膣○射精したらデバフを回復させるチートを貰った転生者のお話   作:一般紳士

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何がとは言わないけど39らしい。……ごめんなさい。



TS魔法少女編~承3~

 

「すぅ……すぅ……」

「俺の上で寝るのはやめて欲しいんだが……。しかも裸で……」

 

 床に仰向けのままな俺の腹の上で、伏せて眠る幼さの残った華奢な少女――の身体をした青年の白川光くん。感情と記憶の整理が終わったのか、先ほどまでの狂乱ぶりは鳴りを潜めて、ただ自身が生きていることだけを周囲に伝えてるかのように微かな寝息のみを発して熟睡していた。

 

「…………」

 

 俺は彼の安らかな寝顔を見る。……そして、毎度のことながら悩む。本当にこれで良かったのかと。今まで男として生きてきた彼は、俺のせいでこれからは少女の身体で生きていくことになる。彼はこれからの人生、今回経験した不幸を上塗りできるくらいの幸福を得られるのだろうか?

 今はまだ女性の身体になったばかりで困ることはないかもしれない。まぁ、すぐに男女の性別の差に悩まされるだろうし、女性特有のつきのものとかもあるが。しかし、それもいつかは慣れて適応することができるだろう。

 でも、忘れてはいけないのがこのクソッタレな世界。この世界は全人類に対して理不尽を強いてくるが、特に女の子に対しては何がなんでもチョメチョメさせようとしてくる終わっている世界だ。俺に、意味分からんがこの世界の人を救うには有用なチョメチョメチート押し付けてくるくらいだしな。

 よくあるのは、生きたまま一生を快楽漬けで過ごす、まさに死んだ方がいいと思えるほどの生き地獄ルートだろう。とは言え、大半の子たちはこのルートを半ばまで辿り、運良く誘拐先の技術が足りなくて棄てられることで死ぬことができる。逆に言えば、クソッタレな技術力で死ぬに死ねない状況のなか永久に飼われている子たちもいるのだ。

 こんなクソッタレな世界ではあるが、幸運なことに純愛系や百合系に選ばれた少女の大抵は幸せな人生を送って死ぬことができる。まぁ、そこからNTRだったり、ヤンデレ監禁だったりと方向が180°傾くこともあるのだが。

 

 果たして、そんな世界で少女の身体に変えられた――

 

「……キミは幸せになれるのか?」

 

 俺はそうやって一糸纏わぬままの彼に問い掛ける。だが、返ってくるのは当然ながら健やかな寝息だけ。というか、裸のままだと俺はともかく彼に風邪を引かせてしまうことに今更ながら気付く。

 

「ちょっとだけ《浮力付与(どいてくれ)》」

 

 俺は彼へと浮遊の魔法を付与して彼の身体を宙に浮かせる。彼が浮いたことで自由になった俺はその場から立ち上がる。

 

「ふぅ、《全装備換装(ついでに俺も着替えるか)》」

 

 軽く伸びをした俺は、予め設定しておいたいつもの戦闘服を魔法で呼び出す。そして、数時間前に彼に被せたものと同じコートを彼の身体に掛けて華奢な肉体を包み込む。

 

 ――恐怖、絶望、負の感情に呑まれている中で感じた唯一の希望。それが、あの時に感じた暖かさ、心地よさ。今、己の身体を包み込んだそれなんだと本能的に感じ取る。

「んっ…ふへっ…」

 

 今度は、以前とは違って水音は出なかった。様子も変わっていないところから見るに、身体の方の回復も成功したのだろう。なんてことを、にへらと笑みを浮かべて俺のコートを軽く掴みながら眠る彼の様子を見ながら考えた。そんな時だった、不意に部屋の中に扉をノックする音が響いたのだ。

 

「誰だ?」

「乙瀬です、御当主様。新しく来られた方のお迎えに上がりました。入室してもよろしいでしょうか?」

「あぁ、メイド長か。《力場操作(入ってくれ)》」

 

 俺に入室の許可を求める凛とした鈴のような声に、俺はいつも通りに是と返し、魔法で扉を開ける。失礼します、と言う一声と共に深く頭を下げたメイド。彼女の肩からさらさらと流れる艶やかな黒髪、ゆっくりと頭を上げた彼女の切れ長な目の中にある紫紺の瞳と視線が交わる。

 元クール系トップアイドルにして海藤家のメイド長、『乙瀬湊(おとせみなと)』。容姿はさることながら、彼女の歌声は透き通りつつも女性にしては低めなハスキーボイスで世の人々を老若男女問わず魅了した。まぁ、こんな世界で『老若男女を魅了した』、なんて文言はフラグ以外の何物でもないわけで……この後は言わないでも分かるだろう。彼女の身に起きたことはご想像の通りだ。やはりこの世界はクソッタレなのだと神に中指を突き立てたい気持ちに駆られる。

 

「御当主様、こちらの子が今回お救いになられた子でしょうか?」

「あぁ、そうだ」

 

 視線が合ったのは僅かな時間だけ。メイド長が俺と出会うまでの悲惨な過去を思い出していると、彼女は俺から宙に浮いている()へと視線を逸らしていて、彼について問い掛けてくる。俺は、彼女の言葉に一つ頷いて返す。

 

「彼についてはいつも通り彩葉から聞いてくれ」

「……承知しました」

 

 俺は、なるべく早く話を終わらせるべく、彼の状況説明を彩葉に任せることにした。なぜ彩葉に任せたのか?そんなの、俺が彼女に蛇蝎の如く嫌われているからだ。なぜ俺が彼女に嫌われているのか?

 逆に聞くが、信頼していたプロデューサーに裏切られ、自分の記憶に残っているほどの熱心なファンにも裏切られた。そして、そんな地獄からようやっと救われたと思ったら、全く同じことを奴らと同類である俺にされた。これで俺のことを嫌わずして、何を嫌うと言うのか。

 

「そういうわけで、すまないが後は任せた」

 

 俺は彼女へとそう言葉を告げると、彼を彼女の前へと動かしてから部屋を出るために足を動かす。だが、

 

「……あ、あの!」

 

 俺が部屋を出たのと同時に、背後から呼び止めるように出されたメイド長の声が俺の足を止める。彼女の方から声を掛けてくるなんてことが今までなかっただけに、俺は少しだけ驚きながらも彼女の方へと向き直る。

 

「何か俺に用があるのか?俺に実現可能な要望であれば聞こう」

 

 俺が犯した過去の罪を少しでも贖えるのなら、文字通り何でもするぞ。とは言ったものの、メイド長の用は彼女自身のことではなかったらしく、

 

「い、いえ、そのような恐れ多いことは私には到底できません。ただ、一つだけお聞きしたいことがあっただけです」

 

 聞きたいこととな?

 

「なんだ?」

「その、この子の処遇について聞こうかと思いまして……」

 

 処遇?いや、え、なんで今さら?(困惑)

 

「それは、メイド長たちが決めるものだろう?わざわざ俺からの要望なんてない。強いて言うのであれば、当事者である彼が望んだことをさせてやってくれ。彼がどんな道を選んだとしても、俺が……海藤家が最大限の支援を行うことを約束する。そう伝えてやってくれ」

「……貴方はまだ私たちのことを。……かしこまりました、その様に伝えておきます。御当主様」

 

 なんか最初の方がもにょもにょっとした小声で聞き取れんかったが、どうせ『偽善者のクソ野郎が』とでも言っているんだろうな。まぁ、実際その通りだから何も言えんが。

 

「では、俺はもう行く。彼を頼んだぞ、メイド長」

 

 俺がここにいるのは彼女らの精神衛生上よろしくないだろうと思い、俺はその場を後にした。

 

 

 俺が彩葉の研究室に向かうまでの間、屋敷に少なくとも100人はいる筈のメイドとは誰一人ともすれ違うことはなかった。

 

 

 

 

「戻ったぞ」

「あぁ、戻ったか。おかえり、瞬」

「おかえりなさい、瞬さま」

 

 俺が彩葉の研究室に戻ると、そこには彩葉だけでなくアリシアも部屋の中にいて、俺のことを出迎えてくれる。

 部屋の真ん中には収納魔法から引っ張り出したのだろう、先ほどまではなかった丸いティーテーブルと三脚の椅子が設置されていた。そして、いつも茶会に使われているティーポットとティーカップ、そして、スコーンやクッキー、一口サイズのケーキなんかが並べられたアフタヌーンティースタンドがテーブルの上に置かれていて、それらを青白い半透明な結界が囲んでいる。

 

「瞬、茶会の前にこっちに来い」

 

 俺がぼけーっと茶会用のテーブルを見ていると、くいっと服を引かれる感覚を覚えた。引かれた方向を見ると、彩葉が自分のデスクの方を指差しながら俺の顔を覗き込んでいた。ゆっくりと彩葉に引っ張られて、白川光くんの治療を行う前に座っていた丸椅子へと誘われた。

 

「瞬、手を」

「ああ」

 

 丸椅子に座らせられた俺は彩葉に言われるがままに手を差し出す。彩葉は、俺の手を取るとむにむにと弄くり回す。

 

「ふむ……次は上を少し捲ってくれ」

「分かった……これでいいか?」

「ああ、十分だ」

 

 一通り俺の手を触ってから、次の指示を出す彩葉。俺はそれに疑うこともなく、指示に従って着ていたカッターシャツを大きく捲って腹と胸を出す。

 

「ふむふむ……相変わらず、瞬の肉体は引き締まっているな。腹筋とかガチガチだぞ」

 

 ペタペタさわさわと擬音が聞こえてきそうな程、俺の腹やら胸やらを触ってくる彩葉。何だかむずむずとした感覚に俺の中で困惑の感情が溢れてくる。

 

「なぁ……これって触診じゃないのか?その、手つきが色々とおかしくないか?」

 

 前世で上司に連れられてキャバへ行ったとき、こんな感じで太腿とか触られた覚えがあるぞ。と言う意味合いを込めた視線を彩葉へと向けるが、彼女は飄々とした顔を崩すことがなかった。

 

「なにバカなことを言うんだ。どこの世界に下心を持って医療行為を行うような阿呆がいると思っているんだ。それより、前はもういい。次は後ろだ」

 

 何か納得いかないが、取り敢えずは彩葉の言う通りに従うことにする。俺はシャツの前を下ろして、丸椅子を回して彩葉に背を向ける。そして、俺は彩葉に背を向けたまま背中側のシャツを捲る。

 そのまま、暫くの間を彩葉にペタペタさわさわと背中を弄ばれる。まぁ、いつものことだしと受け入れてしまうのは仕方ないことだろうか?なんやかんやで三桁はやってるからな。もうじき四桁いくんじゃないだろうか。なんてことを考えているとツーッと背筋を優しくなぞられてゾワゾワとした感触が俺の神経に叩き込まれる。

 

「~~ッ!?なにすんだ、彩葉」

「ククッ、いや何。親しい者との軽度なスキンシップはストレス解消に大きく貢献するからな。ちょっとしたサービスだ。……よし、戻していいぞ。今回も身体には異常がない。相変わらずの頑丈さだな、瞬」

「…………。そうか、いつも助かる」

 

 そんな彩葉の言葉に返事をしながら、俺は服を整える。そして、俺は椅子から立ち上がろうと足に力を込めようとした時だった。

 

「まぁ待て、瞬。時間は沢山あるんだ。茶会なんて後回しにしようじゃないか」

「…………」

 

 そんな言葉と共に、後ろから腰を通して腹に回された二本の腕。そして、背中にのし掛かられるようにして押し付けられた女性らしい柔らかい感触によって、俺が彩葉に抱き付かれていることを理解する。どこまでも優しく包み込むようなその抱擁は……心の奥から暖かくなるようなその感覚は、決して俺のような人間が享受していいものではない。

 

「おい、離れろ」

 

 だから、俺は彩葉に拒絶の言葉を送る。

 

「断る。お前にはセロトニンとオキシトシンが不足している。よって、これは極めて重要な医療行為だ」

 

 せろと……なんだ?オキシトシンは聞いたことあるから分かるが……。まぁ、話の流れ的にオキシトシンと同じで、スキンシップすると出てくる幸せホルモンの一つなんだろう。

 

「……分かった、一分だけな」

「何バカなことを言っているんだ。時間はあると言っただろう?もっとだ」

 

 こうなった彩葉は頑なだからと思って発した俺の妥協の言葉に、彩葉は嫌だと言わんばかりに俺へ抱き付く二本の腕の力を強めることで答える。ギュッと、絶対に離すまいと彩葉にしがみつかれることで俺の胸の奥で微かに安堵感が顔を出す。そして、それを受け入れようとすると同時に思い浮かぶ被害者達の顔。

 

「彩葉、俺にはこれ以上を受け取る権利なんて――」

「それは違うぞ、瞬」

 

 これ以上は不味いと、俺の口から自然と漏れた言葉。だが、それは彩葉の言葉で呆気なく遮られた。彩葉はそのまま言葉を続ける。……俺の肩に顎を乗せて、耳元で甘く囁くように――否、何かを求めるようにか細く小さな声で。

 

「いいか?お前は救えなかった者たちばかり見ているが、私やお嬢を含めて多くの者がお前に救われている。その事実から目を背けられるのは少しばかり腹が立つ。もっと、(私たち)にも目を向けてくれ……。瞬は、決して怪人(あいつら)とは違う」

 

 俺の服を軽く摘まみながら吐き出された言葉。どこまでも俺のことを想ってくれている暖かく優しい言葉。でも、俺はその言葉を聞き入れることは出来なかった。確かに救えた人もいる。だが、救えなかった人の方が遥かに多いから。

 

《力場操作》

 

 俺は、彩葉の腕に魔法を使い俺の身体に回された腕を解く。腕をほどかれた彩葉は、タメ息と共にジト目を俺へと向けて口を開く。

 

「はぁ……全く、キミのその自己犠牲の精神はとても尊いことだと思う。だが、行き過ぎたソレはもはやメシアコンプレックスだ。何度となく言っているが、無理だけはするなよ」

「あぁ、十二分に心得ている」

 

 俺は彩葉の言葉に頷く。なんてったって、俺が動けなくなれば、動けない時間だけ救いを求める人が増えるのだから。

 

「……ならいい。じゃあ、そろそろ茶会を始めるか」

「ああ」

 

 俺の内心を見透かしてか、まさに不承不承と言った様子で一応は納得した彩葉が立ち上がる。俺もそれに倣って席を立った。その時、ほんの一瞬だけ彩葉と、ティーテーブルに張ってあった結界を解除して茶会の準備を進めていたアリシアがアイコンタクトを取ったように見えた。まぁ、気のせいだろうが。

 因みに、テーブルに張ってあった結界の効果は時間停止(魔力持ちには無効)である。つまり、魔物と人間には効かない、この世界的には便利ではあるがおせっせには使えない産廃魔法なのである。ちょこっと《封印魔法》を鍛えれば適性がなくても誰でも使えるもんだし、性能としてはこんなもんだろう。俺達は結構頻繁に使ってるがな。因みに、封印魔法に適性を持っている奴が鍛えれば、人間や魔物にも効く時間停止の結界を使えるようになるぞ。中に入った奴ら全員の時間が止まるがな。勿論、『対象だけの時間を止める』魔法は封印魔法ではない系統にある。

 

「どうぞ紅茶よ、瞬さま」

「あぁ、ありがとう」

 

 なんて下らないことを考えながら俺が席に着くと同時に、横からアリシアの声と共に紅茶が差し出される。俺が礼を言うと、アリシアは小さく微笑みを浮かべ自分の席へと戻る。それを見届けた彩葉が俺へ視線を向けて話を始めた。

 

「さて、飲み食いしながらで構わない。今回は、私の話を聞いて貰いたい」

「別に問題はないが、何の話だ?」

 

 俺は彩葉の言葉に頷きながらそう返した。

 

「白川光のことだ。少々面倒なことになってな、その報告だ」

 

 彩葉はティーカップの持ち手を摘まみ、持ち上げてゆらゆらとカップを小さく揺らしながら俺へと視線を投げる。

 

「なんだ?」

 

 俺が彩葉へ話の内容を聞く。すると、彩葉は一口だけ紅茶を飲んで唇を湿らせてから口を開いた。

 

「丁度ついさっきのことなのだが、魔法少女協会の方から白川光の身柄を要求された」

「身柄の要求?」

 

 俺は彩葉の言葉に思わず聞き返してしまう。被害者達を呼び戻すために、魔法少女を統括している協会が此方へアポイントメントを取りに来ること事態は何度かあった。だが、俺と彩葉が問題としているのはタイミングだ。

 

「それはおかしくないか?彼を救出してからまだ半日も経っていないじゃないか」

 

 そう、余りにも協会の連中が動くのが早すぎるのだ。では、たまたま俺たちが彼の救出に向かった時に出会したのかと言うと、それもまた違う。

 

「あぁ、そうだ」

 

 俺の言葉に対しての彩葉の返答は肯定だった。と言うことは、考えられるのは……マジかぁ、これは確かに面倒だ。

 

「因みに、白川光の救出に魔法少女たちが同時期に来たのかと思って、私の魔法で現場周囲の監視カメラのログを確認したが、魔法少女の姿を確認できなかった」

「それに、私達が救出前に民間の方を巻き込まないように周辺の警戒をしていたけど、怪しい人は見つからなかったと聞いてるわ」

 

 俺の思考を読んだのか、彩葉とアリシアの順に言葉が続く。正直、その話を聞いたところで、「だよなぁ」としかならない。そもそも、こうして俺たちにだけ密かに連絡を取りに来ている時点で怪しさの塊だ。

 俺たちの活動は『世間にバレず密かに暗躍する――うんたらかんたら』何て言うザ・マンガみたいなことはしていない。むしろ、何処其処に襲撃を掛けて誰々と誰々を何人助けましたよー、などとしっかりきっちり世間に報告している。そして、被害者の家族を保護して色々と社会復帰に向けての援助を行っている。こう言うのって本来は政府主導で行うべきなのにな。流石は司法以外終わってるクソッタレな日本である。まぁ、これも玩具会社の社長として当然の責任である。何てったって、わが社の社訓は『安全な玩具で楽しい性活を』だからな。

 因みに、魔法少女ピュアホワイトの失踪は二週間前に一度メディアにて大々的に取り上げられている。近いうちに俺たちは、魔法少女ピュアホワイトを救出および保護をしたことを公表する。その上で、彼の身辺に関する話は彼の家族や学校、魔法少女協会なんかの関係各所と協議の末に決定することになる……筈だった。

 

 まぁ、こうもごちゃごちゃと言ったが、俺が出した結論としては一つだけだった。それは――

 

「――魔法少女協会が彼の失踪に関与していると?」

「そうね、物証こそないけれど、状況的に見てまず間違いないと思う」

「まぁ、技術職に就く私たちが根拠もなく、推論だけでこう言った発言をするのは少々ナンセンスではあるがな。全くもって情けない話だ」

「いや、十分だ。ありがとう、二人とも」

 

 二人が申し訳なさそうな顔と共に告げてくれた言葉に礼を返してから、俺はこれからの方針を頭の中で考えだす。とは言っても、考えることなんて『殺る』か『殺らない』か、この二つである。当然ながら俺が考えたのは殺る一択だ。

 

「アリシア、魔法少女協会とやりあう戦力はあるか?」

「……そうね、魔法少女が出てくることを考慮した場合は五分五分よ。でも、魔法少女たちの足を止めることができれば、勝利は確実ね」

 

 俺の質問に対するアリシアの回答を得て、今度は彩葉の方を向き、問いを投げ掛ける。

 

「彩葉、鬼瓦の爺さんに『宣戦布告』をして貰う。証拠を見つけるのにはどれだけの時間がかかる?」

 

 俺の問いに対して彩葉はメガネを外してパソコンの方を一瞥する。そして、すぐにメガネを掛け直すと徐に話し始めた。

 

「問いの答えとしては『分からない』だな。既に私の魔法で目ぼしい情報を探しているが、成果は全くと言っていいほどない。どうやら、連絡は独自のクローズドネットワークを使っているようだ。更には、電子機器の取り扱いにも限りなく注意を払っているようで、私の魔法の感染が上手く届いていない」

 

 彩葉が魔法を使っても無理なら本当にお手上げだな。因みに、いま彩葉が使った魔法――『電操魔法』とは彩葉の固有魔法である。

 概要としては、彩葉の手で触れた電気で動くモノに、彼女の魔力(電子)を付与することでマーキングを行い、マーキングしたモノを手足のごとく自在に操ることができるというものだ。更には、仮にパソコンをマーキングした場合、そのマーキングしたパソコンが通信した他の電子機器にも感染する。とかいうものだから、現代――ああいや、日本(京都など一部地域を除く)やら一部海外ではかなり強力な魔法だろう。

 

「そうか……一年時間があれば足りるか?」

 

 できないものは仕方がない。とは言え、彩葉なら一年くらいあれば言い逃れできないレベルの証拠を出してくるだろう。と、そう言う意味を込めての言葉だった。しかし、

 

「いや、そんなにいらないな。3ヶ月で十分だ」

 

 どうやら彩葉には半年も時間はいらなかったらしい。そして、彩葉が断言すると言うことは何かしらの策がある筈だ。俺はそれを彩葉に尋ねた。そして、彼女は長々と作戦を語った。

 

「――。とまぁ、策としてはこんなところだ。証拠が見つからないなら私たちで作れば良いと言う話だな」

「…………分かった、それでいこう」

 

 彩葉の作戦は細かく綿密で、俺たちの武器を十二分に活かした全く隙がないものだった。彼の安全面にも二重三重に考慮されていたために、余り取りたいとは思わない手段ではあるが、俺も彼女の案に許可を出した。そして一段落が着いたところで、アリシアが一度ぱちんと両手を鳴らしてから、俺へ向けてある提案をする。

 

「決まりね。そうだ瞬さま、この作戦に名前を付けてみない?」

「作戦名か……そうだな――」

 

 アリシアの提案に俺は頷いて、この話を聞いて思い浮かんだ言葉を発する。彩葉の魔法に絡めたこんな言葉だ。

  

  

「――『トロイの木馬』なんてどうだ?」

 

 

 俺が掲げた今回の作戦名『トロイの木馬』。それに対して、彩葉はニヤリと口を歪め、

 

「最高だ、瞬」

 

 とても愉しそうにそう言ったのだった。

 





固有魔法だの魔法適性だのややこしい単語については、本格的に戦闘描写が入る前に解説回を入れます。勿論、講師は彩葉先生です。

次回は主人公不在、光くんちゃんメインになりそう。あと、作戦については次回にちょびっとだけでてきます。
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