない。

 

「3人ついてこい。俺たちで先生たちを護衛してホシノのところまで届けるぞ」

 

「アコ、ここはあなたに任せるわ。ノーサイド、わかってるわね」

 

「私はここで皆さんの援護をします!」

 

 俺とヒナが突破口を作ることにする。秋草で亜音速で飛び出した俺の後ろをぴったりついてくるヒナとともに、せりあがって登場したロボットを抜いた刀で両脚切断、ロボット歩兵はヒナの身長ほどもある機関銃が一掃する。ハンドサインを送ると頷いてついてきてくれる一行、後詰として後輩3人が後ろについてきてくれている。

 

”こっちだよ、ホシノはあそこの建物に捕まっているんだ”

 

「待て!何か来るぞ!」

 

「あれは……!カイザーPMCの理事!」

 

「ホシノ先輩を返して!」

 

「黙れぇ!土足で我らの基地を荒らしおって……!ちょうどいい!ここはかつてアビドスの本館があった場所だ!貴様らの墓標にちょうどいいわ!私自ら、貴様らを葬っておわぁっ!?」

 

 さっきまで俺らがなぎ倒しまくってたメカのアップグレードバージョンか特別版だかしらんがとにかくそんなものに乗った偉そうなロボットがベラベラと喋っているのにイラついたらしいイチカがマシロに撃たせたらしく持ってた葉巻が消し飛んだ。あいつなんだかんだ中身狂暴だからな、理性で押さえてるけど。

 

「話が長いってよ、おっさん」

 

「ええ、まったく。私たちが引き受けるわ。あなたたちは先へ。それと便利屋68」

 

「な、ななな何かしら!?何でばれたの!?」

 

「便利屋のみなさん……!」

 

「あなたたちが先生とアビドスの彼女たちを送り届けなさい。柴関ラーメンの爆破の件は私の耳にも届いてるわ」

 

「お前らそんなことやってたのかよ……」

 

「ちょっと!キンジには知られたくなかったのになんで言うのよぉ~~!!!」

 

 こいつらもいたんだな、と俺はゲヘナのお尋ね者である便利屋68がヒナにガクブルと震えているのを見て、ああこいつらアビドスでもやらかしたんだなとあきれ顔になる。というか柴関ラーメンの爆破っつったか?あそこのラーメンもう食えねえの?

 

「アル?」

 

「き、キンジ……?」

 

「あとでおしおきだ。でも、仕事をしたら見逃してあげよう。わかるかい?」

 

「も、もちろんよ!ちょっと興味あるけど……ゴホン!あなたたち!私たちが援護するから一直線に走り抜けなさい!行くわよ!」

 

「ま、まて!ぬぐっ!?」

 

 アルに先導されて全員が走り去っていく。残ったのは俺とヒナ。追いかけようとする理事をヒナの弾幕が通せんぼする。バキ、ゴキと背中を鳴らした俺はベレッタを取り出し、デザートイーグルとの二丁拳銃で構える。

 

「さて、アビドスが世話になったみたいだなカイザーPMC。俺は男にゃ厳しいぞ」

 

「そうなのかしら。私はあなたが生徒を悪戯にいたぶったところは見たことないわ」

 

「できればヒナには目を閉じていてほしいね。野蛮な俺は見られたくない」

 

「ぐぬぬ……なぜ!なぜアビドスなんぞのためにゲヘナとトリニティが手を組む!?いったいなぜだ!?」

 

 人間だったら口角から泡を吹きそうな勢いで理事がまくしたてる。そんなの決まってるだろう。何を当たり前のことを聞いているんだ?

 

「義に悖るからだ」

 

「風紀を乱すものを取り締まるだけよ」

 

「義……正義だと!?そんな子供じみた理論で!憎しみ合っていた貴様らが一致団結するだと!?ふざけるなぁ!」

 

「子供じみた理論で結構だ。あいにく俺らはお前の言う通り生徒(子供)なんでな」

 

 操縦席を力いっぱい叩いた理事がキレるが知ったこっちゃない。俺とヒナはもう話すことがないので同時に踏み込んで理事のロボット相手に突っ込んだ。

 

 ヒナの機関銃に闇がまとわりつくような光が収束して光条がいくつも発射される。その光は着弾と同時にロボットを削り取っていく。俺は発射された砲弾を躱し、メカに付いている機関銃を銃口撃ちで次々潰した後銃を上に投げ捨てて拳を構えた。

 

 全身の筋骨を順番に動かしていく。足から膝へ、膝から腰へ、背骨と肋骨を経由し肩から腕へ。そうするとどうだ。ヒステリアモードの30倍の伝達速度は拳に至るころには音速に至る。円錐型衝撃波を纏う拳を理事が乗ってるロボのど真ん中にたたきつける。ついでに秋水も加えてな。

 

 卵の殻が砕けるように『桜花』と名付けた一撃が理事の乗っている運転席ごとロボを砕いた。投げ出された理事にキャッチした銃を突きつける。四方八方に何か希望の目がないか探していた理事はそんなものが微塵もないことを悟るとうなだれた。

 

 そして同時に、向こう側で爆発が起こる。なにかあったかとついていった後輩たちにインカムで聞くと、救助成功の言葉が返ってきて俺はほっと一息つくのだった。

 

「これにて一件落着ってな」




便利アイテム追加。ジーサードが使ってるやつですね。成分聞くとめまいがするって言ってたやつ。なお女の子でヒスったほうがかかりが速いし強くなります。そりゃそうよ。

 アビドス編終了!おわり!
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